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NO.1569(2002年01月21日号)
軽銀
中国マグネ企業に塗装技術指導
紫江集団傘下のチクソ一貫工場


 軽銀は中国の大手私企業グループである紫江集団傘下の上海紫燕合金応用科技有限公司が建設を進めているチクソ法によるマグネ成形一貫工場に対し、塗装工程全般にわたる技術指導を行なう。

 軽銀(平島保雄社長)は中国の大手私企業グループである紫江集団(沈 董事長・総裁)傘下の上海紫燕合金応用科技有限公司(上海市漕宝路1625号、鐘家傑董事長)に対し、マグネシウム合金成形品の塗装技術指導を行なうことを明らかにした。昨年12月14日に契約を締結した。契約期間は2年。上海紫燕合金応用科技は今年2月稼働予定で、チクソモールディング法によるマグネシウム合金成形の一貫工場を建設中。軽銀は「将来の中国進出への布石として技術指導契約を結んだ」(平島社長)としている。
 紫江集団は上海地区に拠点を置く「郷鎮企業」グループ。傘下に約50の企業を抱え、包装材料、PETボトルなどの樹脂射出成形が事業の中心。金型制作部門も擁している。軽銀が技術指導する上海紫燕合金応用科技有限公司はマグネシウム分野への新規参入に伴って新たに設立された。
 上海紫燕合金応用科技は上海市郊外に新工場を建設中。第1期工事分として4万6,200uの土地に工場建屋を建設中。850d、650d各2台を含む220dまでの計8台の日本製鋼所製射出成形機を導入するとともに、機械加工、化成処理、塗装までの一貫ラインを構築する。同工場への成形機納入は日本製鋼所の対中国輸出における初の実績となるもの。化成処理システムはミリオン化学が担当、塗装ラインにはタクボエンジニアリングの塗装ロボットを導入する。設備投資額は土地・建物・設備を含めて約2,500万米j。
 工場は今年1月に完成、2月からの稼働を予定している。携帯電話、デジタルカメラ、パソコンの筐体などを生産する。さらに、投資額約1,000万米jで2期工事も計画しており、建屋・設備の増設を行なう。



11月の圧延品出荷12%減
板10%減、押出は15%減

 日本アルミニウム協会が発表した平成13年11月のアルミ圧延品生産・出荷速報によると、板類は生産10万2,081d(前年同月比12.9%減)、出荷10万449d(同9.7%減)となった。マイナスは生産が7ヵ月連続、出荷が8ヵ月連続のこと。缶材、印刷板、乗用車向け、LNG船向けがプラスを記録、輸出も24ヵ月ぶりにプラスに転じたものの、箔向け、IT関連、建設向け、卸売・小売などは依然大幅なマイナス。
 また、押出類は生産8万3,791d(同15.5%減)、出荷8万3,618d(同15.0%減)。マイナスは生産が10ヵ月連続、出荷が11ヵ月連続だが、景況の一段の悪化を受けてマイナス幅が拡大している。板類+押出類では生産18万5,872d(同14.1%減)、出荷18万4,067d(同12.2%減)で、ともに10ヵ月連続のマイナス。
 一方、箔は生産が1万1,620d(同20.6%減)、出荷が1万2,208d(同14.8%減)と、ともに9ヵ月連続のマイナス。ただ、マイナス幅は9月の23.7%、10月の17.5%から縮小している。



三協アルミ新湊マテリアル工場
泉軽金属からの生産移管を完了

 三協アルミニウム工業はかねて、泉軽金属のアルミ押出製品の生産を新湊マテリアル工場に移管する作業を進めていたが、2001年末でほぼ完了した。これにより昭和45年以来31年の歴史をもつ泉軽金属は、事実上その歴史に終止符を打つ。
 泉軽金属の株主である住友化学は、三井化学との経営統合を控えてグループ内事業の再編を実施中。このうち、アルミ事業はコア事業外との判断が示され、アルミダイカストの京都ダイカストは同業のアーレスティに株式を売却。その一環としてアルミ押出の泉軽金属も、三協アルミグループの旧富山軽金属(2001年12月に三協アルミと合併、新湊マテリアル工場に変わった)に営業権を譲渡し、同事業から撤退、目下清算手続きを進めている。
 泉軽金属のアルミ押出材の月間生産量は500〜600dで、その60%が建材用形材、残りが非建材用形材、管棒。ユーザーの了解を得た製品から新湊マテリアル工場への生産移管を進めており、特殊な管棒を除いて、2001年12月末で概ね90%の移管を完了した。



「世界的な技術優位を確立へ」
賀詞交歓会で平田会長が誓約

 日本アルミニウム協会などアルミ関連4団体は7日、東京・芝の東京プリンスホテルで新年合同賀詞交歓会を開催した。席上、日本アルミニウム協会の平田英之会長(写真)は次の通り挨拶した。
 「正直いっておめでとうと言うのが躊躇されるほどの経営環境にある。昨年、東京軽金属商協会や軽金属学会が創立50周年を迎え、アルミ産業は約半世紀を迎えた訳だが、私は次の3点でアルミ産業は今、曲り角に来ていると思う」
 「第1は、過去にホームランやヒットを生み出した新製品開発、新技術開発が停滞し、今や一塁に立つのさえ難しい状況にある。第2は、国内産業の空洞化による需要低迷という構造的問題だ。第3は循環型社会構築の観点からアルミにフォローの風が吹いているという点だ」
「こうした曲り角をブレークスルーするには、技術開発、製品開発しかない。年の初めに当たって、アルミ産業に携わる人々が、技術で世界的な優位性を築くことをこの場で誓い合いたい」



日箔の11月期単体損失幅拡大
経常4.6億円、最終18億円に

 日本製箔(冨永三寿社長)の平成13年11月期単体決算は経常損失幅が4億6,000万円と昨年7月発表の予想に比べ3億3,000万円拡大する。前期は1億9,500万円の利益。
 売上高は予想を9億4,000万円下回る183億6,000万円(前期比10.9%減)にとどまる。下期に売上高の若干の回復を見込んでいたが、IT関連製品に回復の兆しがないうえに、下期型の製品も伸び悩んでいる。
 さらに、退職給付積立不足の一括償却で18億9,400万円を特損に計上。株式市場の低迷に伴い、保有有価証券の評価減約1億5,000万円を特損計上することで当期純損失も予想の11億7,000万円から18億1,000万円に大幅に悪化する(前期は7,000万円の利益)。



昨年3Qマグネ出荷、9.5%減
ダイカスト3.7%減、IMA

 IMA(国際マグネシウム協会)が発表した2001年第3四半期(7〜9月期)の西側世界におけるマグネシウム新地金の総出荷量は7万9,800dで、前年同期比9.5%減、今年第2四半期に比べて2.0%減となった。1〜9月の累計では24万8,000d、前年同期比13.4%減。
 西側世界の生産量は4万3,900d(前年同期比17.0%減、今年第2四半期比1.8%減)。一方、中国及びCISの出荷量は推定で3万6,250 d・構成比45.3%となった。
 第3四半期における主な用途別出荷量は、軽金属圧延・アルミ合金向けが3万5,500d(前年同期比15.5%減)、ダイカスト2万6,200d(同3.7%減)、脱硫9,800d(同7.6%減)、化学・還元剤4,000d(同2.4%減)−−など。



昭和鋼機の前9月期、黒字を維持
安値受注回避、再生へ期待大

 昭和鋼機の2001年9月期決算は売上高70億3,700万円(前期比3.7%減)、営業利益6,500万円(前期1億900万円)、経常利益700万円(同1,600万円)、当期利益400万円(同300万円)となり、若干ながら黒字を維持した。ビルサッシ大手各社が軒並み赤字を計上、同業の中堅各社の事業撤退が続くなか、同社の健闘が光る。
 事業環境は「ビルサッシは底値を脱した感はあ るもののビル建築工事が低位推移し、供給過剰の厳しい状況」が続いたという。その中、安値受注 の回避、同業他社のできない特殊製品分野の強化、コストダウンを実施、黒字を確保した。期末従業員数は224名(同242名)で18名減。期中の受注高は67億8,700万円(1.1%減)。
 今期は「建設業界の苦況は続くが、得意とする カーテンウォール工事でさいたま新産業拠点、JR東海ビルなどの大型物件を受注済み。業界全体で安値受注見直しの気運が高まっており、ビルサッシ業界再生の期待が持てる」という。



トルマリン含有アルミ複合材
テイエム・テクノが製品化着手

 ベンチャー企業のテイエム・テクノ(山形市蔵王成沢、電話023-688-6199、草苅良雄社長)は遠赤外線発生特性を持つトルマリン(電気石)を含有させて新機能性を持たせたアルミ複合材を開発、同素材を応用した各種製品の商品化に取り組んでいる。
 同社が開発したアルミ複合材は耐食性、耐酸性、解氷、解凍、抗菌性に優れるなど、従来品にない優れた機能性を持つ新素材。商品化第一弾としてこのほど融雪ボックス「雪のゴミ箱」を開発した。屋外に置いて雪を放りこんで解かすもので、サイズは幅1200×奥行き900×高さ900o。アルミ溶湯に粒径3μm程度のトルマリンを10%程度添加して圧延した板材(厚み1〜1.5o)で発泡ウレタンをサンドイッチしたパネルを組み立て、床面に面状ヒーター130W2枚を設置した。重さは約40s。約1dの雪が入り、約70分で全て融解することが出来るという。実験では通常必要とされる熱量の約43%で融解、ランニングコストで57%軽減出来ることを確認した。販売価格は27万円で、昨年12月から限定300台の試験販売を開始したが、さらに第2弾として改良を加えた製品の商品化も予定している。
 また、同じく複合材と面状ヒーターを組み合わせた屋根用融解パネルも開発、昨年12月から山形市、鶴岡市、青森市、新潟市、北海道地区で試験施工、融雪性能の実証試験に着手しており、今年度から販売を開始する予定。その他、発売時期は未定なものの、床暖房用パネルやロードヒーティング用パネルなどの開発も完了している。



特恵関税適用輸入49.6億円
昨年4〜10月、消化率55.4%

 日本アルミニウム協会がまとめた昨年4〜10月における特恵関税適用のアルミ製品輸入実績は49億6,089万9,000円にのぼり、平成13年度の限度枠89億6,267万6,000円に対する消化率は55.4%となった。昨年度は限度枠70億601万8,000円に対し、4〜12月実績で83億5,772万5,000円・消化率119.3%に達し、昨年1月5日付で特恵関税適用廃止となっている。



「マグネの利用に関する講演会」
 日本マグネシウム協会は1月30日午前10時〜午後5時、東京・墨田の江戸東京博物館において「平成13年度マグネシウムの利用に関する講演会」を開催する。内容は、@マグネシウムの応用と需給動向A最新のマグネシウムの鋳造技術B最新のマグネシウムのダイカスト技術C最新のマグネシウムのチクソ成形技術D最新のマグネシウムの表面処理技術Eマグネシウムのプレス成形材料Fノートパソコンマグネ化の現状。



「皮膜品質評価専門コース」
軽金属製品協会が通信教育講座

 軽金属製品協会はアルミニウム表面技術講座(通信教育)で新たに「皮膜品質評価専門コース」を開講する。アルマイト、複合皮膜、塗装などアルミニウム表面処理製品の品質の適正な評価が出来る人材の要請が狙い。
 学習期間は平成14年3月1日〜6月30日の4ヵ月。受講料は1名15万円の他、スクーリングの宿泊費、食事代で別途2万円。修了者には希望すれば、同協会が認定する「皮膜品質評価管理士」の称号が与えられる。募集締切りは1月31日。詳細はアルミニウム表面技術講座事務局まで(電話0297-78-2511)。



YKKの人事異動
(1月1日付)▽YKKコーポレーション・オブ・アメリカ社長、アレックス・グレゴリー▽YKKヨーロッパ社社長、安藤正治▽同台湾社社長、五十嵐宣夫▽同フランス社社長、坂井祐一▽上海YKKジッパー社社長、本多正憲▽YKKイタリア社社長、長柄元重▽同アルゼンチン社社長、宮武政治▽同デンマーク社社長、中川雅博▽同エジプト社社長、シャミール・アル・アサフ▽同メキシコ社社長、宮崎重生▽同ポルトガル社社長、森広利光▽同トルコ社社長、遠藤重勝▽同ベトナム社社長、松本英治。



YKKAPの人事異動
(2月1日付)【住宅建材事業部】▽商品販売統括部長、細岡修一▽商品販売副統括部長、朝倉秀昭▽WS統括営業部長、佐竹隆一【ビル建材事業推進部】▽ビル建材事業推進部長、田中敏雄【ビル商品開発統括部】▽ビル商品開発統括部長、佐藤康記【ビル建材第二事業部】▽副事業部長(兼)事業管理統括部長、小崎久人▽商品企画統括部長、為光弘和▽エントランス販売促進部長、嵯峨達裕▽景観営業部長、吉越明雄▽ビル供給企画部長、小澤泉之介▽関東統括支店長、中川幹男。



神鋼の組織改正と人事異動
(1月1日付)【組織改正】本社の「秘書広報部」を分割し、秘書機能を本社部門直属の「秘書グループ」とするとともに、広報機能を新設の「コミュニケーションセンター」に移設【人事異動】▽コミュニケーションセンター、人事労政部、経営企画部、財務部、海外事務所(鉄鋼部門所管を除く)の担当並びに法務部の総括、取締役常務執行役員浅岡徹▽秘書グループ長兼コミュニケーションセンター長、泉博二▽秘書グループ秘書担当部長、辻隆▽アルミ・銅カンパニー技術部長兼同技術部技術企画室長兼技術開発本部知的財産部担当部長、浦田雄次▽アルミ・銅カンパニー技術部担当部長、川口雅弘▽アルミ・銅カンパニー長府製造所銅板製造部長兼製板室長、杉下幸男。



住友軽金属の人事異動
(1月1日付)▽設備部長兼務免、取締役伸銅事業部副事業部長・伸銅所長・生産管理部長水野稔▽伸銅事業部伸銅所設備部長、木田啓一▽業務部長兼務免、名古屋統括センター所長代理胡内友文▽名古屋統括センター業務部長、宮町利行。



今週のレポート…2002年期待の新製品・新技術
自動車・IT関連で新需要開拓へ
建材は多機能・低コスト指向

 アルミ業界は依然として需要低迷から抜け出す糸口を見出せないでいるが、そうした時期だけに、新規需要分野の開拓を狙った新製品・新技術の開発がより重要となる。本誌はこのほど、恒例の「2001年の主な新製品・新技術」をまとめた。昨年1年間に本誌に記事として紹介した「新製品・新技術」を一覧にしたが、これらは「2002年期待の新製品・新技術」でもある。総じて、2001年に登場した新製品・新技術は小型軽量・低価格化の一方、高機能・多機能による高付加価値化を一段と指向している。
 アルミ圧延・加工品分野では自動車の軽量化やIT関連での新製品・新技術が目立った。
 神戸製鋼と提携関係にある米アルコア社の「6022合金パネル材」が日系トランスプラントとしては初めて、北米日産の新型「アルティマ」のフードトランクリッドに採用。スカイアルミの6000系アルミ合金板「MX67」も新型「スカイライン」に採用された。さらに、日本軽金属は「高剛性アルミディスクブレーキキャリパ」や、高濃度シリコン合金部品を急冷凝固粉末から押出成形する技術を発表。また、自動車用薄板材などへの適用を狙って、金属系材料研究開発センターが推進するナノレベルの組織制御による「アルミニウム系スーパーメタル研究開発プロジェクト」でも着実な成果が上がっている。
 一方、IT関連では肉厚0.6oの「超薄肉アルミダイカスト品」(東京理化工業所)や、ブラウン管に代わる壁掛けテレビとして市場が急拡大しつつあるPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)用関連で古河鋳造が肉厚2oの部品をダイカスト法で量産化。さらに昭和電工はPDPに要求される高い放熱性に加え、高強度・軽量性を実現した新合金「ST60」や、押出法による「薄肉・ハイトング比ヒートシンク」を発表した。
 また、昨年はマグネシウム分野で新技術・新製品の発表が相次いだ。とりわけ、プレス加工関連での新技術が多く、「マグネ板の温間プレス加工技術」(日新マニファクチャリング)、「マグネシウム合金の冷間プレス加工」(高松製作所)などが反響を呼んだ。さらに、「マグネシウム合金の精密圧縮鋳造法」(松本製作所)など歩留まりアップ・コスト削減を狙った新加工法や、東北大学金属材料研究所の「高強度・高延性マグネシウム合金」、三菱アルミの「高耐熱性マグネダイカスト合金」など材料技術開発や表面処理分野でも「粉体高輝度メタリック塗装」(日本タイプライター)や産総研などの「マグネ耐食被膜AIコーティング」など新たな進展があった。
 さらに、建材分野では、立山アルミが国内で初めて「ノンレール完全フラットサッシ」を開発するなど、需要低迷・価格引き下げ圧力が強い中で、コストを抑えながらも、高機能・高付加価値化を狙った新製品開発が活発。ユニバーサルデザイン化や、新築の伸び悩み予想に対応して、リフォーム需要の取り込みを狙ったモノも多い。なかでも、住宅用窓シャッター分野では三和シヤッター工業の積極的な新製品攻勢が業界の注目を集めた。


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