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NO.1542(2001年07月09日号)

旭テック
足廻り・車体部品を戦略製品に
来春、3500dバキュラル機導入


 旭テックは、3500dバキュラルタイプ真空ダイカスト機を設置する。足廻り・ボディ関連で高強度・高靱性を要求される薄肉部品を生産、次世代の主力分野とする。

 旭テックは、アルミダイカスト分野で主力製品のトラック用エンジン廻り部品の需要が落ち込んでいる中で、次世代の戦略製品として自動車の足廻り部品やボディ関連など高強度・高靭性が要求される分野を強化する。来年3月をメドに、生産拠点である横地工場に「バキュラル(VACURAL)」タイプの高真空ダイカストマシン3500d1台を設置する。軽量化対応で自動車向け需要が本格的に立ち上がると予想される2004〜05年に本稼働入りさせる。
 横地工場の現有コールドチャンバーダイカストマシンは3550d(宇部興産)、2500d(東芝機械)、1800d(ビューラー)、1650d(宇部興産)、1600d(イドラー)、800d(宇部興産)各1台の計6台。アルミ部門の主力生産品目はクラッチハウジング、トランスミッションケース、フライホイルハウジングなどトラック用エンジン廻り部品。自動車用アルミダイカスト部品の生産量は最盛期の99年上期には月間平均で400〜420d、瞬間的に月480dにのぼったことがあるが、トラック販売の低迷にともない、現在は330〜350dと大きく落ち込んでいる。
 このため、非自動車分野の強化を進めており、その一環として、PDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)用部品(前面の外枠と裏面のシャーシ)を生産。外枠は42インチ及び32インチをNEC、ソニー向けに月500〜800個規模で生産。さらに、6月から新規ユーザー向けに月300個規模で生産を立ち上げたが、コスト競争力で樹脂に負けているため、需要は伸び悩んでいる。
 一方、シャーシの需要は拡大傾向にある。旭テックは現在、NEC向けに、61インチ型1品目、50インチ型2品目のシャーシ3品目を月1,500個規模で生産している。61インチ型はマグネシウム合金(AM60B)製で、肉厚は2.0o。今年3月から1800dマシンで量産を立ち上げた。生産量は月300個弱。一方、50インチ型はアルミ製(肉厚2.5o)で、昨年から1650dマシンで生産している。
 なお、マグネシウムダイカスト分野では、1800dマシンにより昨年7月からトヨタ自動車のセルシオ向けにシートバックフレームを月9,000個規模で生産。ダイカスト法、チクソモールディング法を問わず、日本でシートバックフレームを量産ベースで製造しているのは旭テックだけである。
 同社が導入を決めたバキュラルタイプ真空ダイカストマシンは空気の巻き込みが少なく、金属組織が微細で高強度・高靭性の薄肉アルミダイカスト品の製造が可能で、熱処理や溶接なども行える。日本ではこれまでに、日産の2500d機1台、住軽テクノスの320d機2台(99年9月の解散に伴い、日産に転売)の計3台の実績があるのみ。旭テックではこのマシンにより、強度、耐久性が求められる足廻り部品や車体骨格部品、ピラーなどを製造、2004〜05年にメインの事業とする。

00年度の圧延品稼動率91%
板93.9%、押出87.7%

 日本アルミニウム協会がまとめたアルミ圧延品の生産及び稼動率統計によると、2000年度における板と押出を合わせた圧延品全体の設備稼動率は91.0%と前年度に比べて5.0ポイントのアップとなった。96年度の93.6%を下回ったものの、90%台乗せは97年度の91.3%以来、3年ぶりのこと。
 品種別では板類の稼動率は93.9%で、前年度比1.8ポイントの上昇。生産能力(生産設備、生産品種、操業日数及び時間、従業員数などを勘案した実稼働能力)は143万5,440d、前年度比0.4%減となった反面、生産量は134万7,814d、同1.6%増となったため。3月単月の稼動率は101.0%と“超フル操業”の状態だ。
 一方、押出類の稼動率は87.7%、前年度比8.3ポイントのアップ。96年度の94.4%には及ばなかったものの、97年度の86.0%以来、3年ぶりに80%を突破した。2000年度の生産能力が125万7,404d、前年度比6.5%減となった一方、生産量は110万2,250d、同3.2%増と2年連続のプラス成長で推移した。

新日鐵・スカイ6000系板開発
MX67、スカイラインに採用

 新日本製鐵及びスカイアルミニウムは日産自動車と共同で新しい6000系アルミニウム合金板「MX67」を開発、このほど発売された新型スカイラインのエンジンフードの内外板に採用された。自動車ボディーパネル用アルミ合金板として主流になりつつある6000系の既存製品に比べてプレス成形性を高めた。
 自動車用ボディーパネル用アルミ合金板としては、従来5000系(Al-Mg系)アルミ合金が使用されているが、近年ではベークハード性(塗装焼き付け時の加熱により強度が上がる特性)に優れた6000系(Al-Mg-Si系)のアルミ合金が主流となりつつあり、平成10年に発売された日産スカイラインGTRには新日鐵が開発した6000系アルミ合金板「TM30」が採用されている。ただ、従来の6000系ではプレス成形性の点で、デザイン自由度及び採用部位に限界があった。
 今回採用が決まった「MX67」は、従来の6000系に対してCuを適量添加するとともに、Mg、Siの量をコントロールし、さらに製造プロセスの最適化を図ることで、ベークハード性を維持しながらプレス成形性を改良し、自動車ボディーパネル用材料に求められる特性を高い次元でバランスさせることに成功した。
 新日鐵及びスカイアルミでは、「MX67」がエンジンフード内外板のみでなく、トランク、フェンダーなどへの適用も可能としている。

軽圧流通市況、強含み横ばい
需要環境悪化も地金高を反映

 全国軽金属商協会・市場調査委員会によると、5月末の軽圧品流通市況は東京、大阪地区とも全品種が横ばい、中京地区では全品種が10円の値上がりとなった。
 全般的な需要環境悪化のなかで市況が堅調に推移しているのは、4〜6月期のNSP価格が230円/sと、1〜3月期に比べて20円高となるなど地金の値上がり傾向に支えられて、流通各社が収益重視の姿勢を強めているため。半導体関連の調整期入りとともに、圧延メーカーの生産・出荷は減少傾向にあり、流通の取扱量も苦戦を強いられている。「市場環境の改善は年内は難しい」との見方もあるなど、当分厳しい局面が続くと見られており、流通各社は「体力維持を最重点に我慢の経営を心がけていく」としている。

平成12年度の軽金属製品出荷
 軽金属製品協会(竹安和雄会長)がまとめた平成12年度の軽金属製品出荷実績は日用品、産業用品、建築用品の合計で生産が86万9,816d、前年度比1.4%減、販売が91万49d、同1.3%減と引続き低水準で推移した。

三和シヤッターの中期経営計画
シャッター外で500億創出
03年度連結営業益率7.5%


 三和シヤッター工業は2001〜2003年度の中期経営計画を発表した。21世紀に向け「安全安心快適」を提供する新ビジネスモデルを示したもので、「脱シャッター」を基本に向う3ヵ年で新規市場500億円の創出を骨子としている。

 以下は高山俊隆社長自ら、70名の記者団を前にレクチャーした中期計画の概要。
「信用回復」へ新たなチャレンジ
【背景】
 21世紀への新たな成長を目指し、同計画を策定した。今後これを毎年ローリングし、経営指針とする。当社はバブル崩壊への対応が遅れ結果として業績が低迷、需要家・株主その他関係者の「信用」を失墜した。新3ヵ年計画は「信用回復」が第一。20世紀に捨てるべきもの・21世紀に継承すべきものを峻別し、21世紀ビジョン「安全と安心と快適」を提供する新たなビジネスモデルの構築を目的に同計画を策定した。
【経営環境】
 日本経済は少子化・高齢化により経済成長率0〜3%の成熟型経済に入る。2003年をピークとするビル大型物件を除くと建設投資回復の足取りは重く、住宅着工も110万戸に縮小する。反面、取替え・リフォーム・メンテナンスなどストック需要は堅調に推移する。
【目標】
 「脱シャッター分野での成長」「シャッターの基盤維持」「米国ODCの利益ある成長」が目標。数値的には2003年度連結業績を売上高2,969億円、営業利益224億円、売上高営業利益率7.5%とする。特に国内は「脱シャッター」を図り、シャッター以外の連結売上高を2000年度1,000億円から2003年度1,500億円に、年間伸び率14.5%に拡大。米国ODCは昨年経営陣の一新、西部地区への進出など改革を実施、2002年度から黒字化する。
窓シャッターでサッシ企業と提携も
【具体策】
 @ドア事業=市場シェア28%、売上高500億円を目指す。プロダクトマネジャー制を推進し、中低層用スチール玄関ドア26%(11万枚)、マンション用スチール玄関ドア23%(4万枚)、病院・福祉ドア30%(7.8万枚)、一般ドア・SD30%(30万枚)のシェアを獲得する
 Aステンレス事業=タジマブランドを活用し、従来三和の弱点だった建築金物・外装パネル・アートを強化、建具20%、金物18%、パネル10%のシェアを獲得する。
 B窓シャッター=サッシ企業と最も競合する分野で、業界No.1の地位を確固たるものとする。目下サッシ一体型がないのが弱点だが、サッシ企業との提携、海外品輸入、あるいは自社加工などでサッシを調達、サッシ一体型シャッターを早急に開発する。この分野でサッシ企業に負けるわけにはいかない。目標シェアはプレハブ市場で45%、在来市場で45%。マンション用やストック市場用も開発中。
 Cメンテ・サービス部門=シャッターだけでなくドア・自動ドア・窓シャッターに拡大する
 Dフロント事業・エンジン事業=アルミフロントはトップシェア目指す。自動ドアは業界3位を確立する
 Eシャッター事業=シャッター市場は今後シュリンクする。その中で軽量シャッター56%(現行54%)、重量シャッター46%(同43%)、OSD52%(同50%)にシェアアップする

住まい作りのWebサイト
年内に会員2千社、新日軽

 新日軽(長谷川和之社長=写真)は、NTT東日本、凸版印刷の協力を得て、住まい作りのコミュニティ「ハウジング横丁」を開設し、6月から関東圏で運用を開始した。年内に全国展開し、住宅建築業者2,000社の会員登録をめざす。住宅関連サイトは多くの企業が運用しているが、同サイトはネット上でエンドユーザーが匿名・無料で住まい作りを検討・相談できるオープンサイトが特徴。
 長谷川社長は「住宅着工は不況や少子化等で今後の環境は厳しい。その中でIネットのコミュニティで見込み客を紹介するなど代理店・販売店の営業支援を行なって共存共栄を図る。私は社長就任以来、内外に現場主義を唱えているが、今回のサイト立ち上げはITを通じたエンドユーザーとの接点として位置付け、マーケットイン経営推進の一環である」と語った。
 「ハウジング横丁」の特徴は一般の建て主が匿名・無料で専門家のアドバイスを受けながら、自分や家族の好みのデザインや暮らし方から分析した住宅設計のポイントを把握できること。「住まいの提案広場」にアクセスすると、匿名で複数の住宅建築業者(会員)からの設計提案も受けられる。建て主はある程度業者の選別ができたら、匿名を解除し具体的な商談に入る。
 建て主のアクセスは無料。住宅建築業者は入会金30,000円、月額会費12,000円で会員となり、建て主からの情報をビジネス拡大につなげる。運営は新日軽の子会社新日軽ベストシステム(東京都港区港南3-8-1、長谷川道雄社長)が担当。

ビル外装リニューアルシステム
三協アルミ・INAX共同開発

 三協アルミニウム工業はINAXと共同で、ビル外装のリニューアルシステム「アルタージュ」を開発した。バリエーションが豊富なアルミサッシと高級感のある大型セラミックタイルとを組み合わせた、窓を含めた外装全体のリニューアルシステム。外壁一式で納めて施工することにより、工期短縮・コスト削減・品質保証などを実現した。今後一段と拡大が見込まれるビル外装のリフォーム市場向けにリニューアルコストの低さをセールスポイントに受注拡大を狙う。
 同システムはサッシには三協アルミの「サンミッテU70」、外壁材は高級感のあるINAXの大型セラミックタイル「アガトス」を使用、共通の部材を使用してリニューアルするため、納まりの細部を美しく仕上げることができる。また、既存の外壁面に乾式施工で取付けるため施工期間も短く、入居しながらの工事も可能。既存仕上げ面を取り壊さないため、建設廃材も少ない。発売は7月からで、初年度2億円の販売を狙う。

日軽金が全社改善大会を開催
強い日軽金へ全員で改善活動

 日本軽金属(佐藤薫郷社長)は6月16日、愛知県一宮勤労福祉会館において、第2回「全社改善発表大会」を開催した。同大会は昭和56年から16年間続いた「小集団活動全社大会」を流れを受け、昨年3月に同社清水工場で名称変更して第1回を開催した。
 年1回開催されるこの大会は、各工場において10名前後で構成される小集団がそれぞれ改善目標を設定し、その実現に向かって取り組んだ活動の成果を発表するもの。各工場の従業員が一堂に会することで、社員全体の一体感を強めるとともに、社長・副社長などの経営陣も出席することで、経営方針・会社施策の生産現場への浸透という面でも重要な位置付けとなっているという。
 今回は9工場を代表する小集団10団体が改善事例発表を行い、役員16名を含め、本店、各支店、工場から総勢112名が参加。発表内容は作業の効率化による生産性・安全性の向上、労務費・材料費の削減などが中心で、改善効果は年間約5400万円に達したという。
 大会の締め括りとして、佐藤社長は「強い日軽金を目指して商品力の強化を唱えているが、最も基本となるのは工場の生産力、技術、人の和。集団の力は無限であり、工場の力で10億、20億円の収益改善は達成可能なのでこれからも改善活動に努めてほしい」と述べた。

軽金属構造協がシンポジウム
自動車用アルミ合金接合技術

 軽金属溶接構造協会(佐藤史郎会長)は9月13日午前10時〜午後5時、全逓会館ホール(東京都文京区後楽)において、シンポジウム「自動車用アルミニウム合金接合技術の現状と将来動向」を開催する。内容は次の通り。
▽自動車へのアルミニウム合金適用の動向とその接合技術の現状(大阪大学廣瀬明夫)▽アルミニウム車体におけるスポット溶接の適用事例とその課題(ホンダエンジニアリング熊谷徹)▽アルミニウム合金板の抵抗スポット溶接性(神戸製鋼所岩瀬哲)▽アルミニウム車体用抵抗スポット溶接電極の開発(住友軽金属工業熊谷正樹)▽アルミニウム合金板用スポット溶接機(電元社製作所長谷川和芳▽アルミニウム製品へのアーク溶接の適用例と施工技術の課題(トヨタ自動車松井仁志)▽アルミニウムアーク溶接材料とその特性(スカイアルミニウム村松俊樹)▽熱処理型アルミニウム合金の溶接継手特性(昭和電工橋本武典)▽交流パルスミグ溶接におけるアルミニウム合金薄板の溶接品質と生産性の向上(ダイヘン上山智之)▽アルミニウムティグ溶接における波形制御技術と溶接品質の向上(松下溶接システム片山尚彦)▽アルミニウム車体に求められる新しい接合方法(日産自動車坂元宏規)▽レーザ溶接のアルミニウム車体への適用(マツダ坂野律男)▽メカニカル接合のアルミニウム車体への適用(三菱アルミニウム谷川久男)▽FSWのアルミニウム車体への適用(日本軽金属堀久司)▽各種接合方法の強度特性とアルミニウム車体への適用性(古河電気工業岡田俊哉)▽総合討論。
 会費は1万円(テキスト代5,000円含む)、主催・講演団体会員は8,000円。問合せ・申込みは同協会まで(電話03-3863-5545、FAX03-3864-8707)。

新日軽がビル建材の電子情報サービス
 新日軽はこのほど、設計事務所、ゼネコンなどを対象に、同社ホームページに「ビル建材製品情報」を開設した。ビル建材70見込み製品を中心に掲載しており(その他製品は随時掲載)、シリーズ名・スペック・キーワードからの検索が可能。同社製品を知らないユーザーにも大変利用しやすくなっている。
 提供される情報は、▽製品情報(性能、写真、使用金物、納まり種類など)▽参考資料▽CADデータダウンロード▽参考価格▽施工事例−−など。URLはwww.shinnikkei.co.jp/products/
building/index.html。

日軽金関連会社の役員異動
【日本フルハーフ】(6月27日)▽取締役副社長、一政勝利▽取締役、大島洋▽同、西原治康▽同、中山俊男▽顧問(取締役副社長)舩矢幸雄▽同(常務)滝澤義忠▽取締役退任、岸本直彦▽同、西村東治【日本電極】(22日)▽取締役、東條節夫▽常務、松尾秀一【日軽産業】(28日)▽取締役、近藤猛▽同、加瀬信彦▽同、池田博▽顧問(専務)森川隆男▽常務、矢古島宏▽監査役退任、萩原紀雄【日軽プロダクツ】(25日)▽取締役退任、池田泰彦【日軽形材】(19日)▽取締役、品田幸治▽常務退任、溝田徹▽同、丸田政明【理研軽金属工業】(26日)監査役(日本軽金属)林隆夫▽監査役退任、萩原紀雄【東海フルハーフ】(27日)▽取締役、吉田修▽同(新日軽)侭田一成▽取締役退任、柿原眞男▽同、大槻晏司【日軽北海道】(21日)▽取締役、多田統善【東海アルミ箔】(28日)▽取締役、樋口秀隆▽同、山田和範▽監査役(常務)安田真一▽取締役退任、斉藤喜代蔵【玉井商船】(28日)▽監査役(日本軽金属)田島弘二▽監査役退任、川瀬紘文【荒川水力電気】(21日)▽取締役(日本軽金属)望月博▽常務退任、古田博康▽監査役(日本軽金属)永岡秀昭▽監査役退任、本間啓司【東邦アーステック】(29日)▽常務(新日軽)三橋明▽顧問(常務)和田紘正▽同(取締役)岡本徹。

《訃報》
田村禧雄氏(たむら・よしお=三菱アルミニウム元取締役経理部長、現顧問)6月22日午前4時7分、呼吸器不全のため横浜市内の病院で死去、65歳。自宅は横浜市栄区小山台2-13-8。喪主は妻の清子(きよこ)さん。


図・表・写真は本誌でご覧ください。