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NO.1969(2010年1月18日号)
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東洋アルミが全株取得へ
昭和アルミパウダー株、公取に事前相談
高級塗料用アルミペースト市場をほぼ独占
東洋アルミニウム(今須聖雄社長=写真)は国内第2位のアルミペーストメーカーである昭和アルミペーストの株式を全株取得する意向を固め、このほど公正取引委員会に事前相談の申出を行った。これが実現すれば国内の自動車高級塗料用のアルミペースト市場を同社がほぼ独占する。
同社によると「当社は昭和アルミパウダーの株式を取得する方向で検討を開始した。既に公正取引委員会に対し事前相談の申し出を行っており、株式取得の詳細や時期については、審査の結果を踏まえて今後本格的な交渉を行う」という。昭和アルミパウダーは伊藤忠商事グループ及び昭和電工が大株主で、これら株主とは買収について既に基本合意を得ているものと見られる。
自動車や家電製品、その他のメタリック塗装の原料となるアルミパウダー・ペーストの国内市場は年間1万4,000d程度と見られる。国内メーカーでは、日野製造所(パウダー)と新庄製造所(ペースト)を持つ東洋アルミが年産能力1万1,000dと圧倒的に強く、これに昭和アルミパウダーが続いて2大勢力を形成。従ってこの買収劇が実現すれば東洋アルミが国内市場をほぼ独占することになる。それだけに東洋アルミの事前相談に公取委がどういう裁定を示すか注目される。
昭和アルミパウダーは1966年に昭和電工と昭和アルミ(当時)の折半合弁企業として、メタリック塗装用ノンリーフィングタイプアルミペーストの製造を目的に資本金3,000万円で設立。本社・工場は奈良県御所市室410に置く。ただ昭和アルミを吸収統合した昭和電工はアルミ事業の選択と集中を原則とした構造改革の一環から、2006年に同社の株式の過半数を伊藤忠商事グループに売却した。
現在の資本金は2億円。株主構成は伊藤忠商事51.06%、伊藤忠ケミカルフロンティア34.0%、昭和電工14.9%。同社の事業運営は伊藤忠ケミカルフロンティアが担当する。
今回の買収劇はアルミ事業のさらなる構造改革を進める昭和電工が昭和アルミパウダーの株式の売却を意図し、大株主の伊藤忠商事も東洋アルミとの市場競争力で格差が大きく、収益力の弱い同事業について手放すことを決めたようだ。一方、東洋アルミはこれにより国内の同市場をほぼ席巻して足元を固めるとともに、今後の主戦場と予想される欧・米及びBRICsなど世界市場での競争力強化に経営資源を集中する方針で、両社の思惑が一致したと見られる。
ちなみに東洋アルミは同事業において米国にはトーヤルアメリカ社(イリノイ州、設立1987年6月)を、欧州にはトーヤルヨーロッパ社(フランス・マイソランナフィッテ、同1982年7月)を、中国には肇慶東洋膵業有限公司(広東省肇慶市、同2007年5月)を設立して世界戦略を展開する。競合メーカーはドイツ・エカルト社などがあるが、東洋アルミは世界市場で30〜40%のシェアを持つ最大手メーカー。
11月の板出荷、前年比2.1%増
14ヵ月ぶりプラス、押出5.4%減
日本アルミニウム協会が発表した11月のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板類は生産が10万1,374d(前年同月比5.8%減)、出荷が10万858d(同2.1%増)となった。生産が14ヵ月連続でマイナスとなった一方、出荷は14ヵ月ぶりにプラスに転じた。
出荷の分野別内訳では、主力の缶材が6カ月ぶりに前年同月実績を上回ったほか、自動車も14ヵ月ぶりにプラスとなった。
押出類は生産が6万4,179d(同6.7%減)、出荷が6万4,001d(同5.4%減)で、ともにマイナスは34ヵ月連続。ただ、出荷の減少幅は9月の20.3%、10月の16.4%に比べ縮小、1ケタ台となった。
分野別では建設向けが10.9%減と低迷が続いているものの、自動車向けが10.5%増となったのをはじめ、電気機械器具向けも25.4%増となるなどプラスに転じる分野も出始めた。
板類と押出類の合計では生産が16万5,553d(同6.1%減)、出荷が16万4,859d(同1.0%減)。ともに14ヵ月連続で前年実績を下回った。
箔出荷も14ヵ月ぶりプラス
箔は生産が9,902d(同4.4%増)、出荷が9,920d(同7.5%増)となった。ともにプラスは14ヵ月ぶり。主力のコンデンサー向け出荷が2,948d、同26.6%増となった。輸出も439d、同43.0%増と大幅に伸びた。
11月のアルミダイカスト生産速報
前年比7%増、16ヵ月ぶりプラス
経済産業省の金属製品統計によると、2009年11月のアルミダイカスト生産量(速報値)は8万320d、前年同月比7.1%増となった。プラスは16ヵ月ぶり。10月実績8万780dに比べると0.6%減。
09年1〜11月累計でのアルミダイカスト生産量は65万7,722d、前年同期実績100万1,487dに比べ34.3%減となった。
11月のAl二次合金出荷、10.3%減
DC向け6.1%減、12月プラス予想
日本アルミニウム合金協会がまとめた09年11月のアルミ二次地金・同合金地金統計によると、生産は7万278d、前年同月比8.3%減、出荷は6万9,641d、同10.3%減となった。マイナスは生産が18ヵ月連続、出荷が16ヵ月連続だが、減少幅はさらに縮小。10月比では生産が0.8%増、出荷が0.8%減と横ばい基調で推移した。12月の生産、出荷はともに、前年同月比でプラスに転じると予想されている。
11月出荷の部門別出荷は、主力のダイカストが3万9,474d、同6.1%減、鋳物が1万8,020d、同10.4%減となった。
昭電のアルミ事業部門
希望退職者募集に313名応募
昭和電工は09年12月25日、同8月26日に発表したアルミニウム事業部門における希望退職者募集に313名の応募があったことを明らかにした。同募集は彦根事業所および小山事業所在籍の従業員を対象に10月13日〜12月15日実施したもの。人員の再配置および自然減を勘案し、特に募集人員は定めていなかった。
応募した313名のうち274名は09年12月31日で、残り39名は2010年5月15日および11月15日に退職する。
希望退職実施に伴い、割増退職金費用として約29億円を10年3月期末に計上する。昨年12月に公表した連結業績予想「売上高6,800億円(前期実績1兆38.76億円)、営業損失80億円(同267.92億円の利益)、経常損失265億円(同97.93億円の利益)、当期純損失415億円(同24.51億円の利益)」には織り込み済み。
11月サッシ出荷速報、14.8%減
住宅用9.4%減、ビル用21.0%減
09年11月のアルミ建材(室内建具を除く)生産・出荷速報によると、生産は2万1,783d、前年同月比14.1%減、出荷は2万6,759d、同11.4%減となった。
品目別ではサッシの生産が1万4,441d、同16.5%減、出荷が1万7,663d、同14.8%減。内訳では住宅用サッシは生産が10.4%減、出荷が9.4%減で、10月実績(生産、出荷ともに21%減)に比べるとマイナス幅が縮小した。しかしビル用サッシは生産が同22.2%減、出荷が同21.0%減と20%を超すマイナス幅となっている。
高橋アルミ協会会長が所感
「ロードマップで需要開拓」
日本アルミニウム協会、日本アルミニウム合
協会、軽金属製品協会、全国軽金属商協会の軽金属4団体は5日、東京港区芝公園の東京プリンスホテルに関係者約600名を招き、合同賀詞交歓会を開催した。冒頭、主催者を代表して、高橋徹アルミ協会会長(=写真)が挨拶に立ち、概略次の通り年頭の決意を述べた。
「今年度のアルミ需要は8割まで戻っても、そこから先の10割までは道は遠く、二番底も懸念される。しかし、昨年度よりはかなり霧が晴れ、緩やかな上り坂が見えるというのが今年の景況感である」
「こうした中でアルミ協会としては、先ず、需要開拓をますます進める必要があり、昨年『アルミニウム技術戦略ロードマップ』を策定した。学会と産業界が一緒になって、2035年までを鳥瞰した需要予測とそれに必要な研究開発、資源・原料確保の方向性をまとめたもので、今後毎年見直すことで、世の中の動きを的確に反映させていく考えである」
「さらに、経産省の委託事業として実施してきた『製造中核人材育成事業』の成果を受けて、来年度からは協会が人材育成の講座を運営、将来を担う人材育成に取り組む」
「また日本の需要だけでは成長の機会が得られない。中国はアルミ需要が09年度の8.9%増に続き、今年度も15%伸び、1,500万dに達すると予想されている。日本のアルミ業界にとって大きなビジネスチャンスである。我々が培ってきた省資源・省エネ、リサイクルなどの技術を提供することでお互いに切磋琢磨しながら拡大していくようにしたい」
2010年度の経産省非鉄金属課
政府予算案17.35億円、31.6%減
政府が09年12月25日に閣議決定した2010年度予算案で、経済産業省・非鉄金属課関連予算は09年度当初予算の25億3,636万円に比べ31.6%減の17億3,530万円となった。継続予算で最も額が大きい「希少金属代替材料開発プロジェクト」では前年度予算額15億5,000万円比20.0%減の12億4,000万円を計上。ハイテク製品製造に不可欠で、世界的な需給ひっ迫が懸念されるレアメタル(タングステン・インジウム・ジスプロシウム・白金・セリウム・テルビウムなど)について、ナノテクノロジーなど最先端技術を活用して代替材開発・使用量削減をめざす。
さらに、非鉄金属課にファインセラミックス室・テクノロジー・材料戦略室関連を加えた予算額は56億1,955万円で、09年度比31.2%減となった。
「Aマーク」調理器具の第1号品
関西軽金属工業のフライパン等
軽金属製品協会(白岩二郎会長)は「はしご脚立」に続いて、アルミニウム製調理器具の協会基準適合品に「Aマーク」を表示する制度を導入している。第1弾として調理器具の中で最も販売量が多いふっ素樹脂加工のガスコンロ用フライパンの基準を策定、その第1号認定製品として関西軽金属工業の「RNシリーズ」フライパン、マルチパン、玉子焼きが販売されている。
同協会では現在、加熱による変形が生じやすい「貼り底」構造のIH用アルミニウム製フライパンとアルマイト鍋のAマーク安全基準も作成中で、2010年度から実施する予定。
試験研究センター、JNLA認定取得
IH用など調理器具の受託試験強化
軽金属製品協会が運営する試験研究センター(取手試験所)は09年に新JISH8602対応やIH用調理器具の試験を開始。さらに、JNLA試験所認定の取得を目指してきたが、今年5月にも取得できる見込みとなった。続いて、試験所の国際規格である「ISO17025」の取得にも挑戦する。また、IH用調理器具の「Aマーク」基準を策定、3月をメドにSG試験の委託検査機関として認定されることを目指し、4月から試験を本格化する。同時にアルマイト鍋Aマーク基準の運用も開始する。
一方、今年1月からクオリコートに基づく粉体塗装製品の試験受託をスタートするが、そのため
試験設備としてカッピング試験機、押込み硬さ試験機、衝撃試験機、折曲げ試験機を新たに導入した。
なお、試験の受託件数は表面処理関連が06年度の177件から09年度の見込みで180件とこの4年間ほぼ横這いで推移。ただ、試験項目数は06年度373件、07年度409件、08年度460件と増加したものの、09年度は不況の影響もあり、340件と大きく減少する見込み。
一方、調理器具の受託件数は06年度の18件から08年度59件、09年度見込み100件と年を追う毎に増加。試験項目数も06年度44件、07年度101件、08年度221件、09年度340件と増えている。
10月純Mg輸入、前年比5.6%増
財務省貿易統計によると、09年10月の純マグネシウムの輸入量は1,936.7dで、前年同月比5.6%増となった。輸入平均単価は252.2円/sで、前年同月に比べると43%下落した。このうち、中国産が1,917.4d(同18.5%増)で、平均単価は250円(同45%下落)、残りはロシア産の19.3d(平均単価472.9円)であった。1〜10月の累計では1万3,779.4d、前年同期比41.2%減で、内訳では中国産が1万3,503.1d、同39.9%減とマイナス幅が縮小。その他、イスラエル20.1d(同66.1%減)、ロシア256.2d(同67.3%減)。
一方、10月のマグネ合金輸入量(全量中国産)は537.1dで、前年同月比28.6%減、輸入単価は302.8円で、同43%の下落。1〜10月の累計では3,839.8d、前年同期比56.9%減となった。
マグネ協会が技術講演会
「マグネ合金接合・切削技術」
日本マグネシウム協会は2月10日10〜17時、江戸東京博物館で平成21年度第3回技術講演会「マグネシウム合金接合・切削の最新技術」を開催する。
主な内容は、▽マグネ合金ダイカスト材のTIG・プラズマ・レーザー溶接性(日本大学・朝比奈勝敏)▽マグネ合金のセルフピアッシングリベット接合について(長岡技術科学大学・宮下幸雄)▽摩擦接合について(日本大学・加藤数良)▽セミドライ加工及び切削工具について(不二BC技研・太田昭夫)▽異種材接合分子接着剤について(新技術研究所・平井勤二)▽超音波振動による精密加工技術、依頼中(長岡技術科学大学・磯部浩己)。参加費は会員2万円、非会員3万円。問合せ・申込みは電話03-3538-0230/FAX0233まで。
「環境配慮商品」の開発強化
三協立山が独自の認定マーク
三協立山アルミはこのほど、環境負荷低減商品を「環境配慮商品」として認定し、ユーザーが該当商品を選択しやすいように、今後発行するカタログに独自の認定マークを表示すると発表した。 同社は2006年から三協・立山ホールディングスグループ全体で統一した「環境配慮設計に関する指針」を基本に商品開発を行っている。商品開発段階で「省エネルギー」「省資源」「資源有効活用」「環境保全」の観点で評価する43の環境配慮項目からなる「環境配慮設計チェックリスト」を作成し、総合点数が基準を上回った商品を環境配慮審査委員会で「環境配慮商品」と認定している。 これまでに認定した商品はビル建材では自然換気システム「NAV」、住宅建材では後付樹脂内窓「プラメイクE」、エクステリア建材では太陽光発電仕様カーポート「M.シェード」などがあり、自社開発商品のうち「環境配慮商品」の売上高に占める割合は79%になっている。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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