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NO.1552(2001年09月17日号)
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「コスモ近畿」の片桐社長が所信
集合住宅玄関ドアはシェア5割
軽量ドア・福祉ドア等を強化育成
コスモ近畿の片桐義雄社長はこのほど本紙と会見、「今期末までに商品統合、コンピュータシステム統合を完了、来期から顕著な統合効果が見込まれる。今後、ビル用一般ドア・福祉ドアを育成したい」との方針を明らかにした。
【新体制】コスモ近畿は去る4月、サッシ大手5社共同出資の軽量スチールドアの製造会社コスモ工業60%、高級スチールドアの名門企業近畿車輛40%の出資比率、資本金1億円で設立された各種スチールドアの製造・販売会社である。
「関西以西に生産拠点を持ち、高級品にも事業
領域を拡大したいコスモ工業と、サッシ大手向けを拡販したいとする近畿車輛の考えが合致し、両社合弁の販売会社の設立となった」(片桐社長)。
これにより同社は高級品、中高級品、普及品、廉価版、アパート用とスチールドアに関して全製品を品揃えし、業界最大手の三和シヤッターに比肩する規模となった。
年商は約130億円で、特にマンション用など集合住宅用玄関ドアではシェア50%に達し、三和シヤッターを抜いて業界最大手メーカーとなった。販売先はコスモ工業の株主のサッシ大手5社(トステム、三協アルミ、新日軽、不二サッシ、立山アルミ)及びYKKAP。
主な業務はサッシ大手5社への販売及び技術支援・技術サービス、新製品・技術開発及び製造工場のコスモ工業・一関工場、近畿車輛・大阪工場の実質的な管理・運営である。「株主各社に対し高品質製品をより安価に提供することが最大責務」(同)という。
【現状】目下品種の統廃合や各種システムの統合を実施中。コンピュータシステムは2002年2月
までに同社及び2つの工場、需要家との受発注システムを含む統合システムを組み上げる。また、商品統廃合は2002年3月までに完了する予定。
さらに東日本市場はコスモ工業・一関工場、西
日本市場は近畿車輛・大阪工場で対応する東西地区割の供給体制とし、短納期の無在庫供給を目
指す。「量産効果は当然のことながら、輸送費低
減・短納期対応の地域密着型の地域割供給体制、
コンピュータシステムによる一括集中購買、その他で大幅なコスト低減が見込まれる」(同)。
一方、需要家ニーズに沿った商品開発も目下の急務で、今年10月には両社統合を記念した新製品の第一弾を発表する。
【両社の融合】コスモ近畿の社員は総勢107名。内訳は営業中心にコスモ工業の出向20%、技術・製品開発中心に近畿車輛の出向80%。これに生産担当のコスモ工業・一関工場(約200名)、近畿車輛・大阪工場(約170名)が加わる。
異なる企業カルチャーで育った社員の意志を結束しベクトルを合わせるため、4月から「方針管理」を導入。これは全社員が何を目的に何時までにどういう手段で実施するかを明確にするもので、その進捗状況が本人はもとより全員に一目で分かるという経営手法。「公平で客観的な評価が何より大事」(同)。
【課題】早い機会に色々な統合を実現し、統合メリットの実をあげることが最大課題。同時に同社が弱いといわれるビル用軽量ドア、福祉・バリ
アフリー用製品の拡充も急ぐ。この分野は先発の三和シヤッター、文化シヤッターが圧倒的に強いが「住宅着工の先行き見通しからみて集合住宅用
玄関ドアは多くを望めない。従ってビル用一般ドアや病院・福祉関連向けで早い機会に先発大手に
肩を並べたい」(同)。
【2001年度の販売計画】総出荷計画は31万5,000枚。内訳は集合住宅・ホテル向け26万枚、病院・福祉施設向け3万枚、ビル用一般ドア2万5,000枚。
7月の軽圧品出荷、6.6%減
押出6.8%減、箔は20%減に
日本アルミニウム協会が発表した7月のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板は生産が11万4,613d、前年同月比2.2%減、出荷が11万2,048d、同6.4%減となった。マイナスは生産が3ヵ月連続、出荷が4ヵ月連続。缶材、印刷板、自動車向けなどはプラスを維持しているが、IT関連、輸出、はく向けが大幅なマイナスとなった。
また、押出も生産が8万7,621d、同7.1%減、出荷が8万7,732d、同6.8%減。前年同月比マイナスは生産が6ヵ月連続、出荷が7ヵ月連続。主力の建設向けの低迷に、IT関連需要の不振が重なった。
板と押出合計では生産が20万2,234d、前年同月比4.4%減、出荷が19万9,780d、同6.6%減で、ともに6ヵ月連続のマイナスに。
一方、はくは生産が9,862d、同21.0%減、出荷が1万21d、同20.0%減。ともに5ヵ月連続でのマイナスだが、20%台の大幅なマイナスは第一次オイルショック以来のこと。主力のコンデンサ用需要の大幅減が主因。コンデンサ需要は今年2月に16ヵ月ぶりに前年同月比マイナスに転じて以来、月を追う毎に落ち込み幅が拡大、5月の40.3%減に続いて6月は実に50.1%の大幅減となっている。
上期の軽圧品生産、1.5%減
板0.6%減、押出2.7%減
今年1〜6月の生産・出荷量(確報)は、板生産が前年同期比0.6%減、出荷が1.2%減となった。マイナスは生産が2年ぶり、出荷が3年ぶりのこと。ともに過去最高は前年同期。また、押出は生産が前年同期比2.7%減、出荷が3.5%減。ともにマイナスは2年ぶりで、過去最高である平成9年上期の水準(生産64万968d、出荷64万427d)に比べて、マイナス19%の落ち込みとなった。
板と押出合計では生産が前年同期比1.5%減、出荷が同2.2%減。マイナスは生産が2年ぶり、出荷が3年ぶりのこと。平成9年上期の過去最高(生産130万3,319d、出荷130万9,186d)に比べ、生産が8.0%減、出荷が8.7%減の水準。
また、はくは生産が前年同期比3.6%減、出荷が同6.2%減。ともに、マイナスは3年ぶりで、過去最高は前年上期。
上期の車用板材出荷、2%増
建設向け押出材出荷は3%減
2001年上期におけるアルミ圧延品の需要部門別出荷量がまとまった。それによると、板類の内需は56万7,796d、前年同期比0.8%増と強含み横ばい。主力の缶材が22万6,090d、同4.0%増、自動車向けが5万6,940d、同2.1%増とプラスを記録したものの、はく用は8万410d、同3.3%減、電気機器が5万815d、同1.7%減とマイナスに。輸出は11万159d、同10.3%減と落ち込んだ。
一方、押出は主力の建設向けが34万2,542d、
前年同期比2.8%減に。自動車用も5万6,329d、同0.6%減となった。
日新マニファクチャリング
温間プレスでMg複雑形状品
携帯電話筐体、肉厚0.34oに
マグネシウム合金板材の温間プレス加工を手懸ける日新マニファクチャリングはこのほど、携帯電話やデジタルカメラの筐体など薄肉複雑形状部品の試作に成功した。成形品は0.3o台の薄肉化を実現した。
金属プレス加工の日新マニファクチャリング(福島県双葉郡広野町、電話0240-27-4181、宮坂静子社長)は温間プレス法によるマグネシウム合金の成形技術を使って、デジタルカメラや携帯電話の筐体など、肉厚0.3o台の薄肉複雑形状部品の試作に成功した。これまで、ノートパソコンやMDケースなどを温間プレスで成形した例は多いが、携帯電話のような波状形状品の加工例は珍しい。同社では、プレス成形品は成形歩留まりに加え、表面肌品質・表面処理性にも優れるため、ダイカスト法やチクソモールド法に比較してトータルコストで20〜30%の低減が可能としており、早期の量産化を目指している。
同社はマグネシウム成形加工への新規参入を狙い、95年5月から温間プレス法の試験加工に着手。加熱温度、成形速度、潤滑剤等の成形条件を最適化することで、すでに、円筒深絞り試験で限界絞り比3.4(96φ/28、AZ31圧延材、板厚=0.9o)と、通常で2.4程度とされるアルミ材の限界絞り比を上回る加工性を実現している。
今回成功した試作は、300d油圧サーボプレスにより、携帯電話筐体の上ケース(サイズ34.7×95.6×5.7)とデジカメ筐体の上ケース(同61.5×106.2×16.6)の成形を行なったもの。肉厚は携帯電話が0.5、0.4、0.34oの3種類、デジカメが0.6、0.5、0.4、0.3oの4種類で、いずれも良好な成形結果を得た。同社では、従来の成形法による製品肉厚は「ダイカスト法で0.7〜1.0o、チクソモールド法で0.8〜1.2oであり、ともに現状では0.4〜0.5oは不可能」としている。
同社は成形スピード、加熱温度の適正化と併せて、潤滑剤も新たに開発。従来の二硫化モリブデンはコストが高いことから、コストが安く、かつ潤滑性にも優れる(5o/sec以上)「量産用潤滑剤」を使用した。
また、同社では連続鋳造ビレットを購入、国内メーカーに委託して原料板材に加工しているが、合金板材の結晶組織をさらに微細化、高延性と高強度の両立可能な技術も確立している=写真。
モバイル機器はより軽量化が求められているが、日新マニファクチャリングがAZ31板材(板厚0.4o)をプレス加工した携帯電話筐体の上ケースは、ABS樹脂筐体に比べ重量比で23%の軽量化を実現した。
新菱アルミリサイクル小山工場
世界初のUBC一貫処理工場
年産能力6万d、30%原価低減
新菱アルミリサイクルはこのほど、去る4月に操業を開始したUBC一貫処理工場を公開した。年産能力は約6万dで、アルミ缶材用スラブを三菱アルミ富士製作所に供給。一貫化によりコストは従来に比べ、30%程度低減するという。
同社の三井啓五社長は、以下次のように同工場の概要や特徴を明らかにした。
【経緯】三菱マテリアルグループは1975年からアルミ缶事業を開始、同時に未来への企業責任として省資源、省エネ、ゴミ減量の観点から循環型経済社会の構築を目指してアルミ缶リサイクル事業に取り組んできた。今回の一貫処理工場の建設はアルミ缶の製造原価の約50%を占めるアルミ缶材用地金のさらなるコスト低減を目的とするもので、総じて既存設備にに比べて30%程度のコスト低減が可能となった。
即ち、UBCをアルミ缶材に再生するには、@解砕・選別A焙焼・溶解B成分調整・スラブ鋳造−−の各工程が不可欠。従来は解砕・選別が新菱アルミ缶センター、焙焼・溶解が大手金属、スラブ鋳造が三菱アルミと分業していた。今回、これらを小山工場に集約、一貫処理システムを建設したもので、輸送費低減、再溶解工程の省略による燃料費削減、新鋭設備導入による労務費の低減−−などでコストダウンを図った。
【主要設備】@解砕・選別=搬入したプレス缶をバラバラに解砕し、混入異物を除去する設備。プレス缶をブレーカー(ハンマー打撃式)で解砕し、その後、磁力選別機・風力選別機(エアナイフ)で鉄缶やPETなど異物を除去。
A焙焼・溶解=UBCの塗料や水分を除去し、溶解炉で溶解する工程。焙焼炉は直径2.5b、長さ13.5bのロータリーキルンで約500℃で焙焼。その後1チャージ60dのサイドウェルオープン炉に自動投入し、溶解。
B成分調整・スラブ鋳造=アルミ缶材用合金に成分を調整、スラブに鋳込む工程。保持炉は1チャージ40d傾動型炉。脱ガス・フィルター処理を施した後、重量9dのスラブ4本を鋳造機で同時鋳造。
【生産能力】生産能力は年間約6万d、月産5,000d。現状の生産は月産4,000d。従業員は33名で、内訳はスタッフ6名、製造要員27名。操業体制は4組3交代のフル運転。
【特徴】プレス缶の解砕からスラブ鋳造までの一貫処理工場は国内はもちろん、世界にも例がない。このため、中間製品の輸送のための物流コスト低減、中間製品の二次合金地金の鋳造工程を省略することによる燃料費の削減、人員の効率的な配置などによる労務費の低減が図られた。
【環境対応】地元小山町と立地協定を締結。小山町は全国で有数の青菜の生産地で、排出規制は非常に厳しい。このため、各工程で発生する排ガスは約2億円を投入して最新の排ガス処理設備(日立プラント建設)を設置、完全回収。また、工場廃水を排出しないプロセス導入など環境対策にも万全を期した。
【課題】一貫処理工場のためラインが止まらないよう各工程のメンテナンスが大事という。特に高度な操業技術を要する焙焼炉のスキルアップが課題。また、生産効率向上のためのUBCの品質向
上、混入物排除の手選別工程の自動化、UBCの集荷増による生産量の拡大−−も早期に解決すべき課題という。
上期の箔出荷量、6.2%減に
けん引役のコンデンサ23%減
2001年上期におけるアルミ箔の出荷量は6万8,673d、前年同期比6.2%減と、上半期ベースでは3年ぶりのマイナスに転じた。主因は、IT不況を背景に、これまで需要をけん引してきたコンデンサ向けの急減。上期のコンデンサ向けは1万5,464d、前年同期比23.1%減と大幅に落ち込み、99年上期の1万5,623dを下回った。月次ベースでは、今年1月に前年同月比7.7%増となった後、一転マイナスに転じ、減少幅は2月3.7%、3月17.7%、4月22.2%、5月40.3%、6月50.1%と月を追うごとに拡大している。
その他分野では、食料品が1万7,863d、同0.9%増、日用品が1万725d、同0.5%増と、市場の成熟化が進なかで引続き伸び悩んだ。
トステムが茨城に新工場建設
東日本のドア・引戸生産集約
トステム(飛田英一社長)は8月30日、玄関ドア・引戸の拠点工場として、茨城県結城郡石下町に「トステム石下工場」を建設すると発表した。完成は来年4月の予定。現在4ヵ所に分かれている東日本向け製品の生産機能を集約、生産効率化を図るとともに、ドア・引戸事業の基幹工場としての役割を担わせる。
現在、同社は東日本向けの玄関ドア・引戸については、藤花工場(茨城県)、久喜工場(埼玉)、野田工場(千葉県)及び一関工場(岩手県)で分散して行なっている。今回建設する石下工場は、東日本の玄関ドア・引戸の生産機能を集約することによって生産の効率化を図るとともに、「家の顔」としてますます個性化・多様化が求められるドア・引戸事業において、多品種・小ロット生産にも対応可能な基幹工場として、商品開発力や営業活動支援力の強化を図るのが狙い。
加工棟の延べ床面積は約6万uを予定しており、加工工場としては同社最大規模となる。また、工場敷地内にはドア専用の配送棟(延べ床面積約4万u)を併設し、製品体積が大きいドアの生産と物流を一元化することで総合的に効率化を進めていく考え。
なお、今回の石下工場の建設は東日本のドア・引戸の生産体制の再編であると同時に、関東地区の工場をサッシ、ドア・引戸、エクステリア、ビルサッシという4つの事業部別に基幹工場の元に再編する「生産体制の再構築」の一環として行うもの。同再構築により、各事業の生産効率の向上を図るとともに、在来品のモデルチェンジや関連商品の開発機能を基幹工場に持たせることにより、商品開発力のスピードアップを目指す。
【トステム石下工場の概要】▽所在地:茨城県結城郡石下町大字岡田▽敷地面積:20万2,741u(6万1,329坪)▽延べ床面積:加工棟(付属建物含む)5万9,957u、配送棟3万9,801u▽工期:2001年8月〜2002年4月▽従業員数:400人(操業開始後半年経過後)▽総投資額:約85億円▽生産予定額:初年度300億円。
流通販売量、板中心に急減
IT不況の影響が鮮明に
全国軽金属商協会(会長=堀中成憲筒中金属産業社長)がまとめた東京地区における軽圧品在庫量・販売統計によると、今年6月の圧延品(板)の販売量は1万4,956d、今年3月比21.7%減、前年同月実績の1万7,775dに比べて15.9%減と大幅に落ち込んだ。半導体製造装置向けなどIT関連の需要急減が主因。
また、押出品の販売量も6,012dと、今年3月の7,433dに比べて19.1%減、前年同月の7,170dに比べて16.2%の落ち込みとなった。
圧延品と押出合計では2万967dで、今年3月比21.0%減、前年6月比では16.0%減。
一方、6月末の在庫量は圧延品が1万2,496dと今年3月末比6.0%増、前年6月末比0.9%増と増加。一方、押出品は3,982dで、今年3月末比16.3%減、前年6月末比7.9%減と減少。
軽金属学会がシンポジウム
Mg合金の成形(塑性)加工
軽金属学会は10月2日(火)午前10時より、品川区立総合区民会館“きゅりあん”で、第65回シンポジウム「マグネシウム合金の成形(塑性)加工の現状と今後の展望」を開催する。内容は、▽マグネシウム合金板の性質とプレス成形性(東京都立大学・西村尚)▽マグネシウム合金展伸材の製造(圧延)(大阪冨士工業・清水亨)▽マグネシウム合金の深絞り(A.J.C.・荒木和夫)▽マグネシウム合金のプレス加工における潤滑の検討(日本工業大学・古閑伸裕)▽スピニング加工機によるマグネシウム合金の成形の試み(日本スピンドル製造・中村信・内田俊夫)▽マグネシウム合金の押出加工(三協アルミニウム工業・村井勉)▽AZ31マグネシウム合金円管の曲げ加工(東京都立大学・長谷川収)▽マグネシウム合金の鍛造(榎本機工・榎本良夫)▽パネルディスカッション(世話人:電気通信大学村田眞・東京都立工業高等専門学校永井修次)。
参加費は正・維持・協賛学協会員1万5,000円、非会員2万5,000円。問合せ・申込は同学会まで(電話03-3538-0232、FAX03-3538-0226)。
上期のAlホイール生産19%減
乗用車21%減、TB向け57%増
日本アルミニウム協会がまとめた平成13年暦年上半期(1〜6月)のアルミホイール統計によると、生産量は685万3,813個、前年同期比19.3%減となった。上半期ベースでは昨年まで4年連続の過去最高更新で推移したが、一転してマイナスに転じた。
とくに、乗用車向けが624万6,402個、前年同期比21.3%減と大幅に落ち込んだ。一方、トラック・バス用は4万569個、同57.0%増と絶対量は少ないものの、急増した。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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