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NO.1729(2005年03月21日号)

YPシステムが新アルマイト技術実用化
水とCO2だけ使う無公害型
高精度加工に対応、4月装置発売


 表面処理加工のワイピーシステム(東京都東村山市、吉田英夫社長)は、静岡大学の佐古猛教授らと共同開発した、硫酸などを使わずに水と二酸化炭素(CO2)だけでアルマイト処理する技術を実用化した。佐古教授と共にベンチャー企業も設立、装置の受注販売を開始する。

 この技術は作業環境の改善や環境保全に加え、廃液処理などのコスト削減が可能。処理後の寸法精度も変わらず、精密加工製品にも適用できる。
 従来のアルマイトは苛性ソーダに浸漬して洗浄した後、5〜10℃の低温にした硫酸やシュウ酸などの処理液内で電解し、皮膜を作る。作業に危険性が伴ううえ、低温処理や廃液の無害化処理のコストもかさむ。また、強酸・強アルカリで母材が浸食されて加工精度が落ちるため、精密加工品への処理は困難。新技術は水にCO2が溶解した炭酸水も硫酸やシュウ酸と同様、アルマイトが可能なジ・プロトン酸であることに着目。処理液の酸性度・アルカリ度(pH)を制御することで、母材の浸食を最小限に抑えることを狙ったもの。
 密閉容器の中に水を満たした後、高圧のCO2を容器内に押し込むことで圧力を高め、高圧炭酸水を作る。70気圧程度にまで加圧された炭酸水はpH3〜4と酸性度が増し、その状態で電解することで皮膜を形成させる。35℃の常温での処理が可能。処理後には密閉状態を解くことで一気に常圧に戻り、炭酸水はpH5.5〜6程度の弱酸性となるため、そのまま捨てることができる。
 さらに、高圧CO2を大気中に噴射して微粒子ドライアイスと炭酸水を母材表面に吹き付ける洗浄装置を併用。脱脂洗浄や酸洗浄に加え、温めたCO2を吹き付けることで乾燥や封孔処理も同時に行われる。従来法と同様、染色、塗装、触媒担持なども可能。「超精密加工品の処理に加え、工場内でのインライン化も可能など、アルマイトの対象領域が格段に広がる」(吉田社長)。
 ワイピーシステムは経済産業省の02年度「中小企業創造技術開発」補助金を受けて静岡大の佐古教授と共同で開発を進め、装置の1号機を開発。さらに、03〜04年度「地域新規産業創造技術開発」にも採択。03年に佐古教授と共同で、装置の開発・販売を手がける大学発のベンチャー企業、高圧プロセス開発鰍設立。04年度から都立大学の益田秀樹教授、秋田大学の寺境光俊助教授も共同開発に加わり、商品化を視野に入れた装置を製造した。採択事業の研究期間が終了する4月から本格的な受注・販売活動を立ち上げる。
 「装置のイニシャルコストは高いが、廃液処理などの費用を考慮すると、トータルの加工コストは既存方法の10分の1程度になろう」。液晶、半導体、電機、自動車関連の精密機械部品メーカーを始め、アルマイト処理を外注しているアルミ部品加工メーカーなどの需要を見込んでいる。


04年の圧延品稼働率94.6%
板類98.5%、押出類90.0%
 日本アルミニウム協会のまとめによると、04暦年のアルミニウム圧延品設備稼働率は94.6%で、前年に比べ3.9ポイントのアップとなった。
 品種別では、板類の稼働率は98.5%と、03年に比べ3.4ポイント上昇。生産能力が142万4,740d、同0.4%減となった一方で、生産量は140万2,885d、同3.1%増と伸びた。
 また、押出類の稼働率は90.0%で、同4.5ポイントアップした。生産能力は117万2,752d、同2.0%減、生産量は105万5,541d、同3.2%増を記録した。


豊田通商と大紀アルミ合弁会社
九州に合金工場、トヨタに供給
 豊田通商は3日、福岡県苅田町に大紀アルミと合弁で、アルミ合金溶湯工場を建設すると発表した。トヨタ自動車九州が建設、06年1月から生産開始のエンジン工場向けにアルミ合金を供給する。同日、福岡県と立地協定に調印した。
 合弁新会社の社名は「九州スメルティングテクノロジー」で、3月末をメドに設立する。資本金、豊田通商と大紀アルミの出資比率などは未定。
 進出先は福岡県京都郡苅田町鳥越町9-2松山工業団地で、敷地面積は約1.6ha(約1万6,000u)、建屋面積は約4,500u。土地はトヨタ自動車九州から賃借する。
 総額15億円を投じて、溶解炉3基を持つ年産能力2万4,000dの工場を建設する。今年7月から従業員数6〜7名で操業を開始、06年には従業員数を25〜30名として、フル生産を目指す。


YKK APが中国建材事業を拡充
中国蘇州にCW工場、7月稼働
年産10.8万u、国際戦略拠点
 YKK AP(吉田忠裕社長=写真)は3日、中国のYKK AP蘇州社(資本金8,000万米j)にカーテンウォール(CW)の生産拠点を設けることを明らかにした。新工場は昨年9月に着工、今年7月から生産・販売を開始する。
 生産品目は「ビル用ユニットCW」で、生産能力は10万8,000u。工場面積は2万8,435u、投資金額は1,800万米j。従業員数は150名を予定している。
 YKK AP蘇州社は第一期計画である建材部品工場が昨年4月から生産を開始。CW工場は第2期計画となるもので、「CW事業におけるグローバルな競争力強化を図っていくうえで非常に重要な戦略工場になる」(吉田社長)。日本(富山県滑川)、インドネシアの各拠点と併せて、国際的な最適供給体制を構築する。
 さらに、中国建材事業の事業基盤確立を狙って、今年1月1日付でYKK中国投資社内に、社内カンパニーとしてYKK AP中国社を設立。樹脂窓事業・アルミ窓事業・部品事業・CW事業・施工事業の5事業・5社により、“自己完結事業体”とする。施工を担当するYKK AP施工社は「28階建て以上のかなり高いレベルの施工が可能なライセンス取得を申請中で、この春には取得できる見込み」(吉田社長)。
 YKK AP中国社での事業展開により、中国建材事業売上高を04年度の4,500万jから新中計最終年である08年度には1億2,000万jに引き上げる。


05〜08年度中計ROA 5%へ
ムーディーズ格付「A1」挑戦
 YKKグループは3日、05〜08年度の中期経営方針を明らかにした。「事業価値の更なる向上とブランド価値の確立」を大きな目標として掲げ、建材事業では、中国建材ビジネスモデルの確立と、米国住宅市場への参入を図る。04年度の米国建材事業は、商業店舗向けフロント販売が好調に推移したことで初の1億jを達成。今年6月からは住宅向け樹脂窓市場に参入する。
 また、「世界の更なる優良企業を目指して」、08年度にムーディーズ格付の「A1」取得に挑戦。そのため、資産効率を高めてYKKグループ連結のROA(04年度見込み2.0%)5%を目指す。
 さらに、「サッシメーカーから窓メーカーへの転換」を進める中で、08年度までに居住用の窓は100%複層ガラス化を実現。また、窓メーカーとして「B-to-C」を意識、エンドユーザーとの接点を図る場として、4月1日、YKK AP単独で東京・品川にショールームをオープンする。


YKK AP04年度18%営業益減
住宅25%増・ビル58%減益
 YKKは3日、04年度(05年3月期)の連結及びYKK APグループ(国内)の業績見込みと05年度計画を明らかにした。
 YKKの04年度連結での建材事業は、売上げは住宅用建材の好調などで増収となったが、営業利益は31%減に。国内原材料の高騰とビル建材の販価下落に加え、中国での新規立ち上げ費用5億円、香港・シンガポールでの基盤整備事業費用10億円が響いた。05年度は住宅建材を中心とした売上増加とさらなるコスト削減、海外建材事業の収益改善を見込む。
 また、YKK APグループ(国内)の04年度見込みは前期比2.9%の増収だが、営業利益は18%減、経常利益6%減となる。市況低下36億円、原材料高騰31億円などのマイナス要因を構造改革・コストダウン効果64億円で吸収しきれなかった。住宅建材は4%増収・25%営業増益ながら、ビル建材は微減収・58%の大幅営業減益と明暗を分けた。
 05年度は増収増益を計画。市況低下、原材料高騰でそれぞれ24億円などのマイナス要因をコストダウン48億円で吸収する。住宅建材は増収・増益を見込むものの、ビル建材は強含み横ばいの一方、40%の大幅営業減益を予想。


04年のアルミホイール生産
乗用車8%増、T・B 2.4倍
 日本アルミニウム協会・車輪委員会がアルミホイールメーカー15社の自主統計としてまとめた04暦年の生産・販売実績によると、国内生産量は1,560万3,351個、前年比8.3%増となった。プラスは2年ぶりのこと。また、輸入は352万842個、同7.7%増を記録。これにより、国内生産と輸入を合わせた総供給量は8.2%増の1,912万4,193個となった。
 国内生産を種類別に見ると、94%を占める乗用車向けが1,465万7,991個、同8.3%増、トラック・バス向けも17万3,020個、同139.0%増と大幅に伸びた。半面、二輪車向けは77万2,340個、同2.2%減と引き続きマイナスとなった。


04年自動車向けアルミ出荷
150万554d、6.1%増に
 日本アルミニウム協会統計によると、04暦年の自動車(二輪車を含む)向けアルミ製品総出荷量は150万554d、前年比6.1%増と3年連続で過去最高を更新した。150万d台乗せは史上初。
 品種別では、圧延品が28万8,903dと全体の19%を占め、前年比7.3%増となった。内訳は、▽乗用車向け:9万7,500d(前年比13.4%増)▽トラック・バス:3万2,507d(同9.2%減)▽熱交換器:13万8,292d(同8.0%増)▽ホイール:7,706d(同2.7%減)▽二輪車:1万2,898d(同10.7%増)。
 また、構成比54%のダイカストは11.4%増の81万7,033dで、そのうち自動車向けは76万8,207d、同11.5%増となった。鍛造品は2万9,880d、同13.0%増と引き続き2桁の伸長となった。


金属サイディング工業会の尼子会長が現況
04年度需要6%増、復権軌道に
14〜15億円のコスト増、転嫁急ぐ
 日本金属サイディング工業会の尼子一彦会長(チューオー社長=写真)、村上靖副会長(東邦シートフレーム社長)は3日、記者会見し、金属サイディングの需要動向、原材料の価格高騰への対応などについて次のように述べた。
 「金属サイディング需要は04年4月〜05年1月の10ヵ月間累計で前年同期比6.1%増と堅調に推移。過去のピークは96年度の2,400万uで、その後窯業系に押されて低落傾向が続いたが、03年度に1,633万u、同2.8%増と反転し、04年度はさらに増加幅を拡大する見通しだ」
 「これは深絞り、後塗装などの技術開発で表面柄・質感の向上が図られたこと、流行のモダン&シンプル住宅にフィットするスパン系外壁材を窯業系に先行して商品化したことなど、各社の企業努力が実ったことによる。また、03年の防火認定取得で新築対応が可能になったり、当工業会の普及活動による西日本への市場の広がりも寄与した。今後も軽くて断熱・遮音性能に優れる外壁材として、リフォームはもとより新築への採用拡大が期待され、金属サイディングは今『復権の途上にある』といってよい」
 「原材料の値上がりが大変厳しい。私の試算だが、今年春、予定通りカラー鋼板がs20円、ウレタンが同30円値上げされるとすれば、当業界全体で14億〜15億円のコストアップになる。総市場180億円程度の当業界にとって、これは誠に厳しい。今後企業ごとに対応しようが、チューオーの場合、4月1日から10%の価格是正を申し入れる考えだ」


日本金属サイディング工業会
新築最優秀賞に(有)嵐の個人邸
 日本金属サイディング工業会は3日、第3回金属サイディング施工例写真コンテストの結果を発表した。最優秀賞には新築部門で(有)嵐(群馬県藤岡市)が施工し、チューオーのセンタースパンを使用した個人邸(写真)が、また、リフォーム部門では(有)秋山建築板金が施工し、松下電工製品を採用した個人邸が選ばれた。
 同コンテストは金属サイディングの市場浸透と拡大を目的に02年に創設され、今回は新築・リフォームの両部門から最優秀作品2点、優秀作品20点、入賞28点、計50点が選ばれた。
 応募総数は987点で、02年の524点、03年の708点を大きく上回り、金属サイディングの市場拡大を反映した。応募の新築・リフォーム内訳は新築670点、リフォーム317点。金属系は窯業系と異なり、軽くて施工がしやすいことから、リフォーム市場が中心といわれたが、新築でも大健闘。また、東西別では東日本620点、西日本367点となり、これまで空白といわれた西日本へも浸透してきた。
 審査委員長の平井和喜東北大学名誉教授は「シンプル&モダン住宅向けに窯業系に先行してスパン系の新商品を開発するなど、金属系もデザインの向上が著しい。建築設計者や施工業者の意見を取り入れることで需要も拡大する」と講評した。


新日軽がビル用防犯配慮商品
独自の無電源センサーを活用
 新日軽は04年6月に戸建住宅用に発売した防犯配慮商品「セルフパワーシリーズ」をマンションなどビル向けに拡大、4月から全国展開する。同シリーズは電池交換や配線工事が不要な、世界初の無電源センサーと受信機による防犯システムで、ユーエスシーと共同開発した。
 無電源の原理は、窓のクレセントの施解錠操作、あるいはドアや開き窓の開閉操作による振動で特殊セラミックが自己発電(フラッセル発電)し、内蔵した無線送信機から受信機「SPモニター」(写真)に送信する仕組み。電源を一切使用しないので電池切れの心配もなく、配線工事も不要。
 今回開発のビル用は、ガラス破りなど異常が発生すると最大80dBの警報音が鳴り、表示ボタンが異常発生エリアを報せる。参考価格はセンサー3台と受信機1台の組み合せで15万円程度。


立山アルミが柱なしバルコニー
 立山アルミは3月から、柱なしアルミバルコニー「イオグランデ」(写真)を発売した。豊富なパネルと多様な納まりが特徴。スタイリッシュなデザインに仕上げ、シンプル&モダン住宅にぴったり。初年度販売目標2,000セット。
 パネルはベーシックな竪格子、クールなポリカーボネート、通気性のあるパンチング・サイディング対応、吹き抜け対応の5種を用意。カラーはシャンパングレイなど5色を揃えた。納まりは従来の柱芯納まりに、先付金具を用いた胴差し納まりを加えた。これにより耐震金具を使用した住宅への設置が可能となった。
 本体価格は16万4,500円(竪格子タイプ、関東間単体、間口1820o×奥行665o)など。


豪州ケイマグネが日本事務所
日本・中国アジア市場開拓
 豪州のマグネシウム合金メーカー、Quay Magnesiumは、3月1日付で日本事務所を開設した。法人名は「ケイマグネシウム株式会社(Quay Magnesium Ltd.)」、住所は東京都港区西新橋1-2-9日比谷セントラルビル14階、電話03-5532-7422。代表は小野塚克一・アジア地区マーケティングマネージャー(写真)。
 既報の通り、ケイマグネシウムは最大年産能力9万dの中国・南京工場を建設中で、同工場はGM認定工場となる。日本事務所の開設により、日本市場の開拓及び中国アジア地域の顧客をも含めた提携・合同も視野にいれた活動を行う。


スヤマ・インフィルがQC大会
4年で売上高生産性30%改善
 関東を拠点とする大手建材流通のスヤマ・インフィル(東京都武蔵野市、小野寺正臣社長=写真)はこのほど、業務の効率化・標準化・システム化を目的としたQCサークル発表会を開催した。97年の第1回以来14回目で、4年間で売上高生産性(売上高/人員数)が30%向上するなど、大きな成果があったという。
 今回のテーマは次の4項目。@粗利益率の向上とミス・クレームの純減を目標とした改善活動A木製家具の営業展開で新規顧客開発のケーススタディB数万種の建築資材を取り扱う建材流通として、月末伝票集中処理の難問解決とその平準化への挑戦C各種資材のセット提案など、総合化プレゼンテーションの成功例。14サークルの発表があり、多摩営業所に最優秀の社長賞が贈られた。


トステム住宅施工例コンテスト
 トステムは、同社主催の住宅施工例コンテスト「第15回トータルハウジング大賞」(TH大賞)の入選作品を決定し、表彰式を行った。
 491点の応募作品の中から大賞の「桜庭邸」(施工:大勝建設、設計:atelier if、写真)をはじめ、優秀賞14件、審査員特別賞6件、奨励賞24件、合計45件の優秀作品が表彰された。
 TH大賞を受賞した「桜庭邸」は、昨今若年層を中心に人気のシンプル・モダン住宅。

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