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NO.1642(2003年06月30日号)

昭和フロント・福地社長が方針
業績大幅改善、経常利益率3.6%
大型スクリーン・折戸が大ヒット


 アルミフロント材専業の昭和フロントの02年度業績は8.9%増収、経常60%増益と好業績をマーク。大型商業施設向けスクリーンやオープンショップ向け折れ戸など先行商品が大ヒットし、業績改善の原動力となった。今期も増収増益を狙う。

 これは福地成治社長が16日、本誌記者に明らかにしたもの。それによると03年3月期業績は売上高110億円(02年3月期101億円)、経常利益4億円(同2.5億円)、税引後利益2億円(同1億円)と大幅増収増益を記録した。店舗建設投資の冷込みなど経営環境が悪化、兼業各社が苦戦する中で同社の売上高経常利益率3.6%(同2.5%)への改善は特筆もの。
 経済産業省商業統計によると、卸・小売業の事業所数は02年度167万9,590店(99年度183万2,734店)、年間商品販売額は548兆5,825億円(同639兆2,851億円)、就業者数は1,260万人(1,320万人)。個人消費の低迷を背景に店舗着工は依然かなりの角度の右肩下がりが続く。
 そのなか昭和フロントが売上高を伸ばしたのは、比較的好調だったチェーン店、コンビニ、大型商業施設向けへの提案活動が浸透、出荷量が増大したことによる。同社はこれら大型商業施設やチェーン店向けフロント材として、スリムな機能美のスクリーン「NEOSLIM」、低層用フラットカーテンウォール「LOW-RISE AIM」を同業他社に先駆けて開発、これが市場に浸透、大幅増収の原動力となった。オープンカフェ・レストラン向けの折れ戸「オープンフロント」も快調。
 「新商品の戦力化に加え、代理店・加工店と一体となった地元密着型営業の推進、徹底した現場主義の浸透、社員のモラル向上、継続実施中のコストダウン活動−なども業績改善の大きな要因」(福地社長)。また、兼業のビルサッシ各社が首都圏再開発の大型ビルPJに忙しく、店舗事業が手薄だったことも背景にあるという。
 今期の業績予想は売上高115億円、経常利益4.5億円。同社は03年度を終点とする3ヵ年経営計画を実施中だが、ほぼ期初計画をクリアできる見通し。「02年度下期以降、製品販価の下落が著しくなるなど販売競争はさらに熾烈さを増している。そのなかこの業界で当社が生き残るには、短納期などサービス向上は当然のこととして、市場先行型商品の提案営業が最も大事。03年度はユニバーサルデザインで普及型の折れ戸「オープンアトレ」、強化ガラス装着の防犯対応大開口部材などで市場をリードする」(同社長)
 同社は三和シヤッター系列のアルミフロント材専業メーカー。昭和電工からフロント専用アルミ形材(手持ち型数約800型)を手当てし、全国約500店の代理店・加工店に販売するほか、大型物件は一部自社受注も行なう。社員150名。



マグネ協会長に平野氏再任
「最大の課題は環境対応」
 日本マグネシウム協会は11日、虎ノ門パストラルで第13回定時総会を開催、会長に平野忠昭宇部興産取締役専務待遇(写真)を再任するとともに、副会長に時末光日本大学教授(再任)と金澤武森村商事専務(新任)を選任した。また、渡辺亮専務理事が退任するのに伴ない、小原久理事が事務局長兼専務理事代理に就任した。
 平野会長は総会後の懇親会で挨拶し、「環境保全や省エネ・省資源のフォローの風を受けてマグネシウムの需要は着実に伸びている。会員数も150社に達し、協会としての規模も大きくなってきた」「一方で、協会として取り組まなければならない課題はまず環境対策、特にSF6ガスの代替品開発である。先のIMA大会で2010年には排出をゼロにするという宣言が発表され、欧州では今年中にも使用禁止になる可能性がある。日本でも世界の流れに遅れないように対応策を打ち出していく必要がある」と述べた。



日本マグネシウム協会賞受賞
特別功労賞に神尾氏など3氏
 日本マグネシウム協会は、第4回日本マグネシウム協会賞の受賞者を以下の通り決め、11日表彰式を行った。
 【特別功労賞】▽神尾彰彦東京工業大学名誉教授▽勝田基嗣日本大学教授▽杉浦泰夫日本マグネシウム協会名誉会員【技術賞】▽アマノ/新東ブレーター/野水機械製作所/三輝ブラスト(マグネシウム用湿式集塵機の開発と普及)【奨励賞】▽東北大学金属材料技術研究所・折茂慎一(機能性マグネシウム合金の合成と高機能化)▽新潟県県央地域地場産業振興センター・平賀仁(マグネシウム合金のレーザー溶接技術と表面改質技術の研究)▽電化皮膜工業・西中一仁(金属光沢陽極酸化処理法の開発)▽菊水フォージング・野川雅弘(マグネシウム合金鍛造製品の開発)。



スカイがAl船普及に本格取組み
船舶関連5社とプロジェクト推進
 スカイアルミグループのアルミ加工品製造・販売会社、スカイアルミプロダクツ(木香二郎社長)はこのほど、船舶関連5社とともに「アルミ船普及プロジェクト」を立ち上げた。中小造船メーカーに対して、単なるアルミ材料販売にとどまらず、加工品部材として納入することで建造コストを削減、アルミ船の普及を図る。
 プロジェクトの構成メンバーは▽ヒューコム(流通)▽有明設計(システム設計)▽ホバラヤ(エンジン)▽電興製作所(アルミ加工)▽スカイテクノ(同)の5社。ヒューコムをリーダーに、事務局をスカイアルミプロダクツ(アルミ材料及び切断)に置く。
 日本では年間約8,000隻の漁船が建造されているが、大半はFRP船。アルミ船は150〜200隻にとどまっている。現在、漁船で約36万隻のFRP船があるが、建造から15〜20年経過して老朽化。不法投棄などFRP船の廃棄処理が社会問題化している中で、リサイクル可能なアルミ船に対する膨大な潜在需要がある。ただ、アルミ船はFRP船に比べて船価が高いことが本格的な普及のネック。とくに中小造船所では設計段階から材料の切断にいたる工程のほとんどを手作業で行ない、大きなコストアップ要因となっている。
 今回のプロジェクトは、CADシステムなどメンバー会社が保有する各種のシステムを活用することで、受注、設計から部品製作・供給までのネットワークを構築。コスト低減によるアルミ船普及と小規模造船所の活性化を狙う。



文化の亀谷社長が指針
初の会社説明会、今期も増収益
住宅リフォーム等新規事業が的中

 建築不況が深刻化する中、文化シヤッターは03年度増収増益を見込む。住宅リフォーム事業や遮煙遮炎スクリーンなど新製品が寄与する。社会的ニーズの高い防犯対策商品の開発や新規事業掘り起しなどで市場の拡大の余地は大きいという。

 これは去る13日、同社の亀谷晋社長が初めての「会社説明会」を開催、明らかにしたもの。そのなかで同社長は「02年度に引き続き03年度も増収増益が見込まれる」と会社経営が順調に推移していると自信を示した。茂木哲哉専務も同席した。以下その要旨。
 03年度の連結業績は売上高1,115億円(前期比1.8%増)、営業・経常利益42億円(同9.0%増)と増収増益を計画。売上内訳は、シャッター関連418億円(同0.9%増)、建材関連491億円(同1.2%増)、リフォーム事業86億円(同12.0%増)、その他120億円(1.3%増)。シャッター・建材関連ではエレベーター回りの防火防煙「セレスクリーン」が16億円増、自動閉鎖装置付き引き戸「カームスライダー」が3億円増、窓シャッターが後付け中心に4億円増、超高速アルミシャッター「HSR」が4億円増−−など新製品が売上増に寄与する。
 同社は欧州企業と提携、積極的に新技術・新商品(例えば高速シートシャッター「エア・キーパー大間迅」、超高速アルミシャッター「HSR」)を導入してきたが、それが市場に浸透、戦力化している。
 一方、新規事業の住宅リフォーム「ゆとりフォーム」は00年度46億円、01年度54億円、02年度77億円と売上を伸ばし、02年度営業利益率3.7%と新規事業にしては見事な成績。03年度も店舗数を19店から27店に増やし、売上高86億円を見込む。
 建築市場は住宅着工が03年度112万戸に、非住宅着工面積も59百万uに落ち込むなど、先行きが懸念される。しかし、亀谷社長は新需要のエレベーター回り商品、防犯・安全対策商品など先行商品の開発、既存品の高付加価値商品へのシフト、リフォーム需要の掘り起こしなどを積極的に進めることでプラス成長は可能と読んでいる。
 また、建材業界で進展中の業界再編・勝ち組形成には「当社はその必要もなければ、関心もない」という。中国を含む海外展開についても「当社単独では無理」としている。



アルミ産業、死亡災害多発が問題
「ハード面の対策で危険排除を」
 日本アルミニウム協会・安全委員会(委員長=池本清住友軽金属工業取締役総務人事部長)は13日、品川区立総合区民会館“きゅりあん”で第72回管理・監督者体験交流会を開催した。参加者は19企業31事業所の69人と安全委員及び関係者28人の合わせて97人。
 安全委員会がまとめたアルミ協会会員の労働災害状況によると、02年の強度率は0.28と前年の0.47よりは“改善”されたものの、全製造業の0.12を上回る。強度率は死亡災害が1件発生すると0.1を超える水準となり、協会がここ数年来の目標としてきた0.05は死亡事故ゼロで達成可能。00年、01年に連続して4名、02年に2名死亡災害が発生し、強度率悪化を招いた。今年に入ってからも既に4月に1件、建材メーカーのアルマイトラインで死亡災害が発生している。
 池本委員長は、「死亡災害が多いことがアルミ産業の一番大きな問題」と指摘。アルミ産業は装置産業であり、「災害の発生頻度は少ないが、いったん発生すると重篤になり、最悪の場合死亡につながる」(池本委員長)。このため、「災害発生件数を少なくするのはもちろんだが、危険そのものを排除する、“災害ゼロから危険ゼロ”が必要という認識で各社とも共通している」という。
 「リスクアセスメントに基づいたハード面での対策が現在のグローバルスタンダード。巻き込まれ事故が多いフォークリフトを使わないラインを作るなど、より大きい危険箇所に対しては重点的に、ハード面での対応策を講じる考え方で、安全確保のためには金をかけても設備投資することが必要。協会として積極的に情報を提供、安全対策の方向性を示していきたい」とした。



アルミネ、経常利益5.2倍に
車用鍛造棒など高付加品寄与
 アルミネ(竹内正明社長)の03年3月期決算は、前期比1.5%の微増収にとどまったが、経常利益は同5.2倍の大幅増益を達成。自動車向け鍛造用棒など高付加価値製品の拡販が寄与した。今期も増収増益を見込む。



押出設備の設置状況‥‥‥‥本誌アンケート調査
稼働押出機236基、昨年比10基減
建材・軽圧大手、海外展開加速

 この1年間、押出業界の設備縮小がさらに進展、昨年7月の調査に比べ国内での設置押出機の数は10基減って236基となった。軽圧大手は国内における押出事業の再編をほぼ完了、建材大手と並んで、海外展開にシフトし始めた。

 本誌は今年も昨年に引き続き、全国のアルミ押出メーカーを対象に押出機の設置及び生産状況に関するアンケート調査を実施した。対象企業は36社。03年5月末のこれら36社が保有する押出機の総数は236基。前回調査に比べ10基減少した。00年7月の調査ではアルミ押出メーカーは40社、保有押出機数は261基あり、建材需要の不振による過剰設備の解消が一段と進んだ。
 アルミ押出材出荷量は02年度に100万1,092d、前年度比1.9%増と2年ぶりのプラス・100万d台回復となった。設備削減を進めてきた中での需要回復だけに、各押出メーカーは繁忙感が強いものの、ピークである96年度の127万7,702d時に比べるとなお、21.6%減の水準。特に建材向けは64万1,940d、3.4%減とマイナス基調を脱せず、ピークである96年度の91万1,648dに比べると29.6%の落ち込み。一方、自動車向けは02年度実績が13万2,049d、19.7%増と2桁の伸長を見せた。
 この1年間では、YKKが前回調査の39基から35基に4基削減。内訳は、黒部(1800d1基)、四国(1360d・1630d各1基)、東北(1360d1基)で、月産能力は1年前の1万4,400dから1万3,200dに縮小した。同社は01年度時点の40基から3年間で順次、合計8基を廃棄し、32基体制とする計画を推進中。
 日本軽金属は昨年10月、蒲原押出工場と新潟工場押出部門を日軽金アクトとして分社化したが、蒲原押出工場で1500d及び1650d各1基を廃棄、7基から5基体制とした。新日軽も北陸製造所高岡の1500d1基を廃棄。その結果、99年度当時のグループ保有押出機33基(日軽金10基、新日軽15基、日軽形材6基、理研軽金属工業2基)の体制から、5月末で総数24基(日軽金5基、新日軽14基、日軽形材3基、理研軽金属工業2基)まで削減、「押出事業再構築は完了した」としている。
 昭和電工は当初20台あった押出機の縮小を進めてきたが、前回調査の18台からさらに、堺事業所の3250d、2200d各1基を廃棄、16基体制とした。堺事業所は残る3900d1基を8月に彦根に移設、アルミ電解コンデンサ用高純度箔と高放熱性板材ST60などに特化する。さらに、年内に後1台廃棄し、目標とする15台体制を実現する。この他、平和アルミ製作所は昨年12月に1650d1基を廃棄。三菱アルミは1650d1基を廃棄し、2750d機にリプレースした。
 国内での押出設備の縮小が続く一方で、YKKグループ、トステムなど建材大手が海外投資を加速。軽圧メーカーでは、昭和電工が04年1月稼働予定で、中国大連市にED管の生産工場を設ける。住友軽金属も04年1月操業の開始予定で、チェコに年産能力約3,000dのカーエアコン用アルミ押出材の製造工場を建設する。



「太陽光発電Sシンポジウム」
京セラ稲盛氏の特別講演など
 太陽光発電協会は7月1〜3日の3日間、飯野ホール(東京千代田区内幸町2-1-1)において、「03年度太陽光発電システムシンポジウム・世界を牽引する太陽光発電産業」を開催する。今回は第20回記念大会に当たることから、京セラの稲盛和夫取締役名誉会長の「太陽光発電システムの普及に向けて」、経済産業省の岡本巌資源エネルギー庁長官の「我が国の新エネルギー施策と今後の展開」と題する特別記念講演が行われる。
 この他、「太陽光発電産業の自立に向けたビジョン」「太陽光発電の海外展開」「太陽光発電の普及施策」「技術産業ビジョン」「太陽光発電の導入・新たな用途開発」「建築と太陽光発電」−−等のセッションが予定されている。申込はアイシーシーまで(電話03-3264-1151)。



軽圧品流通市況、横ばい基調
 5月末の軽圧品流通市況調査によると、東京及び中部地区は全品種が前月比横ばいにとどまり、唯一、大阪地区で快削棒が5円/`の値下がりとなった。7〜9月期のNSP地金価格は210円で変わらず。問屋の関わりが大きい厚板は、半導体製造装置用の需要が鈍いものの、液晶関連の広幅・厚板品の荷動きが活発。「5月の連休があった割には全般的に荷動きは好調だが、6月以降は不透明」(伊藤委員長)という。



建産協専務理事に経産省OBの富田氏
 日本建材産業協会は17日開催の定時総会で、専務理事に経済産業省OBの富田育男氏(財団法人製品安全協会専務理事)を選出した。建材不況のなか11年間専務理事を務め、KISS事業など協会活動の振興に貢献した岩田誠専務理事は勇退する。富田氏は旧通産省窯業建材課長を歴任、日米ガラス交渉の政府代表として活躍した経歴を持つ。富田氏は景観材料推進協議会専務理事も兼務する。



今年度金属笠木需要4%減
会長にビニフレームの越社長
 金属笠木メーカー16社で構成する日本金属笠木工業会は12日、定時総会を開き、会長にビニフレーム工業の越峯一社長を選出した。副会長には石川孝道氏(エービーシー商会取締役金属建材事業本部長)、岡崎正和氏(三洋工業取締役経営企画室長)が就任した。
 同時に03年度の需要予測を発表した。それによると03年度のアルミ笠木規格品の総需要は2,111千u、02年度の2,211千u比4.5%のマイナス成長になると予測。官民の建設投資が7.1%減少、ビル着工が低迷するため多くを望めないという。
 なお、02年度の総市場規模は3,101千u(会員規格品2,211千u、会員規格外品332千u、会員外556千u)で、前年度比7.2%減。これをゼネコン渡し価格の市場規模で見ると、180億53百万円、前年度比6.5%の減少という。


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