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NO.1788(2006年5月29日号)

経産省・特許庁が特許情報調査
Mg合金構造用材料の製造技術
日本勢優位だが、中国が急追


 マグネ構造材に関する特許出願件数では日本勢が優位だが、論文発表件数では中国が日本を追い越し、米国に比肩するレベルに到達。近い将来、精錬から加工まで高レベルの製造技術を持つマグネのリーディングカントリーに変貌する可能性を秘めている。

 これは、経済産業省・特許庁が05年度に特許出願技術動向調査の一環として実施した「マグネシウム合金構造用材料の製造技術」報告書が明らかにした。同調査は、「鋳造」「塑性加工」「熱処理」「粉末冶金」「表面処理」の5つの製造プロセスについての特許、技術動向をまとめた。分析対象とした特許は出願基準年もしくは優先権主張年が90年以降、03年までで、対象分野、出願先国別の内訳は表の通り。
 マグネ合金構造用材料の製造技術に関する日米欧中韓の特許出願は97年以降急増。以前は年間100件前後で推移していたが、最近では250件以上になっている。出願件数では日本が優位。米国の出願でも日本製が38%を占め、米国勢の34%を上回る。欧州、中国、韓国においても、日本勢の出願が目立つ。
 ただ、01年頃より中国勢による自国への出願が増加している。また、論文の発表件数が非常な勢いで伸びており、合金開発や塑性加工の分野では日本や米国と肩を並べるレベルに達し、03年以降日本を追い越す勢いである。
 報告書は、マグネ合金が自動車部品や電子筐体の分野で本格的な構造材料として認知されるためには、製造技術の面では「発火、燃焼防止技術の確立」と「難塑性加工性の克服」が二つの大きな課題と指摘。特許出願の面では日本が圧倒的優位を維持しているが、中国との競争など、わが国のマグネ合金構造材料を取り巻く環境は決して容易でないとしている。
 難加工性の克服では、高品質で安価な板材の供給が大きな課題。鋳造分野における出願動向では、わが国は2000年頃より双ロール法、薄厚モールド法によるマグネ連続鋳造法の特許が出願されているが、現状では出願人が限られ、競争的に本開発を推進するプレーヤーが少ないという。高品質で安価な板材を供給する技術を実現する為には連続鋳造と圧延技術に深い経験を有する鉄鋼、アルミの素材メーカーの参加が是非必要としている。
 マグネ合金材料の製造技術で「わが国は世界のリーディングカントリーの一つであることは論を待たない」。しかし、中国の動向など、状況は変化しつつあり、北欧、米国、カナダ、オーストラリアが持つ精錬技術が中国に移転されると、「近い将来、中国は精錬から加工まで高レベルの製造技術を持つマグネのリーディングカントリーに変貌する可能性を秘めている」と結論付けている。


軽圧品流通市況、東京地区
全6品目、30〜35円の大幅高に
 全国軽金属商協会・市場調査委員会(委員長=山口誠一神商非鉄業務部部長)がまとめた4月末の軽圧品流通市況調査によると、東京地区ではアルミ大板、アルミ小板、52S板、快削棒の4品目が前月比30円高、56S棒、63S形材の2品目が35円の大幅値上りとなった。大阪地区でも、63S形材の40円高を除き、その他品目が50円の値上り。中部地区では6品目すべてが50円の上昇を記録。「アルミ地金上昇分の転嫁が着実に進んでいることを反映した結果」(山口委員長)という。


合金協会が総会、会長に越智氏
市況高騰の実需への影響懸念
 日本アルミニウム合金協会は17日、都内のホテルで定時総会を開催し、06年度の事業計画を承認した。席上、任期満了に伴う役員改選を行ない、会長に越智桂エム・シー・アルミ社長(写真)を選出した。越智会長は総会後に会見し、要旨次のように抱負を述べた。
 「好調な自動車産業に支えられ、アルミ合金需要は06年度見通し180万dと5年連続の増加が続く。しかし、新地金LME市況が3,000jを超えるなど環境の変化が激しい。この市況高騰がアルミ合金の実需に影響を与えないか懸念がある。市況高騰はアルミ合金業界にとって必ずしもプラスにならない。スクラップ市況が急騰しているため、企業収益を圧迫することがないように経営の舵取りが難しい。協会としてはホームページの充実など会員サービスの強化に努める」


神鋼Al・銅の中期経営計画
06〜08年度で設備投資440億
売上3650億円、営業利益率6.3%
 中山裕之専務アルミ・銅カンパニープレジデント(写真)は10日、記者会見し、06〜08年度中期経営計画の概要を明らかにした。
 中計では、@品質・デリバリー・コスト・技術開発力で信頼度No.1の企業A業界トップクラスの利益率と財務体質の確立B企業の社会的責任(CSR)への取り組み−−の3点を「目標とする事業像」として掲げた。
 収益面では、@景気循環の中でも常に利益を確保できる強固な収益基盤の確立Aオンリーワン製品の収益拡大B自動車・IT分野への経営資源の重点投入−−が基本方針。最終08年度における連結数値目標として、売上高3,650億円(05年度実績3,049億円)、営業利益230億円(同176億円、在庫評価影響57億円を除いた補正値)、売上高営業利益率6.3%(同5.8%)を設定した。
 これを実現するために、06〜08年度の3年間で総額440億円(06年度174億円、07年度141億円、08年度123億円、減価償却費は総額470億円)の設備投資を実施する。05年度実績248億円と合わせた05〜08年度の合計額は686億円(単体459億円、関係会社227億円)で、内訳はアルミ板290億円、押出40億円、銅板条170億円、銅管他50億円、鋳鍛130億円。
 05〜06年度では、既報の通り真岡製造所のNo.1冷間圧延機の改造・高速化工事などを実施。07〜08年度の具体的な投資案件はまだ決定していないものの、「顧客のニーズに我々の持っているシーズをかみ合わせながら、09年度以降に開花するように成長の種蒔きをする」(中山プレジデント)。
 08年度における販売数量目標は、アルミ板33万6,000d、押出が4万9,800d。自動車向けパネル材は月1,600d(06年度予想1,000〜1,100d)を見込む。「量はそれほど伸ばす考えはないが、需要が伸びていく分野は確実に取り込み、そのための増産設備投資を実施する。ただ、基本的には新しい技術により既存の商品に取って代わる新商品を開発、価格の維持を図りながらシェアを高めていきたい」。
 財務体質については、「当カンパニーはまだ『累損』を持っている。連結ベースでは06年度中に、単体では08年度に解消できる見込みだ。累損を早期に解消、剰余金を積むことで財務体質の改善につなげる」


住軽3月期連結、25%経常増益
数量減も、固定費削減が寄与
 住友軽金属の06年3月期決算は販売数量が減少したものの、原材料価格の上昇に伴う製品価格アップで増収に。原材料・エネルギー費アップを、品種構成の改善、減価償却・固定費などコスト削減で吸収、増益を確保した。アルミ板の国内販売数量は25万1,533d。缶材の落ち込み、IT関連での一部、スチールへの素材転換などで前年度比1万7,854d減少。一方、輸出は印刷板、フィン材など好採算製品の拡大に注力、5,811d増加の7万595dとなった。
 期末の単体有利子負債残高は、証券化した千葉製作所の土地・建物の買い戻しなどで前期比48億円増加の1,937億円だが、連結では160億円減少の2,212億円で、07年度中計目標2,220億円を前倒し達成した。なお、住軽アルミ箔のカルテルに伴う課徴金概算額として2.6億円を特損で引き当てた。
 今期連結営業利益は20億円増加するが、数量増による単独の収益好転と、子会社の収益回復による。住軽アルミ箔は地金上昇分の価格転嫁が進むほか、燃費規制特需の反動で収益が悪化した日本トレクスもトレーラー関連の需要増で回復を見込む。ただ、原材料・エネルギー価格上昇に溶解ロスを加えたコストアップは20億〜25億円となると予想。コストダウンでは吸収しきれないため、再度値上げ要請が必要だが、時期、幅など具体的な内容は未定としている。


神鋼商事、中国にAlコイルセンター
07年6月立ち上げ、初年度4億円売上
 神鋼商事(森脇亞人社長)は17日、中国・蘇州市にアルミ専用コイルセンターを設立すると発表した。アルミ圧延材のスリット・シャーリング加工・販売を行なう。
 6月設置予定の新会社は「神商蘇州アルミ業有限公司」(仮称)。資本金は512万米j(約6億円)で、神鋼商事が100%出資する。所在地は江蘇省蘇州工業園区。従業員数は約40名、代表者は未定。07年6月に営業を開始、初年度4億円の売上げを見込んでいる。
 中国では、市場の拡大に伴い、各種製品の素材需要が増加の一途をたどっており、特に、自動車アルミ化、IT分野でのアルミ素材の需要急増が見込まれている。
 また、自動車部品メーカー、外資系IT機器・部品メーカーは、中国アルミ圧延メーカーの品質向上に伴い現地調達率を高め、生産リードタイムの短縮、生産変動対応を目的としてサプライチェーンマネジメント(SCM)を推進中。
 神鋼商事は、こうしたニーズに対応するため、中国現地に物流加工機能を持つアルミコイルセンターを持つを設立するとともに、中国におけるビジネスのさらなる拡大を図る。


昭電と住商、アルミ合金事業統合
新会社「サミット昭和アルミ」設立
年産18万d・業界2位、年商4百億円
 昭和電工(高橋恭平社長)は16日、100%子会社の昭和軽合金(千葉県市原市)のアルミ合金事業を住友商事が98.63%出資するサミットアルミ(大阪市淀川区、青柳勝社長)に統合すると発表した。サミットアルミが実施する第三者割当て増資を引き受け、7月1日付けで合金事業を譲渡する。増資後の資本金は7億7,500万円を予定し、住友商事65.76%、昭和電工33.33%、個人株主0.91%の出資比率となる。
 事業統合後、サミットアルミは「サミット昭和アルミ株式会社」に商号を変更する。統合新会社の合金生産量は約18万dを見込み、国内市場シェアは14〜15%と大紀アルミに次ぐ第2位となる。売上げ規模は年間約400億円。事業統合により営業力強化、製造合理化によるコストダウンを実現、収益拡大を図る。昭和軽合金は07年をめどに解散する。
 新会社の社長には青柳勝サミットアルミ社長(写真)が就任、本社はサミットアルミ現本社がある大阪市淀川区西中島1-11-16に置く。茨城、愛知、滋賀、千葉の4拠点に工場を持ち、従業員数は約220名。
 昭和軽合金はダイカスト用二次合金で年間約6万d、鋳物用新塊合金で同約3万dの生産能力を持つ。05年12月期決算は売上高210億8,400万円、経常利益2億1,800万円。黒字基調を維持しているものの、ダイカスト用二次合金事業はコスト競争力に欠けるため低採算が続いていおり、売上高営業利益率は2%以下。昭和電工が推進中の06〜08年中期経営計画「プロジェクト・パッション」で目標とする5%に達していないため、事業再構築に踏み切る。
 事業統合に先立ち、ダイカスト用約2万dの生産をサミットアルミ(現有生産能力約13万d)の工場に移管したうえで、二次合金の生産拠点である第1合金工場(4万d分)を閉鎖。高い技術力を背景に付加価値の高い新塊事業に集約する。昭和軽合金の現従業員数85名のうち、第1工場合金勤務の約30名は昭電が引き受ける。
 なお、昭和軽合金の解散に伴い、昭和電工は06年12月期決算において連結で28億円、単独で18億円の特別損失を計上するが、2月発表済みの業績予想の変更はないとしている。


日軽金前期連結、5%営業減益
新日軽12億赤字、今期5億円黒字
 日本軽金属の06年3月期決算は前期比3.0%の増収、5.4%の営業減益、2.2%の経常増益となった。アルミナ・化成品・地金、板・押出、加工製品は営業増益となったが、製品価格低下・材料高騰が響いた建材製品が前期の40億6,800万円の黒字から1億6,300万円の赤字に転落した。
 特別損失として、箔のヤミカルテル排除勧告に伴う課徴金概算額として10億6,900万円(東洋アルミ9.4億円、東海アルミ箔1.3億円)を引き当て計上した。また、蒲原製造所の薄板連続鋳造設備「フレックスキャスター」(設備投資額約30億円)も、当初「垂直立ち上げ」を期待していたが、昨年度生産実績が約2,000dと計画に比べて大幅に遅れていることから、約17億円の資産を減損処理した。
 新日軽の今期営業損益は17億円の改善予想。「19年ぶりの主力住宅サッシのフルモデルチェンジに伴う混乱が前期末から落ち着いてきたことに加えて、材料高騰に対応した価格是正も今下期から、本格的に寄与するため充分達成可能」としている。


日箔、箔製品再値上げ要請へ
7月出荷分から60円以上で交渉
 日本製箔(重村郁雄社長=写真)はアルミ地金高騰が続いていることを受けて、アルミ箔製品の再値上げを要請する方針を決めた。値上げ幅は地金価格連動ルールの適用のない製品については`60円以上となる模様で、6月から交渉に入り、7月出荷分から実施する考え。
 既報の通り、05年度連結決算では営業利益が5億2,500万円と前期比51%減となった。最大の要因はアルミ地金高騰により原材料調達コストが約7億円増えたこと。
 今年2月出荷分から地金価格連動ルールのない「モノ価格」については、今年1月に210円から280円への上昇分である、70円以上の値上げを実施。4月から改定効果が出るが、4月以降もアルミ地金は一本調子で上昇を続け、値上げが追いつかない状況。このため、地金連動ルールのない製品については7月出荷分から再値上げを要請する。今上期は個別決算で5,000万円の経常赤字予想だが、下期の2次値上げ実施により通期で3億円の黒字化達成を目指す。
 同社は今年1月以降、出荷数量ベースで約2割にとどまっていた地金価格連動制の適用拡大に努め、現在50%強がルールを設定。ただ、小口ユーザーはモノ価格を選択するケースが多く、件数ベースでは3割強にとどまっている。
 ルール適用は6カ月毎というユーザーが多いため10月納入分から改定。またモノ価格については四半期毎の平均という考え方で、7月納入分から実施する考え。値上げ幅は5月の市況を踏まえて決めるが、2〜4月の平均で340円程度なっており、280円からの上昇分である60円以上となる。


アーレスティの06年3月期連結
ダイカスト、7%の増収・増益に
 アーレスティの06年3月期連結決算は、前期比5.8%増収、営業利益5.7%増、経常利益16.5%増と過去最高を更新した。
 ダイカスト部門は売上高が同7.7%増の923億600万円。主力製品である四輪部品は新規品の立ち上がりに加え、好調を維持している自動車各社の輸出に支えられ9.1%増となった。二輪部品も、国内需要の回復に伴う二輪メーカー各社の生産増に伴い5.0%増となった。収益面でも生産性の改善を始めとする原価低減活動などの寄与により、営業利益は同7.4%増の54億2,000万円となった。売上高営業利益率は5.9%。
 今期は、自動車業界の好調が続くことでダイカスト、アルミニウム事業の増収が見込まれるのに加え、半導体・液晶関連など完成品事業の需要回復が予想されることで15.5%の増収、15.8%の営業増益を予想。


アーレスティが完全子会社化
ダイカスト機械加工の東海精工
 アーレスティは7月1日付で、ダイカスト製品の機械加工メーカー、東海精工(浜松市、鈴木利幸社長、資本金1億円)を完全子会社すると発表した。株式交換により全発行株式を取得する。
 アーレスティは同社の株式20.2%を保有する筆頭株主で、ダイカスト品の加工を委託してきた。ダイカスト事業では近年、素材のみならず加工の部品組み付けまでの工程を受注する品目が増加。ダイカスト鋳造技術に加え、機械加工技術力も重要性を増している。東海精工を完全子会社とすることで連携を強化、鋳造から加工までの一貫した体制を構築して、より優れた製品品質の提供及びコスト競争力を高める。
 なお、東海精工の05年12月期業績は売上高89億900万円、経常利益7億200万円、当期純利益3億3,500万円。完全子会社によるアーレスティの07年3月期連結業績に対する影響額は売上高33億円、経常利益2億2,000万円、当期純利益1億円を見込んでいる。


リョービの06年3月期連結決算
DC事業、8%増収・26%営業増益
 リョービの06年3月期連結決算は、営業利益、経常利益ともに4期連続の増益・過去最高更新となった。ダイカスト事業は売上高1,143億1,900万円、前期比8.4%増に。国内自動車向けが堅調に推移、アルミ材料価格の急騰をはじめとした原材料高による利益圧迫があったものの、売上増、コストダウンや生産性向上などにより、営業利益は71億6,100万円、同26.3%増となった。売上高営業利益率は6.3%と、前期の5.4%から向上した。
 今期も12.1%の増収、3.7%の営業増益、2.2%の経常増益を見込む。ダイカスト事業は引き続き国内自動車メーカー向けが好調に推移することで、売上高が1,309億円、14.5%の増収を計画。収益面でも増益を予想している。


大紀アルミ連結、9%営業増益
数量増、原料高・製品安も是正
 大紀アルミニウム工業所の06年3月期連結は、自動車メーカーの好調を背景に需要が堅調に推移。製品と原料の価格差も第3四半期以降改善が進んだことで前期比20.2%の増収、9.0%の営業増益となった。
 ただ、持分法適用関連会社が需要拡大に対応した設備増設を実施。先行投資負担による収益圧迫で、営業外損益の投資利益が4億1,600万円悪化したため、経常利益は8.3%の減益となった。









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