このサイトは、本誌の定期購読契約者のみが利用できるメンバー専用ページです。
 |
NO.1919(2008年12月29日号)
|
YKK APの吉田社長が所信
売上が伸びなくても利益確保
12年度海外売上700億円、2千人を減員
YKK APの吉田忠裕社長は15日、東京・秋葉原の本社で恒例の記者懇談会を開催した。冒頭、挨拶に立ち、08年度業績見通しと09年度からスタートする第3次中期経営計画の概要など、要旨次のように述べた。
【08年度業績予想】08年度の建材事業の業績予想は表の通り。07年度の海外売上は1年前倒しで500億円突破を達成した。08年度も円高で縮小するが、500億円台を維持する見込みである。地域別内訳は、米国200億円、中国100億円、その他200億円である。
一方、国内の状況が大変悪く、内部取引きを消去した総売上高は3,603億円、前年度比6.4%減となる。営業利益は当初予想とは大きく食い違うが、国内は13億円と何とか赤字を回避、海外は売上高は国内に比べ小さいものの、営業利益は19億円と国内を上回ろう。
08年度の業績予想及び2009〜12年度の第3次中期経営計画の内容は09年3月3日に予定している経営方針説明会で明らかにする。
当社はこの数ヵ月間、YKK AP事業のあり方について大変な議論をしてきた。とにかく、日本のマーケットが非常に悪くなっており、しかも短期で回復するという状況ではなく、向う3年間は期待できない。世界のマーケットもおかしくなってきているが、まだ世界市場の方が健全な収益を上げられるところが多い。何とか世界の事業を伸ばしながら全体として強い事業体にする。
【第3次中期経営計画のポイント】4ヵ年計画の最重要ポイントは「売上が伸びない事業環境下でも利益を確保する体制づくり」と「技術力の更なる強化−YKK黒部テクノロジーセンター構想」の2点である。ファスニングもAPの建材事業でも、売上が伸びない中で、利益を確保するためには、より魅力的な商品、値ごろ感のある商品、価値の見える商品を開発して提供していかなければならない。そのためには、開発力や、コストダウン、いかに安くするかというエンジニアリングを含めて技術ということが重要になってくる。
「技術力の更なる強化」を実現するためには、日本がまず中心となって技術力を徹底的に高めていかなければならない。世界5極のそれぞれのR&D拠点については商品に関する基盤技術の強化、顧客視点における個々の商品力の強化に向けて、顧客に近い海外の商品開発機能の強化を図る。一方、技術・製品開発の総本山として黒部テクノロジーセンターを開設。研究開発に関わる「情報のハブ」機能、あるいは「教育のメッカ」としての機能などを持たせる。
YKK AP・建材事業のポイントは、@第2次国内建材事業構造改革A窓事業の基盤確立B海外建材事業の拡大Cグローバルファサード事業の確立−の4つである。
01〜04年度の第1次中期計画では「国内建材の構造改革」をメーンテーマに掲げて取り組んだが、国内の事業環境が一層厳しさを増している中で、もう一度構造改革にチャレンジしなければならない。7月に埼玉に新工場の建設用地を購入した際に、YKKAPグループの製造・供給拠点の再編成も視野に入れて新工場を建設すると申し上げた。あのころから比べると、事業環境は一段と悪化、国内建材の事業構造改革は待ったなしの状況である。さらに、製造供給拠点だけではなく、営業業務の構造改革や、広い意味でのロジスティクスを根本的に改革しなければならない。値上げはおろか、値下げを迫られている状況の中で利益を捻出していくためには、コストダウンとは別に、こうした構造改革の中ですべての面にメスを入れていかなければならない。
【窓事業】第2次中計で掲げた「サッシメーカーから窓メーカーへの転換」をさらに進め、4年間で窓事業の基盤を確立する。
【海外事業】為替レートによるが、世界のマーケットも少し軟化していることを考えると2012年度には700億円程度の売上を目標に置いている。内訳は米国250億円、中国150億円、海外CW事業のファサードビジネス150億円、その他150億円。その他はインドネシア、台湾、香港の他、09年度から売上規模10億円程度のブラジルが「AP事業」として加わる。
また、今年1月にYKKAPファサード社をシンガポールに作ったが、そこを核にグローバルファサード事業を展開している。体制が整い、いろいろな案件も受注に向けて進んでおり、中期計画で事業として確立する。
【国内製造拠点の再編】国内製造拠点の再編では、生産品目・ラインは変る可能性があるものの、東北、黒部、四国、九州の4工場体制には変更がない。また、埼玉新工場も計画に変更はなく、09年末の土地引渡し、2010年着工、11年春から操業を開始する予定。ただ、それ以外に30数カ所ある加工拠点の再編が課題である。
【非正規社員2,000人削減】需要の落ち込みには残業や休日操業の抑制などで対応し、基本的に生産ラインの操業度は落としていない。さらに、再契約しない形で、非正規社員については07年10月から08年3月までに約1,000人、さらに09年3月末までに約1,000名、合わせて約2,000名を削減して対応している。
10月のアルミ建材出荷、1.2%減
サッシ住宅7%増、ビルは10%減
10月のアルミ建材生産・出荷統計(確報)によると、総生産量は3万1,270d、前年同月比4.8%減、総出荷量は3万7,246d、同1.2%減となった。出荷金額は553億4,300万円、同0.4%減。d当たり平均出荷単価は148.6万円で、前年同月の147.4万円に比べ0.8%アップした。
製品別ではサッシは生産が1万9,655d、同5.1%減、出荷が2万4,137d、同1.3%減、同金額は364億4,100万円、同1.0%減に。
住宅用サッシは生産が同2.8%増、出荷が6.7%増、同金額は8.2%増となった。平均単価は142.4万円で、昨年の140.5万円からは1.4%上昇した。一方、ビル用サッシは生産が同12.2%減、出荷が10.0%減で、2ケタのマイナスが続いている。平均単価は162.0万円で、昨年10月の161.4万円比0.4%アップした。
エコ展にアルミ協会・缶協会
企業では住生活・YKKなども
国内最大級の環境関連総合展示会「エコプロダクト展」が12月11〜13日の3日間、東京ビッグサイトで開催された。アルミ関連では07年に引き続き日本アルミ協会とアルミ缶リサイクル協会が、また本誌関連の企業ではトステム・INAX・TOEXの住生活グループ、YKK APを含むYKKグループ、東洋製罐、古河電工などが出展した。
今回が10回目で前回を上回る758社・団体が参加した。入場者は3日間で約20万名。
アルミ協会は小中学生を対象としたクイズ形式の展示で、前回のアルミ製品をずらりと並べた製品展示式とは一変。正面に「アルミエコチャンネル」のパネルを設置して、環境に優れ、将来の有望金属であるアルミの認知度アップを狙ってPR。リサイクルに関するクイズを出題し、全問正解者にはアルミ缶入りお茶をプレゼントされていた。 アルミ缶リサイクル協会は3R推進団体連絡会のメンバーとして他の7団体と共同出展。スタンプラリーで8団体のブースを全て回ると飲み物がプレゼントされた。
モリテックが民事再生手続き
官製不況のマンション不振が命取り
マンション用玄関ドアのモリテック・インター
ナショナルは12月10日、東京地方裁判所に同社再建のため民事再生手続きの開始を申請、同日同裁判所がこれを受理した。12日に東京で、13日に名古屋で債権者説明会を開催し、大庭直己社長が経営破綻に至った事情と今後の見通しを説明した。今後会社再建のためのスポンサーを求め再生計画認定作業を移る。
大庭社長によると「昨年6月の改正建築基準法の施行に伴うマンション工事需要の後退や不動産業界・建築業界の不況などが重なり、受注工事が大幅に減少した。このためコスト削減を図るべく外注の内製化、希望退職の募集による人員削減など経営改善策を講じた。一方では資金調達のため100%の子会社の中国・無錫の無錫茂泰特種門有限公司の株式を一部現地建材会社に売却するなどの措置をとった」
「しかし売却代金が予定通り入金されず、12月10日の支払手形決済資金の調達が困難となった。このため民事再生手続き開始の申立てを行い、当社の再建を図ることにした。今後裁判所の指導と関係者の協力の下で従来通りの業務を続けながら会社再建に邁進する」
10月ダイカスト生産、14.3%減
自動車用14.4%、3ヵ月連続減少
経済産業省の金属製品統計によると、10月のアルミダイカスト生産量は9万1,173d、前年同月比14.3%減となった。金額ベースでは547億4,100万円、同13.8%減。前年同月比マイナスは3ヵ月連続。
需要の85%を占める自動車向けは7万7,115d、前年同月比14.4%と、2ケタのマイナスに。前年同月実績割れは3ヵ月連続。金額では473億1,700万円、同14.0%減。その他用途も軒並み大幅な落ち込みとなった。
軽圧流通市況、3市場全品種横ばい
09年1Q地金、07年4Q比100円下落
全国軽金属商協会・市場調査委員会によると、11月末の軽圧品流通市況は東京、大阪、中部の3地区とも全6品種が前月末比変らずの結果となった。
10〜12月期の地金価格は7〜9月期比10円高の370円となっているが、この上昇分は既にほぼ浸透済み。09年1〜3月期の地金価格は270円で、100円の大幅安となる。海外相場も1,400j台となって、下降傾向がとどまることを知らない状況となっている。
くまもとテクノ産業財団
「マグネ商品化研究会」を設立
製品開発促進へ地場企業28社参画
くまもとテクノ産業財団(熊本県上益城郡)は12月19日、熊本県内企業によるマグネシウム合金を活かした製品開発のための技術力向上を図るため、「くまもとマグネ商品化研究会(略称:くまもとMg研)」を設立する。熊本県はくまもとテクノ産業財団を中核機関として、熊本大など16企業・7大学・4公的機関で構成する研究チームが熊本県地域結集型研究開発プログラム「次世代耐熱マグネシウム合金の基盤技術開発」を推進。室温で超々ジュラルミンを超える機械的性質を持つ合金を鋳造で量産する技術を開発。これまでに直径22oの一定品質の丸棒を作る溶解・鋳造技術を確立し、12月中旬から共同研究契約を結んだ企業にサンプル出荷を開始する。
同プロジェクトには県内企業からも参加しているが、くまもとMg研には、より多くの県内企業の参加を目指す。16日現在、地場企業28社、1団体、個人3名の参加が決まっている。会長には前畑政富不二ライトメタル社長が、副会長には平澤純一ネクサス社長が就任する予定。
くまもとMg研は、技術力向上及び情報収集のための講習会・セミナーを開催、切削・曲げ・絞り・溶接などマグネ合金の加工技術の研修や試作品開発に必要な情報提供などを行う。また、ユーザー企業への提案営業用に試作品の開発支援も行う。その他、熊本県産業技術センター、熊本県地域結集型研究開発プログラム、高性能Mg合金創成加工研究会、熊本県自動車取引拡大推進協議会などと連携した取組みを進める。
構成メンバーは原則として、熊本県内の企業、個人及び団体。会費は当面定めず、同会が実施する個別事業毎に参加者が応分の負担をする。
年度上期のAlホイール生産
国内2.1%減、輸入3.6%減
日本アルミニウム協会・車輪委員会がメーカー15社の自主統計としてまとめたところによると、 08年度上期のアルミホイール国内生産は715万4,595個、前年同期比2.1%減、輸入が291万3,510個、同3.6%減となった。国内生産・輸入を合わせた総供給量は1,006万8,105個、同2.6%減と前年同期の1.9%増からマイナスに転じた。構成比は国産品が71.1%、輸入品が28.9%で、輸入品比率は07年度上期の29.2%から低下した。
製品別では乗用車向けは0.2%の微減にとどまったものの、二輪車向けが55.5%減と大幅な落ち込みとなった。
一方、総販売量は982万2,722個、同0.3%減に。国内販売が957万8,914個、同0.1%減となったのに加え、輸出も24万3,798個、同7.2%減と落ち込んだ。
トステムのコンセプトモデル採択
「超長期住宅先導的モデル事業」
トステムはこのほど、同社が住宅先導的モデルとして提案した「自然採暖採涼の家」が国土交通省による「超長期住宅先導的モデル事業」(平成20年度第2回)の「住宅の新築」部門に採択されたと発表した。
同モデルは独自の断熱・高気密・高耐震木造軸組・枠組工法「スーパーウォール工法」をコアに、自然エネルギーなどを利用した「自立循環型設計住宅」、住宅メンテナンス時の「防蟻対策の再施工に向けた工夫」などの特長が評価された。
今後、08年度中に1棟、09年度中に2棟同モデルを建設する予定。
国交省のモデル事業は、「いいものをつくってきちんと手入れして長く使う」というストック社会のあり方について、具体的な内容をモデルの価値で広く国民に提示して、技術の発展と普及啓発を図るのが狙い。先導的な材料・技術・システムを採用し住宅の長寿命化に向けた啓発普及に寄与するモデル事業に対して費用の一部を補助するもの。
Mg協会が「アクションプラン」
発展的育成に向けた課題を指摘
日本マグネシウム協会(相良達一郎会長)はこのほど、将来的なマグネシウム産業の発展に向けたアクションプラン「将来におけるマグネシウム産業の発展的育成を目指して」を発表した。09年にも実現を狙う法人化への準備の一環として、マグネ産業の現状を詳細に見直すことで将来の発展に向けた課題をまとめた。
この中で、軽量化素材としては、製造の高度化により安定した品質を得るための技術開発が遅れ、製品設計データの不足、解決、相談、窓口などの欠如などが課題であり、技術研究開発の促進、情報収集と提供の強化を図る必要があると指摘。さらに、軽量化以外の特性への適用促進を図る必要があり、そのためには常温寸法安定性、耐凹み性、減衰能、電磁波シールド性、切削(抵抗)性、電位特性、環境安全性、鋳造性などに優れているなど、特性の積極的なPRが必要としている。
また、耐熱性、電食性、表面処理、大気溶解における燃焼などマグネ特有の弱点の克服も課題。中国における汎用品の生産が急増するなど、国際競争力の源泉を強化する必要があると指摘した。
原料供給の安定化図るために自力によるマグネ生産能力の確保や、高環境性・低コスト製錬技術の開発研究が必要と強調。また、合金技術の改善では高強度、高成形性、耐熱性、耐クリープ性合金のほか、高耐食性合金やリサイクルを考慮した汎用合金の開発を挙げた。
腐食・接合対応では、耐食性を目的とした低コスト表面処理技術の開発や、他金属との接触腐食防止のための製品設計技術の確立が必要と強調。さらに、スラブ・ビレットの鋳造、熱間・温間など圧延技術の革新や溶湯圧延技術の確立と実用化や、展伸材の高温・常温での成形加工に必要な適正加工条件の確定、金型や曲げ加工などの関連技術の開発も進めなければならないとした。また、自動車の大型部品製造を可能にする大型鋳造設備や、アルミ鋳造設備との兼用化技術の確立、ダイカスト以外の砂型鋳造、低圧鋳造、金型鋳造、精密鋳造普及のための研究開発が必要とした。地球温暖化ガス抑制のために、SF6に代替可能な新規カバーガスの開発の普及、カバーガスを必要としないマグネの開発と溶解技術・設備の開発を指摘。また、リサイクルが困難といわれる切粉・ドロス・スラッジなどの回収処理技術の開発も課題とした。
一方、添加剤分野では中国の寡占化が進む中で、資源の安定確保が最重要課題であり、供給先の分散化を図るとともに、独資による製錬確保が必要を強調。また、新規用途開発を進めるために、高純度酸化マグネシウム、超電導素材、水素貯蔵合金、その他特性の評価と確認の促進を掲げた。
框内蔵型ロック「カクス」
標準仕様の「CK障子」、トステム
トステムはこのほど、框内蔵型ロック「カクス(CAKUS)」を標準仕様にした「CK障子」を開発、09年1月から発売する。サッシの縦框に鍵(クレセント)を埋め込むことで外から鍵の位置を見えなくして防犯性を向上させた。これにより、同社の引違いサッシの約80%が「カクス対応」商品となる。
「CK障子」は、03年10月以降発売の基幹サッシ「シンフォニーウッディ」「シンフォニーマイルド」「デュオPG」の引違い窓で選択可能。これまで「カクス」は、戸建て住宅用では全開口サッシ「ワイドウィン」、強防犯サッシ「セーフ」という比較的高級なシリーズに対応していたが、「CK障子」発売により、普及価格帯の引違い窓にプラス2万5,000円(2枚建の場合)と求めやすい価格で取り付け可能となった。
三協立山が大型伸縮門扉に追加
シリーズ最小の2.354m幅基本扉
三協立山アルミはこのほど、デザイン、サイズバリエーションの豊富な大型伸縮門扉「アルテンダ」にシリーズ最小幅(全幅2,354o)の基本扉「20サイズ」を追加・新発売した。「20サイズ」の設定により、10サイズ・約1,000o刻みの細かなサイズ展開が可能になり、ジャストサイズで収めることができる。また、50サイズ(20+30)や両開き100サイズ均等引分け(30+20+20+30)の組合わせが可能になり、サイズ、条件に、よりフレキシブルに対応する。
価格は写真の「アルテンダU型」(片引き、20サイズ+30サイズ組合わせ、全幅5,198×高さ1,443o)で58万6,800円。
「シーズとニーズの会」が例会
「自動車の変化・モータ・磁石」
特定非営利活動法人「シーズとニーズの会」は09年1月29日午後1時30分〜7時、名古屋国際会議場(名古屋市熱田区)において例会「自動車の変化、モータ、磁石そして“かたい”ものづくり」を開催する。
主な参加発言者は、▽JSTイノベーションプラザ東海の活動について(同館館長・名古屋大名誉教授浅井滋生▽素材としての磁石の現状と今後の可能性(大同特殊綱研究開発本部電磁材料研究所長入山恭彦)▽サスティナブル・モビリティに向けたトヨタの技術開発(トヨタ自動車技術企画統括センター中期戦略企画室長梅山光広)▽伝統産業からの発言(岐阜関市の刃物業の関係者などの参加を依頼中)。
終了後、懇親・新年会を開催する。参加費は一般が1万2,000円、会員社が7,000円。問合せ・申込は電話03-3357-5901/FAX5909、E-mail:infos@seeds-needs.comで。
霜村俊夫氏(しもむら・としお=元三和シヤッター工業代表取締役副社長)15日午前3時13分、大腸がんのため医療法人財団梅田病院で死去、67歳。通夜は19日午後6時から、告別式は20日午前10時から四ツ木斎場(東京都葛飾区白鳥2-9-1)で執り行う。喪主は妻の礼子(れいこ)さん。連絡先は三和ホールディングス秘書課(電話03-3346-3100。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
|