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NO.1712(2004年11月15日号)

日本磁力選鉱
中国でマグネ合金事業に進出
年産8千dの現地工場を買収


 日本磁力選鉱は中国の既存工場を買収するとともに77%出資で合弁会社を設立し、マグネ合金事業に参入した。年産能力は8,000d。ダイカスト用インゴットとチクソモールディング用チップを製造する。月300dで生産を立ち上げ、来年末までにフル稼働を目指す。

 日本磁力選鉱(北九州市小倉北区、原田光久社長、グループ売上高300億円)は中国でマグネシウム合金の製造・販売に乗り出した。山西省のマグネ合金工場の資産を買収し、9月29日付で大手マグネメーカーである太原易威マグネシウム集団有限公司(黄余威董事長)と合弁で山西日選易威マグネシウム有限公司(Shanxi Nissen Yiwei Magnesium Co.,Ltd.、山西省太原市小店区)を設立した。資本金は108万5,000米j。日本磁力選鉱が77%出資し、経営の主導権を握った。董事長は大坪保博軽金属事業部長、総経理は大西吉武軽金属事業部部長がそれぞれ兼務する。
 合弁会社の工場は米国の製鋼用マグネ脱硫剤最大手、ロスボロー社関連会社のMagscape社が所有していた設備を「居抜き」で買い取るとともに、Magscape社が持っていた技術や商権も引き継いだ。買収金額は非公開。
 同工場の生産能力は年8,000dで、8年前に中国初の外資マグネ合金工場として設立された。米国、欧州、中国、東南アジア市場向けにこれまで月最大250dの販売実績があり、業績は好調に推移していた。合弁会社設立後には月300dで生産を立ち上げた。
 日本磁力選鉱は95年4月にロスボロー社と合弁でマグネ脱硫剤の製造・販売会社を設立した経緯があるなど、かねてから協力関係にあったことで今回の資産譲渡が実現した。
 一方、合弁相手の太原易威マグネシウムは純マグネを主体に、グループ全体で年間約5万dの生産規模を誇る中国で2番目の大手。
 合弁会社はダイカストメーカー向けのマグネ合金インゴットのほか、チクソモールディング用チップも製造・販売する。原料の純マグネは当面、太原易威から調達するが、事実上、純マグネからマグネ合金までの一貫生産体制を構築した。初年度は月300dの販売を計画。売上高は約10億円、黒字計上を見込む。日本市場向け輸出など製品を拡販し、来年末までに設備能力8,000dのフル稼働を目指す。その後は需要を見ながら増設を検討する。
 なお、日本磁力選鉱は2000年8月にアルミ再生を手がける小山工場(栃木県小山市大字萱橋)でマグネ合金の溶解再生を開始。01年12月には小山第二工場を建設して事業を拡大するとともに、02年5月にチクソモールディング用マグネ合金チップの生産もスタートさせた。現在、小山での生産量は月200d弱で、チクソモールディング用チップが150d弱、残りがダイカスト用インゴット生産となっている。小山工場は05年4月にISO9001、同7月に14001の認証を取得する予定。
 また、八幡工場では、化学反応剤、脱硫剤向けなどの純マグネやその他金属の切削を月150〜200d程度行っている。
 今回の中国進出を機に、日本磁力選鉱は従来、軽金属事業部で手がけていたアルミリサイクル事業を環境事業部に移管、軽金属事業部はマグネ主体として、同事業を強化する体制を整えた。


年度上期のアルミ二次地金出荷
4%増、13年ぶり50万d台に
 日本アルミニウム合金協会がまとめたアルミ二次地金・同合金地金生産・出荷実績によると、04年度上期の生産量は50万7,416d、前年同期比5.0%増に、また出荷は50万9,296d、同4.2%増となった。上半期ベースでの前年同期比プラスは生産が3年連続、出荷が5年連続。また、50万d台乗せは91年度上半期以来、13年ぶりのこと。
 一方、9月単月では生産が8万8,168d、前年同月比5.6%増、出荷が8万8,595d、同3.5%増に。プラスは生産が7ヵ月連続、出荷が8ヵ月連続のこと。産業部門別出荷は、▽鋳物2万2,347d(前年同月比0.0%増)▽ダイカスト4万6,918d(同4.3%増)▽板6,667d(同1.2%増)▽押出7,129d(同15.7%増)▽鉄鋼2,514d(同3.6%減)▽合金地金メーカー向け3,020d(同4.4%増)。


三和シ、中間業績大幅上方修正
連結経常利益74%増の50億円
 三和シヤッター工業は10月28日、05年3月期中間決算見込みを大幅上方修正した。それによると、連結経常利益は従来予想を9億円上回る前年同期比73.6%増の50億円となる。売上高は48億円上方修正の1,328億円、20.3%増に。純利益は136.0%増の30億円で、11億円増額。
 また、単体中間決算も、売上高679億円(前年同期比1.3%増)、経常利益36億円(45.9%増)、純利益20億円(61.3%増)に。従来予想に比べ、それぞれ、19億円、9億5,000万円、7億円の上方修正となる。
 三和シヤッター本体では重量シャッター、軽量シャッターを主体とした増収に加え、販管費削減や金融収支の改善が寄与する。また、ステンレス子会社を除く国内子会社の業績が好調に推移。米国のODC社も増益となった。


アルキャン/サンコー商事
アルミ半凝固の新プロセス開発
スラリー製造装置を低コスト化

 カナダ・アルキャンは低コストで高い機械特性を持つ製品の生産を可能にするアルミ半凝固ダイカストプロセスを開発した。低価格のスラリー製造装置と既設ダイカストマシンの使用により、僅かな投資額で高強度部品の製造を実現する。

 サンコー商事(名古屋市名東区、電話052-772-0157)は、カナダ・アルキャン社が開発したアルミニウム半凝固ダイカスト新製法の国内販売に乗り出す。原料ビレットとなるスラリー(アルミ半凝固金属)製造装置を低コスト化したことで、機械特性など従来の半凝固ダイカスト法と同等の品質を、より安い設備で生産可能にした。既存のスラリー製造装置に比べて5分の1程度の価格に設定、来年から本格的な販売を開始する。なお、11月4日〜6日までパシフィコ横浜で開催中の日本ダイカスト展示会で同技術の詳細が発表される。
 この新プロセスは「SEED」と呼ばれるもの。従来、半凝固ダイカスト法では材料を均質な球状組織にするために厳密な温度管理が要求される。そのため、誘導加熱装置が必要などスラリー製造装置が高額になるほか、専用ダイカストマシンの導入など多額な設備投資が需要拡大の妨げとなっていた。
 アルキャンが開発した「SEED」は、スラリーを必要なときに必要なだけ生産する技術(スラリー・オン・デマンドテクノロジー)。スラリー製造装置で筒の中にアルミ溶湯を充填、揺らしながら冷却した後、固相と液相が混ざった状態で、余分な液相(液状金属)を筒から抜く(ドレン)ことで、材料組織が均一なビレットが生成される(次ページ図を参照)。厳密な温度管理が不要なため、装置が非常に安くなるメリットがある。
 ダイカストマシンは既設の設備で対応可能(レトロフィットシステム)で、需要が拡大しているサスペンションやブレーキ周りなど、高強度が求めらる自動車用アルミダイカスト部品の生産を僅かな設備投資で実現することが可能。また、リサイクルも指定先で行う必要がない。幅広い合金に対応するが、アルキャンはより最適な材料の開発も進めている。
 アルキャンは03年にカナダ北東部に「SEED」のパイロットプラントを建設、ユーザーへのデモ用に準工業化プロトタイプ設備を設置した。05年に入って商品化、販売開始を目指している。
 製造可能なスラリーはビレット径でφ200oまで、ビレット長で300oまで。ビレット重量は1〜10s。
 サンコー商事は来年から国内販売を開始する予定。スラリー製造装置の販売価格は今後詰めていくが、既存装置の5分の1程度を目指す。自動車の強度部品で鋳鉄や鍛造からのアルミへの材料置換のほか、エンジンブロックやミッションケースなどアルミダイカスト部品の鋳巣を低減するプロセスとしてPR。年間10セット程度の販売を目標とする。


東京地区の軽圧品流通販売量
板前年比40%増、押出4%増
 全国軽金属商協会はこのほど、9月の東京地区における軽圧品在庫量・販売量調査をまとめた。それによると、板・押出合計の販売量は2万2,094dで、03年9月に比べて27.2%増、今年6月に比べて0.3%増となった。
 内訳では板の販売量が1万5,729dで、今年9月比では1.7%減となったものの、前年同月比39.5%増に。また、押出の販売量は6,356dで前年同月比4.4%増、今年6月比5.6%増を記録。
 一方、9月末における在庫量は板が1万647d(03年9月末比16.6%増、04年6月比7.9%増)、押出が3,869d(同0.2%増、1.8%増)となった。


不二サ、ビル建低迷で下方修正
今期単独経常69%減の8億円
 不二サッシは10月28日、05年3月期中間単独経常利益が前年同期比80.8%減の1億4,000万円になる見込みだと発表した。従来予想は2億2,000万円。主力商品であるビル用建材の需要が低迷を脱せず、売上高は予想を17億円下回る375億円(前年同期比4.9%減)となる。純利益は5.7%増の2億8,000万円の見込み。
 通期の修正予想は、経常利益が前期比69.2%減の8億円と、従来予想に比べ10億9,000万円下方修正となる。売上高は前期比5.5%減の805億円。当期利益は63.0%減の4億円となる。
 なお、連結ベースでの中間決算修正予想は売上高562億円(前年同期比0.8%減)、経常利益1億1,000万円(88.4%減)、純利益1億2,000万円(31.0%減)。また通期予想は、売上高1,230億円(前期比2.0%減)、経常利益11億円(62.3%減)、当期利益5億円(54.6%減)。


ロシアのRUSAL幹部が会見
対日輸出38万d、米に次ぐ市場
付加価値品比率、3〜5年後に5割
 ロシアのアルミメーカー、ルサール(RUSAL、本社=モスクワ)はルサールジャパン(RUSAL JAPAN、東京都港区虎ノ門、荒瀬康雄社長)を設立、7月12日から営業を開始した。10月28日ホテルオークラで開催した披露パーティに先立ち、荒瀬社長はPeter Finnimore営業販売担当を始め、アルミナ担当、付加価値製品担当のルサール役員とともに記者会見を行い、「04年見込みで日本向け輸出量は37.5万d規模にあり、ルーサルにとって米国に次ぐ重要な市場。日本法人を設立することで顧客・市場のニーズに的確に応える体制を整え、長期的な地金ソースとして信頼できる存在にする」と述べた。さらに、「日本向け輸出では付加価値製品の拡大に力を入れ、構成比を04年の10%から3〜5年後には50%に引き上げる」との考えを明らかにした。
 ルサールは2000年3月、ロシア及びCISのアルミ製錬会社などを統合して設立。持株会社Base Element社が75%を出資しており、代表取締役はOleg Deripaska氏。ブラーツク、サヤノゴルスク、クラスノヤルスク、ノボクズネックの4ヵ所に製錬工場を持ち、03年のアルミ新地金生産量は260万d。ロシアで75%のシェアを占め、世界市場ではアルコアの350万d、アルキャン+ペシネーの330万dに次いで、シェア10%の第3位メーカー。従業員数は6万5,000人で、世界10ヵ国で事業を展開している。03年連結売上高45億j。
 現在の年産能力は、▽ボーキサイト:480万d▽アルミナ:300万d(03年生産実績298.2万d)▽新地金及び合金:260万d(同258.9万d)▽圧延及び半加工品:60万d(アルコアに売却予定)▽アルミ箔及び包装材:10万d▽飲料用アルミ缶:20億缶。新地金生産量は2013年には500万dに倍増、アルミナ生産量も800万dに増産する。
 ルサールはエンド・ユーザー向け販売と付加価値製品の販売拡大に力を入れている。2000年には製品の85%が商社を通じた販売であったが、現在はエンド・ユーザーへの直接販売が60%を占めている。また、製錬部門の売上に占める付加価値製品の比率は04年で32%を占め、構成比は、▽ビレット20.5%▽インゴット22.5%▽線材15.5%▽中純度アルミ19%▽高純度アルミ1.5%。付加価値品比率は05年に42%、09年に50%に引き上げる計画。
 04年には世界39ヵ国に220万d(うち、付加価値製品が60万d)を輸出する見込み。地域別販売内訳は、アジア35%、欧州31%、北米25%、ロシア及びCIS9%。日本向け輸出は37万5,000dで、90%は純度99.7%の新地金、残りはA356など鋳造合金や高純度アルミ(三層電解法)などの付加価値品。鋳造合金は年間約16万dを生産、うち日本向けが2万4,000d。また、高純度アルミは年間約1万5,000dを生産、日本向け約7,000dとなる。
 05年の日本向け輸出は37万5,000〜38万dと04年比ほぼ横ばいの見込みだが、付加価値製品の比率は15%に拡大する。特に力を入れるのが圧延用スラブで、05年の輸出量は3〜4倍になる。3〜5年後には輸出総量は大きく変わらないが、付加価値製品の比率を50%に拡大する。


YKK APが非居住ビル用に発売
自然換気窓・シリンダーブレス
 YKK APはこのほど、非居住用途向けのビル用システムウィンドウ「SYSTEMAシリーズ」に、手軽に換気ができる縦型の自然換気窓「シリンダーブレス=写真」を追加、新発売した。
 シリンダー部の引手を回転させるだけで簡単に自然換気が行える。外気がアルミパネルの両サイドから入り、通気穴を通ってスリット部から室内に導入される仕組み。可動窓、FIX窓と連窓での組み合わせの他、単窓としての使用も可能。
 シリンダーブレス本体を枠見込70oに納め、室内側のブラインドやカーテン納まりに配慮してシリンダー部の引手の出幅寸法を抑えた。外観は80o見付のアルミパネルで構成したフラットで軽快なデザイン。
 参考価格は、高さ1,000o、RC枠で3万400円。初年度販売目標は2億円。


INAXトステム・BR社長に小田氏
 INAXトステム・ビルリモデリング(BR)は11月1日付で、新社長にトステムの小田方平常務執行役員ビル建材本部長(写真)が就任した(兼務)。福田晴至前社長は代表取締役会長に退いた。
(トステム人事・11月1日)小田方平、常務執行役員ビル建材本部長兼INAXトステム・BR社長兼トステム建鐵社長兼トステムSD社長兼トステム・エンジニアリング・オフィス社長▽牛尾清明、INAXトステム・BR、専務取締役営業本部長▽石元敏郎、ビル建材本部インフィル事業統轄部長兼BLC推進部長▽若山直志、同ビル名古屋支店長▽中村吉春、同ビル九州支店長▽大島厚、同ビル東京第三支店長。


不二サッシの人事異動
(11月1日付)▽吉本直史、取締役常務執行役員管理本部長兼企画部長、Jプロ・コストリダクション推進委員会担当▽児嶋良造、取締役執行役員生産本部長兼生産管理部長▽高浪昭一、執行役員千葉工場長兼管理部長。


アルミ新地金需給・市況予測‥‥‥丸紅軽金属部
05年は前半逼迫、15万d不足
LME、1〜3月に2000j高値も

 米経済の好調持続と中国経済の発展が世界のアルミ需要を牽引、04年の需給バランスは24.2万dの供給不足、05年は14.9万dの不足と縮小するが、年前半までは逼迫状況が続き、LMEで1〜3月に2,000j高値の可能性もあるとした。

 丸紅・軽金属部地金課(安達洋課長)は10月28日、「2004〜06年のアルミニウム新地金需給バランス見通し」を発表した。03年における63万2,000dの供給過剰に対し、04年のアルミ需給はタイト感を増し、24万2,000dの供給不足に転じると予測。05年は14万9,000dの供給不足と緩和するが、少なくとも年前半は需給のタイト感が継続。その後、増産計画の実現にともない需給は徐々にバランスの方向に向かっていき、06年は2万1,000dの供給不足と「ウェルバランス」に収束するとしている。以下、同予測のポイント。
1.04年、24.2万dの供給不足
【需要、米国・中国牽引で8.1%増】
 04年の世界におけるアルミ新地金需要量は2,946万2,000d、前年比8.1%増を予想。その中で、西側需要は5.4%増の2,175万2,000dとなる。大統領選挙を控えて好調を持続する米経済と発展を継続する中国経済が、世界景気及びアルミ需要を牽引する。
【製錬増強の減速で供給は4.8%増】
 一方、世界の供給は4.8%増の2,922万dにとどまる。アルミナ、電力事情による製錬能力増加の減速により供給減少懸念が強まる。その結果、アルミ需給はタイト感を増し、需給バランスは03年の63万2,000dの供給過剰から逆転し、24万2,000dの供給不足を予測している。
2.05年は14.9万dの供給不足
【需要は6.0%増と鈍化】
 05年の全世界需要は6.0%増の3,122万8,000dを予測。米国の利上げと中国の金融引き締め、原油価格高止まりの影響で全世界的に伸び悩むと予測。ただ、少なくとも年前半までは好調な需要が続き、下期は経済の軟着陸に合わせて回復の速度が落ち着くと見ている。
 米国経済は、個人消費に加え設備投資が活発化し、景気拡大サイクルへ。金利上昇による減速懸念はあるが、雇用環境も改善しており、04年内の景気落ち込みの可能性は低いと見ている。
 アジア経済は、アメリカ・中国向け輸出が牽引役となり景気は堅調に推移。台湾、インドネシア、タイ、マレーシアは成長軌道に乗っている。中国を除くアジア地域は04年5.9%、05年5.1%の経済成長を予測。
 中国のアルミ需要は04年は18.9%増の600万4,000dを予測。過熱景気抑制策で伸び率は鈍化するが、引き続きインフラ整備、投資・消費増による需要拡大が続くと予測している。中国におけるアルミ需要の分野別内訳は、建設37〜38%、電線15%、輸送機14%、包装8%、機械11%、日用品5%、その他10%となっており、建設、輸送機、電線分野における需要が好調に推移している。懸念材料としては、中国の過熱気味景気を冷ます政策による建設などの需要減、引き締め政策による在庫圧縮がある。
【供給は6.4%増に拡大】
 05年の全世界における供給量は6.4%増の3,107万9,000dと拡大を予測するが、主に電力不足を原因として供給が伸び悩む懸念もある。北米ではBecancour他、労使交渉が難航する製錬が多数あり、ストライキ懸念や、電力、アルミナ価格の高止まりが供給抑制要因になる。また、中国はアルミナ高価格、電力不足、流通不整備などに加え、増産抑止政策、金融引き締め、ゼーダーベルグ炉閉鎖などの要因により輸入国に転じる可能性もある。
 一方、北米における休止製錬の操業再開や、中国におけるアルミナ価格の下落、輸出時の増値税還付廃止の噂から、一時的に輸出増加の可能性もある。ただ、米国、欧州では既に大量のアルミ製品受注残を抱えていることで、年前半は需給のタイト感が継続し、その後の増産計画の実現により次第に需給はバランスに向かっていくと予測、供給不足幅は14万9,000dと縮小しよう。
3.LME3ヵ月先物の見通し
 LME3ヵ月先物相場は、▽04年第4四半期:1,650〜1,900j(対日プレミアム:90j)▽05年第1四半期:1,650〜2,000j(80〜90j)▽同第2四半期:1,600〜1,850j(70〜90j)▽第3四半期:1,550〜1,800j(70〜90j)▽同第4四半期:1,500〜1,750j(65〜85j)−−と予測。05年前半は好調な生産・出荷、タイトな需給バランスが続き、1〜3月に相場は2,000jの最高値を付ける可能性がある。
 テクニカル要因では、テロ懸念、米景気後退懸念による米ドル安(ユーロ、円、アジア通貨高)による買い意欲の高まりが強材料として期待される。投機筋は景気拡大を背景に、買い(ロング)から入る傾向にあり、バックワーデーションリスクもあり、売り(ショート)からは入りにくいと見ている。一方、金利引き下げを背景とした米ドル高の継続は弱材料に。また、米国、中国の景気腰折れの場合、売り先行で下げを加速する可能性がある。


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