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NO.1985(2010年5月17日号)
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田島軽金属が新技術
「ハイブリッド砂型低圧鋳造法」
軽量・高剛性のアルミ基複合材
田島軽金属はアルミ合金にSiCセラミック粒子を含有する軽量・高剛性のアルミ基複合材鋳物を、より高品質・高効率で製造する「ハイブリッド砂型低圧鋳造法」を開発した。従来法に比べ優れた機械的特性の一方で、3割以上のコスト低減を可能にするという。
自硬性砂型アルミ鋳物のトップ、田島軽金属(埼玉県羽生市、田島正明社長)は既にSiCセラミック粒子を20〜30%混合したアルミ基複合材鋳物を製品化、原料インゴットを鋳造時に溶解して砂型重力鋳造により成形している。比重が2.78とアルミ(AC8A-T6)の2.70並みながら、弾性率(GPa)は125とアルミの80に比べ約1.6倍、鋳鉄の114も上回る。熱膨張係数(10-6/℃)は14.4で、アルミの20.0よりも小さく、温度による形状変化が小さい。熱伝導度(W/m・℃)も150で、アルミの125、鋳鉄の47を上回る。このため半導体・液晶製造装置をはじめ、工作機械、電子部品組立装置、検査機械などの各種精密機械の構造部材向け用途が広がっており、月60〜70dの同社アルミ鋳物生産量の約3割を占めている
しかし、アルミ基複合材は溶湯が高粘性のため、既存の製法では鋳造性が悪く、生産性も低いためコスト高の要因となっている。
田島軽金属が開発した新鋳造プロセスは、「砂型低圧鋳造法」に「高周波押湯加熱システム」と「湯口遮断機構」の新たな特許技術を組み合わせた。
従来の砂型重力鋳造ではトリベから鋳型の中に手動で溶湯を注湯するため、泡や空気巻き込みにより鋳物中に気泡欠陥が発生。湯流れも悪いため、成形性や形状精度が劣り、十分な機械的特性が得られなかった。新製法は密閉した炉で空気加圧により給湯管を通して鋳型にアルミ基複合材溶湯を注湯する方法。注湯後に湯口を遮断、直ちに鋳型を順送りして連続的に鋳造する。同時に押湯を高周波で強制加熱することで指向性凝固をコントロールして鋳巣の発生を防止する。
泡や空気の巻き込みがないため鋳造欠陥が減少、機械特性が向上した高品質の製品を得ることが可能。不良率は従来法の15%から3%以下に低減する。鋳造性が高まることで成形性も向上。複雑形状部品や、従来8oが限界であった肉厚も3oまで薄肉化、通常のアルミ鋳物と同様の形状の部品を作ることを可能にした。
さらに、従来法ではSiCの含有率は30%が限界であったが、新技術では鋳造性の向上により40%まで引き上げることに成功。引き続き50%にまで高めることを目標にしている。その結果、弾性率は150〜180と従来法の125に比べ20%以上向上、炭素鋼の206に迫る。その他の特性も熱膨張係数12.0、熱伝導度155など、従来法を上回る。
また、新プロセスは自動化ラインにより生産性が高まり、サイクルタイムは1/2から1/10短縮。鋳造方案がシンプルなため、材料歩留まりも従来法の30%から70%程度に改善される。
この技術開発は経済産業省から2008〜10年度の「戦略的基盤技術高度化支援事業」に認定された。事業管理者は日本鋳造協会、研究者は田島軽金属、埼玉大学、埼玉県産業技術総合センター、理化学研究所。
09年には低圧鋳造用溶解保持炉、低圧鋳造加圧注湯システム、高周波押湯加熱システムなどを設置。プロジェクト3年目の10年度は自動化ラインを取り入れたパイロットプラントを建設、量産技術確立に向けた研究開発に取り組む。事業終了後、サンプル出荷を開始するとともに、1〜2年以内をメドに本格的な量産設備を整える計画。
コストは現在の製法に比べて30%以上低減を狙う。アルミ基複合材はこれまで、アルミなどに比べてコストが高いことが弱点であったが、低コストを実現することで新しい市場開拓・用途開発につながると期待している。
09暦年Mg需要、3.26万d・24%減
10暦年予測は3.78万d・16%増
日本マグネシウム協会はこのほど、2009暦年のマグネシウム需要実績と2010年の見通しを発表した(次頁・表)。
2009年の総需要は3万2,556d、前年比24.3%減となった。マイナスは2年連続で08年後半から始まった世界的な経済不況の影響を大きく受けた。分野別では、国内における自動車生産の落ち込みを映し、マグネ合金を主として使用する構造材需要が6,283d、32.2%の大幅減となった。純マグネを利用する添加材用途も2万4,465d、21.2%減、粉末・その他が1,241d、30.9%減を記録。
2010年の総需要は3万7,750d、16.0%増を予想。世界的な経済回復の効果もあり、3年ぶりにプラスに転じるものの、09年に引き続き4万d割れで推移。過去最高である07年に比べ80%の水準にとどまる。
部門別では鋳物及びチタン製錬を除いて回復を予測。構造材は7,550d、20.2%増を見込んでいるが、1万2,000d台で推移した03〜07年の最盛期に比べ60%程度の水準にとどまる。添加材需要は2万8,300d、15.7%増を予想。内訳ではアルミ合金添加が1万9,500d、11.1%増を予測している。
アルミ鋳造の菊川南事業所を閉鎖
タイと横地に生産移管、旭テック
旭テック(入交昭一郎社長)はこのほど、国内アルミ鋳造製品の生産拠点である菊川南事業所(静岡県菊川市加茂)で行っているアルミ金型重力鋳造品の生産を100%子会社のアサヒテックアルミニウム(タイランド)社に全面移管すると発表した。収益性改善と海外事業の強化を目指し、アルミ鋳造事業の生産拠点再編を行う。
菊川南事業所はアルミ金型重力鋳造及び砂型鋳造製品のほか、機械加工と組立を手がけ、鋳造生産能力は月間350d(うち10〜15%が砂型鋳造)。09年3月期売上高は55億9,600万円。従業員数は10年3月末で84名。
計画では2010年度中に金型重力鋳造品の生産をタイに移管。さらに11年度中に砂型鋳造品の生産を横地事業所(菊川市東横地)に移管するとともに、機械加工・組立は外注化。菊川事業所から外注しているアルミ鋳造品は外注を継続する。生産移管を行った後、菊川南事業所は閉鎖するが、閉鎖後の利用方法は未定。従業員は他事業所への異動・転籍により雇用を確保する。
生産移管先であるタイの拠点(サムトプラカン県バンボー)はアルミ金型重力鋳造(月産能力250d)・ダイカスト製品及びアルミホイール(年産能力180万個)が主力事業。従業員数は1,568名。売上高は09年3月期で111億1,700万円。
トステムがビル用Alサッシ
低層非木造建築物に最適化
トステムはこのほど、低層非木造建築物向けアルミサッシ「PRO-SE・L3(プローゼ・エルスリー)」を新発売した。低層マンションや事務所、店舗など、主に3階以下の低層非木造建築物向けに開発した業界唯一のアルミサッシ。同社の木造用アルミサッシ「デュオ」の基本構造をベースにしたRC造・ALC造用サッシで、木造用サッシと非木造用サッシの特長を併せ持つ。
ガラスの取付けはシールではなく、住宅用サッシと同じグレイジングチャネルに対応した乾式工法を採用。さらに枠見込みを従来の70oから80oに広げることで、すっきりとしたフラットな框形状に仕上げた。室内の仕上げには結露防止で好評の後付け用樹脂アングルも用意。
従来オプションであった「空掛け防止クレセント」や「サブロック」を木造用サッシ同様に標準装備とし、防犯性に配慮した。複層ガラスや高機能ガラスにも対応する。
09年度アルミ圧延品出荷
188.5万d、7%の3年連続減
板4.4%、押出11.3%のマイナス
09年度のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板類は生産が117万459d、出荷が117万4,479dとなった。ともに前年度比4.4%減で、マイナスは2年連続。過去最高を記録した04年度を16%強下回る水準に落ち込んだ。
部門別出荷では箔地は12万8,690d。年度後半の急激な回復により前年度比3.4%となった。一方、主力の缶材は41万5,987d、1.6%減。年度初めは堅調であったが、夏場の天候不順の影響で若干の減少となった。自動車も後半に急激に回復したが、12万6,522d、5.5%減となった。
押出類は生産が71万4,358d(11.5%減)、出荷が71万550d(11.3%減)となった。ともに3年連続のマイナスで、過去最高である96年度からは44%強の落ち込み。自動車向けは年度後半に急激に回復したが、11万1,990d、8.5%減となった。建設向けも2月に前年同月比プラスに転じたものの、43万3,901d、11.2%の2ケタ減を記録した。
板類と押出類の合計では生産が188万4,817d、出荷が188万5,029d。ともに3年連続のマイナスで、過去最高を記録した97年度を25%下回る。
箔出荷は0.4%増、7年ぶりプラス
箔は生産が11万1,996d(0.8%増)、出荷が11万1,833d(0.4%増)。プラスは生産が5年ぶり、出荷が7年ぶりだが、いずれも過去最高であった2000年度を27%強下回る水準。
コンデンサー向け出荷が急回復、3万6,174d・19.0%増となった。
3月圧延品出荷、50.3%増
板類52.8%増、押出類46%増
2010年3月単月では板類の生産が12万362d(前年同月比65.8%増)、出荷が12万181d(52.8%増)となった。プラスは生産が4ヵ月連続、出荷が5ヵ月連続。主力の缶材が6.4%減となったものの、自動車が3.3倍増、箔地が倍増するなど、ほぼ全分野が大幅なプラスを記録し、2年前のレベルまで回復した。
押出類は生産が6万6,176d(45.2%増)、出荷が6万6,533d(46.0%増)で、ともに4ヵ月連続のプラス。自動車が3倍増、建設が18.6%増と2ヵ月連続でプラスになるなど、全分野が前年同月実績を上回った。
板類と押出類の合計では生産が18万6,538d(57.9%増)、出荷が18万6,714d(50.3%増)。
箔出荷は96.3%増
箔は生産が1万778d(115.5%増)、出荷が1万865d(96.3%増)。ともに5ヵ月連続でプラスとなった。コンデンサー向けが3,997d、9.7倍となったのをはじめ、ほば全分野がプラスとなった。出荷の1万d台は5ヵ月ぶり。
YKK AP吉田社長、窓事業で所信
トステム・AGC提携は「窓化」促進
YKK APの吉田忠裕社長は4月26日に開催した新商品発表会の席上、最近の事業展開などについて要旨、次の通り、述べた。
「窓」新商品、相次ぎ開発
当社は「窓」事業をスタートさせて久しいが、断熱性能の表示制度が窓に一本化されることが決まっことや、CO2の25%削減が求められている中で、住宅、あるいは窓の重要性が叫ばれるようになるなど我々建材メーカーの環境、与条件が変わってきた。海外の状況を見ていると、日本もそちらの方向に向わざるを得ないと判断、早くから準備をしてきた。現在も、いろいろと新しい商品の開発を進めており、今後断続的に発表していく考えで、本日の新商品はその第一弾である(次頁・記事)。
窓生産、自社工場の一貫ラインで
当社は従来から、窓事業とサッシ事業の二つの事業に取り組むと流通の皆さんに説明している。窓事業に関しては工場のラインの中でよりコストの低減を図り、きちんと品質を保証した製品をお届けするというのが基本。合わせて、サッシ事業というノックダウン供給では流通に提供する商品開発を進めていくことがもう一つの事業の柱である。
トステムと旭硝子が窓事業の業務提携で基本合意したことには多少驚きを覚えている。ただ、当社一社でやっているよりも、皆さんが同じ方向に向くことで、日本における「窓事業化」が急速に進むだろうという意味では大変喜ばしいことであると受け止めている。
当社はガラス事業については単独で取り組んでいく考えである。「窓」の生産についていえば、今年6月に着工、来年7月操業予定の「埼玉窓工場」は窓の最終製品を作って、提供するという事業体制の象徴的な拠点である。現在でも東北事業所で「APW」ブランドの樹脂窓を作っている。
また、Low-Eガラスは、現在、YKK APの北海道工場(北海道石狩市)と北陸PG(富山県富山市)の2ヵ所で原板を製造している。生産量では旭硝子に次ぐ規模で、PGの生産とLow-Eの原板製造ではかなり力を付けていると考えていてる。
今後、全国を7つのゾーンに分けて「窓」の供給体制を構築する考えで、マーケティング展開、あるいは商品の拡充に合わせて、統廃合した24ヵ所の工場のどこで作るか、随時発表することになろう。
YKK AP、中低層向け基幹商品刷新
Al樹脂複合窓「APW410」も新発売
YKK APは4月26日、「窓商品の充実」を狙い、集合住宅・中低層オフィス向け基幹商品「EXIMA(エクシマ)31」と、窓事業ブランドのアルミ樹脂複合窓「APW410」を新発売した。
「EXIMA31」は「EXIMA」をフルモデルチェンジ、需要全体の80%を占めるボリュームゾーンをターゲットに、@省エネへの配慮、A安心な性能・機能、B使いやすい機能、C永く使える機能、D調和する意匠―の5点をポイントに開発した。すべての窓種においてガラス溝幅35oを設定。より断熱効果の高い中間空気層12oの複層ガラスとの組み合わせを可能とし、住宅エコポイントにも対応。さらに、従来、換気窓として使用できなかった非常用侵入口で換気が行えるオリジナル機構(特許出願中)の換気付非常用侵入口仕様も用意。集合住宅向けでは業界で初めて、空掛け防止クレセントを標準設定した。ハンドル取付部の加工を統一し、ライフステージに合わせて、より使いやすい操作ハンドルへの交換が可能。
また、既存の集合住宅向け窓改修「GRAF工法」の部材点数を減らすなどの効率化により施工時間を短縮、1セットあたり20〜30分と一般的なカバー工法と比較して50%以上作業時間を削減した。2011年度の売上目標は110億円。一方、「APW410」はアルミ樹脂複合フレームとLow-Eガス入複層ガラスで構成。窓の断熱性能表示で4つ星・3つ星等級とアルミ系商品の中で最も高い断熱性能の窓として発売する。
同社は樹脂フレームとLow-E複層ガラスで構成された住宅用樹脂窓「APW330」を09年7月から東北エリアで先行販売、今年4月からは東日本に販売エリアを拡大すると共に、商品バリエーションの充実を図っている。
「APW410」は樹脂窓では対応できない住宅防火戸に適応。防火対応用は耐熱強化複層ガラスを標準採用することで、従来の網入り複層ガラスから意匠性が大幅に向上する。商品バリエーションは片上げ下げ窓、たてすべり出し窓、FIX窓、引き違いテラス戸。年間売上目標は10億円。
合金協会次期会長に山本大紀アルミ社長
日本アルミニウム合金協会は4月21日開催の理事会で、次期会長に山本隆章大紀アルミニウム工業所社長(写真)が就任することを内定した。副会長には浜村承三日軽エムシーアルミ社長が新たに就任、鈴木良彦サミット昭和アルミ社長は留任する。5月19日開催の第36回通常総会で正式決定する。
文化グループのBX紅雲が防火設備
開口高3m対応の耐熱強化硝子入り
文化シヤッターグループのBX紅雲(愛知県犬山市、濱本俊夫社長)はこのほど、ビルなどの防火区画に設置するガラス入りの特定防火設備としてステンレス製耐熱強化ガラス入り特定防火設備「KOUN SUS FIER(コウウン・サス・ファイア)大型FIXタイプ」を新発売した。1枚の耐熱強化ガラスで業界最大レベルの開口高さ3mまで対応する。従来タイプでは最大開口高さが2.4mのため、3mの開口部に設置するためにはFIX枠を連結して施工する必要があり、意匠性の面から設計範囲の拡大が課題となっていた。
今回、採用した耐熱強化ガラスはJIS規格に適合した高強度の製品。万一破損した場合でも、破片が鋭利にならないように安全性に配慮した仕様となっている。
設計範囲は最大有効開口幅1,800o、高さ3,000o。価格は102万9,000円。初年度販売目標は1億円。
フルチュウが本社を小山に移転
フルチュウ(辻田耕児社長)は5月6日付で川崎本社を小山事業所(〒323-0811栃木県小山市犬塚129番地2、電話0285-21-2391)に移転した。
新日軽、レール式引戸を大幅刷新
新日軽はこのほど、主力商品であるアルミ形材製の門扉・フェンス「エクジスシリーズ」で、レール引戸を大幅リニューアルした「エクジス引戸Rシリーズ」を商品化した。売れ筋の優れた安定性に加え、納まり形式・機能性の充実を図った。
上框や納まりは小開口から大開口まで敷地条件に合わせて選べる全6種類。十分な強度を持つ、見付120oの框を採用により、扉のねじれや走行時のブレを防止。さらに、より安定した走行を可能にするため、片引き、引違い、2連引きと各納まりに対応したガイド部品を設定。価格は「エクジス引戸R1型2連引き」で39万4,100円。7月1日から発売し、初年度3億円の販売を目指す。
日軽金の役員人事
(4月1日)グループ素材センター管掌、常務執行役員熱交事業部・メタル合金事業部・蒲原製造所各管掌宮内忠一(6月29日)執行役員、熱交事業部長篠原眞一▽同、グループ・メタルセンター長網村英城▽商品化事業化戦略戦略プロジェクト室管掌解く、代表取締役社長石山喬▽海外戦略担当・商品化事業化戦略プロジェクト室管掌(社長特命担当)専務執行役員中嶋豪。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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