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NO.1540(2001年06月25日号)


イズミ工業
国内生産集約で好収益構造に
独マーレと連携で海外拠点構築


 エンジン用ピストンの大手、イズミ工業は「収益構造改革」の一環として国内生産体制の再編を完了したのに続き、資本提携先の独マーレ社と製造・販売面での世界的な相互補完体制の構築に着手する。

 エンジン用ピストンの大手、イズミ工業は昨年度来進めてきた国内生産体制の再構築を軸とした「収益構造改革」の完了にメドが付いたのを受け、資本提携先の独マーレ社との製造・販売面での相互補完関係の強化に乗り出す。筆頭株主であるマーレ社は6月28日付就任予定で社長を派遣、経営の主導権を握ることになる。マーレ社はアジアを中心に展開しているイズミ工業の海外生産拠点を含め、欧州、米国、インドなどグローバルな規模で最適供給体制を構築する。
 同社はトラック販売の低迷で主力のディーゼルエンジン用ピストンの需要が伸び悩む中で、昨年9月から埼玉・桶川工場の生産を山形・鶴岡工場へ集約する工場再編に着手。鋳造部門、事務・間接部門に続き、今年9月までに機械加工・工場技術部門の移設も完了する予定。
 生産集約化により、月産量は従来の2工場合わせた100万個から60万個程度に縮小。総人員は約1,400名から1,300名に削減された。今回の工場再編は「受注に見合った生産体制の構築と1週間7日/1日24時間の連続操業によるコスト競争力の強化」が狙い。さらに、今年9月をメドに、小ロット製品で採算も悪い船舶用や発電機用大型ピストン分野から撤退、協力企業に生産技術とともに移管することも検討している。
 また、93年に鶴岡工場内に設置した高圧鋳造専門のハイキャストイズミは、99年9月末で解散した住軽テクノス・酒田工場からスクイズキャストマシン800d2台と商権を譲り受け、マシンを330d2台、350d3台、630d1台、800d2台の計8台の陣容とした。サスペンション部品など業容拡大と取引先拡大が狙い。
 工場再編に伴う費用32億円強を特損に計上するなど“負の遺産”処理で2001年3月期は引き続き赤字計上となったが、収益構造改革の完了により2002年3月期は営業・経常損益段階での黒字転換と収益の大幅な改善を見込む。
 一方、イズミ工業はこれまで、タイ、インドネシア、米国、中国に相次いで海外生産拠点を設けてきた。インドネシアの生産拠点は250万個の年産能力に対し、稼働率6〜7割と回復が遅れているものの、タイ泉ピストン製造は年産能力300万個に対し生産ほぼピーク時の250万個に復帰。重慶長江イズミピストンや、マーレ社などと99年1月に合弁で設立したマーレイズミ遼寧ピストンも7つある製造ラインで年150万個をフル生産するなど、いずれも事業が好調。
 同社は98年以来、マーレ社との資本関係を強化、現在マーレ社の出資比率は34%と筆頭株主になっている。この6月28日には現・財務最高責任者のアイヴァン・A.レネハン氏が社長に就任する予定。マーレ・グループは欧州、インド、米国、南米などに生産拠点を持っている。イズミ工業はこれまでアジアを中心としたグローバル経営を積極的に展開してきたが、今後はマーレ社と相互補完関係を強化する中で、世界的な最適生産・供給体制の構築を目指すことになる。

盛大に50周年記念祝典開催
新会長に堀中氏、東京軽商会

 東京軽金属商協会は8日、東京・品川の新高輪プリンスホテルで「創立50周年記念祝典」を開催、会員流通会社、メーカー、関係者など約180人が出席した。式典に先立って開催された定時総会で、新会長に堀中成憲筒中金属産業社長(=写真)が選任された。
 記念式典の冒頭、唐木輝昭前会長が挨拶に立ち、「当協会は昭和26年10月、軽金属懇話会として設立され、平成8年5月に東京軽金属商協会に改称された。アルミの家庭用器物が初めて生産されたのが100年前の明治34年。当協会はアルミ圧延品100年の歴史のうち半世紀をになってきたわけで、感慨深いものがある。21世紀はIT革命、流通再編など存立基盤を揺るがしかねない課題が山積しており、50周年を一つの節目として新たな飛躍を図っていきたい」と述べた。
 引続き石原慎太郎東京都知事から同協会への表彰状授与、協会功労者33名への感謝状・記念品の贈呈が行われた。その後、川淵三郎Jリーグ・チェアマンによる記念講演を経て、岡本巌経済産業省製造産業局長、平田英之日本アルミニウム協会会長ら、多数の来賓を招いた記念祝宴に移り、堀中新会長が「唐木前会長より7歳も若い(笑い)“若輩者”だが、Jリーグの『100年構想』に倣っていうと、今日は50周年という折り返し点にあり、アルミ業界・軽商会発展のために尽力する覚悟」との決意を明らかにした。

ユニファスアルミニウム
社長に古河電工の加藤専務

 古河電工とスカイアルミニウムのアルミ製品の販売合弁会社ユニファスアルミニウムは、6月29日開催予定の株主総会とその後の取締役会で社長に古河電工の加藤仁専務取締役(=写真)の就任を決める。野口昌吾社長(古河電工専務取締役軽金属カンパニー長)は6月28日付けで古河電工顧問に退く。             このトップ人事はユニファスアルミの66%株主で社長の人事権をもつ古河電工の役員人事に従ったもの。古河電工は6月28日付け役員人事の一環として、加藤仁専務取締役営業本部長が軽金属カンパニー長兼輸出管理部長に就任する異動を行なうが、同時に加藤氏は子会社のユニファスアルミの社長にも就くもの。
 加藤氏は昭和15年12月16日生まれ、60歳。愛知県出身。昭和38年、慶応大学法学部を卒業、古河電工入社。同61年営業本部営業推進部長、平成5年取締役名古屋支店長、同9年取締役中部支社長、同9年6月常務営業本部長、同11年専務営業本部長を歴任。電線関連の営業畑出身だが、軽金属関連は今回が初めて。

00年度のアルミホイール生産
9%減、7年ぶりマイナスに

 日本アルミニウム協会がまとめた2000年度のアルミホイール統計によると、生産は1,492万8,387個、前年度比9.0%減となった。マイナスは7年ぶりのこと。99年度の1,640.4万個、98年度の1,497.4万個に次ぐ史上第3位の水準。99年度までは3年連続で過去最高を更新したが、月次ベースでは昨年9月以降、一貫してマイナス基調にあり、今年3月は前年同月比26.8%減。
 車種別では乗用車用が1,378万7,527個、同10.1%減と7年ぶりのマイナスに。99年度までの3年連続での記録更新にストップが掛かった。
 一方、トラック・バス用は6万1,987個、同39.1%増と4年ぶりのプラスに転じた。ただ、過去最高となった96年度の8万2,817個からは25.2%減の水準。製法別では一体鍛造式が4万5,382個、同48.5%増で、過去最高となった97年度の4万9,748個、94年度の4万8,140個に次ぐ水準。また、一体鋳造式は1万5,830個、同14.1%増。96年度の2万5,300個をピークにした3年連続での大幅落ち込みにブレーキが掛かった。

東罐の前3月期飲料容器売上高
アルミ缶3%減、鉄缶11%減

 東洋製罐の2001年3月期における飲料容器売上高は、PET容器が988億円、前期比12%増となったのに対し、金属容器は同8.7%減の1,928億円と2,000億円台を割り込み、明暗を分けた。2001年度も、PET容器が1,100億円、11.3%増と初めて1,000億円台に乗る反面、金属容器は1,800億円、6.6%減と低落傾向に歯止めがかからない見通し。
 金属容器の内訳は公表しないが、およそスチール缶70%、アルミ缶30%の割合。2001年3月期売上高はスチール缶が前期比11%減、アルミ缶が同2.6%減だったという。スチール缶はPET容器への移行の影響を色濃く受けたものの、アルミ缶はビール容器・発泡酒容器が比較的堅調で、清涼飲料におけるPET容器化の影響は軽微だったとしている。この傾向は2001年度も続く。

昨年度カラーアルミ13%増
非建設18%増で需要けん引

 日本アルミニウム協会のまとめによると、2000年度のカラーアルミ出荷量は2万8,578d、前年度比12.5%増と2年連続のプラスを記録、過去最高である96年度の2万8,891dに後一歩の水準となった。
 需要部門別では、建設向けが1万785d、同4.8%増で2年連続のプラスながら、ピークである90年度の1万2,900dからは16.4%減の落ち込み。主力の壁向けが2年連続のプラスとなり(過去最高は90年の6,772d)、ドア向けも1.6%増と伸びた。ただ、屋根向けは8.1%減と5年連続のマイナスに。
 一方、非建設は1万7,793d、前年度比17.8%増と2年連続のプラスになり、96年の過去最高1万7,092dを4年ぶりに更新した。主力の輸送機器向けが9,644d、同12.9%増と2年連続のプラスになり、3年ぶりに9,000d台を回復(過去最高は96年度の1万847d)。電気・機械機器向けも5,379d、同27.2%増と2年連続での過去最高更新となった。一方、住宅設備機器向けは337d、同54.0%減と3年ぶりのマイナスに転じ、80年度当時は2,324dあった需要の縮小傾向が続いている。

三菱アルミ子会社アルテクノ
増減資で“MD撤退損”を一掃

 三菱アルミニウムの100%子会社のアルテクノ(東京都港区芝、金沢孝雄社長)はこのほど、大幅な増減資を実施し、累損を一掃、健全な財務体質に戻した。親会社の三菱アルミのコンピュータ用磁気ディスク事業からの撤退に伴い、同社もディスク事業の一部ブランク打ち抜き・グラインドから撤退、それによって生じた累損を増減資でカバーしたもの。増減資はすべて三菱アルミが負担、2001年3月期決算で特別損失として処理 した。
 増減資は去る2月の払込みでそれまでの資本金9,000万円から12億円増資し、一時的に新資本金を12億9,000万円とした。同時に10億円を減資し、新資本金を現在の2億9,000万円とした。減資分はすべて累損の解消に充当した。三菱アルミの100%子会社に変わりはない。
 アルテクノは長野県安曇町に生産拠点をもつアルミ板精密加工会社。情報通信分野のオーディオ製品、カメラ、携帯電話、その他情報端末機器のアルミ外装品に強く、ソニーや松下電器産業、キヤノンなどの大手を顧客に持つ。アルミ外装品の金型設計・制作からプレス加工、アルマイト加工、各種塗装、印刷、組み立てまで自社一貫生産体制による高品質製品が特徴。

九州三井ア新社長に川井専務
江野社長は会長、若返り人事

 九州三井アルミニウム工業は6月末の株主総会とその後の取締役会で、川井洋一専務取締役が社長に昇格するトップ人事を決める。江野靖夫社長は会長に就任する。
 電解箔用アルミ高純度地金事業やビレット・スラブ鋳造事業、二次合金・アルミ加工品事業などが軌道に乗り、ほぼ黒字体質を確立したことから、21世紀を迎えたこともあって江野社長は後進にバトンタッチし、経営陣の若返りを図る。

立花金属の3月期決算
7%増収・10%経常減益

 立花金属工業の平成13年3月期決算は売上高が90億2,300万円(前期比6.7%増)、営業利益1億7,700万円(同4.8%減)、経常利益1億5,200万円(同10.1%減)、当期利益2,800万円(同62.2%減)の増収減益決算となった。配当は2円減配の3円を予定。
 販売数量が2万931d、前年度比8.7%増となったものの、製品価格低下に加え、新会計基準への対応や退職給付債務償却で減益を余儀なくされた。製品別売上高は押出材70億2,200万円(前期比11.4%増)、引抜材18億5,100万円(同3.9%増)、購入品1億4,900万円(同36.9%減)。
 今期予想は売上高90億円(前期比0.3%減)、 経常利益1億4,000万円(同7.9%減)、当期利益4,000万円(同42.9%増)。

昭和アルミ缶新社長に
大西健介常務が昇格

 昭和アルミニウム缶は次期社長に大西健介常務取締役を昇格させるトップ人事を内定した。6月26日開催予定の株主総会終了後の取締役会において正式決定する。河野毅社長は取締役相談役に就任する。
 大西健介氏の略歴:昭和18年8月1日生まれ(57歳)▽44年3月京都大学大学院金属加工学修士過程修了、4月昭和電工入社▽63年5月昭和アルミニウム缶生産技術部次長▽平成5年6月同取締役技術本部長▽11年6月同常務取締役技術開発センター長▽12年6月同生産技術センター長兼務。

三協ア・福野が環境ISOを取得
EX専用工場では業界で初めて

 三協アルミニウム工業のエクステリア製品生産工場である福野工場(富山県東礪波郡、正橋幸夫工場長)は6月1日付で環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001の認証を取得した。審査登録機関は財団法人建材試験センターISO審査本部 環境マネジメントシステム審査部。
 三協アルミにおける同認証の取得は昨年8月の新湊工場、11月の氷見工場に続き3番目だが、エクステリア専用工場での取得は業界で初めて。

アル建築構造協議会中山会長
建基法告示で需要開発に弾み

 アルミニウム建築構造協議会は7日、都内で定時総会を開催、2001年度の事業計画を承認した。総会後、中山裕之会長(神戸製鋼所執行役員=写真)が記者会見し、「今年夏頃には改正建築基準法によりアルミ合金材料が建築構造材として告示認可を受ける見通しで、当協議会の大きな事業目的であるアルミ建築構造材の一般化・普及促進が大きく前進する。これに対応し、設計基準のさらなる整備と告示との整合性を図る」との方針を明らかにした。
 さらに、「自主資格制度の『アルミニウム建築構造物制作・管理技術者』認定制度を発足させ、建築設計及びゼネコンなどに安心してアルミを使っていただける体制を整える」と述べた。
 なお、2001年3月末における同協議会の会員数は36社・2団体と昨年3月末の30社・2団体から増加した。今後、第一種法人会員20社(2001年3月末16社)、第二種法人会員30社(同17社)、賛助会員20社(同3社2団体)を目標に会員増強を図る。

建産協瀬谷会長が総会で方針
生活空間提案型産業を目指す

 日本建材産業協会、景観材料推進協議会は7日、東京・神宮の明治記念館で定時総会をそれぞれ開催し、2001年度の事業計画を承認した。
 総会後の懇親会で瀬谷博道会長(旭硝子会長=写真)が挨拶に立ち、「当業界は昨年、『建材産業ビジョン2010』を策定した。2001年度はこれをベースに事業の選択と集中を図り、特に情報化・環境共生・標準化・リフォーム推進・省エネルギー対策・商流物流合理化など今日的重要課題に積極的に取り組んでいく」との抱負を明らかにした。
 さらに、「建材情報インターネットシステム『KISS』が着実に機能するよう充実させるともに、会員各社の同システムへの支援をお願いしたい。建材ビジョンのメインテーマである生活空間提案産業を目指し、業界団体として積極的に自己変革を図りたい」と述べた。

昭和フロントのSFコンクール
 昭和フロントは7日、東京・水道橋の東京ドームホテルにおいて第32回ストアフロントコンクール受賞作品発表会を開催、1,020点の応募作品の中から15作品が受賞した。
 最優秀のグランプリには「セキヤヒルズみゆきのゆ」が選ばれた。設計事務所:プロボーク建築研究所、建設会社:日本舗道、加工店:新和サッシ。この他、第一部門から第四部門まで金銀銅賞各1点、特別賞2点の、計15点が受賞した。

アルミ関連企業の3月期決算
時価会計・負の遺産処理反映
建材関連はビル不振で苦戦

 平成13年3月期のアルミ関連企業の決算が出揃った。時価会計導入や“負の遺産”処理で大幅減益や赤字計上を余儀なくされた企業がある一方、自動車やIT関連の売上増や予想を上回るリストラ効果で好決算を発表したところもある。建材関連では一部黒字転換を果たしたところがあるものの、おおむねビル建材の不振で大幅減益ないしは欠損計上となっており、一段の収益改善計画で今期以降の回復を狙う。ただ、調整局面に入っているIT関連需要の動向如何が今期収益を左右する大きな要因となりそうだ。
 圧延メーカーのうち、日軽金の連結営業利益は前期比5.7倍の122億円強に大幅改善。経常損益も前の期の95億円弱の赤字から29億円強の黒字に転換。メモリーディスク事業からの撤退で約56億円の増益効果が出たほか、東洋アルミが経常段階で約40億円と順調、日本フルハーフも11億円の赤字から9億円の黒字に改善したことが寄与した。建材部門の営業損益は約53億円の赤字でほとんどが新日軽(営業損失56億円)。
 一方、住友軽金属も連結ベースで大幅営業・経常増益となった。単独営業利益は約16億円の改善だが、決算処理の変更を考慮すると実質32億円の増加。リストラ効果で約25億円増えたほか、販売数量増によるもの。ただ、最終損益はマレーシアにおけるメモリーディスク事業撤退に伴う撤退損などを計上したことで赤字に。連結では日本トレックスの収益が大幅に改善、経常段階で10億円の利益を計上したこともプラス要因に。
 また、三菱アルミニウムの単体決算は0.3%の 減収となったが、上期でメモリーディスク事業から撤退したことによるもの。MDを除いた売上高は755億4,800万円で、MD以外の前期実績約726億7,000万円に比べ実質4%の増収。ロールマージンの低下によるマイナス影響約12億円をコストダウン9億円、量産効果8億円の計17億円のプラス要因で吸収、46.9%の営業増益を達成した。営業利益増に最も大きく貢献したのが押出部門の好調。販売量2万6,188d(前年度比8.7%増)・142億2,000万円(同10.9%増)で、「昨年秋から今年初めまで繁忙状態が続き、損益分岐点が月1,800〜1,900dのなかで平均2,300〜2,400d、ピーク時には3,000dに迫る勢い」。ただ、営業外収益で米押出子会社サーマレックスからの配当収入が大幅に減ったため、経常利益は0.9%の伸びにとどまった。
 トステムの連結決算はシェアアップを狙った積極的な営業展開が奏効して増収ながら市況価格の下落と販売活動強化に伴う経費増で営業・経常減益となったが、最終損益は前の期の146億1,200万円の損失から黒字転換。セグメント別情報では住宅関連事業は5,935億9,700万円(前期比10.0%増)と増収ながら、販売価格低下や販売費の増加で、営業利益は234億4,900万円、16.7%の落ち込み。ビル関連は売上高が1,188億9,900万円、前期比1.4%減。利益改善策を進めたが、営業損失は48億1,000万円と前期に比べ7億2,500万円拡大した。


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