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NO.1500(2000年09月04日号)
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本誌アンケート調査
アルミ表面処理業界の動向
設備の約3割が更新・改造時期
本誌は初めての試みとして、32社を対象にした「アルミ表面処理業界の動向」調査を実施した。
本誌はこのほど初めての試みとして、アンケートによる「アルミ表面処理業界の動向調査」を実施した。対象はサッシメーカー、押出形材メーカーをはじめ、表面処理専業メーカーなどを含む32社。以下、調査結果の概要を述べる。
@サッシメーカー・形材メーカー
処理能力と生産方式では、1,500d/月以上のラインはタテ吊りでサッシメーカーが主体、500d以上はタテ吊りが84%を占め、押出形材メーカーが主流、500d以下ではアルマイト専業中心で、ヨコ吊りが主体となっている。
操業中のラインを建設時期別に見ると、1970年代が42%、80年代が34%、90年代に建設・更新したものが36%となっており、アルマイトは73〜74年、77〜82年、88〜91年にそれぞれ設置ピークがある。また、1000d以上のラインでは36%の設備で更新が行なわれおり、アルミ建材の使用が拡大した1970年以降、企業倒産・淘汰の苦しい時期を含めて、常に設備の新設・更新が行なわれていたことがうかがえる。ただ、2000d以上の新設ラインは1990年以降建設されていない。特に押出形材メーカーでは500〜1000dクラスに重点を置いている。70年代に建設され、20年以上経過した更新・改造時期を迎える表面処理設備が3割弱ある。
さらに2次電解着色を保有している設備は94%を占め、保有していないラインは2ラインのみ。塗装設備はすべて保有しており、電着塗装を採用しているラインが94%、他に静電粉体、カラー電着(ホワイト、アイボリ、ブラウン)と静電塗装のみのラインは2ラインとなっている。
封孔条件は電着塗装主体のライン構成のため、湯洗が主流(65%)であるが、ラインの中には98℃沸騰水(15%)、薬品封孔(15%)、低温封孔(5%)も含まれている。
今後の景況見通しは、建材需要の伸び悩みにより「横バイ」で、中期的にややマイナス傾向との予測が大勢となっている。このため、1995年以降、増設・更新した設備が6ラインあったが、今後の設備増設の予定については「アンケート」の回答では皆無であった。
A形材以外の表面処理専業メーカー
設備仕様では、染色を含めカラーはほとんど保有。封孔条件はNi塩薬品封孔、沸騰水封孔が主流となっている。増設計画では「硬質アルマイト、マグネシウムの陽極酸化」、「硬質アルマイト設備を検討中」との回答がそれぞれ1社あった。
景況見通しでは品種によって企業間に差異が見られ、半導体などの硬質アルマイトを行なっている企業で「やや伸びる」と見ている。「やや伸びる」とした企業では設備建設が90年代が多い。その他分野の企業は「品質・コストが厳しいとしている」が、「硬質アルマイト、化学研磨、化学梨地など高品質を維持すれば、新規需要が増え、売上増となる」とした回答もあった。
JRCMが実証試験
連続式強撹拌真空蒸留プロセス
スクラップ中亜鉛を高効率除去
(財)金属系材料研究開発センター(JRCM、藤原俊朗理事長)はこのほど、アルミニウムスクラップ中の亜鉛を低コストで効率的に除去する技術である「連続式強撹拌真空蒸留プロセス(CAVP)」の実証試験研究に着手したと発表した。高亜鉛含有のアルミスクラップは今後発生量が急増することが見込まれているが、これまでは工業的に低コストで展伸材に再利用可能な水準にまで亜鉛含有量を減らすことは困難であった。JRCMは世界に先駆けて、亜鉛除去速度の向上と連続処理を実現する低コスト高効率真空蒸留技術の実用化をめざす。
このプロジェクトは平成5〜14年度までの10年間の研究期間で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの研究委託を受けて、圧延大手7社と協力して実施しているもの。
亜鉛の混入が多いスクラップは、鉄道車両、航空機、自動車などの構造材として使われている高強度7000系合金、Zn-Al合金をハンダとして用いた自動車用エアコンやラジエータなどの熱交換器、Zn溶射やZnメッキされたアルミ合金部品などで、現在発生量は月5,000d程度だが、今後発生量の急増が見込まれている。
アルミスクラップ中の亜鉛を除去する技術としては、溶融状態における亜鉛の蒸気圧がアルミよりも大きいことを利用する「真空蒸留法」が有効とされている。しかし、通常の真空溶解炉では亜鉛除去速度が遅く、しかもバッチ式で連続作業が不可能なため、JIS規格における展伸材の不純物亜鉛の許容限である0.1%以下に低減するのはコスト面で成り立たなかった。このため、大量の純アルミで亜鉛を希釈するか、鋳物、ダイカスト用の低品位合金へのリサイクルにとどまっていた。
既にJRCMは、5s/チャージの小型バッチ式真空精製処理槽で、亜鉛を含むスクラップ溶湯を真空中で1分間撹拌することにより、亜鉛含有量を3%から0.05%程度にまで低減可能なことを確認済み。さらに古河電工日光事業所内に月間1,000d規模の生産がシミュレート可能なCAVP実験設備を設置しており、JISなどで規定されている最大8%の亜鉛含有量を0.1%以下に低コストで低減し、1基で月数千d規模の生産が可能な技術・設備の実用化を図る。
7月末の軽圧品流通市況
大阪地区は全品種が10円安
全国軽金属商協会・市場調査委員会(石橋銀蔵委員長)がまとめた7月末の軽圧品流通市況調査によると、東京地区ではアルミ大板が`当り5円高となったのを除いて他品種は前月比横ばいにとどまった。逆に大阪地区では全品種が10円安となった。中部地区は全品種が前月比横ばい。こうした跛行的な値動きについて、「景気回復期に表われがちな現象であり、各地区ごとの主要需要分野の好不況の影響を受けた結果」としている。
需要面では、夏の暑さを背景に、圧延メーカーではキャン材、エアコン用フィン材などの薄ものの板が好調に推移。流通の主体である板の厚ものも、引き続きIT関連、自動車関連を中心に引き続き荷動きが活発化している。
一方押出材は、半導体、OA機器、自動車、一般機械向けが上向いているものの、主力の建材需要は依然として低迷状態が続いている。
三協アルミがユニット門柱
小端積み調外観で植栽と調和
三協アルミニウム工業はこのほど、ユニット門柱「オルディーニ」を新発売した。エクステリア分野では、ガーデニングブームを背景に、植栽との調和を考慮した、自然素材感のある商品への需要が増えているが、高級感のある小端積み調の外観を採用、鋳物製の意匠パネルとの組合せにより、さらに多彩な意匠の演出が可能にした。
また、表面パネルにはアルミ形材を埋め込んだ石調パネルを採用、本体にはねじ止め(一部接着)による取り付けが可能な簡易施工(乾式施工)商品。湿式工法では施工しにくい、花台スペースのある中抜き意匠も設定した。
5月の圧延品稼動率、88.2%
板は99.0%、押出76.6%に
通産省統計に基づいて日本アルミニウム協会がまとめた「アルミ圧延品生産及び稼動率推移」によると、5月の板・押出合計の「生産能力」稼動率は88.2%で、前年同月に比べ4.6ポイントアップした。内訳では、板が99.0%で同3.3ポイント上昇。一方、押出は76.6%と平成11年度の79.4%、今年4月の80.3%からは低下したが、前年同月比では5.9ポイント高くなった。
「生産能力」は生産設備、生産品種、操業日数及び時間、従業員数などを勘案した実稼働能力。板では5月の生産能力は前年同月横ばいながら、缶材が前年同月比8.1%増になるなど、生産量が11万8,926d、同3.4%増となったことが稼動率アップにつながった。一方押出の稼動率上昇は、生産能力が1.4%減になるとともに、生産量も6.7%増と伸びたことによるもの。
「アルミ表面技術の通信教育」
受講生募集、軽金属製品協会
軽金属製品協会は通信教育による「アルミニウム表面技術講座」の平成12年度受講者を募集している。「陽極酸化処理コース(基礎コース)」と「硬質陽極酸化処理コース(専門コース)」の2コースあり、受講期間は基礎コースが平成12年10月1日〜13年3月31日、専門コースが平成12年10月1日〜13年2月中旬。
各コースの内容は次の通り。
[陽極酸化処理コース]単元1:基礎知識▽単元2:アルミニウム合金材料、陽極酸化の基礎▽単元3:陽極酸化処理、電解液の分析▽単元4:前処理、後処理、表面処理一般▽単元5:規格、性能試験、品質管理▽単元6:設備、安全衛生、省エネルギー▽単元7:スクーリング。各単元は1ヵ月で学習するとともに、課題レポート提出と講師による添削指導を行う。スクリーングは3月上旬に軽金属協会試験研究センター内(茨城県取手市)において、1泊2日で行なう。テキストは「アルミニウム表面処理の理論と実務」および各単元のサブテキスト。受講資格は高等学校卒業程度の学力を有するもの。
[硬質陽極酸化処理コース]単元1:総論▽単元2:処理技術▽単元3:硬質陽極酸化の実務▽単元4:規格▽単元5:スクリーング(2月中旬に1泊・2日)。テキストは担当講師によるオリジナルテキスト。受講資格は@「陽極酸化処理コース(基礎コース)」終了者A技能検定「陽極酸化処理技能士2級」以上の者B大学・高等専門学校の関連学科(電気、金属、化学など)を終了し、実務経験1年以上の者。
いずれのコースも、受講料は軽金属製品協会会員10万円、会員外15万円(テキスト代、実習費用を含むが、スクーリングのための旅費、宿泊費、食事代は含まず)、締切は9月8日、募集人員は32名。
問合せ・申込は、軽金属製品協会アルミニウム表面技術講座事務局まで(電話0297-78-2511、FAX0297-78-2278)。
「日本国際工作機械見本市」
榎本機工がMg用鍛造機出展
鍛造プレスメーカーの榎本機工(神奈川県津久井郡、榎本良夫社長)は10月28日(土)〜11月4日(土)、東京ビッグサイトで開催される「第20回日本国際工作機械見本市」に出展する(東4ホール・E402小間)。
出品予定の機械は以下の通り。
@マグネシウム熱間鍛造機「サーボモーター駆動スクリュープレス4000kN 400ZES型」:マグネシウム板材の熱間鍛造に最適。従来のフリクションスクリュープレスの上位機種となり、より精密な鍛造が可能。会場ではアルミニウムの冷間鍛造加工の実演を行なう。
Aメカ中空鍛造プレス「真鍮材、熱間中空鍛造メカプレス 2000kN200MPF型」:機械式のクランクプレスをベースに、ベッド部に4方向中空鍛造装置を搭載し、挿入・取出の自動装置を装備させた全自動プレス。黄銅製バルブボディーやジョイントなどの穴あけ鍛造がコンスタントに実施することができる。
日本アサハンアルミが事務所移転
日本アサハンアルミニウム(増田武雄社長)は8月28日付けで、事務所を移転する。新住所は〒101-0047 東京都千代田区内神田2丁目2番1号 鎌倉河岸ビル5階(電話03-5297-5151、FAX03-5297-5155)。
訂正 1498に掲載の「2000年上期のアルミ建材・生産出荷速報」の表中で、1999年上期のアルミ建材計は「生産254,102d、出荷258,055d、出荷金額444,885百万円、在庫37,229d」の誤りでした。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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