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NO.1941(2009年06月15日号)
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リョービのダイカスト事業
今期中に国内3生産拠点再構築
売上950億円で利益の出る体制へ
リョービは今期中にも国内ダイカスト拠点において、従来よりも生産量が減少しても利益がでる生産体制を構築する。5月28日開催の決算説明会で吉川進社長が明らかにした。
労務費削減、前期53億、今期57億円
08年度連結決算におけるダイカスト事業の業績は売上高が1,228億円(上期727億円/下期501億円)で前期実績1,486億円(716億円/770億円)比258億円・17.4%の減収。営業利益は5億円(上期25億円/下期△20億円)と、前期実績の76億円(35億円/41億円)からは71億円・93%の大幅減益となった。内外ともに自動車メーカーの減産によって受注量が急減、減価償却費の負担増も加わり、大幅な減益となった。「特に、08年度第4四半期は大幅な減収となり、操業度は40%程度にとどまった」(吉川社長)。
3月末のグループ従業員数は正社員のみで5,484名(うち、ダイカスト部門の比率は57%)で、ピーク時の約5,900名からは約500名削減したが、ほとんどが海外。「国内は派遣など非正規社員はほぼ100%契約更新を見送ったが、正規社員には手を付けていない」(吉川社長)。08年度の労務費は07年度比53億円減少、09年度にはさらに57億円の削減を見込む。
今下期ダイカスト売上実質4%増
今期のダイカスト事業売上高は805億円(上期352億円/下期453億円)の予想。ただ、原材料費を09年3月期比横ばいと想定した場合は、売上高が935億円(上期412億円/下期523億円)となり材料ベースでは24%減を見込む。上期売上高は08年度下期501億円からさらに落ち込むものの、下期は520億円と上向きに転じると予想している。営業損益は44億円の赤字となる。
日・米以外の自動車メーカーから新規受注
ダイカスト事業の設備投資額/減価償却費(いずれも金型分を除く)は08年3月期120億円/84億円、09年3月期110億円/92億円、10年3月期計画81億円/83億円と抑制。主な内容は新規部品の量産立ち上げに向けた設備増強となっている。米国、日本以外の自動車メーカー4社から新規受注を獲得しており、11年3月期には年間50億円規模で売上増に寄与する。
07年4月に設立したメキシコの生産拠点は08年8月からゼネラル・モーターズ(GM)向けの生産を開始。当初計画では09年3月期中に2500dクラスのダイカストマシン7基の設置を予定していたが、5基に変更。当分の間、さらなる設備増強は考えていない。一方、中国・大連は10年3月から新規ユーザー1社向けの生産が立ち上がる予定なことから設備投資を実施する。また、上海GM向けも好調なため、さらなる設備増強を行う可能性があるとしている。なお、連邦破産法11条の適用を申請したGMに対する売上債権残高は5月末で約100万米j。「新生GMはダイカスト部品について内製から外部調達への切り替えを加速すると見られる。米国国内での競合他社3社に比べリョービは品質・デリバリーの面で高い評価を得ている」「また、生産拠点を米国内からメキシコにシフトする意向を強く示しており、GMの将来展開に合わせて最適な生産・販売活動を実施する」(吉川社長)としている。
開発・生産体制
一方、開発部門ではパワートレイン部品以外の自動車部品のダイカスト化を促進する。
アルミ価格は10年3月期の水準を想定して、950〜960億円の売上規模でも赤字の出ない生産体制を構築する。国内にダイカストの生産拠点は4ヵ所あるが、10年3月期にはそのうち3ヵ所で実現、11年3月期には海外拠点でも取り組む。
高橋アルミ協会会長が所信
「用途開拓で新規需要を」
日本アルミニウム協会は5月27日、東京・港区の東京プリンスホテルで通常総会及び理事会を開催。新会長に高橋徹神戸製鋼所専務執行役員アルミ・銅カンパニープレジデント(写真)、副会長に石山喬日本軽金属社長、吉原美英住軽アルミ箔社長の両氏を選任した。
高橋新会長は総会後の記者会見に臨み、要旨次のように抱負を述べた。
「トンネルの真っ直中を先行きの道を探りなが進んでいる状況。ただ、前任の矢尾会長の路線を引き継ぎ、5年後、10年後など中期的に会員各社の利益になることを協会の事業として着実に実施していく」
「柱となるのはまず、人材の育成。業界の発展のためには弛まざる新しい血を入れることが重要。さらに、一人あたりのアルミ消費量が同じなら人口減少でアルミの需要はどんどん減っていくことになり、新たな需要開拓が必要。いままさに脚光を浴びている自動車などCO2抑制やエネルギー分野を含めて用途開発をきちんと行っていくことが非常に大きなテーマである」
「環境に優しいなどアルミの良さを訴えて普及させることで、日本の特長ある製品が世界中に広がり、企業の発展・繁栄につながるという正のループが出来上がるように取り組んでいきたい」
4月の二次合金出荷、46%減
9ヵ月連続減も、2月底に改善
日本アルミニウム合金協会がまとめた4月のアルミ二次地金・同合金地金需給統計によると、生産は5万448d、前年同月比46.3%減、出荷は5万384d、同46.4%減となった。マイナスは生産が11ヵ月連続、出荷が9ヵ月連続。
ただ、月次ベースでは、1月:生産3万8,626d(前年同月比58.6%減)/出荷4万1,521d(55.4%減)、2月:3万3,946d(65.5%減)/3万5,784d(63.9%減)、3月:4万1,636(59.0%減)/4万4,077d(56.3%減)と2月を底に改善の兆しが出ている。産業部門別では鋳物向けが55.2%減、ダイカスト向けが41.8%減であった。
アルミ協会新専務理事に
非鉄金属課長OBの村山氏
日本アルミニウム協会は5月27日、新専務理事に経産省非鉄金属課長を務めた経験のある村山拓己氏(写真=前アジア生産性機構・APO工業部長)を選任した。村山新専務理事は1952年生まれの56歳。総会後の記者会見で以下の通り、就任のあいさつを述べた。
「97年から2年間非鉄金属課長を務め、ドロス問題などを扱った記憶がある。ただ10年前のことで、いま経済環境は激変しており、皆さんの協力を得ながら再度勉強したい。専門は石油で、石油公団に2回、JETROに2回出向するなど、海外勤務の経験は多い。前職のAPOは元気のある中小の製造業を世界にPRするのが仕事で、アジア諸国の官民と親しくさせて頂いた。日本を支えるのは製造業という思いが強い」
YKK連結、建材は9%減収
営業損失は20.85億円に
YKKの09年3月期連結決算は前期比8.8%の減収、営業利益、経常利益はそれぞれ38.8%、53.7%の減益となった。当期損益は427億円の損失。国内建材事業の製造供給拠点再編費用39億円を特損に、また繰延税金資産取り崩しによる法人税等調整額401億円を計上したことなどが影響した。その中で、建材事業の業績は国内建材市場の停滞、為替変動などの影響により売上高は3,495億500万円、前期比9.2%減となった。営業損益は前期比76億5,500万円減の20億8,500万円の損失に。海外は堅調だったものの、国内では急激な販売の減少を商品の付加価値向上、固定費の削減で補うことができなかった。
今期は、売上高は減収を見込むものの、収益改善に向けた取り組みを行い、営業利益は256億円と増益を計画している。建材事業は減収予想ながら、営業損益は45億9,400万円の黒字化見通しにある。
なお、YKK AP単体の09年3月期業績は、売上高が前期比9.6%減、営業損益、経常損益はそれぞれ43億1,400万円、41億3,800万円の損失となった。今期は売上高で5.3%の減収を見込むものの、経常損益、最終損益はそれぞれ18億円、26億円の利益を予想している。
九州三井アルミ営業損4.3億円
高純度アルミ主体に売上31%減
九州三井アルミニウム工業の09年3月期業績は、売上高が前期比30.8%減、営業損益、経常損益はそれぞれ4億3,000万円、4億8,200万円の大幅赤字となった。
高純度アルミの売上高が下期に約50%減弱と急減したのに加え、その他半導体機器製品も同じく半減した。数量減に加え、LME価格急落に伴う販売価格減と高単価地金在庫の消費による採算悪化も大きく影響した。さらに、最終損益は大幅な棚卸資産評価損などの計上により10億1,400万円の欠損となった。配当は無配(前年度実績は3,100円)。
10年3月期は売上高が37.1%減とさらに落ち込むと予想。高純度アルミは回復基調となるものの、自動車関連や半導体製造装置関連の回復は下期以降にずれ込むと想定している。ただ、損益面では経常利益300万円の黒字確保を見込む。原価低減、設備費・経費圧縮などのコスト削減に加え、縮小人員での休業体制継続による労務費削減効果などが寄与する。
軽金属製品協会が一般社団法人
関連組織再編で協会事業を強化
軽金属製品協会は5月28日、定時総会及び理事会を開催、任期満了に伴う役員改選を行い、新会長に白岩二朗トステム常務執行役員、副会長に稲場俊一YKK AP常務執行役員と山口裕コロナ工業社長の両氏を選任した。
また、同協会はこれまで任意団体であったが、中間法人軽金属製品協会試験研究センター(取手試験所)と統合して「一般社団法人軽金属製品協会」へ組織改定した。法人化により協会の社会的ミッションと事業をより明確にして、アルミ製品製造・加工業界の基盤作りを図っていく。合わせて、不動産賃貸の株式会社軽金属製品会館は「株式会社アルミ製品センター」へ定款・名称を変更して試験研究事業を開始する。協会試験研究の一部受託や事業化を睨んだ共同研究などを行って、協会関連組織全体での事業強化を目指す。
創立60周年記念祝賀会を開催
なお、今年は協会創立60周年及び試験研究センター設立20周年にあたることを記念して、総会終了後に東海大学交友会館において記念祝賀会と協会功労者表彰式を開催した。
冒頭、あいさつに立った白岩会長は「記念すべき法人化の年に、協会の創立60周年、試験研究センターの設立から20年という節目を迎えた。これまでの協会の活動を支えてこられたご功労に感謝を申し上げるとともに、これからの支援をさらにお願いする」と述べた。
シヤッター・ドア協が定時総会
定期点検制度法制化に全力投球
日本シヤッター・ドア協会は5月27日、定時総会を開催、09年度の事業計画を採択した。総会後岩部金吾会長(写真)が会見し、09年度の主要事業と目玉事業について次のように述べた。
「建築着工は改正建築基準法の影響による低迷から未だ抜け出せず、シヤッター・ドア需要は依然低位で推移、回復にはかなりの時間を要する見込み。重量シャッター・ドアの出荷は前年同月比約1/2の有様で、中小建築業者の倒産も目立つ」
「重量シャッターは当協会が統計を取り始めた1970年以降累計5,400万uが供給され、そのうち5%程度が滅失したとしても台数で3百数十万台のストックがあると推定。重量ドアはその6倍程度と予想される。これら製品の的確な点検と修理が安全な社会形成の基本。特に防火・遮煙製品の定期点検制度の法制化と点検員資格制度の創設は急がなければならない」
「当協会の活動を充実するため、公益社団法人化を目指す。このため特別委員会を設置し、事業活動や組織・定款を再点検する」
トピー工業がマグネ合金複合材
高常温強度・耐熱性に加工性も
トピー工業はこのほど、高い常温強度・耐熱性・耐力を有しながら、良好な熱間加工性を両立したマグネ合金複合材料を開発したと発表した。
マグネ合金は実用金属のなかで最も軽量なことから携帯電話やPCの筐体、一部の自動車部品などで使用されている。しかし、汎用マグネ合金は耐力・耐熱性などに課題があり、用途は限定的であった。
トピー工業が開発した複合材料は常温強度が442MPa、250℃強度が156MPaと汎用マグネ材料であるAM60Bの1.8〜2倍を実現。0.2%耐力も431MPaと3.3倍に達する。
同社は5年前から、大阪大学接合科学研究所の近藤勝義教授の協力を得て、高性能マグネ合金の複合材料の研究開発に取り組んできた。独自の製造方法である「ECABMA法」を新たに開発。汎用マグネ合金チップと添加二次粒子の石灰石(酸化カルシウム)を押し固め、せん断力を繰り返しかけることによって結晶粒を微細化させるとともに、マグネ合金中に添加二次粒子を均一に分散させた固化成形体を製造。さらに押出加工により一体化して、成形加工用の丸棒素材とする。
平成18〜19年度に経済産業省から「地域産業創造技術開発費補助金」を受け、最大直径50oの丸棒素材が製造可能なパイロットプラントを開発済み。今後、材料特性と製造技術にさらなる開発・改良を加えることで、実用化をめざす。
三菱アルミの09年3月期業績
売上13.8%減、経常損44億円
三菱アルミニウムの08年度連結業績は下期の自動車・電機関連の世界同時不況の影響が深刻で、売上高は前期比13.8%の減収、営業38億円、経常44億円、最終33億円の大幅赤字となった。出荷量は板・押出・箔・加工品とも下期に急激な減産となり、合計で15万3,017d・12.8%減。収益は営業損益で87億円悪化したが、減産と地金価格下落の影響が半々という。配当は前期1株27円から無配とした。事業部門の業績は以下の通り。
【板製品】缶材は比較的堅調だったが、主力の自動車・電機の需要が激減、出荷量10.1%減、売上11.9%減に。そのなか適正価格の確保に努めた。操業は4直3交代からシフトダウンを継続中。
【押出製品】主要分野の自動車・一般機械が大幅受注減となり、販売量は21.6%減、売上高は20.1%減と大幅減となった。富士製作所は7基の押出機を持つが、現在3基を停止中で、残り4基を3直3交代制で操業中。
【箔製品】プレーン箔は産業資材・コンデンサ箔とも大幅な需要減。コンデンサ箔は09年2月90%減産の有様。輸出も一般箔・コンデンサ箔とも極めて低調。この分野の出荷量は同16.9%減、売上高は18.1%減。
【加工品】日用品のうち家庭箔は順調に推移したが、成形加工品は割安な海外品が流入したため低迷。容器事業は09年1月に子会社に事業譲渡した。この結果売上高は同12.3%減となった。
三菱アルミの矢尾社長等が方針
体質強化本部で社長が陣頭指揮
今期営業益20億円へ固定費圧縮
三菱アルミニウムの2010年3月期連結業績は売上高913億円で08年度比12.6%の減収ながら、営業利益20億円と黒字転換する見通し。業績改善のため矢尾宏社長(写真)を本部長とする「企業体質強化推進本部」を6月30日付で設置し、聖域なきコスト削減と最適生産化を実施する。既に08年度から一部実施しており、過去4ヵ月で10億円のコスト低減の成果を得たという。
08年度の圧延品需要について「2〜3月を底に需要家の在庫調整も進みつつあるが、圧延品の実需が巡航速度に戻るのは下期以降になろう。巡航速度がピーク時の70%あるいは80%になるかまだ見極められないが、100%に戻ることはまずない。その中で利益を確保するには固定費の徹底的な圧縮と経費節減しかない」(矢尾社長)という。
同推進本部は全予算をゼロベースから見直し、キャッシュフローを改善する。例えば不急の投資の先送り・設備修繕費の削減など設備投資の圧縮、出張費・交通費の見直しなど経費削減、減産体制に対応した人員配置など細かな点まで踏み込む。また業績低迷が著しい立花金属やアルテクノは人員削減を含む合理化を実施する。
設備投資は08年度工事ベース51億円(検収ベース53億円)で、試運転中のホットフィニッシャーが中心。09年度は16億円(36億円)に圧縮する。 「今後需要の低迷から競争の激化は避けられない。徹底したコストダウンによる体質強化はむろん、成長力強化策として人材育成の充実、営業・マーケティング機能の強化とともに、ホットフィニッシャーの早期戦力化を図りたい」(同)
4月のアルミ建材出荷18%減
日本サッシ協会がまとめた4月のアルミ建材生産・出荷速報(アルミ室内建具を除く)によると、総生産は2万349d、前年同月比18.0%減、総出荷は2万5,239d、同12.9%減となった。
このうち、サッシの生産が1万3,370d、同17.0%減、出荷が1万6,823d、同13.1%減に。住宅用は生産が24.7%減、出荷が17.5%減と引き続き2ケタのマイナスを記録。ビル用は生産が7.7%減、出荷が6.6%減と落ち込み幅は1ケタながら、減少基調を脱していない。
酒井東京軽商会会長が所信
「新商品に関する情報発信も」
東京軽金属商協会は5月29日、東京・上野の精養軒で定時総会を開催、新会長に酒井幾夫神商非鉄社長(写真)を選任した。 酒井新会長は総会後開催された懇親会の冒頭、あいさつに立ち、要旨、次のように述べた。
「現在、非鉄流通業界は大幅な需要の減退と原料価格下落という強烈なダブルパンチに見舞われ、暴風雨の真っ直中にいる状況である。巷では景気が少し回復してきそうだとかいわれているが、残念ながら私どもの業界ではまだその気配は感じられない」
「ただ、考えようによってはこれまでの数年間が非常に恵まれていたといえ、その間についた贅肉をそぎ落として健康的な筋肉質の体質に変える良い機会である」
「軽商会の活動として、今後景気回復局面が訪れたときに会員各社が活用できるような、例えば新製品に関する情報などを発信、さらに関係諸団体との折衝など、軽商会が行った方が効果が上がる事業にも軸足を置いて進めていきたいと思う」
08年度自動車向けAl出荷
140.17万d、20.9%減に
08年度の自動車向けアルミ製品出荷量は前年度比20.9%減の140万1,752dとなった。全体の57%を占めるダイカストが20.9%減となったのを始め、各製品とも軒並み大幅減を記録した。
年度上半期では自動車向け製品出荷量は86万1,121d、前年同期比3.2%増であったが、10月以降、自動車生産急減速を映して下半期は急激な落ち込みとなった。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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