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NO.1899(2008年8月11日号)
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菱化マックスが開発
均一微細化アルミ鋳塊の製造技術
高靱性・低変形抵抗で鍛造性大幅向上
菱化マックスはこのほど、均一微細化アルミ合金ビレット・スラブの新たな鋳塊製造技術を開発した。従来製法に比べ、鍛造性が向上することで生産性アップ、加工コスト低減につながるという。
菱化マックス(新潟県上越市、多田昌弘社長)はこのほど、アルミ合金ビレット・スラブの新鋳塊製造技術を開発した。この「等軸微細結晶鋳塊製造技術」は「RFC鋳造(Ryoka Macs Fine Casting)プロセス」と呼ばれるもの。RFC鋳造品は@均一微細な結晶組織A少ない変形抵抗B高い靱性(伸び)を実現C巣など内部欠陥が少ないなどの優れた特長を持つ。
6061、φ254のビレット径方向のセル径分布では従来プロセスではビレット中心部で粒径が粗大化しているのに対し、RFCプロセスでは表皮部から中心部に至るまで、均一かつ微細な結晶組織となっている。
また、高靱性・低変形抵抗により、鍛造性が大幅に向上。6061-O材の据え込み鍛造で比較すると、RFCプロセス品では据え込み率が90%程度と従来の鋳造品の80%程度、押出品の70%程度に比べて15〜20%向上することが確認された。
このため、鍛造時には低鍛錬比でも物性を確保することが可能。少ない工程でも製品の生産が行え、加工コストの低減につながる。また、冷間加工時の成形性も向上するため、複雑形状の製品でも鍛造が可能で、鍛造設計の幅拡大につながる。その他、疲労強度が向上するほか、鍛造後再結晶しないため、結晶組織の粗大化もないという。さらに、過共晶Si合金では、初晶Siを微細化することで切削性もアップ。5000系合金では従来プロセス鋳塊に比べ圧延板材でのアルマイトムラも解消するという。
アルミ協会正副会長が景況感
「米国景気動向に懸念材料」
日本アルミニウム協会の正副会長は29日の定例会見の席上、足元の需要動向と今後の見通しについてそれぞれ見解を述べた。
矢尾宏会長(写真) 缶材の需要は回復しており、猛暑が続いていることで7月の統計はかなり良くなるのではないか。一方、建材は建築基準法改正問題がまだ尾を引いており、押出はマイナスが続いている。一方、自動車販売は世界的に低迷、北米では順調に推移してきた日系メーカーも落ち込んでおり、先行きは厳しい状況が想定される。ただ、自動車は生産台数は落ちるかもしれないが、軽量化で1台当たりのアルミ使用量は増えよう。
中山裕之副会長 板は缶材が伸びているが、厚板は半導体関連が悪いうえに、液晶関連でも陰りが出ている。エアコン用フィン材も欧州の冷夏で受注に陰りが見え始めている。米国の自動車生産も先々相当落ち込むと見ている。このため、下期の需要は相当悪くなると、若干悲観的な見通しを持っている。ポイントは米国のサブプライムローンの問題がいつ底を打って解決するかということ。2009年度まで続くようであれば来年度の米国の景気も相当厳しく、中国の輸出、日本の輸出が影響を受けよう。
竹内正明副会長 自動車向け板材の販売は落ち込んでいない。CO2削減でアルミによる軽量化が深く静かに潜行しているのではないか。建設も今がどん底。押出はこれから需要も増え、来年度には今の水準から20〜30%伸びよう。
08年上期の圧延品生産2.0%減
板1.8%増、押出7%減、箔1%減
08暦年上期のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板類は生産が前年同期比1.8%増、出荷が同2.3%増となった。ともに2年連続のプラス。出荷の部門別内訳では、缶材、箔地、フィン材などがマイナスとなる一方、自動車部材、電子通信装置、一般機械、卸・小売等はプラスを記録した。
押出類は生産が7.2%減、出荷が6.7%減となった。ともに4年連続のマイナス。自動車部材が好調であったものの、建設向けの大幅な減少に加え、一般機械もマイナスとなった。
板類と押出類の合計では生産が2.0%減、出荷が1.4%減。ともに4年連続でのマイナス。
箔は生産が1.0%減、出荷が2.5%減と2年連続のマイナス。主力のコンデンサーを含む電機機械向けがプラスとなったものの、日用品、食料品向けなどがマイナスとなった。
6月、押出のマイナス幅縮小
6月単月では、板類は生産が前年同月比4.9%増、出荷が同4.2%増でともに3カ月連続のプラス。箔地、印刷版などはマイナスとなったものの、缶材、自動車を含む輸送用機械、一般機械、卸・小売などがプラスに。押出類は生産が2.7%減、押出が2.3%減で、ともに17カ月連続のマイナス。自動車部材が微減(0.2%減)となったほか、過半を占める建設向けが3.0%減となった。
箔は生産が1.8%増と2カ月連続でプラス、出荷が1.6%増と4カ月ぶりにプラスに転じた。主力のコンデンサー向けが6.9%増と、3カ月ぶりにプラスに転じた5月の1.1%増から伸び率が拡大した。
住軽日軽エンジニアリング
07年度売上129億円、経常益0.98億円
今年度141億円・1億円、累損解消へ
住軽日軽エンジニアリングの水野稔社長(写真)は24日、東京・亀戸の本社で会見し、07年度業績と08年度計画及び当面の経営方針等概略以下の通り述べた。
【07年度は3期ぶり経常黒字化】07年度は主力の公共投資予算の削減が続く中で、低価格入札の横行、資材インフレなど市場環境は非常に厳しく、売上高は129億円と06年度の140億円に比べ11億円の減収となった。しかし、コストダウンと競争力のある一部製品の値上げで粗利益率を改善、固定費圧縮により経常利益は9,800万円と、前期の500万円の欠損から3期ぶりに黒字となった。
売上高129億円の内訳は@道路系:56億円(06年度53億円)A都市景観系:35億円(同32億円)B上下水道系:6億円(同18億円)C建築系:14億円(19億円)D溶接構造物系:18億円(同18億円)。道路系はアルミ合金製防護柵「アスレール」など新製品が順調で、都市景観系も好調であった。一方、溶接構造物系も橋梁外面点検作業車が好調なものの、新製品の立ち上げに時間がかかり増収には至らなかった。また、成長分野と期待していた上下水道は発注ずれ込みで大幅に落ち込んだほか、建築系は熾烈な市場競争の中で選択受注を行ったため、減販となった。
【08年度は建築系除き増販】08年度は売上高141億円、経常利益1億円を計画。公共事業の約3割を占める道路特定財源見直し論議に加え、鋼材を中心とする資材インフレなど、市場環境は厳しさを増している。
売上高の内訳は@道路系:57億円A都市景観系:41億円B上下水道系:11億円C建築系:9億円D溶接構造系:23億円。道路系では防護柵の設置基準の変更もあり、防護柵の改修需要に期待。「アスレール」は5割増、「キャプロア」は倍増の販売を見込む。都市景観系では駅前広場整備が期待され、引き続き拡販に注力する。上下水道系は06年度の水準までには回復しないものの、ずれ込んだ発注が売上げに立つことである程度の戻りを期待、ファームポンドなどに注力していく。
溶接構造物系は既存小中学校校舎の耐震補強工事に対する国の補助金制度が前倒しになったことでアルミ耐震補強工法「アルミブレース」の大幅な伸びを期待。新製品のアルミ製波返しも拡販。建築系は採算を重視、ハニカムパネルはトレーなど産業用で拡販する。
鋼材だけでなく、アルミも高くなっており、9月に値上げを実施する。値上げ幅は検討中だが、売上げの6割程度を占める物件系はその都度、価格是正を行っているため、アルミ防護柵など規格品の定価改定が対象となる。
【新規製品拡販とトータルコスト競争力】08年3月期末で3,000万円弱の累損は今年度中の解消を目指す。中期的な目標としては売上高150億円、経常利益2億円の会社を掲げているが、環境は非常に厳しい。
このため、道路・橋梁・海岸・河川など様々な分野で永年にわたって築いた技術を駆使して「安全・安心」をキーワードに市場性のある製品を提供すると共に、両親会社・グループ会社の協力を得ながら新製品の開発を推進し、勝ち残っていく。今年度はそのための底固めということで新規製品開発と拡販により売上高を確保する。一方で、市場環境が非常に厳しい中で、品質はもちろんのこと、コストが重要。営業・設計・製造・施工トータルでのコスト競争力を確保するという両輪体制で難局を乗り切っていく。
大紀ア連結中間、49%営業減益
原料高の転嫁遅れ大幅下方修正
大紀アルミニウム工業は7月24日、09年3月期業績見通しを下方修正した。
それによると、連結決算の08年9月中間は、営業利益、経常利益がぞれぞれ前年同期比49.4%減、69.9%減に下方修正された。5月発表の予想では営業利益は51.7%、55.6%のそれぞれ増益を見込んでいた。
第1四半期ではアルミ市況の高騰及び副原料である金属ケイ素価格の上昇により原料コストが上昇したものの、製品価格への転嫁が遅れたことが利益を圧迫。製品販売数量を抑えて価格改定に努めるものの、第2四半期でも改善の見通しが厳しいことから下方修正した。
通期でも営業利益は前期比9.4%増、経常利益は同0.1%減と、前回予想の営業利益2.35倍、経常利益2.82倍を見直した。
文化シヤッターの第1四半期連結
4%減収、2.84億円の営業赤字
文化シヤッターの08年4〜6月期連結決算は、前年同期比4.1%の減収、営業損益、経常損益はそれぞれ2.84億円、1.31億円の赤字計上となった。 売上面ではサービス事業及びリフォーム事業が堅調に推移したものの、新設住宅着工及び大型商業施設・倉庫向けの非居住総着工床面積が大幅に減少したことを受け、シャッター関連製品事業及び建材関連製品事業の売上が減少。収益面では、コストの低減及び販売価格の引き上げ効果があったものの、市場が縮小傾向にあるなかで、売上高が減少したことが大きく影響した。なお、特別損失として投資有価証券売却損を計上したことで純損失は5億600万円となった。
セグメント別では、シャッター関連製品は防火シャッター等への危害防止装置義務化による需要増があったが、建築着工数の影響からおおむね低調に推移。建材関連は工場・倉庫向けドア及びパーティションが低調に推移。サービス事業は修理、メンテナンス事業が好調に推移。リフォーム事業はパッケージ商品「安心価格」が引き続き堅調に推移したものの、新規事業開設に伴う営業費用の増加で営業損失が拡大。
通期では表記の通り、今年5月発表の予想と変らず、前期比4.5%の増収、営業利益、経常利益はそれぞれ40.7%、36.8%の増益を見込んでいる。
日本製箔の第1四半期連結
4.8%増収、30%営業増益
日本製箔の08年4〜6月期連結決算は、売上高74億900万円(前年同期比4.8%増)、営業利益2億8,600万円(同30.3%増)、経常利益3億1,500万円(同41.6%増)、純利益1億6,300万円(同87.8%増)となった。
得意分野の強化、新製品分野拡大、不採算製品のカット、さらなるコストダウンなどにより収益改善を実現した。
通期見通しは売上高290億円(前期比0.6%減)、営業利益9億5,000万円(同14.5%減)、経常利益9億1,000万円(同11.7%減)、当期純利益5億4,000万円(同8.7%減)で、5月発表の予想と変わらない。
日箔、大証上場廃止を申請
日本製箔は7月29日付けで大阪証券取引所に上場廃止申請を行った。整理銘柄登録を経て、1カ月後に上場廃止となる見込み。
同社は6月19日付けで本店所在地を大阪市から東京都千代田区に移転。すでに本店機能が東京に集約しており、重複上場に伴う管理業務の効率化を図るため、大阪証券取引所の上場廃止を申請した。
経産省の08年度設備投資調査
アルミ圧延312億円・15%増
経済産業省は7月28日、今年3月31日時点で実施した国内主要企業の08年度設備投資動向調査を発表した。
それによると、アルミ圧延業の07年度設備投資額は270億2,200万円、前年度比2.0%減となった。設備投資伸び率は03年度31.4%、04年度40.8%、05年度12.6%、06年度25.1%と2ケタ増で推移してきたが、02年度の9.7%減以来、5年ぶりのマイナスとなった。生産能力増強、更新・維持を目的にした投資を中心に実施された。対前年度比伸び率では、合理化・省力化(前年度比194.2%増)、更新維持(同30.9%増)が高い。
08年度計画は07年度比15.3%増の311億6,300万円。引き続き、生産能力増強、更新・維持を目的とした投資が中心だが、環境関連の投資も前年度比12.0%増計画されている。
なお、アルミ圧延主要企業の経営動向(大手6社連結ベース)は表の通り。07年度決算では改正建築基準法の影響が出たが、自動車を含む輸送機械が好調に推移し、アルミ地金価格の上昇に伴う製品の売値の上昇もあり、売上高は増加した。一方、営業利益は原油価格、副資材の高騰などにより減益となった。
三菱アルミ09年1月1日付け
グループ箔加工事業を統合
三菱アルミニウムは7月24日、事業構造強化策の一環として、09年1月1日付で同社の容器部門と100%子会社のエムエーパッケージング(MAP)及びエムエーホイル(MAFO)を統合して総合箔加工会社を設置するすると発表した。
統合新会社の社名は「潟Gムエーパッケージング」とし、資本金は4億8,000万円。従業員数は三菱アルミからの出向者も含めて271名を予定。社長は未定。
三菱アルミグループの箔加工事業は容器・日用品・各種ラミネート品など包装材、ソーラーバックシートなど産業資材の製造・販売を行っている。各統合会社の売上高(08年3月期)はMAP80.86億円、MAFO50.47億円、三菱アルミ容器事業20.69億円。
市場の成熟化、安価な海外品の台頭に加え、地金、原油価格等諸原料コストの高騰が続くなど事業を取り巻く環境は極めて厳しくなっている。このため、各社で分担している箔加工事業を統合することで開発力・提案力を高め、経営体質の強化収益力の向上と業容の拡大を図る。
2010年度に売上高170億円を見込む。また、統合効果としてはコスト削減効果及び10年度以降期待される増販効果を合わせて年間1億5,000万円を予想している。
昭和電工が内部統制推進室
昭和電工は8月1日付けで内部統制推進室を新設する。09年12月期から同社に適用される「財務報告に係わる内部統制」報告制度に対応する部署として、内部統制に関する評価などの実施を総括する。室長には戦略企画室の高木俊典氏が就任した。
内部統制報告制度への対応には、@内部統制の整備・運用の有効性を評価し、その結果を開示すること、A内部統制の整備・運用について適切なレベルを維持することが必要。このため、こうした業務を効果的に遂行する目的から、高度な専門性を持って専門的な運営を可能とする専任組織を設置したもの。社長の直轄組織とし、評価対象業務から独立させて客観性を保つ体制とする。
三和シヤッターが新発売
冷蔵倉庫用断熱スライダー
三和シヤッター工業はこのほど、冷蔵倉庫や配送センター用扉として、高い断熱性能を持った「断熱スライダー・NSチルド」(写真)を新発売した。
ドアパネルが天井に沿って収納されるオーバースライダータイプの断熱扉。パネル内部に硬質ウレタンフォームを充填し、パネルの内側と外側を硬質樹脂材で連結することで熱が伝わりにくい構造とした。断熱性能はスチール:0.84W/m2K、アルミ:0.83W/m2K、ステンレス:0.71W/m2Kで、従来製品と比べて大幅にアップ。アルミタイプ(10月1日発売)では32%向上させた。
価格は、幅2.5m×高さ2.75m・手動式・スチールパネルで66万7,000円。初年度500セット・3億円の販売を目指す。
竹中工務店はこのほど、神戸製鋼所が開発した亜鉛とアルミの合金(Zn-Al合金)を用いたブレースタイプの制振ダンパー「超塑性合金制振ダンパー」(写真)を開発、九州最高層の地上42階建て3棟連結超高層集合住宅「アイランドタワースカイクラブ」(福岡市)に初めて採用した。
「Zn-Al」合金は神戸製鋼所が兵庫県南部地震直後から開発に着手した全く新しいタイプの合金。ZnとAlの合金に、ナノテクを駆使した特殊な加工熱処理技術(TMCP処理)を施すことで、室温で金属が水飴のように伸びる超塑性を発現。制振部材として必要な特性を得ると同時に、工業的な生産プロセスを確立した。金属でありながら、常温下でも粘弾性体の性質も併せ持った、世界で唯一の室温超塑性亜鉛アルミ合金。変形性能に非常に優れ、繰り返し大変形を受けても、ひずみ劣化や加工硬化が極めて少ないため、制振材料として理想的な特性を有している。
竹中工務店が初採用
ブレースタイプの制振ダンパー
神鋼とZn・Al超塑性合金共同開発
竹中工務店はこのZn-Al合金の特性を最大限に発揮させるために、従来技術とは異なる、独自の座屈補剛機構や接合法などの各種要素技術を開発し、制振ダンパーとして完成させると同時に、設計評価手法も確立した。同制振ダンパーは、大地震や風揺れなどの震動を繰り返し受けても、設計当初の性能をほぼ完全に維 持するため、性能低下の心配やメンテナンスの必要がないという。
今回のプロジェクトでは、3棟それぞれの41・42階の最上層2フロアで、それぞれ4基ずつ計24基のダンパーを設置。地震だけではなく、強風による微小な振動まで幅広く制御できるため、特に震動の影響を受けやすい上層階の居住性と安全性を確保する。今後、風揺れや地震対策が求められる超高層ビルを中心に適用を進めていく。
「驚異の表面改質:イトロ処理」講演会
三菱商事テクノス・東北営業所(福島市)は8月28日(木)午後1時〜4時40分、エッサムこだまホール(東京都千代田区神田須田町1-26-3)において、驚異の表面改質講演会『イトロ処理とは』を開催する。講師は許根泰・慶星大学工学部新素材工学科教授。
イトロ処理は、ポリプロピレンをはじめとするプラスチック類、ステンレス・アルミニウム・マグネシウム等の金属類、ガラス・シリコン・エラストマー・ゴム等の撥水性素材を超親水化する処理。イトロ処理装置はフレーム酸化炎を介して高速処理し、被塗布物の表面にナノレベルの酸化ケイ素を形成する表面処理システム。講演会当日にはイトロ処理済みサンプル品も展示する。
申込は電話024-546-7111/FAX7100まで。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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