このサイトは、本誌の定期購読契約者のみが利用できるメンバー専用ページです。

NO.1622(2003年02月10日号)

エサブ社
Al溶接材で日本市場本格攻勢
欧米首位の実績で2桁シェアへ


 溶接材料、溶接機の国際的な大手メーカー、エサブ社は自動車メーカーをターゲットに日本市場で本格的な販売攻勢に打って出る。アルミワイヤを中心に市場シェア2桁が当面の目標である。

 溶接材料、溶接機、切断装置分野で世界のトップメーカーであるエサブ(ESAB)社が日本で本格的な市場開拓に乗り出す。当面、部材のアルミ化を進める自動車産業向けなどにアルミニウムワイヤの拡販に注力、欧米での高い実績に裏付けられた製品品質や環境対応をセールスポイントに早期に2桁の市場シェア確保を狙う。また、海外で8割のシェアを占める摩擦攪拌接合(FSW)装置の小型・汎用機を投入、アルミや銅の中小物部品加工用に販売する。
 昨年1月、日本における販売事務所として開設したエサブジャパン(マイケル・スタンダール日本代表、東京都千代田区内神田、電話03-5296-7371)を新年度早々にも法人組織化するとともに、国内販売商社と協力して全国的な販売ネットワークを構築する。
 エサブ社はスウェーデン生れの企業で本社はロンドン。世界19ヵ国に40工場、世界35ヵ国に販売と顧客サポート拠点を持つ多国籍企業。総売上高約1,500億円のうち約65%が溶接材。
 溶接材料では軟鋼、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金などすべてに対応可能だが、「日本市場では取り合えず、アルミニウムワイヤの販売に重点を置く」(石丸靖男統括執行マネージャー)。エサブ社は傘下に世界で最大のアルミワイヤメーカーで、アルコア社から買収したアルコテック(AlcoTec)社を持つ。優れた研究開発体制や、技術面での顧客サポートで定評がある。
 「エサブの溶接材を使うことで溶接作業の合理化・製品品質アップが図られ、トータルなコストダウンが可能なことを強調する」(石丸マネージャー)。環境規制の厳しい欧州での実績から生まれた、徹底したエコロジー志向も大きな特徴。アルミワイヤバルクパック「アルマパック(AlumaPak)」は八角形の容器に収納、表面に防水処理を施した段ボール製で使用後は100%リサイクルが可能。「日本でも数年したら欧州並みにエコ対応が厳しく問われることになろう」。「お陰様でエサブ製品の良さを評価してくださるお客さんが徐々に増えてきている」という。
 一方、FSWではモジュールタイプの汎用小型装置「LEGIOシリーズ」を開発した。5種類の基本形を組み合わせることでさまざまな用途に対応可能なセミオーダー装置。「大型装置で培った技術をアルミなどの小型パーツの加工にも手軽に適用出来るようにしたもので、数千万円台の低い方の水準で提供可能」としている。



磯貝ダイカスト協会長が強調
「コストハーフで空洞化を阻止」
 (社)日本ダイカスト協会は1月21日、帝国ホテルにおいて新年賀詞交歓会を開催した。冒頭、会長の磯貝光之アイシン軽金属副社長が挨拶に立ち、以下のとおり述べた。
 「昨年は日本ダイカスト会議・展示会を開催したが、展示会は3日間トータルで1万7,000人と過去最高の参加者があり、好評のうちに終えることができた。ダイカスト会議もアイシン軽金属の参加申込みが『全部一杯で発表する余地がない』と断られるほど盛況であった。これまでダイカスト業界は自社の技術は他社には公表しないという雰囲気があったが、積極的に外部に発表することで技術交流を進めようという姿勢の現れであり、非常に喜ばしいことだと思う」
 「昨年度に、『グローバルコスト』と『コストハーフ』というキーワードで活動をしていきたいと申し上げた。グローバルコストというのは、現在一番注目されている中国のコストだ。中国でどのくらいのコストで生産されているのかを具体的な数字で把握して、国内で作ってもそれに勝てるコストを作り上げたい。そうすることで空洞化現象を抑えて国内の仕事がますます増えてこよう」 
 「中国に勝てるコストとは、国内で作っている現在のコストを2分の1にする「コストハーフ」を実現することである。そのための技術課題を抽出して一つずつ対策を講じて解決し、さらに技術として確立できるように標準化する必要がある。技術導入も含めて各社努力すれば、空洞化は防げると思う。協会としても中国の技術・生産情報などを収集、会員会社に提供していくことでお役にたちたい」



平野忠昭日本マグネ協会会長
「熱意感じる中国の取り組み」
 日本マグネシウム協会は1月23日、東京・銀座の三笠会館で平成15年新年会員懇談会を開催した。冒頭、平野忠昭会長(写真)が挨拶に立ち、「昨日まで中国に行っていたが、中国のマグネシウムへの取組みは非常に熱意が感じられる。自動車向けを中心に大学、企業で様々な技術の共同開発・研究が行われ、国も重慶の研究所でマグネシウムの技術開発に力を注いでいる。中国のマグネシウム業界では『大が小を飲む』かたちの再編が進み、大手はなお新増設を計画している。純マグネの足下の価格は1万2,500元から1万2,700元と去年に比べて若干高いが、製錬メーカーの横の情報連絡がかなり密になってきている。我々は日本に製錬を持たず、なるたけ安く買いたいわけで、価格の動向に注意する必要がある」と述べた。
 さらに、「インフレの時代が終わりデフレの時代に突入したが、歴史的に非常に稀な事態である。冷戦が終結してロシア、中国が市場経済に入ってきたことと、半導体革命がその原因とされており、そうした認識の下で技術開発・経営を進めていく必要がある。デフレに対処するには“奇策・妙手”はなく、当たり前のことを当たり前にやるのが一番大事。汎用品からの脱却、他社がやっているモノはやらないということに意識を変える必要がある。当協会もそういう認識で、モノ作りに夢を託して活動に取り組んでいきたい」とした。



西日本地区販売代理店2社統合
機能強化と合理化実現、昭和電
 昭和電工は5月1日付で西日本地区におけるアルミ板及び押出品の販売代理店2社を統合、100%出資の新会社「昭和電工アルミ販売株式会社」を設立すると発表した。同地区におけるアルミ製品の商社機能を集約することで、収益性と経営効率の向上を図る。
 統合するのは昭電が19.1%出資する高砂金属(大阪市西区、田中裕三社長、資本金9,960万円)と100%子会社の大伸金属(大阪市阿倍野区、塚口英雄社長、資本金3,000万円)。昭和電工は統合に先立ち高砂金属の全株式を現経営陣などから取得し、存続会社とする。合併新会社の資本金は2億5,000万円で、昭和電工の100%出資となる。代表者は未定。
 高砂金属は前3月期売上高が65億円、従業員数61名。一方、大伸金属は従業員数が18名で、売上高は39億円。高砂金属がエクステリア製品など建材分野、大伸金属がIT関連材料をそれぞれターゲット分野にしており、両社を統合することで販売代理店としての機能強化を図るとともに、管理部門の統合、最適物流体制の確立などによる合理化効果を実現する。



流通市況、東京2品種が5円高
軽圧各社の価格是正徐々に浸透
 全国軽金属商協会・市場調査委員会(委員長=伊藤喬萬世興業取締役)がまとめた昨年12月末の軽圧品流通市況調査によると、東京地区ではアルミ小板と56S棒が前月比5円高となった。その他品種や大阪、中部地区は全品種が変わらず。値上がりは「軽圧メーカー各社の価格是正の動きがジワジワと浸透してきているため」(伊藤委員長)だが、「流通を取り巻く環境は新年に入っても先々の不透明感が強く、まだまだ厳しい状況が続こう」と慎重。
 一方、軽圧各社は2003年に入っても受注残を抱えて生産は高水準を維持。例年であれば不需要期である缶材も、発泡酒やボトル缶の需要が落ちないため操業繁忙が続いている。デジタル家電や通信機器、液晶関連も引き続き好調。反面、建材関連は依然、低調に推移している。
 ひも付き需要が落ちないため、店売り在庫用の厚板、中厚板、太棒の生産が追いつかず、「流通各社は困っている」という。



新技術研究所
Mg合金のリサイクル技術も確立
ノンフラックス精錬と塗装剥離法

 表面処理の新技術研究所は独自開発の塗装剥離法とノンフラックス精錬法により生産性に優れ、環境負荷も小さいマグネシウム合金スクラップのリサイクル技術を確立した。

 タカタ・グループの新技術研究所(平井勤二社長、電話0550-80-1000)は独自開発の塗装剥離技術にノンフラックス精錬法を組合せることで、環境に配慮し、かつ低コストで大量処理が可能なマグネシウム合金スクラップのリサイクル技術を確立した。
 今後、ノートパソコン筐体など塗装済み市中スクラップの発生増加が見込まれているが、塗装済みスクラップはそのまま再溶解すると塗料が燃焼して大量の有毒ガスが発生する。新技術研究所が開発した塗装剥離法は、炎が直接塗膜に接しない「火炎遮断法」という特殊条件下で熱処理を行なって塗装を剥離し、バレル仕上げを施すもの。
 1バッチ30sのスクラップ処理に要する時間は熱処理が20〜30分、バレル仕上げが3分。有毒ガス・有害排水が一切出ないうえに、短時間に大量の処理が可能という。同社はノウハウを確立したことで、今後具体的な需要があれば、工業化に向けた塗装剥離ラインを作る考え。
 一方、「ノンフラックス精錬法」はマグネ合金ダイカストスクラップ中の酸化物をフラックスを使わないで除去、溶解・精製する方法。フラックス法は介在物除去の点では優れているものの、有毒ガス発生による産業環境の悪化やルツボなどの周辺設備の腐食を招くほか、スラッジ処理も必要となる。
 新技術研究所は150s溶解炉と400s精錬炉及び鋳銑機で構成されるテストプラントを設置済み。溶湯ポンプを独自に開発することで、連続溶解して湯を流すシステムを構築。作業環境の改善とともに、処理量が大幅に増大することによる生産性の向上でコストダウンを可能にした。
 さらに、介在物をチェック、精製度を測定・評価する方法として、吸引式フィルター法によるマグネ合金の介在物測定装置を日本で初めて開発。フィルターには測定誤差が出にくくセットしやすい特殊パッキンを使用した。その結果、AZ91D合金については介在物が精製前の60%以上除去されることを確認したという。
 同社では設備全体あるいは設備構成要素、ノウハウを市場に出していく考え。



Mgの需給動向‥‥協会講演会より
CIS/中国、世界の供給の6割強
日本の純マグネ、9割以上中国産
 日本マグネシウム協会は1月22日、江戸東京博物館で「平成14年度マグネシウム利用に関する講演会」を開催した。その中で、宇部興産の上田由高氏は「マグネシウムの応用と需給動向」について講演した。講演概要集から、世界の製錬メーカー、世界及び日本の需給動向に関するポイントを紹介すると……。
 中国からの純マグネ・マグネ合金が日欧米に向けて活発に輸出されたことでマグネ地金価格が低下、Northwest Alloys、Norsk Norway、Pechineyの伝統のある欧米3ヵ所の工場が2001〜02年にかけて生産中止に追い込まれた。西側世界の供給が年々縮小傾向にある中で、現在Norandaが6万3,000MTのプラントをカナダに、AMC(Australian Magnesium Project)が9万dのプラントを05年稼働を目指して計画を進めている。その他、豪州、カナダ、オランダ、コンゴなど数多くの国で複数のプロジェクトが計画されている。
 IMA(国際マグネシウム協会)発表の世界の需給動向によると、CIS/中国からの供給が02年には62%と、ついに世界の半数を占めることになった。別のデータによると、02年における中国の輸出は前年比19%増の20万5,000MTとなり、03年にはさらに23万5,000MTになるとの予測がある。02年の生産量も前年比16.8%増の25万MTに達した模様である。
 一方、需要量は01年は大幅に落ち込んだが、02年は7.8%増と回復、特に36%を占めるダイカスト向けが27%増と大幅に伸びた。
 01年の日本の需要量は2万7,443MT、前年比12.1%減。需要先の67%を占めるアルミ合金向けが1万8,379MT・前年比11.2%減、ダイカスト向けが4,029MT・7.6%減となった。
 続く02年の総需要量は2万9,900MT、前年比9.0%増となった模様。アルミ圧延材の需要はプラスに推移するが、リサイクルの促進もあり、アルミ合金向けはほぼ横ばいの1万8,500MT。一方、ダイカスト向けは自動車分野で引き続き好調な需要に、統計システムの見直しもあり、6,500MT、61.3%の大幅な伸びとなり、総需要に対する構成比は21.7%となった。ただ、台湾・中国など海外での生産戦略の影響を受け、国内におけるダイカスト用マグネシウム需要は厳しさを増している。
 なお、日本におけるマグネシウム(Mg≧99.8%)の供給は、米国の製錬メーカーの撤退を受け、99年以降は中国品が全供給量の90%以上を占めている。
 また、Mg<99.8%の供給も96年頃から中国、ノルウェー/カナダからの輸入量が急増している。



三菱アルミニウム、子会社を再編
エムエーアドバンスを設立、子会社4社を吸収
板・箔スリットは裾野アに集約

 三菱アルミニウムはこのほど新会社潟Gムエーアドバンスを設立、子会社4社を吸収した。また、アルミ箔スリット加工の駿河アルミ加工を、アルミ板スリット加工の裾野アルミニウムに統合した。これにより同社の子会社、関連会社は32社になった。03年3月末にもさらに関連会社の整理を実施するという。
 潟Gムエーアドバンスは資本金6,000万円で、三菱アルミ100%出資。新会社は富士製作所およびグループ内の設備保守・点検担当のエムエーエンジニアリング、物流・保険業務の菱進産業、コンピュータ情報システムサービスのエムエーインフォメーションサービス、富士製作所の食堂、その他運営の菱有をそれぞれ吸収した。本社は静岡県裾野市平松89-1に置く。統合後の年商規模は約120億円、従業員数360名。事業内容は基本的に旧4社の事業を継承、「物流・倉庫事業、保険事業、購買事業、建築・整備管理事業、コンピュータシステム開発・管理事業」などを行なう。
 一方、アルミ箔スリット加工の駿河アルミ加工を吸収した裾野アルミニウムは、資本金2,000万円で三菱アルミ100%出資。本社は静岡県裾野市伊豆島田396-1に置く。年商規模は13億円、従業員数は110名。
 三菱アルミは01年度から「59億円の累損一掃と経営立直し」を骨子とする「DASH21・3ヵ年中期経営計画」を実施中。その中の主要政策の一つが業務効率化、減量経営、意志スピードの迅速化、コスト競争力強化などを目的とした子会社関係会社の整理統合。同社は「今後もこうした整理統合は進めるが、縮小それ自体が目的ではない。必要があれば新しい成長分野で新子会社を設立することもある」という。



「ストック市場で新需要創出を」
シヤッター・ドア協会岩部会長談
 日本シヤッター・ドア協会の岩部金吾会長(写真)は24日に開催した新年賀詞交歓会の席上、「当協会の最大課題はシャッター、ドアにおけるストックマーケット需要の創出だ」と次のように挨拶した。
 「既存建築物のシャッターやドアは防犯、防火、安全の観点から定期的な点検・保守が不可欠だが、制度として未だ確立されていない。しかし、ドアの防火点検資格制度が創設されるなど徐々に防犯・防火のための組織づくりが進んでいる。新築需要に大きな期待がかけられない現在、こうしたストック市場における新たな需要の掘り起こしが課題だ。業界課題は山積しているが、関係先と密接な連携のもと保守、点検、改修市場の拡大に全力投球する」



エレベータ前遮煙防火戸
21社が国交大臣認定を取得
 改正建築基準法で設置が義務付けられたエレベータ前防火区画遮煙鋼製シャッター、鋼製開きドア、複合防火設備(準耐火構造壁・床付き)について、日本シヤッター・ドア協会、日本サッシ協会会員の21社(3社は一部審査中)が02年12月末までに国土交通大臣の認定を取得した。
 この中には三和、文化のシャッター大手のほか、田中サッシュ、鉄矢工業、中田建材、輸送機工業など中小ドア企業が含まれる。これら企業が施工する特定防火設備には、大臣認定番号、会員番号が記載された「証紙」を貼付して販売できる。



三協アルミがハイブリッド街路灯
風力と太陽光発電で市街地設置も
 三協アルミニウム工業は、自然エネルギーの風力発電と太陽光発電を利用した街路灯「ハイブリッド街路灯」を発売した。平均風速3m/秒以下の微風でも回転する高性能風車と太陽電池により、市街地など風の弱い地域でも設置が可能。
 風車は羽根が樹脂、本体がアルミ製でカバーはポリプロピレン。支柱は錆びないアルミ形材でメンテナンスを軽減。発電能力は風力が出力62W、単結晶セルの太陽電池が55W。日没後に自動点灯し、8時間で消灯する。総発電量がリアルタイムに表示され、価格は165万円。太陽光・風力別の発電量や風速を表示するタイプが225万円。



《週間トピックス》
◆アルコンが表面処理工場見学会
 アルミニウム表面技術士会は4月17日、工場見学会「中国地方の表面処理事情を見る」を開催する。見学先は▽光洋金属防蝕(表面処理業:硬質アルマイト、メッキ他表面処理ライン)▽東洋鋼鈑・下松工場(スズ、亜鉛、クロムめっき、プラスチック等の連続表面処理ライン)▽日立製作所・笠戸工場(車輌、半導体設備の製造工程)。
 当日は午後12時30分に山陽新幹線・徳山駅出札口に集合▽1時〜5時30分:工場見学と討論会▽6時〜8時:懇親会(下松市内)を予定。費用は工場見学のみが1万円(現地交通費、雑費など)、懇親会込みで1万8,000円。現地までの交通費は各自負担。
 申込み・問合せはアルミニウム表面技術士会(カロス出版内)電話03-3562-2610まで。なお、車輛関係同業者は参加不可。

◆協会が自動車アルミ化のLCA文献調査
 日本アルミニウム協会・自動車アルミ化委員会は公知文献に記載されている自動車のアルミ化に関するLCA試算例を調査、報告書をまとめた。14の資料を対象に調査を行ない、その結果、「アルミ化による軽量化が自動車の走行段階の消費エネルギー低減に有効であり、かつリサイクルの促進が自動車製造段階での消費エネルギー低減に有効であることがあらためて裏付けられたと」している。調査の詳細は同協会ホームページで。

◆INAXトステム・Hの人事異動
(1月21日付)▽ブライトホーム社長、松本秀美▽ジャパンホームシールド社長、大久保三郎。


図・表・写真は本誌でご覧ください。