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NO.1532(2001年04月23日号)
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アルミ冷間鍛造の三協製作所
生産ラインの再構築に着手
コスト削減へ懸命の合理化
三協製作所は相次ぎ鍛造プレスの増設を進めている。生産品目ごとに専用機化することで多品種少量生産の効率アップ・合理化を図り、厳しいコストダウン要求に対応する。
アルミ冷間鍛造の三協製作所(東京都江戸川区西一之江4-6-16、増田喜義社長)はユーザーからの厳しいコストダウン要請に対応して、生産拠点である山形第一工場(山形県長井市今泉)の設備再構築に乗り出した。工場建屋を増築、5月稼動予定で630d・400d各2台の鍛造プレスを増設する。併せて、設備レイアウトも変更、より生産効率の高いラインを構築する。
同社は多品種少量生産を特徴としているが、生産品目別に各鍛造プレスを専用機化することによる段取り時間の短縮や、“モノの流れ”を効率的にすることで生産コストを抑える。これらの合理化努力により、単価引き下げによる収益悪化に歯止めをかける考え。
山形第一工場には現在、1,000d2台を含む400〜1,000d18台、100〜250d62台の鍛造プレスを保有している。月産能力は380d。同社はアルミ冷間鍛造の専業大手。カーエアコン関連部品、HDD部品、OA機器関連部品が大きな柱になっているものの、一つの業種・製品に大きく偏らず、多岐にわたっている。それが功を奏して、景気の好不況にかかわらず好収益を維持してきた。半面、多品種少量生産故の生産効率の低下や、相次ぐ値下げ要求への対応が大きな経営課題となっている。
そのため、95年以降、毎年2〜3億円の設備投資をコンスタントに実施、生産品目毎に専用設備を振り分ける狙いから鍛造プレスを相次いで増設している。96年当時の400〜1,000d13台、100〜250d25台から設置プレス台数が大きく増えている。品質管理体制の構築にも力を入れ、3月にはISO9002の認証を取得した。
今回の設備増強は、現在約2,200坪の工場建屋を200坪弱増築して、プレス4台(アイダエンジニアリング製)を設置するもの。同時に、潤滑処理装置や公害処理装置などの大型化投資や、生産ラインの変更による生産効率アップも図る。一連の工事は夏頃までに完了する。
630d鍛造プレス2台の増設は97年以来の久々の大型投資。「将来の需要拡大に備える狙いもあるが、景気が悪い時ほど、より有利な条件で設備の導入が行える」(増田社長)。今回の増設で「400dクラス以上のプレスの増設は一段落」、「引き続き周辺装置の改造・増強を行なう」。
同社の2001年2月期決算は売上高39億円、経常利益2億2,000万〜3,000万円程度となった。前年度実績の41億円、経常利益2億5,000万円強からは減収・減益を余儀なくされた。
今期は売上高41億円、経常利益2億5,000万円を計画している。増田社長は「達成は難しいかもしれない。ショット数など仕事量は増えているが、懸命に合理化・コストダウンを実施しても値下げ要求分を吸収しきれない」「合理化といっても人などには手を付けず、むしろ優秀な技術者の中途採用を積極的に進めている。償却負担覚悟で、少しでもコストを抑制、生き残りを掛けて鍛造プレスの増強を行なう。なんとかして売上高経常利益率で7〜8%の収益を確保したい」という。
新生「昭和リンク」が発足
社員持株会40%出資、筆頭株主
「全員参加」旗印に年100億円
役員・社員持株会が筆頭株主となったユニークな会社・新生「昭和リンク」が4月3日付けで再スタートを切った。野上十猪社長は「全員参加の経営を推進し、2年後に年商100億円、配当体制を目指す」という。
同社はアルミサイディング、アルミルーフ、シャッター用アルミスラット、複層ガラス用アルミスペーサー、アルミロールフォーミング加工品などを主力製品とするアルミ住宅資材総合メーカー。これまで昭和アルミニウムが50%の大株主だったが、昭和電工との合併によって同社及び昭光通商が資本撤退したため、その後の新体制への移行を検討していた。
新生「昭和リンク」は資本金2億円。株主は同社役員・社員が持株会の形で40%を出資、筆頭株主となった。残りの60%は取引先など関係企業が出資した。従って、同社はアルミ関連業界では初めての役員・社員をオーナーとする「資本・経営」一体の企業になった。残り60%は丸紅メタル(商社)、岡谷鋼機(同)、マスオカ(金型・アルミ加工)、信星産業(協力工場)、アキレス(アルミサイディングOEM委託先)、東邦シートフレーム(同)の6社が各10%を出資。
社員数は生産開発本部(静岡工場を含む)、営業本部、管理本部の3本部合わせて総勢85名。これまで昭和アルミからの出向者が18名いたが、これらはほぼ全員が「昭和リンク」に転籍した。また、役員体制は執行役員制を導入し、ボードメンバーの取締役に野上社長以下6名、執行役員に7名が就任した。
野上社長は新体制の発足について「売上高は2001年度80億円、2002年度100億円を目指す。初年度から収支が均衡し、2002年度には配当を予定している。既存事業のほか、新事業のインターネット上で住宅リフォームの受発注、収支管理のできる『出前大工』を早期に軌道に乗せ、柱の1本にしたい。当社は役員・社員が筆頭株主なので、会社経営は『全員参加の公平で開かれた会社』を目指す」と抱負を述べた。
【昭和リンクの役員人事】(4月3日付け)▽社長、野上十猪▽専務生産開発本部長、上遠野勝美▽同営業推進本部長、岡本武▽常務管理本部長、西川圭治▽取締役営業推進本部副本部長兼レジェンダリーホーム営業部兼昭住エンジニアリング社長、永野泰司▽同生産開発本部技術開発部長、植田健司▽執行役員生産開発本部生産管理部長、大森靖紀▽同管理本部部長、大迫拓生▽同営業推進本部東京支社長兼札幌営業所管掌、大橋育雄▽同名古屋支社長、小野内勝城▽同大阪支社長、前川三郎▽同福岡支社長、小林裕直▽同生産開発本部製造部長、杉本道夫
大橋光夫昭電社長が決意表明
「高い評価には合併の実効で」
3月30日付で合併した昭和電工と昭和アルミニウムは4月2日、経団連会館において記者懇談会を開催した。冒頭、大橋光夫社長(=写真)があいさつに立ち、次のように述べた。
「昨年10月に両社の合併を発表した時には『合併の効果があるのか、趣旨が解らない』とされ、株価も140〜150円で低迷していた。その時に比べると、『新昭和電工』に対する証券市場の評価は大変上がっており、日経平均が1万5,000円から1万3,000円割れへ下落する中で当社の株価は100円〜110円上がった」
「合併という我々の判断が間違っていないということを証券市場が評価してくれたものと思っている。こうした評価が正しいかどうかは、合併の効果が出るかどうかにかかっている」
「合併による合理化効果だけでなく、昭和アルミのアルミ加工技術と昭和電工の有機・無機技術の融合で新しい事業・製品を生み出すことが必要。厳しいことだが、会社は『戦いの場』『格闘技の場』であり、憩いは家庭に求めてほしい」
サッシ協理事長に吉田忠裕氏
建材大手5社の輪番制を踏襲
日本サッシ協会はこのほど2001〜2002年度の理事長に吉田忠裕副理事長(YKKAP社長)の就任を内定した。5月末の定時総会で正式決定する。同協会の理事長は新日軽、三協アルミニウム工業、YKKAP、不二サッシ、トステムのアルミ建材大手5社の社長の輪番制による就任が原則。次期理事長もこの原則を踏襲した。この輪番制には立山アルミニウム工業が除外されているが、これは同社が固辞しているため。同社が加わるかどうかは次に持ち越された。
なお、吉田氏はカーテンウォール・防火開口部協会の会長にも就任する。
トステム・INAX
10月に共同持株会社・経営統合
勝ち組同士で業界再編リード
トステムとINAXは3日、今年10月に共同で持株会社を設立し、経営を統合することで合意したと発表した。両社は事業の重複が少なく、統合によって事業領域の大幅な拡大が図られる。建材業界において大型の異業種提携は初めて。
トステムは住宅サッシ、ビルサッシ、住設機器、住宅構造材の4本柱を経営基盤とする企業で、
連結売上高は6,600億円、単体経常利益200億円、配当は年28%(2000年3月期)の優良企業。一方、INAXは衛生陶器・タイルをメイン事業とし、グループ年商規模2,570億円、単体経常利益114億円、配当は年18%(同)のこれまた優良企業。厳しい経営環境下にある建材業界にあって、この両社はそれぞれの業界で高い利益率を誇る「勝ち組」企業という定評があった。
この2社が建材業界では異例の異業種間提携の形で、経営統合に踏み切るのは次のような理由から。即ち、住宅新築着工の先細りが懸念される中、高収益で幅広い商品群を持つグループ年商規模1兆円の巨大企業を形成することにより、建
材市場の支配と売上増が期待できること。つまり、銀行では東京三菱銀行、ゼネコンでは鹿島建設、自動車ではトヨタ自動車、ビールではアサヒビールなどその業界の「勝ち組」の優位性が一段と高まっているが、建材業界でも「勝ち組」の両社が共同で圧倒的な巨大企業を形成、さらに優位に立つことが狙い。両社は同じ建材業界でも金属系と窯業系に分かれており、重複がなく相互補完できる点も提携のメリットという。
去る2月中旬に「建材市場の先行きは楽観できない。体力のあるうちに将来への道筋を付けたい」とする伊奈輝三INAX会長が、共同持株会社構想を潮田健次郎トステム会長に打診、潮田会長が即決で了承したといわれる。両会長は日本建材産業協会の主要役員で、同協会活動の一環として建材業界の将来ビジョンを語り合うなど、肝胆相照らす仲だったといわれる。
両社の経営統合は以下の手順で行われる。
@トステムは会社分割法の適用により、10月1日付けで純粋持株会社「トステム」と、事業会社の「新トステム」に分割。純粋持株会社は「新トステム」など現トステムグループ企業を傘下に置く
A純粋持株会社「トステム」は10月21日付けでINAXと株式交換を実施して共同持株会社となり、その傘下に事業会社のトステムグループ企業、及びINAXを置く(図参照)。株式交換比率はINAX株式1株に対し、トステム株0.424株を割り当てる
B純粋持株会社及び共同持株会社は10月時点で商号を新しくする
共同持株会社は本店をトステムと同じ東京都江東区大島2-1-1に置く。代表権のある首脳人事
は会長に潮田健次郎トステム会長、副会長に伊奈輝三INAX会長と飛田英一トステム社長、社長に水谷千加古INAX社長がそれぞれ就任する。また、トステムの現事業を継承する「新トステム」の社長には菊池光男トステム代表副社長が就任する。その他の詳細はこれから両社で詰める。
経済産業省がコメント
競争力強化は大歓迎
トステムとINAXの提携合意に関して、経済産業省製造局住宅産業窯業建材課の野口泰彦課長は次のような歓迎コメントを明らかにした。
「建材関連企業が各業界の小さい枠にとらわれずに提携することは、内外の競争力を高める観点から大歓迎である。今回の提携は、サッシ大手と衛生陶器大手のいわば業種を超えた横の結び付きであり、業種に拘らずに互いのメリットを共同で引き出そうとする点は高く評価できる」
「コスモ近畿」が新発足
潮田トステム会長が祝辞
コスモ工業と近畿車輛のスチールドアの販売合弁会社「コスモ近畿」は4月2日、東京・白金台の都ホテル東京に株主や得意先など関係者120名を招き、新発足記念パーティを開催した。席上、同社設立のリード役を果たしたトステムの潮田健次郎会長は次のように祝辞を述べた。
「サッシ大手5社の合弁会社コスモ工業が発足して15年を経る。当時、旧三井軽金属加工の横浜工場でスチールドアを生産していたが、販売量がまとまらず、赤字続きだった。そこでサッシ大手各社に共同でやろう提案したところ、皆さんの協力が得られた。これでサッシ業界はスチールドアを手放さずに済み、結果として業界のお役に立てたことは誠に喜ばしい」
「今回、高い技術力を持つ近畿車輛と販売会社を設立したが、これで『コスモ近畿』は東西に生産拠点を持ち、しかも普及品から中級品、高級品までフルライン品揃えができた。また、年商も150億円とスチールドア業界のトップクラスの会社になる。新会社は色々やることが多い。社員の方々には『住宅投資はGNPの4%市場、建築市場全体でみると100兆円を超える。その中で建築不況だからといってスチールドアが売れないのはおかしいのではないか』と申し上げた」
トステムの潮田会長が公式の席に姿を見せるのは久しぶりのこと。今年6月、満75才になるが
、かくしゃくたる話し振りに老いは全く感じられない。「これからの住宅産業はハードだけでも駄目、ソフトやサービスだけでも売れない。この3者が一体となったシステムが大事だ」と仕事への意欲はますます盛んだ。
高級クラスの鋳物門扉・フェンス
新日軽は高級クラスの鋳物門扉・フェンスとして「プレサージュ」を新発売した。門扉は扉厚がボリューム感のある30o。彫りが深く細部にまで繊細なデザインレリーフを施し、優美な高級感を醸し出した。5デザイン、2サイズ(幅800o×高さ1400o、幅900o×高さ1600o)の展開。価格は高級クラスながら、門柱式両開きタイプが27万円からとリーズナブルな設定。写真のセット価格で33万1,000円。
高級鋳物門扉・フェンス
「プレサージュ」、新日軽一方、フェンスは高級感のある剣先デザインの飾り間柱納まりのため、鋳物の豪華さを十分に生かした外溝プランを作ることが出きる。各種の機能ポールと組み合わせることで、おしゃれなセミオープン外溝の演出も可能。
初年度販売目標は門扉1,000セット、フェンス2,000枚。
バルコニー「アクトステージ」
床下の雨垂れ防止、トステム
トステムはこのほど、豊富なパネルバリエーションと設置下部の有効活用が図れるユニット式バルコニー「アクトステージ」を開発、発売した。従来シリーズに比べて、雨水処理や床強度などの基本性能をより一層向上させるとともに、面材(7種類)や床材のバリエーションを増やしてデザイン面での充実も図った。
雨水処理については、独自構造の排水処理方法「WICS(雨水集中処理)システム」により全ての雨水を集水器に排水することでバルコニー床下からの雨垂れを防止。これにより柱建て式バルコニーの下部スペースが今まで以上に有効に利用することができるようにした。さらに、下部スペースが大きくとれるように外側に持ち出す柱(馬梁用柱)も用意。
(社)CW・防火開口部協会
専務に国土交通省OBの矢入氏
社団法人カーテンウォール・防火開口部協会は4月1日付けで、専務理事に国土交通省出身の矢入裕久氏の就任を発令した。武田和彦前専務理事は社団法人・プレハブ建築協会理事事務局長に専任する。
矢入氏は昭和38年3月、北海道大学工学部建築工学科を卒業、旧建設省に入省。住宅指導課が振り出しで、特に防火構造・防火設備関連の規定の策定や建築基準法の改正・整備などに通じたベテラン。昭和61年に退官し、地域振興整備公団に転出。今回、財団法人・住宅保証機構専務理事、社団法人・リビングアメニティ協会専務理事からCW・防火開口部協会に転じた。昭和16年1月1日生まれ、札幌市出身。
トステム建材産業振興財団
2001年度3,500万円を助成
財団法人・トステム建材産業振興財団(潮田健次郎理事長)は4月から2001年度における助成募集の受け付けを開始した。対象は住宅・建材産業に係わりのある学会、協会、大学などの研究機関あるいは個人。締切は6月25日。選考委員会(委員長・宮田紀元千葉大学教授)で12月までに決定する。助成対象の内訳は次の通り。
@高耐久型・環境保全対応型・快適住環境型・高齢化対応型・高機能型・資源循環型等の各種住宅に関する調査および研究に対する助成=助成件数25件以内、1件当り50〜200万円
A住宅・建材産業関連の大学、大学院およびこれに準ずる機関で調査研究開発を行っている個人または団体に対する人材育成に対する助成=個人4件以内・1件当り10〜30万円、団体3件以内・1件当り30〜100万円
B国際会議、国際学会、共同研究のための会議など内外関係機関との交流及び協力に対する助成=助成件数3件以内、1件当り30〜70万円
C研究発表会・シンポジウム・委員会などの開催に対する助成=助成件数3以内、1当り30〜70万円
同財団は設立以来2000年度までの過去9年間に住宅・建材産業を対象に、件数は延べ221件、助成総額は総額2億5,308万円に達している。
三協アルミ、子会社を再編
三協アルミニウム工業は事業再編の一環として、4月1日付で子会社のショートク(高岡市佐加野、資本金2億円、スチール建材の組立て・加工)を「ショートクテクノ」として再スタートさせた。新会社は資本金1億円(三協アルミ100%、中崎利一社長)。事業内容は、@スチール建材の加工・組立てA三協アルミ・佐加野工場の構内外注としてアルミ加工・組立てなどを行なう。従業員は130名。
三協アルミは今期から抜本的な会社再建策を実施しているが、今回、子会社の整理・統合、運営効率化の一環として「ショートク」の経営体制を一新した。
三和シヤッターの人事異動
(4月1日付)東日本カンパニーマーケティング部門ゼネラルマネジャー、専務取締役東日本カンパニープレジデント高山浩司▽経営管理部長兼総務部長、取締役中屋俊明▽営業企画部長、常務執行役員冨田博司▽経理部長、常務執行役員南本保▽購買部長、執行役員石原利朗▽ビル建材カンパニードア部門ゼネラルマネジャー兼ドア部門マーケティンググループグループリーダー、執行役員佐藤学。
立山アルミの人事異動
(4月1日付)支店統轄副本部長兼立山アルミ外装出向(仙台支店長)取締役林巌。
住軽金の人事異動
(4月1日付)メモリーディスク事業部長解嘱、常務取締役桝田和彦▽兼設備部長、取締役伸銅事業部副事業部長・伸銅所長・生産管理部長水野稔。
文化シヤッターの人事異動
(4月1日付)取締役顧問(取締役関西支社長)松本義明▽文化シヤッターサービス顧問(取締役新事業開発部長)取締役市川隆、同社株主総会後代表取締役社長就任予定。
新日軽の人事異動
(4月1日付)取締役執行役員生産物流本部長兼技術・開発部管掌、舘修▽執行役員住宅建材事業本部特需営業統括部長兼同事業本部市場開発部長、大平和民▽執行役員大阪住宅建材支店長、福井勝也。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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