このサイトは、本誌の定期購読契約者のみが利用できるメンバー専用ページです。
 |
NO.1590(2002年06月24日号)
|
東陽理化学研究所
IT関連製品が高収益をけん引
3年後売上150億円・株式公開へ
東陽理化学研究所は3年後をメドに売上高150億円・経常利益率15%を達成、株式公開をめざす。金属加工の総合メーカーとして製品設計−加工−表面処理の一貫生産体制を構築する中でIT関連の新製品開発・技術開発が結実する。
東陽理化学研究所(新潟県燕市、本合邦彦社長)の収益が絶好調である。2002年3月期決算では売上高が80億円、前期比2割増の増収を達成、経常利益も10億円と25%の増益となり、売上高経常利益率は12.5%を記録した。チタン、アルミニウム等を素材としたIT機器の筐体など精密外装部品の受注拡大が収益向上のけん引役となっている。3年後の2005年をメドに、売上高150億円、経常利益率15%の達成を目指すとともに、株式公開を実現する考えだ。
同社は昭和25年、国内初のステンレス電解研磨専門企業としてスタート。これまでにステンレス、チタン、アルミニウム、マグネシウムなどの表面処理技術を確立するとともに、1984年以降、ステンレス、チタン、アルミニウムなどのプレス加工技術の開発にも取り組み、精密プレス加工、液圧プレス成形、超々深絞り加工など独自の技術も相次いで実用化。とくにカメラのボディ用に世界で初めてチタンの薄板加工を手懸けたことで有名な企業である。現在、製品設計、金型設計・製作、プレス加工から表面処理、組立まで社内で一貫生産する体制を構築しており、成形に必要な専用設備もすべて社内で作る体制となっている。
同社はPDAなどの情報端末機器の筐体を海外の大手メーカー向けにアルミ化したのに続いて、オールチタン製のノートパソコン用筐体も量産化するなど、世界に先駆けてIT機器筐体向けに軽量・非鉄金属加工製品を製作・供給したことで顧客の高い評価が定着。ここに来てIT関連機器の筐体に同社製品の採用が一段と進み出したことが売上げを押し上げる要因となっている。「現在IT関係は不況といわれているが、当社はIT筐体の金属化の流れに乗った製品を手懸けていることが売上げ拡大につながっている」(本合社長)。
前期売上高80億円のうち約4割が機器の筐体などIT関連。素材は主にアルミとチタン、一部ステンレスもあり、将来的にはマグネの伸びにも期待している。残りはチタン製カメラボディ、建築金物などステンレスの板金製品、超々深絞り加工などによるステンレス容器製品など従来からある製品だが、「安定した水準で推移している」(本合社長)。マグネシウムのプレス加工についても5年程前から開発に着手、「基本的にほぼアルミと同様に加工できる技術を確立している」。
今期の収益予想は売上高90億円、経常利益12億円。設計段階から関与したオールアルミ製のノートパソコン用筐体の量産開始が寄与する。
同社は毎年、経常利益の額に相当する設備投資を実施しており、今期計画は10億円。「現在進めている新しい技術開発・製品開発が採用されれば、3年後には売上高150億円、経常利益率15%の達成は可能」と見ており、株式公開も実現する。「金属加工の総合メーカーとして『技術で生きる』が経営理念。設計段階から関与する一貫生産体制により『東陽理化学でなければ駄目』というお客様との信頼関係を作れば、仕事が余所に流れる心配はない」(本合社長)という。
神鋼が豪コマルコ社に権益譲渡
ボインアルミ製錬プロジェクト
神戸製鋼所は6日、オーストラリアのボインアルミ製錬プロジェクトの第1、2系列に対する9.5%の権益をコマルコ社(リオ・ティント社の100%出資子会社)に売却することで基本合意に達した。売却総額は約7,850万米j。同プロジェクトの参加者全員の同意、オーストラリア政府機関の承認を経て、今年第3四半期中にも譲渡される予定。
神鋼はコア事業のアルミ圧延業に経営資源を集中するため、海外資源開発投資の縮小を進めており、今年3月には西オーストラリアのワースレーアルミナプロジェクトに対する出資の一部を伊藤忠商事に譲渡。今回の売却はそれに続くもの。
ボインアルミ製錬プロジェクトはコマルコ社と日本側5グループで行っており、1982年に第1、2系列で稼働を開始、97年に第3系列を増設した。2001年の生産実績は第1・2系列で27.3万d、第3系列で23.6万トンの合計50.9万d。第1・2系列の出資比率はコマルコ社50%、住友軽金属グループ17%、三菱商事・YKK・神戸製鋼各9.5%、住友化学工業4.5%−−で、各出資グループは出資比率見合いのアルミ地金を引き取っている。
アルミニウム建築構造協議会
新会長に日軽金の河村繁常務
アルミニウム建築構造協議会は6月6日、定時総会を開催、2002年度事業計画を承認した。同時に役員改選を行ない、会長に日本軽金属の河村繁常務執行役員(写真)を、副会長にYKKの吉岡英明執行役員常務建材製造事業本部素材統括工場長をそれぞれ選出した。
河村会長は総会後の会見で、「5月14日の告示により、アルミ建築構造物が正式に認可され、今後、アルミ材料は特別な評定手続きを受けることなく、構造材として使用できるようになった。アルミは耐蝕性に優れ、しかもリサイクルし易い建築用金属材料。これを機に普及に務め、新規市場の拡大に努力する」と抱負を語った。
01年度のアルミホイール生産
4%増、乗用車向けは4.8%増
日本アルミニウム協会がまとめた2001年度のアルミホイール統計によると、生産は1,551万7,296個、前年度比3.9%増と2年ぶりの増加となった。99年度の1,640万個に次ぐ史上第2位の水準。
車種別では乗用車向けが1,445万998個、前年度比4.8%増と2年ぶりの増加で、99年度の1,532万9,574個に次ぐ史上第2位。製法別では一体鋳造式が1,368万6,571個、同6.2%増と2年ぶりのプラスとなったものの、一体鍛造式は2年連続、組立式は4年連続のマイナス。
また、トラック・バス用は5万5,601個、同8.9%減と2年ぶりのマイナスだが、製法別では一体鋳造式が2万1,610個、同36.5%増と2年連続で増加。一方、一体鍛造式は3万4,407個、同24.2%減と3年ぶりのマイナスに転じた。
東洋製罐のアルミ缶出荷
02年度は3%増、PETは7%増
東洋製罐の2001年度における飲料容器の全出荷金額は2,827億円で、前期比3%減となった。内訳は金属缶1,737億円・同5%減、PET1,090億円・同6%増。
出荷量ベースでは金属缶が5億3,800万ケース・同5.3%減、PET50億本・同7.6%増。金属缶の内訳はスチール缶が約3億6,000万ケース(同9%減)、発泡酒などが好調だったアルミ缶が約1億7,800万ケース(同3%増)。また、PETは小型容器が35億本・同8%増、大型容器が15億本・同5%増。「依然金属缶からPET容器への移行に歯止めがかからない」という。
2002年度出荷は金属缶が3%減、PETが12%増(小型容器14%増、大型容器5%増)を見込んでいる。
京都ダイカスト社長に熊木常務昇格
京都ダイカスト工業は5月30日開催の取締役で熊木勉(くまき・つとむ)常務取締役の社長昇格を内定した。6月27日開催の定時株主総会後の取締役会で正式決定する。南口晋介現社長は非常勤取締役に就任する。経営陣の若返りを図るのが狙い。
熊木勉氏は昭和23年1月生れの54歳、埼玉県出身。昭和46年専修大学商学部卒業後、扶桑軽合金(現アーレスティ)入社、平成7年同社業務管理部長、11年東松山工場長を経て、13年6月京都ダイカスト工業常務取締役に就任。
三菱マ野副常務、副社長に昇格
アルミカンパニー社長に馬場氏
三菱マテリアルはこのほど、野副明邑常務取締役アルミカンパニープレジデントの副社長昇格を内定した。同常務は同社序列No.4の副社長として社長補佐・CTO(Chief Technology Officer)・技術関係を担当する。同社でアルミ関連担当役員が副社長にまで昇格するのは初めて。後任のアルミカンパニープレジデントには、馬場修一執行役員同バイスプレジデント(写真)が常務に昇格して就任する。6月27日の株主総会で正式決定する。
昭和フロントが表彰式開催
ストアフロントコンクール
昭和フロントはこのほど、都内のホテルで第33回ストアフロントコンクールの表彰式を行なった。最優秀作品に授与されるグランプリには静岡県・浜松市の「アウディ浜松」(写真)が選ばれた。設計者はトライ・アーキテクツ社、建設施工店は矢作建設工業、販売・加工店はトーカイ・ナック。福地成治社長からそれぞれ賞金と賞状が手渡された。
今回の応募作品は商業施設を中心に1,034点で、その中からストア、飲食店、各種サービス・複合商業施設、住宅・オフィス・公共施設−−の4部門について金銀銅賞、特別賞など計17点が選出された。グランプリの「アウディ浜松」はガラスとサッシで外壁を構成する美しく繊細なガラス建築物で、細径のアルミフロント材「ネオスリム」を使用し、壁面を斜めに設計するなど光の効果を十分に発揮したデザインが高評価。
住軽金の役員人事
(6月27日付)相談役(取締役会長)佐藤史郎▽常務(取締役支配人)高木邦昭▽常務取締役営業本部伸銅品統轄(取締役営業本部副本部長)関田忠雄▽取締役生産本部名古屋製造所副所長兼品質保証部長、山内重徳▽常任監査役(日本アルミ副社長)田中武雄▽非常勤顧問(常任監査役)関山徹。
ユニファスアルミ副社長に藤口氏
ユニファスアルミニウム(加藤仁社長)は6月28日付で藤口聡史氏が代表取締役副社長に就任する人事を内定した。同氏は25日付でスカイアルミニウム社長に就任する予定。その他役員人事は、▽専務(常務)宮下進▽常務(取締役)野口泰秀▽取締役、長野隆司▽同、佐々木愛明▽退任(代表取締役会長)平田英之。
押出設備の設置状況‥‥‥本誌アンケート調査
6月現在245基、一昨年比16基減
建材不振で大手はさらに廃棄へ
アルミ押出設備の縮小が加速している。建材の需要不振などによる余剰設備を大手各社が廃棄しており、2000年7月の前回調査に比べ押出会社数は3社減の37社に、保有押出基数は16基減の245基となった。これからも一段と削減が進む。
本誌はこのほど、国内アルミ押出メーカー37社を対象に、押出機の設置状況および生産状況に関するアンケート調査を実施した。2000年7月の前回調査から約2年ぶり。
それによるとアルミ押出メーカー数は前回調査の40社から37社に3社減少した。三井金属鉱業が1,800d1基を休止し、押出業界から撤退したのをはじめ、住友化学系の泉軽金属も営業権を三協アルミに譲渡、押出機2基を廃棄。エクステリア用形材が主力だった独立系の沼田金属工業も押出部門から撤退した。また、単一の押出工場としては国内最大規模を誇った富山軽金属工業は昨年12月、親会社の三協アルミが吸収統合。さらに立山合金工業も今年10月、親会社の立山アルミが吸収合併する。
2002年6月におけるこれら37社が保有する押出機の総数は245基。前回調査に比べ16基、6.1%減少した。保有基数が大幅に減少したのはYKK、日本軽金属、昭和電工等の大手で、これら企業は目下、設備縮小の途上にある。不二サッシなども削減計画を策定、これから実施に入る予定で、今後さらに減少するのは必至の情勢。
YKKは前回調査の45基から39基に削減。同社は2001年度3基(黒部・東北・四国各1基)、2002年度3基(同)、2003年度2基(未定)を順次廃棄し、最終的には32基体制、月産能力14万5,000d体制とする。また、日本軽金属グループも押出事業の再編を進行中で、現状28基のグループの押出機を2003年度までに23基まで絞り込む。
一方、昭和電工は、現状18基の押出機の内、5基程度廃棄する考え。不二サッシも千葉工場の7基体制が過剰なため、年度内をメドに3〜4基を休止、または廃棄処分することを検討中。
押出各社の相次ぐ設備の縮小、廃棄はひとえに建材など需要の低迷による。神戸製鋼や住友軽金属、古河電工などは現状を維持しているが、これは建材の比率が小さく、軽量化でアルミ化の進展が期待される自動車材、IT絡みが多いためだ。
前回調査からこの約2年間に新規増設したのはYKK・九州工場の4,000d1基のみ。今回のアンケート結果でも増設計画を打ち出したメーカーは皆無。唯一、三菱アルミは自動車用熱交材料の増産を目指し、2002年度内に1,650d押出機を2,750d中型機にリプレースする。
一方、海外工場で押出設備を増設、能力を拡大する動きが出始めている。トステムは2002年度内にタイの押出設備を現在の3基から6基に倍増、月産能力を1,500dから3,000dに引き上げる。また、YKKグループは今年6月の稼働予定でYKKAPアメリカに2,500d宇部興産製押出機1基を増設中。さらに中国・深せんに今年11月の稼働予定でアルミ建材一貫工場を建設中で、2,000d級の押出機2基を設置する。
《週間トピックス》
◆トステムSW工法用パネルが防火認定
トステムのSW工法(軸組・ツーバイフォー)用構造体パネルがこのほど、防火・準耐火構造に関して日本窯業外装材協会の指定外装材を使った仕様による国土交通大臣認定を取得した。これにより、SW工法用構造体パネルでトステムのセラミックウォールを始め、各社より発売されている窯業系防火サイディング(旧通則認定仕様)を引き続き使用して建築することが可能になった。
◆三協アルミが「えらんでねっと」開発
三協アルミは代理店・販売店・工務店向けに、インターネットによる住宅建材の検索・見積り・発注システム「えらんでねっと」を開発、運用を開始した。インターネットに接続しホームページを閲覧できる環境があれば、既存のパソコンを使った簡単な操作により、住宅建材商品約60万点の検索・見積り・発注が可能。断熱、遮音、防火等の性能で検索出来る機能も導入した。初年度約1,000店の導入を見込んでいる。
◆三協アルミが生産本部を新設
三協アルミは6月1日付で、ビル、住宅、エクステリア、形材製造の各事業本部の生産部門を横断的に統括する「生産本部(生産本部長=大石幸男専務執行役員)」を新設した。本部内に各事業本部毎の統括責任者を置き、生産設計〜生産までを事業本部と連携しつつ、部門完結として一貫した運営を図る。
品質・コスト・納期面での管理機能強化を図り、徹底したトータルコストダウンと商品優位性により市場競争力の一層の向上が狙い。
◆LM表面技術部会が記念例会
(社)表面技術協会・ライトメタル表面技術部会は7月5日、工学院大学(東京・西新宿)で「第250回記念例会」を開催する。内容は、▽電着塗装の建材への適用成功の歴史と今後の建材塗装の行方▽セラミック塗装による超耐久性住宅▽アルミニウムナノテク研究会報告▽半導体製造装置への表面処理▽アルマイト触媒を応用したVOC浄化装置の開発▽マグネシウムの表面処理▽展伸用マグネ合金のプレスフォージング法▽マグネ合金のノンクロム化成処理とめっき。問い合わせ・申込みは電話03-3252-3286まで。
◆トステムの茨城県石下工場が竣工
トステムが東日本における玄関ドアの拠点工場として建設を進めてきた「石下工場」(茨城県結城郡石下町)がこのほど完成し操業を開始した。同工場はこれまで藤花(茨城県)、久喜(埼玉県)、野田(千葉県)、一関(岩手県)の4工場に分散していた玄関ドア・引戸の生産を集約、効率化を図ったもの。延床面積は約6万uで加工工場としては同社最大規模。敷地内に延床面積約4万uの大規模配送棟を併設している。総投資額は約85億円。初年度生産予定額は300億円。
◆不二サッシグループの環境事業
不二サッシ(門田三郎社長)の2001年度の環境事業売上げは54億円、前年度比25%増となった。今年度は69億〜70億円の予想で、04年度には100億円を見込んでいる。また廃蛍光管のリサイクルを行っている子会社の不二倉業(神奈川県・寒川町、池田誠社長)の01年度売上高は40億円、今年度は少なくとも50億円を超える見込み。「3年以内にグループ全体の環境事業売上げで200億円を達成する」(門田社長)考え。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
|