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NO.1613(2002年12月02日号)
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ソディックプラステック
新方式のMg合金射出成形機
今年度販売実績、約10台に
ソディックプラステックのマグネシウム合金対応射出成形機「Mg-Plus」は発表以来、大きな反響を呼んでいるが、この12月に国内メーカー3社に260d、180d、40d各1台を納入することが決まった。今年度受注は10台程度を見込んでいる。
ソディックプラステック(横浜市港北区、藤川操社長)はホットチャンバー方式やチクソモールド方式とは異なる、世界で初めての原理を採用したマグネシウム合金対応射出成形機「Mg-Plus」 を開発し、大きな話題となったが、同社の藤川操社長は本誌と会見し、これまでの受注状況や今後の販売戦略などを明らかにした。
Mg-Plusシリーズは現在、型締力で40d(写真)、80d、180d、260dの4機種の品揃え。各機種とも、棒形状のマグネシウム合金を加熱したシリンダーに挿入し、溶解させ、送り出す「溶解装置」と、送り出されたマグネシウム合金の溶湯をシリンダーに計量し、二つのシリンダーをつなぐ流路をシールした後、プランジャによって射出する「射出装置」から構成されている。「第1号機を開発・製品化して以来、改良に改良を重ね、現行機は“第3世代機”」(藤川社長)。
主な特徴は、@棒形状マグネ合金であるため材料の取り扱いに危険性がないA空気を巻き込まずマグネ合金を溶解するので、酸化スラッジが発生せず、その除去作業も不要BSF6など有害な不活性ガスを使用しないなど環境面で配慮Cプランジャー方式の射出機構は精度良くマグネ合金の溶湯を計量し、射出することが可能D射出シリンダーのシールにはピストンリングを使用せず、摩耗のない独自のシール方式を採用E半溶解から完全溶解の温度帯に対応でき、薄物、厚物成形に応じた温度帯を選定可能F溶解、射出のシリンダーが分かれているので、射出率を変えずに成形品の成形量に合わせた溶解シリンダーの選定が可能G成形品の成形量に近い量を溶解して成形するため省エネHメンテナンス部品が少ないため、メンテに必要な時間と費用が減少し、コストダウンを実現する−−など。
同社は4月の販売開始後、積極的な受注活動を展開してきたが、この12月に初めての実績として、260d、180d、40d各1台を国内3社にそれぞれ納入する。260dはマグネのダイカストで実績のある大手で、携帯電話筐体など外観部品を生産。180dは小型外観部品と機構部品、40dは機構部品の成形に充てられる予定で、いずれもアルミと亜鉛のダイカストを手懸けている企業。「発表後、多くの引き合いがあり、現在10社程度に的を絞って営業活動を行なっている」。
今年度中には全部で10台程度の販売を見込んでいる。大半が260dで、残りは180dと40d。また日本国内は半分程度で、その他は中国、台湾、韓国など海外向けという。
藤川社長によれば、「成形品の品質・安定性などは従来のダイカスト機、チクソモールディング機と同等という評価を得ており、その一方で、材料の扱いが楽であることやメンテナンスの軽減、不活性ガスやチャンバーを使わないため環境改善につながる点などが評価されている」という。
今後のシリーズ化については「大形化はせいぜい650dまで」。「先ずは最大手の成形メーカーと取引き実績を作っていく。導入後実際に成形を始めて半年から1年経てば状況がはっきりしてくるので、それを踏まえて今後の販売目標を設定する。今年度中にある程度の実績が付けば、年間30台の販売は十分可能だろう」としている。
ベナルム地金交渉、最終決着
年9万d・4年間で36万d
CVGベナルムの日本株主バイヤー5社(昭和電工、神戸製鋼所、住友化学工業、三菱マテリアル、三菱アルミニウム)はこのほど、「アルミニウム地金売買契約の更新」に関して最終合意に達し、今年4月から中断されていたベナルムから日本向けのアルミニウム地金出荷が今年12月から再開されることになったと明らかにした。
更新される契約の有効期間は2002年11月〜2006年3月で、その間、従来と同じく年間9万dの4年間相当量である合計36万dがベナルムから日本に出荷されることになる。
今回の契約更新交渉は今年2月2回、7月1回、8月1回と数度にわたって行なわれたが、双方の主張に隔たりが大きく、難航した。このため、10月31日、ベナルムのベネズエラ側株主であるガイアナ開発公団(CVG)のフランシスコ・ランヘル・ゴメス総裁と、日本側株主交渉団を代表した昭和電工の古澤昭専務取締役アルミニウム事業部門長との間で行なわれた“トップ会談”において、「日本向けアルミニウム地金出荷が中断している現状を早期に解決すべき」との考えで一致、双方から歩み寄りの提案が示されたことで契約更新の基本条件に合意したもの。
価格条件など具体的な内容は「双方の合意により明らかにできない」が、「株主バイヤーである日本側5社の立場を考慮した内容」としている。
契約更新後の第1船は1万d規模の船積みを行ない、今年12月に出航、来年1〜2月に日本に入着する見込み。
アルミネ、経常・当期益黒字化
鍛造用棒など高付加価値品好調
アルミネ(竹内正明社長)の2002年9月中間決算は売上高が45億2,400万円(前年同期比3.8%増)、営業利益2億7,100万円(同105.3%増)、経常利益1億6,000万円(前年同期は2,900万円の欠損)、当期利益2,300万円(同2,900万円の欠損)となり、経常損益、当期損益ともに黒字転換した。生産量が8.6%増加、特に自動車向けなどにアルミ鍛造用棒が31.9%増となるなど高付加価値製品の販売増が寄与した。
通期の予想は売上高100億3,000万円(前期比14.5%増)、経常利益4億7,000万円(同1,075.0%増)、当期利益2億円(前期は2,600万円の欠損)。なお、9月中間期の減価償却費は4億6,200万円。
ワシマイヤー製Mg鍛造ホイール
ポルシェ社が標準装着用に採用
「BBS」ブランドの乗用車用ホイールメーカーのワシマイヤー(福井市、小野稔社長)はこのほど、ドイツのポルシェ社と英国のベントレー社がワシマイヤー製のマグネシウム及びアルミニウム製鍛造ホイールを採用することを決めたことを明らかにした。
ポルシェは来年発売予定の最高級仕様車「カレラGT」にワシマイヤー製マグネシウム鍛造ホイールを組立ライン装着用に採用する。マグネシウム鍛造ホイールが標準装着として自動車メーカーに採用されるのは世界で初めて。口径はフロント用が19インチ、リア用が20インチ。ワシマイヤーがポルシェと共同開発したマグネ鍛造ホイールは同サイズのアルミ鋳造ホイールに比較して約30%の軽量化を実現した。ポルシェ向けには差し当り、限定1,000台分(4,000本)を来年中頃から出荷する予定。
一方、ベントレー向けは同社が来年発売予定の「ベントレーコンチネンタルGT」に装着する、19インチ径2ピースアルミ鍛造ホイール。同型のアルミ鋳造ホイールの重量18sに対し13sと軽量化を実現した。差し当り1,000台分(4,000本)程度を来年前半から出荷する予定。
リチウムイオン電池ケース用に
日軽金がアルミ板の拡販に注力
日本軽金属は携帯電話用リチウムイオン二次電池のアルミケース用のアルミ合金材を開発し、製造、販売している。リチウムイオン二次電池のケースは従来スチール板が主に採用されていたが、近年、軽量化ニーズから急速にアルミ化が進んでおり、日軽金のアルミケース用合金板材はリチウムイオン電池ケースとして月間500〜600万個採用されるに至っている。
日軽金はリチウムイオン二次電池ケース用アルミ材として、新たに「LBシリーズ」というアルミ合金板材を開発。従来の「JISA3003P(Al−Mn合金)」を改良し、同等の溶接性と成形性を維持しながら引張強度を15〜20%向上させた。
リチウムイオン二次電池は携帯情報端末用の電池に続き、ハイブリッドカーや電気自動車、燃料電池自動車などのバッテリーとしても注目されており、日軽金では「LBシリーズ」に続く高機能材を開発、新しい需要分野に対応していく考え。
アルミ鍛造業界‥‥‥本誌アンケート調査
足廻りなど自動車向けが拡大
大型プレスなど設備増強の動き
本誌はこのほど、「アルミ鍛造品製造会社のアンケート調査」を実施した。各社の生産能力・生産量は表の通りだが、足廻りなど自動車向け熱間品や冷間鍛造品、溶湯鍛造品の受注が拡大、各社とも繁忙感が増しており、設備増強の動きもある。
経済産業省機械統計によると、アルミ鍛造品出荷量は97年暦年に3万791dを記録、過去最高である91年の3万1,874dに迫った。翌98年には2万4,331dに落ち込んだものの、この水準を底に99年2万5,492d、2000年2万7,850d、01年2万9,139dと拡大。今年上半期実績でも1万5,470d、前年同期比9.0%増と伸び、過去最高を更新する勢いで推移している。
とりわけ、需要の7割弱を占める自動車向けは、99年1万5,648d(対前年比15.2%増)、2000年1万7,778d(同13.6%増)と2桁の伸長を見せ、01年は前年比12.4%増の1万9,987dと97年の過去最高1万8,159dを4年ぶりに更新した。今年上期実績でも1万781d、前年同期比13.9%増と好調が続いている。
根強い「アルミのAD関与説」
連絡協議会が消費者意識調査
アルミニウムと健康連絡協議会(佐藤昭一議長)はアルミニウムとアルツハイマー病(AD)に関する消費者アンケートを実施し、このほどその結果を公表した。“アルミニウムがアルツハイマー病の原因ないし関連因子である”とする仮説は、WHO(世界保健機構)、英国アルツハイマー病協会などが否定する見解を発表しているが、わが国ではこうした説がたびたび流布されている。これまで一般消費者がどの程度認知しているかを客観的に測定したデータはなかった。今回の調査は、首都圏の男女1,000人(15〜69歳)を対象に行なったもので、回収数は761人。
調査結果によると、アルミニウムのアルツハイマー病関与説を「聞いたことがある」との回答は39%。その情報源としては、@テレビ(45%)A本・雑誌(34%)B友人(25%)C新聞(24%)−−で、「口コミよりもメディアによる認知が多い」という。
また、「アルミニウムとアルツハイマー病に関係があると思うか」との問いに対しては、「わからない」が半数(48%)を占め、残りは「かなり/少しは関係していると思う」が23%ずつと半々であった。“アルミ仮説”を聞いたことのある人のうち、「関係あり」とする比率は52.0%と高く、中でもテレビが54.5%とマスコミから聞いた人は一段と高く、「マスコミの影響力が実感される」としている。
一方、「WHOなどでは、関係がないとの見解を出しているのを知っている」は7%にとどまるなど、正しい知識を持っている人は少なかった。
同協議会ではこうした結果を受け、正しい情報のより一層の広報PRの需要性を改めて認識しているが、同時に「マスコミは社会的責任を踏まえて、客観的で正確な報道をする」よう訴えている。
マグネ押出材の量産技術確立
サンプル出荷開始、本多金属
アルミ押出メーカーの本多金属工業(名古屋市中区、青木茂雄社長)はマグネシウム押出材の量産技術を確立した。岐阜県製品技術研究所と協力して技術開発を進めてきたもので、既にAZ31材、AZ61材を素材に、既存の1500dクラスの押出機で成形した試作品のサンプル出荷を行なっており、早期の受注獲得を狙っている。11月7〜9日に開催された「素形材技術展2002」でサンプル品を公開した。
素形材展ではソリッド(中実)、ホロー(中空)など各種断面形状の押出形材製品のほか、AZ61の押出形材を真円に曲げてTIG溶接した乗用車用リムを展示。さらに、丸棒からの鍛造加工も可能として、ユーザーによる加工例も展示した。
同社ではAZ31B材を中心に量産が可能な体制を構築しており、その他の高力材も数量により生産可能としている。
「リニアモーター式」自動ドア
立山アルミニウムが開発・発売
立山アルミニウム工業(要明英雄社長)はこのほど、リニアモーター構造を採用した自動ドアを開発、発売した。従来の回転駆動エンジンに比べ、静かで、よりスムーズな開閉を可能にした。
「リニアモーター式自動ドア」はコイルと磁石の引き合い(磁力)を原動力として開閉する「リニアモーター式」構造を採用。モーター音のない静かでスムーズな開閉と、非常時でも引戸同様の軽い開閉を可能にし、従来の問題点を解消した。
モーター内のマイコン制御により、ドアに挟まれても反転する「挟まれ防止機構」が付いている。また、従来のエンジン式と違い、各部品の消耗が少なく、省電力設計となっているため、ランニング・メンテナンスコストなどを抑制する。リニアモーターはトヨタ車体と共同で開発した。
上期のカラーアルミ出荷1.2%減
日本アルミニウム協会のまとめによると、今年度上期(4〜9月期)のカラーアルミ出荷量は1万3,541d、前年同期比1.2%減となった。上半期ベースでのマイナスは2年連続。過去最高は2000年度上期の1万4,223d。
内訳では建設資材が8.1%減で2年連続のマイナス(過去最高は90年度上期の6,319d)。
一方、非建設は8,900d・同2.8%増と2年ぶりのプラスに。水準としては過去最高を記録した2000年度上期の8,910dに肉薄した。主力の輸送機器向けが2年連続のマイナスとなったものの、電気・機械機器向けが28.1%増と好調であった。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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