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NO.1787(2006年5月22日号)

アルミネの「益田アルミ」竣工
再生地金、月産500dで立上げ
5年内に溶解炉5基、車向け特殊合金


 新工場は益田市・久々茂工業団地内に建設したもので、敷地面積約3万3,000u、工場建屋面積約6,600u。第1期計画分として10d溶解炉1基とインゴット鋳造設備1ラインを導入した。投資額は土地・建物が3億円、設備が2億6,000万円の合計5億6,000万円。5月末をメドに月500d体制で生産を立ち上げる。アルミネの三隅(長門市)、川上東(萩市)、川上西(同)の山口県内3工場で発生するアルミ屑を回収し、再溶解して自社で再利用する。当初従業員数は15名で全員が現地採用。

 新工場では溶解ロスを少なくして、社内発生屑だけで歩留まりは97%強と一般的な水準よりも3%程度向上させる見込み。将来的には外販用二次合金の生産も視野に入れており、1年後に10d溶解炉、インゴット鋳造設備各1基を増設。その後逐次設備増強を進め、5年以内に最終的に溶解炉5基体制とする。3基目以降の能力は未定で、用途展開に応じて判断する。
 5基体制では、自動車向けなどのアルミニ次合金を生産拡大する。価格競争の激しいダイカスト用だけでなく、独自技術による高付加価値製品を製造する考え。ユーザーとの共同開発も含めて、自動車の外板用など、展伸性に優れた「特殊合金」の生産を手がける。アルミネ社外からのスクラップ材も受け入れるほか、外販も検討する。
 同社は先月26日、益田市内のホテルで竣工披露式を挙行、澄田島根県知事、牛尾益田市長を始め、関係者約130名が出席した。益田アルミニウムの代表取締役会長を務める竹内アルミネ社長は冒頭、挨拶に立ち、「島根県、益田市など関係者の方々の並々ならぬ熱意に打たれて進出を決めた。地球環境に優しい、地域社会に貢献する企業として運営する」と述べ、坂本社長も「益田市でナンバーワン、島根県でナンバーワンの企業に育て上げるのが責務と考えている」と決意を明らかにした。


05年度二次合金出荷104.6万d
1.7%増、90年度に次ぐ史上2位
 日本アルミニウム合金協会がまとめたアルミ二次地金・同合金地金需給統計によると、05年度の生産は104万2,849d、前年度比1.7%増、出荷は104万6,128d、同1.7%増となった。生産、出荷ともに前年度比プラスは4年連続で、水準としては90年度(生産104万5,386d、出荷105万375d)に次ぐ史上2番目。
 産業部門別出荷量では、54%を占めるダイカスト向けが55万9,485d、同2.5%増、同27%の鋳物向けが27万9,114d、同6.8%増と前年実績を上回った。一方、板、押出、鉄鋼、合金地金メーカー向けは前年実績を下回った。
 なお、3月単月の生産量は9万3,381d、前年同月比1.8%増、出荷量は9万4,047d、同0.9%増。プラスは生産が8カ月連続、出荷が10カ月連続。水準としては生産が91年10月の9万3,754dに次ぎ史上2番目。出荷は90年2月の9万3,256dを上回り過去最高を記録した。
 部門別内訳は、▽鋳物2万5,827d(前年同月比5.2%増)▽ダイカスト5万1,148d(同2.2%増)▽板6,207d(同4.1%減)▽押出5,569d(同11.7%減)▽鉄鋼2,343d(同17.7%減)▽合金地金メーカー向け2,913d(同2.2%減)▽輸出40d(同100.0%増)。


05年度のアルミ建材出荷速報
サッシ4%・木造5%・ビル3%減
 05年度(05年4月〜06年3月)のアルミ建材生産・出荷速報によると、アルミ製室内建具を除いたアルミ建材生産は37万6,370d、前年度比6.8%減、出荷は42万1,671d、同5.2%減となった。このうち、アルミサッシは生産26万1,489d(同6.8%減)、出荷が29万8,060d(同4.3%減)。木造住宅用は生産が14万4,706d、同10.8%減の一方、出荷は17万6,987d、同5.3%減にとどまった。ビル用サッシは生産が11万6,783d、同1.1%減、出荷が12万1,073d、同2.8%減となった。
 なお、3月単月速報値では木造住宅用サッシは生産が前年同月比10.7%減、出荷が同6.5%減、ビル用が生産が同6.3%減、出荷が同3.4%減となった。住宅用サッシの出荷は9カ月連続のマイナス。ビル用出荷も4カ月ぶりにマイナスに。


05年度のアルミ圧延品需給速報
生産・出荷4%減、4年ぶり減少
 日本アルミニウム協会が発表した05年度のアルミ圧延品生産・出荷速報によると、板・押出合計の生産は前年度比4.2%減、出荷は同4.1%減となった。ともに4年ぶりのマイナスで、過去最高を記録した96年度を生産で7.2%、出荷で7.4%下回る水準。
 板類は生産が5.2%減、出荷が5.0%減で、ともに4年ぶりのマイナス。自動車部材、電子通信装置、一般機械器具が堅調に推移したが、主力の缶材、フィン材、卸・小売、建設などが低調。輸出も大幅に減少した。
 一方、押出は生産、出荷ともに同2.9%減で、4年ぶりのマイナス。自動車部材は好調だったものの、過半を占める建設向けや、一般機械器具などが低調に推移した。
 また、箔は生産が同2.6%減、出荷が2.8%減で、生産は2年ぶり、出荷は3年連続でのマイナスとなった。主力のコンデンサー向けが昨年後半から回復、プラスとなったものの、食料品、日用品向けが低調、輸出の減少も響いた。


3月出荷、板15カ月ぶりプラスに
押出2カ月ぶり減、箔3カ月連続増
 3月単月の速報では、生産は板類が11万8,637d(前年同月比4.5%減)、出荷が12万4,127d(同1.9%増)となった。生産は9カ月連続でマイナスとなったものの、出荷は15カ月ぶりにプラスに転じた。押出は、生産が8万6,864d(同0.9%減)、出荷が8万5,823d(同1.0%減)。生産は15カ月連続のマイナス。出荷も、2月は14カ月ぶりにプラスに転じたものの、再びマイナスとなった。
 一方、箔は生産が1万2,233d(同1.5%増)、出荷が1万2,631d(同7.8%増)。プラスは生産が4カ月連続、出荷が3カ月連続。


神鋼Al・銅の06年3月期連結
営業利益233億円・38%増
 神戸製鋼所のアルミ・銅カンパニーの06年3月期連結業績は売上高3,049億円(前期比7.8%増)、営業利益233億円(同38.2%増)となった。
 アルミ圧延品販売量は33万3,600d、前年比6.4%減に。国内でアルミボトル缶の採用増に伴い主力の飲料用缶材が堅調であったのに加え、自動車用材、磁気ディスク用アルミ基板も引き続き好調に推移した。一方、輸出は価格改善を優先、缶材や印刷板、エアコン用フィン材などで一部受注を見送った。さらに、押出材も需要の減少で前期を下回った。ただ、地金価格の高騰による影響などもあり増収を確保。総平均法に基づく在庫評価の影響による収益押し上げ効果約50億円により大幅増益となった。
 今期のアルミ圧延品販売量は33万4,000d、同0.1%増を計画。主力の飲料用缶材で「第3のビール」の需要増を確実に取り込むほか、半導体・液晶製造装置向けや自動車向け、磁気ディスク用アルミ基板などで前期を上回るが、缶材の輸出が減少する。押出材もほぼ前期並みを見込む。ただ、売上高は、銅圧延品を中心とする販売数量増もあり、05年度比8.2%増の3,300億円を予想。収益面では、在庫評価の影響による収益押し上げ効果が約20億円減少することで営業利益は200億円、同14.2%の減少となる。


三菱アルミ次期社長に
マテリアル副社長の北村氏
 三菱アルミニウムは10日、次期社長に三菱マテリアル副社長の北村光一氏(写真)が就任するトップ人事を内定した。野副明邑社長は取締役相談役に退く。6月30日開催予定の定例取締役会で正式決定する。
 北村光一氏(きたむら・こういち):1967年一橋大学社会部卒、三菱金属鉱業(現三菱マテリアル)入社▽98年取締役労働安全部長▽00年執行役員人事部長▽01年常務執行役員人事企画室長▽03年4月業務改革推進本部長(現)、人事部門長▽同6月常務▽06年4月取締役副社長。44年(昭和19年)3月生れ、62歳。


Al協会次期会長に佐藤昭電専務
副会長に桝田住軽金社長が内定
 日本アルミニウム協会は4月26日、次期会長に佐藤龍雄昭和電工専務取締役アルミニウム事業部門長(写真)、副会長に桝田和彦住友軽金属工業社長の就任をそれぞれ内定した。
 5月25日、第26回通常総会と同時開催される第188回理事会で選任される予定。


住生活G前期、16%営業増益
ビル27億円黒字、今期16%増
 住生活グループの06年3月期連結決算は、売上高は前期比7.2%増で、初の1兆円大台乗せになるとともに、経常利益は同16.7%増で過去最高を更新した。増収は新規連結4社により509億円の押上げ効果があったため。営業利益は原材料価格上昇・市況低下を経費削減と退職給付運用益増70億円でカバーし、前期比15.7%増に。経常利益も為替差損が差益に転じた影響で24億円増加した。トステムの早期退職関連で239億円を特別損失に計上したことで当期利益は同27.8%の減益となった。
 07年3月期は売上高5.9%増、営業利益16.4%増の予想。住宅着工はほぼ横ばいを見込むなかで、住宅関連は下期に価格改定浸透の本格化で売上、利益ともに伸長を見込んでいる。
 事業会社別ではトステムの06年3月期は26億円の営業増益に。市況低下76億円、資材価格上昇59億円などのマイナス影響があったものの、経費削減などで92億円、退職給付71億円のプラス効果でカバーした。セグメント別では住宅用建材が売上高4,345億円(前期実績4,524億円)、営業利益202億円(同183億円)、ビル用建材が売上高1,090億円(同1,092億円)、営業損失14億円(同21億円)。
 今期は2.3%増収、1.4%の営業増益を計画。資材価格上昇110億円、退職給付55億円のマイナス影響があるものの、コスト削減87億円、価格改定硬化75億円を見込む。セグメント別では住宅は売上高4,390億円、営業益210億円、ビルは売上高1,170億円、営業損失19億円の予想。


昭電、HD生産月1375万枚に
08年末には2400万枚体制
 昭和電工は昨年以来進めていた千葉、シンガポール、台湾3拠点でのハードディスク(HD)生産増強を完了、4月から従来比305万枚増の月産1,375万枚体制を整えた。
さらに、シンガポールにも新工場を建設中。建屋・クリーンルームの完成後、製造ラインの導入を順次進め、第1期ラインでの生産を年内に開始する予定。既存3工場での設備増強を引き続き行なうことで、08年末における同社グループの生産能力は月産2,400万枚となる見込み。


アルミ関連産業労協が春闘総括
賃上げ3966円、夏一時金61.1万
6単組がベア実施、格差是正進展せず
 全国アルミ関連産業労働組合協議会(小川進会長=写真)はこのほど06年春闘の中間総括を行なった。それによると連休前までに妥結した27単組(要求なし・未解決11単組)の賃上げ加重平均は3,966円、基準内賃金の1.39%となり、05春闘に比べ金額で5円、率で0.03%下回った。アルミ地金の高騰から主力のアルミ建材企業の業績が悪化したため妥結額は総じて低迷し、同労協の最大課題としていた他産業との賃金格差是正は進展せず、逆に拡がるなど不満の残る春闘だった。
 夏季一時金の妥結額は16単組の加重平均が61万1,866円・2.06カ月分となり、05年夏に比べ金額で9万44円、月数で0.26カ月分増加した。賃上げの低迷を一時金の増加で埋め合わせた勘定。
 06年春闘は景気の回復から5年ぶりに実質的なベア闘争となった。アルミ関連労協も23単組がベアを要求したが、実際に獲得した単組は6単組にとどまった。また、夏季一時金は05年比大幅に増加したものの、東証一部上場の製造業に比べると約1/2と低い。
 アルミ産業の景況は需給タイトから好業績の圧延業、地金高騰の価格転嫁が進まない建材業界と二極化が進展。従来、アルミ関連労協は賃上げ促進のため主要単組委員長による「歯止め」を設定していたが、各企業の業績乖離が大きくなっていること、格差縮小をさらに強化することなどから、今後業績に応じた「目標方式」に転換、全体の底上げを図るとしている。


日箔3月期連結、51%経常減益
今期も15.9%の減益予想
 日本製箔の06年3月期連結決算は前期比5.1%の増収ながら、アルミ地金高騰により営業利益、経常利益はそれぞれ50.9%、47.2%の大幅減益となった。セグメント別では、アルミ箔事業は売上高が220億2,300万円、同2.7%増となった半面、営業利益は1億8,100万円、同73.1%減、特殊箔事業は売上高が40億6,800万円、同20.3%増となったものの、営業利益は3億4,400万円、同13.4%減となった。
 なお、投資有価証券売却益3億1,300万円を特別利益に計上する一方、昨年12月の公正取引委員会の勧告審決に基づく課徴金の概算額として3億7,000万円の損失引当金を特別損失として計上した。
 今期予想は売上高275億円(05年度比5.4%増)、経常利益4億5,000万円(同15.9%減)、当期純利益2億8,000万円(同8.2倍)。


東海ア箔、連結経常益上方修正
 東海アルミ箔は8日、06年3月期連結決算における経常利益が前期比266.9%増の4億9,900万円と、昨年11月発表の予想に比べ1億2,900万円上方修正となると発表した。売上高は167億5,500万円(同3.9%減)と予想を2億2,400万円下回るものの、原材料費の上昇の影響をコスト削減、生産効率改善効果で最小限に抑えた。なお、昨年12月の公正取引委員会の審決に基づく課徴金概算額1億3,000万円を特別損失として計上する。


古河スカイ連結、18%営業減益
数量減にコスト増、今期24%増
 古河スカイの06年3月期決算は連結で、前年度比1.9%の減収、営業利益、経常利益はそれぞれ18.4%、20.0%の減益となった。自動車関連製品は好調を持続したものの、液晶・半導体製造装置向け厚板の低迷により販売数量が減少。原油価格の高騰、アルミ地金相場の急騰によるコストアップで減益を余儀なくされた。
 今期は、現在足元で回復を見せている液晶・半導体製造装置向け厚板需要の増加に加え、生産効率化など原価低減を推進、営業利益で23.6%増、経常利益で28.9%増を計画している。
 なお、06年3月期末配当を3円30銭と今年2月予想に比べ1円増配する。中間配当金と合わせた年間配当金は10円71銭となる。


昭電、Alパウダー子会社株式
伊藤忠グループに85.1%譲渡
 昭和電工(高橋恭平社長)は4月27日、同社100%子会社である昭和アルミパウダー(奈良県御所市、徳田精徳社長、資本金2億円)の株式を伊藤忠商事と伊藤忠ケミカルフロンティア(CF)に譲渡すると発表した。伊藤忠商事は51.06%、伊藤忠CFは43.04%の株式を取得、昭和電工は引き続き14.9%出資する。
 昭和アルミパウダーは66年設立。プラスチック塗料用のアルミペーストでは国内トップシェアを持ち、携帯電話やデジタル家電などのメタリックシルバー色の顔料として幅広く使われている。一方、伊藤忠CFはコア事業である塗料関連ビジネスの中で、特に塗料原料分野を成長戦略と位置付け、競争力のある商品の取扱いに注力し北米、アジアを中心にビジネスを拡大中。昭和アルミパウダーと既存事業とのシナジーにより、一層のビジネス強化を図る。昭和電工は伊藤忠グループの出資により、アルミペースト事業のより強固なマーケットポジションの構築が可能と判断した。
 伊藤忠商事と伊藤忠CFは、昭和アルミパウダーの社名、経営陣、従業員、工場、製品ブランドを継承、今後も携帯電話やデジタル家電を中心としたプラスチック塗料マーケットの大きな成長が期待される中国・アジア地区をメインターゲットとして、両社のネットワークとマーケティングノウハウを生かし、拡販を強化する。


YKK APシンガポール社
外壁改装工法で優秀工法賞
 YKK AP(吉田忠裕社長)は1日、現地法人のYKK APシンガポール(鹿野裕市社長)が外壁改装工法の実績でシンガポール建設省より「優秀工法賞(Best Pratice Award)」を受賞したと発表した。
 受賞した外壁改装工法は「トップダウン工法」というYKK AP独自のもので、既存のコンクリート解体とカーテンウォール施工を上階から下階に向かって進めていく工法。通常ビルの改装は下階から行なわれるため、上階で行なわれるコンクリート解体時の落下物の危険や雨水の浸入などの問題があった。
 YKK APの工法はそれらの問題点を解消、工事期間の短縮化、テナントの継続使用が可能など、工事業者、オーナー、テナントの三者にメリットがある点が評価された。


アルミニウム鍛造賞、技術賞に
コマツ産機とヤマナカゴーキン
 アルミニウム鍛造技術会(安藤弘行会長=コマツ産機)はこのほど、第15回アルミニウム鍛造賞受賞者を次の通り決定した。
【技術賞】アルミニウムの新規開拓鍛造品の型設計と開発(コマツ産機・松本勇)▽鍛造の工程設計における有限要素法を活用した解析技術の実用化(ヤマナカゴーキン・山中雅仁/角南不二夫/故・キム・ヒョンキ)
【功労賞】アルミニウム鍛造品の鍛造技術向上(神戸製鋼所・宮本則男)▽アルミニウム熱間鍛造品の新分野への採用のための金型技術向上に貢献(埼玉プレス鍛造・宮澤昇二)。


山口英樹氏(やまぐち・ひでき=三菱アルミニウム元常務)1日午後7時48分、食道癌のため死去、67歳。喪主は妻の美智子さん。自宅は千葉市中央区川戸町329-53。









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