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NO.1593(2002年07月15日号)
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堀金属表面処理工業が量産化
通電性のマグネ陽極酸化皮膜
Alホイールのクロムメッキも
堀金属表面処理工業は通電性を有する耐食性皮膜を形成、電子機器筐体にも利用が可能なマグネ合金への陽極酸化処理を量産化した。アルミホイールのクロムメッキ処理の新会社も設立、総合的な表面処理が行なえる体制を構築する。
堀金属表面処理工業(静岡県小笠郡、堀辰男社長)はこのほど、優れた耐食性とともに、通電性も併せ持つ皮膜を実現するノンクロムのマグネシウム陽極酸化処理の量産を開始した。帯電防止性、電磁波遮蔽性が必要な、携帯電話など電子機器筐体への利用が可能な新しい処理技術。従来、マグネシウム合金への陽極酸化処理は、耐食性・塗膜密着性に優れるものの絶縁性の皮膜しか得られないため、携帯電話、ノートパソコンケースなどへの利用拡大の障害となっていた。
この新しい処理技術は岡山県工業技術センターと共同で開発したもので、3月に特許を出願した。ノンクロム電解液を使用、電流・電圧・加工時間などの電解条件や膜厚を制御することで、通電性耐食皮膜を形成することに成功した。
新しい陽極酸化処理ラインは今年2月、岡山工場(岡山県高梁市)に導入した。同社は2年前に防錆性に優れたマグネシウム陽極酸化処理技術を実用化し、岡山工場内にラインを設置済み。自動車部品を主体に量産を行なってきたが、今回さらに改良を加えることで従来処理と同等の防錆性とともに、通電性も実現する技術を実用化した。
現在、同社のマグネシウム陽極酸化処理は携帯電話筐体換算で月間約50万個の設備能力を持つ。新たに開発した陽極酸化処理では携帯電話筐体などを中心に量産を行なっており、大手電機メーカーからの引き合いも多数寄せられている。
携帯電話などでは防錆目的で化成処理を施すが、極めて厳しい耐食性が要求される電子機器類では不十分とされる。陽極酸化処理は塗膜密着性・耐食性を高めることが可能。同社ではマグネシウムホイールへの陽極酸化処理技術も確立しており、100万回の回転テストでも塗膜が剥離しないな ど極めて高い耐久性を実現した。
同社はマグネシウムの陽極酸化処理について外部への技術供与にも積極的。同社が中心となって成形、加工、塗装メーカーなどとグループを形成、電機メーカーなどから受注する体制作りも進めつつある。また、「現在は陽極酸化した後、塗装を施さないとなかなかお客さんが要望する色が出せないが、染色法で化粧まで仕上げる」(堀社長)など、ニーズに合せた技術開発も行なう。
同社は岡山工場と本社の2工場体制。売上高の約8割が化成処理、約2割が陽極酸化処理。素材別では鉄が7割、残りがアルミ。陽極酸化はアルミホイールへの処理なども手懸けている。
この5月には、バフ研磨、機械加工メーカーとの3社共同で、乗用車用アルミホイールのクロムメッキ専業会社「伊賀ケミカル株式会社(本社:浜松市)」を設立した。工場は三重県上野市に設け、9月中をメドに設備を導入する。光輝性仕様のアルミホイールクロムメッキ処理を行い、処理能力は1ピース換算で月間2万5,000本。メッキラインの導入は同社として初めて。
堀金属はアルミニウムの表面処理分野でも、表面処理の持つ様々な機能性を応用した新しい技術開発を進めており、「総合的に表面処理が出来る体制を構築する」という。
5月の軽圧品出荷、1.4%減
コンデンサなどIT関連急回復
日本アルミニウム協会が発表した5月のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板類は生産11万4,169d(前年同月比2.1%減)、出荷11万6,658d(同2.6%増)となった。生産は13ヵ月連続のマイナスながら、減少幅が縮小。出荷は2ヵ月連続のプラス。缶ボディ材が引き続き高水準の上に、IT関連需要が急増している。
また、押出類は生産7万9,355d(同6.3%減)、出荷7万9,233d(同6.6%減)。マイナス幅は縮小傾向にあるものの、生産は16ヵ月連続、出荷は17ヵ月連続の減少。IT関連需要は回復傾向を示したが、主力の建材向けに依然回復の兆しが見られず、低水準で推移している。
一方、箔は主力のコンデンサ向けの急回復を受け、生産が1万2,304d(同14.3%増)、出荷1万2,723d(同19.0%増)とともに2カ月連続で増加。コンデンサ向けは昨年8月の1,226d(前年同月比61.6%減)を底に回復に転じ、4月は3,637d、同44.3%増となっている。
古河とスカイ、ブランド統合
カラーアルミ「ファスコート」
古河電工とスカイアルミニウムはこのほど、両社で発売するカラーアルミのブランド名を「ファスコート」に統合した。販売統合会社のユニファスアルミニウム発足後、古河カラーアルミへの製造統合と深谷工場への研究開発統合がほぼ完了したことを受けた処置。これまで古河電工は「古河カラーアルミ」、スカイアルミは「スカイコート」をそれぞれ、カラーアルミのブランドとしてきた。今回の統合を機に、保証体制を充実させるとともに、新機能製品の開発をさらに積極化させる。
新ブランド「ファスコート」で発売するカラーアルミはアルミ素材表面に各種機能性塗膜を付与した材料。導電・潤滑性、防汚性、高成形性、遮熱性、意匠性、耐候性、高反射性、抗菌防カビ性、帯電防止性−−などの機能を持つ9シリーズをラインアップしている。
その中で、最近製品化されたのが「ファスコートクリーン」と「ファスコートアート」。「クリーン」は(財)土木研究センターの「防汚1種」認定を業界で初めて取得した製品。高い防汚染性を有し、防音壁・バントラック外板・キッチン周辺機器外装などへ幅広い採用が期待されている。また、「アート」は意匠性を高めた製品群。中でも「ビーズ」はこれまでポストコートでしか出来なかった立体感のある窯業調を実現、建材外装や化粧板などへ採用が広がりつつある。
今回のブランド統合と合わせて保証体制も整備。業界では初めて、「カラーアルミ屋根用材料穴明き15年保証」と、一部ポリエステル系塗膜について「塗膜10年保証」を実施する。
日軽金、押出2基を廃棄
蒲原は管・棒と特殊品に特化
今期7億円の収益改善効果
日本軽金属は6月27日、蒲原押出工場の押出機2基と皮膜設備を9月末で廃棄すると発表した。昨年11月策定の「日軽金グループの中期経営計画」に盛り込まれた「押出事業の構造改善」に基づく計画的な押出設備廃棄の一環。これにより同工場で約100名の余剰人員が発生するが、蒲原地区を中心とした再配置で吸収する。アルミ押出事業は今年10月、「日軽金アクト」として分社化されるが、「負の遺産処理」を行なったうえで新体制へ移行する。
今回廃棄する設備は@直接押出1,500d1基(昭和49年4月稼働)A同1,650d1基(昭和50年6月稼働)B皮膜設備・月産能力1,000dライン(平成元年4月稼働)。
2基廃棄後の蒲原押出工場の押出設備は@直接単動2,150d1基A間接複動3,900d1基B間接複動3,000d1基−−の間接押出機を主力とする3基体制となる。生産品目も自動車・二輪車部材、感光ドラムなど電機電子部材、冷間鍛造素材、抽伸素管などの管棒及び特殊品に特化。建材、汎用形材は、よりコスト競争力のある新日軽に生産集約、グループ全体での最適生産化を進める。
押出機廃棄に伴い、設備およびダイスの除却損12億5千万円が発生するが、平成15年3月期中間決算で特損として処理する予定で、既に発表されている今年度業績予想には織り込み済み。一方、設備廃棄による固定費削減で、押出事業部門では今期7億円(平年ベースで11億円)の収益改善を見込んでいる。
日本軽金属は新日軽・理研軽金属・日軽形材・金秀アルミを含むグループで当初30基あった押出機を03年度末までに23基体制とする構造改革を実施中。今回の蒲原工場の2基廃棄で26基まで縮小し、さらに関連会社関係で3基の除却を予定している。
KOK前3月期、経常損52百万円
IT不況直撃で販売数量36%減に
軽金属押出開発の02年3月期業績は、売上高が12億4,900万円、前期比31.5%の大幅減収となり、最終損益で4,400万円の損失を計上(前期は400万円の損失)。連続2期実施した2%配当を無配とした。経常損益も5,200万円の赤字で、前期の2億1,500万円の黒字から大きく悪化した。売上高は17年前の水準。
IT不況の影響で半導体製造装置用の大型棒が激減するなど大型アルミ押出材の需要が低迷した。出荷数量は4,893d、前期の7,616d比35.8%の減少。
立花金属の前3月期決算
最終損186百万円、無配
立花金属工業の前3月期決算は売上高76億900万円(前期90億2,300万円)、営業損失1億1,900万円(同1億7,700万円の利益)、経常損失1億3,100万円(同1億5,200万円の利益)、当期損失1億8,600万円(同2,800万円の利益)と赤字転落した。配当は無配(同3円)。
建材、工業用品、電子材料など全般にわたるアルミ押出材の需要不振と販売単価の下落が響いた。売上高内訳は押出材58億4,200万円(前期比16.8%減)、引抜材16億4,400万円(同11.2%減)、購入品1億2,200万円(同18.1%減)。今期は売上高75億7,900万円、経常利益8,400万円と水面浮上を予定。
日軽金、感光体ドラム材を増産
02年度1300万本、18%増計画
日本軽金属のカラーコピー機用感光体ドラム材の生産が順調に伸びている。生産量は2000年度の930万本から01年度は1,100万本に拡大、02年度には1,300万本へ18%増を見込んでいる。同社は感光体ドラムでは後発だが、自社開発の専用新合金と総合管理システムによる高精度製品の安定供給体制を確立。この6月、主要納入先のリコーからこれまでの納入実績とSCM(Supply Chain Management)が認められて、優秀仕入先特別賞を受賞した。
感光体ドラムはコピー機の心臓部品。カラーコピー機では4色を重ねて色彩を再現するため4本の感光体ドラムを使用するが、形状精度及び表面性状が高度に均一であることが要求される。
日軽金は感光体ドラム用の新合金58D5、6D63、3F03を開発。既存合金の1050、3003、6063に比べて剛性・鏡面切削性に優れ、ファインアルマイト処理にも最適という。また、一貫した技術管理システムによって晶出物・介在物や加工変質層の発生も大幅に抑制。超精密加工技術を駆使することで、ドラムの振れや円筒度を20μm以下に抑え、表面粗さも規定値の±0.1μmという高精度を実現している。
同社のアルミ押出事業は脱建材・より高付加価値化を推進しており、感光体ドラム事業はその一つ。今後、これら超精密加工技術や合金特性を活用し、IT関連機器に代表される小型精密機械部品への新たな用途開発を推進する。
木質内装建材の大連工場が完成
初年度生産15.7億円、トステム
トステムはかねて中国大連市の経済技術開発区大連工業団地内に、木質内装建材の量産工場を建設していたがこのほど完成、6月28日、中国政府・地元関係者および菊地光男社長など、合計300名の出席のもと、現地で竣工式を行なった。新工場は同社の非アルミ事業の海外製造拠点として、商品名「リビング建材」の木質内装建材類を生産し、全量日本向けに出荷する。
トステム大連(大連通世泰建材有限公司)は2001年4月、トステム100%の中国法人として設立。董事長は菊地光男トステム社長が兼任し、小川康彦董事が現地の総指揮をとる。同社は総額86億円を投じて、RC・S造り平屋建て・一部2階建ての工場1棟(延べ床面積71,250u)、厚生棟1棟(RC造り・同3,922u)、寮(RC造り・同16,854u)を建設していた。
新工場は生産品目が住宅設備機器と木質内装建材。これら商品群は今後の成長が期待される住宅リフォーム用が中心。第一期工事は木質内装建材からスタート。従業員は操業開始時600名、最終 的には3,000名の予定。今後、64億円を投入、設備機器対応の第二期工事も予定している。
古河鋳がアルミ製ピット蓋拡販
大型・薄肉ダイカスト技術利用
古河鋳造は変電所の側溝の蓋などに使うアルミダイカスト製ピット蓋を開発した。商品名は「ADタフボード」。昨年の夏から発売を開始し、累計で約2万枚の販売実績を上げるなど、受注が好調。従来、こうしたピット蓋は鉄製やコンクリート製が主体であったが、公害問題やリサイクル性に乏しいなどが難点であった。
「ADタフボード」はサイズが790×740o、重量17s/枚。特徴は、@アルミニウムのリサイクル性を生かし、再利用が可能A屋外の長期使用にも充分耐える優れた耐蝕性と耐候性B鉄・FRP複合板より比重が軽く、裏面がリブ構造となっているため「低たわみ」など軽量・高剛性C非磁性のため渦電流による発熱がない−−など。
同社はPDP用部品など、非自動車分野における大型薄肉ダイカスト製品の強化に力を入れており、「ADタフボード」もその一環。
板類・押出類の特殊分類出荷
99-01年度実績、アルミ協会
日本アルミニウム協会がまとめた「2001年度のアルミ板材及び押出材の特殊分類出荷実績」によると、板類では主力の缶材が43万5,983d、前年度比4.1%増と3年連続で過去最高を更新。PETボトルの伸張を背景にしたスチール缶向けの落ち込みでエンド・タブ材は96年度の17万4,257dをピークにマイナス基調にあるが、ボディ材が6.9%増と好調。乗用車向けは1万9,282d、同11.5%増と3年連続でピーク更新。一方、熱交換器向けは生産の海外シフトを映し、4.2%減に。印刷板も7万1,892d、同5.2%増と3年連続で過去最高を更新。その他、LNG船向けは9,350d、前年度比129.4%増に(過去最高は92年度の1万3,532d)。
一方、押出類では、主力のサッシ・ドア向け51万5,049d、同10.2%減。過去最高を記録した90年度の67万7,980d比では24%減の水準。自動車向けは11万356d、2.7%減だが、乗用車向けは3万8,485d、1.3%増と2年連続で過去最高を更新した。
《週間トピックス》
◆5月の二次合金出荷、4.1%増
日本アルミニウム合金協会が発表した5月のアルミ二次地金・同合金地金需給統計によると、生産は7万8,991d・前年同月比6.7%増、出荷は7万7,765d・同4.1%増となった。プラスは生産が3ヵ月、出荷が4ヵ月連続のこと。
産業部門別出荷では、鋳物が2万1,489d(前年同月比6.6%増)、ダイカストが3万9,475d(同8.2%増)と主力分野がプラスなものの、板6,200d(同9.5%減)、押出5,592d(同3.0%減)などは引き続きマイナス基調。
◆三協ア、利益大幅上方修正
三協アルミニウム工業は6月28日、平成14年5月期単独経常利益が24億5,000万円になる見込みと発表した。前期は57億3,100万円の欠損。売上高は1,818億円・前期比1%減で、住宅用建材を始め全般に予想を下回るが、外部購入品の調達コスト・経費削減に加え、ビル用建材の価格是正効果により経常利益は今年1月時点の予想13億円から大幅な上方修正に。特損として10億3,000万円を計上、当期純利益は11億5,000万円(前期は205億5,900万円の欠損)。なお、連結業績は売上高2,110億円、経常利益16億円、当期純利益6億円の予想。
◆日箔、今11月期も赤字脱却ならず
日本製箔は6月28日、今11月期決算の修正見通しを発表した。中間決算は売上高86億円(前年同期比8.9%減)、経常損失4億2,000万円(前年同期は1億6,200万円の損失)、当期純損失8億5,000万円(同6億8,300万円)の損失。上期ベースでは2期連続の赤字に。希望退職を含む合理化策を実施したものの、高付加価値製品の不振及び販価下落の影響が大きく、期初計画を下回った。下期は上期に実施したコストダウン効果や季節商品の需要期入りが見込めるが黒字化には至らず、通期で売上高179億円(前期比2.5%減)、経常損失5億1,000万円(前期は4億7,400万円の損失)、当期純損失9億7,000万円(同18億1,000万円の損失)の予想。
◆KOK社長に神鋼の尾崎氏
軽金属押出開発は6月21日開催の株主総会とその後の取締役会で社長に神戸製鋼の尾崎幸一氏を選任した。アルミ圧延大手が出資する同社の社長は、住友軽金属、神戸製鋼、古河電工の筆頭株主3社が2期4年交替で派遣する。尾崎氏は神戸製鋼アルミ・銅カンパニーのアルミ鋳鍛品製造拠点である大安工場長からKOKに転じた。
◆日軽金が全社改善発表会開催
日本軽金属は6月23日、新潟市のウェルシティ新潟において第3回全社改善発表大会を開催した。新潟工場、東洋アルミ日野工場など9工場・小集団11グループが出席者140名の前で成果を発表。自動車材関連の改善提案が多かった。
佐藤社長は「お金はマーケットからしか頂けない。生産現場も『創って・作って・売るサイクル』の立場からものを考えて欲しい」と挨拶した。
◆新日軽の役員異動
(6月27日付)▽取締役常務執行役員管理本部長(みずほ銀行横浜東口支店長)木村登▽取締役執行役員特命担当(常勤監査役)鷲崎弘朋▽執行役員住宅建材事業本部副本部長(生産担当)兼生産・技術本部北陸製造所長(日本軽金属滋賀工場長)秋吉勝海。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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