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NO.1995(2010年7月26日号)

小野田森村マグネシウム
自動車向けMgリサイクルで実績
LCA重視で、市中材回収も課題

自動車向けマグネ材のリサイクルを手がける小野田森村マグネシウムは独自技術により量産体制を確立。今後はタイなどアジア新興国への進出を検討するとともに、LCA重視の観点から市中スクラップのリサイクル実現を中長期的な課題としている。

1.2d溶解炉3基、年産能力3,000d
 小野田森村マグネシウム株式会社(略称:OMM、岐阜県土岐市曽木町1663番地、栗原保男社長)は1999年1月、森村商事(東京都港区、森村裕介社長)と小野田商店(埼玉県鳩ヶ谷市、小野田了社長)の合弁で設立された。資本金は5,000万円で、小野田商店51%、森村商事49%の出資。合弁事業は小野田商店の独自再生技術を活かした、高品質のマグネ二次合金を製造する。中部地区以西における自動車向け需要の拡大に対応したリサイクル拠点とするのが狙い。
 工場は森村商事の100%子会社である日本セラミックスの敷地約3万3,000uの一角を利用、建屋面積600uの工場と同1,050uの倉庫の他、1,050uのトラックヤードがある。
 主要設備は1.2dガス溶解炉3基、インゴット連続鋳造機(キャスティングベルト+パワーアシスト式30sレードル)3基。すべて小野田商店の自社仕様による特注品である。現場要員は11人。生産能力は1日12時間・週5日操業で年間3,000d。
 リサイクルの対象としているのはランナーをはじめ、ダイカスト工程などで発生する工場リターン材主体のクリーンスクラップ。ほぼ100%が自動車関連部品であり、主要顧客は東海理化、アイシン精機、豊田合成、日本プラスト、オートリブジャパン、ヤマハ発動機、旭テックなどである。
 処理するスクラップの具体的な内容は明らかにしていないものの、一般的に日本の自動車業界でマグネの採用が進んでいるのはハンドル芯金、キーロックハウジング、エンジンカバー、シートフレームなどで、同工場でリサイクルの対象としているのもほぼ同じという。8割がダイカストだが、残りは鋳造、チクソ、板材などもある。合金種は3〜4種類。AZ系とAM系の比率はほぼ半々となっている。
 OMMでは市中スクラップを集荷して再生塊として戻すことはやっていない。切り粉、あるいは塗装の残ったもの、油などが付着したスクラップも受け入れるものの、処理はすべて、小野田商店・岩槻工場に委託する体制となっている。また、原料スクラップは粉塵の発生を防ぐため、粉砕、破断などの減容化処理は一切行っていないという。 塗装品など、溶解して煙が出るスクラップのリサイクルはおこなわないため、集塵機は取付けていない。だが、専門家により排ガスの測定を定期的に実施。煤煙、NOx、SOxなどは岐阜県の条例が定めた基準値以下となっている。また、溶解残渣は路盤材としての用途が考えられるが、現在は量が少ないため、管理型産廃として埋設処理しているという。炉4基目増設はペンディング
 OMMは 1炉で操業スタートして以来、順調に事業が拡大。当初計画を前倒しで炉を2基増設した。リーマン・ショック前には3基体制で、ほぼフル操業の状態。その後、大きく落ち込んだが、現在は「ピーク時の8割程度の水準にまで回復した」(栗原社長)という。ただ、当初から増設予定で、工場内にもスペースを確保してある4号炉については、「今後の見通しが不透明で、具体的な増設計画は目下のところない」「自動車メーカーのトランスプラント化が一段と加速されていることもあり、新しい分野での部品のマグネ化が一気に進まない限り、今後国内では需要の目覚ましい伸びは期待できない」(栗原社長)。
タイなど新興国への進出検討
 海外については「詳細は明らかにできない」ものの、タイなど東南アジアへの進出を検討している。森村商事の海外拠点を通じて情報を収集しているが、中国は既に競合企業が先発して進出しているため、インド、ベトナム、タイなどアジア新興国が有力という。
中長期的な課題は市中スクラップの回収 
 栗原社長は中長期的な課題として、「市中スクラップのリサイクル」を挙げる。「大手自動車メーカーは低炭素社会の実現の中でLCAを重視。マグネがただ単に軽いというだけではなく、ライフサイクルの中で低炭素化にどう結びついていくかが重要となる」という。
 ただ、「市中スクラップのリサイクル事業については進出意向があるものの、スクラップの回収ルートが確立されていないことが問題」。「お客さんからも打診を受けているが、現状では市場規模が小さいため、投資をしても採算に合わない」(栗原社長)。


5月のアルミダイカスト生産
7.1万d、前年同月比35%増

 経済産業省の金属製品統計によると、5月のアルミダイカスト生産量は7万1,384d、前年同月比35.1%増となった。
 7ヵ月連続のプラスだが、09年5月の生産量が5万2,854dと、08年5月の9万184d比41.4%減と落ち込んだ反動。2年前の水準からは79.1%にとどまった。
5月車向けアルミ出荷、11.5万d
41.6%増、08年5月比では18%減
 経済産業省及び日本アルミニウム協会によると、5月の自動車(二輪車を含む)向けアルミ製品出荷量は11万5,258d、前年同月比41.6%増となった。
 プラスは7ヵ月連続だが、08年5月の14万1,266dに比べると、81.6%の水準にとどまっている。
 内訳では圧延品が2万2,157d・70.1%増(08年5月実績2万6,273d)、ダイカスト6万4,096d・34.1%増(同8万282d)、鍛造品2,335d・46.0%増(2,763d)と、軒並み大幅な回復となった。


5月のアルミ建材出荷、3%減
サッシは住宅2%増、ビル15%減

 5月のアルミ建材生産・出荷統計(確報値)によると、生産量が2万931d、前年同月比1.7%減、出荷量が2万5,249d、3.0%減となった。出荷金額は361億9,000万円、4.3%減。d当たり平均出荷単価は143.3万円で、昨年5月の145.5万円に比べ1.5%下落した。
 このうちサッシは生産が1万2,026d、4.6%減、出荷が1万5,282d、4.9%減となった。出荷金額は227億2,000万円、4.9%減。
 内訳では住宅用サッシは生産が6,696d、4.6%増、出荷が9,479d、2.3%増。出荷金額は131億9,100万円、1.3%増で、平均単価は139.2万円。1年前の139.9万円に比べると0.5%のダウン。
 一方、ビル用サッシは生産が5,030d、15.0%減、出荷が5,803d、14.7%減。平均単価は164.2万円で、1年前と変わらずであった。


上期カラーアルミ出荷、2.1倍
建設用12%減、非建設用1.5倍

 日本アルミニウム協会がまとめた2010暦年上期のカラーアルミ出荷量は1万3,059d、前年同期比106.6%増となった。上期ベースでのプラスは2年ぶり。ただ08年上期実績1万3,812dに比べると94.5%の水準にとどまっている。
 部門別内訳では建設資材が1,468d、11.6%減と縮小基調に歯止めがかかっていない。
 一方、非建設資材は1万1,591d、148.7%増と大幅に伸びた。上期としては2年ぶりに前年同期実績を上回ったが、09年上期の出荷量が4,660d、60.4%減と大きく落ち込んだ反動。08年上期の出荷量1万1,777dに比べると98.4%の水準。


文化シヤッターの早期退職募集
115名応募、目標に35名未達

 文化シヤッターは12日、5月12日に公表した
早期退職者募集に115名の応募があったことを明らかにした。人員削減などの合理化策の一環として実施したもので、募集期間は6月1日〜30日。150名程度の応募を見込んでいたが、約35名未達であった。7月31日付で退職するが、会社都合扱いの退職金の他、特別加算金が支給される。また、希望者には再就職支援も行う。 
 なお、早期退職者募集による特別加算金の支給などに伴い、2011年3月期決算で4億1,900万円の特損を計上する。


文化シヤが審判請求と執行停止
公取委の排除措置命令と課徴金

 文化シヤッターは12日、臨時取締役会を開催、公正取引委員会に対して審判請求の手続きをとるのとあわせて、東京高等裁判所に対して排除措置命令の執行停止の申し立てを行った。
 同社は6月9日、公取委から独占禁止法第3条の規定に違反する行為(「全国における価格カルテル」と「近畿地区における受注調整」)があったとして排除措置命令および課徴金納付命令を受けていた。
 文化シヤッターは命令内容について慎重に精査した結果、「指摘されていた違法行為はない」という見解を持つに至って、審判請求の手続きと命令の執行停止を申し立てることを決めた。


文化シヤッターの上期連結特損
課徴金相当額20.25億円を計上

 文化シヤッターは12日、2011年3月期第2四半期連結累計業績見通しを下方修正した。6月9日に公正取引委員会から課徴金納付命令を受けたことに伴い、課徴金相当額20億2,500万円を特別損失として計上するため。5月12日公表の予想では最終損益は収支トントンを見込んでいたが、18億円の損失となる。ただ、早期退職者募集に伴う特別加算金費用が当初の発生見込み額を下回るため、最終損失幅は縮小。
 売上高は455億円(前年同期比3.0%増)、営業損失2億円(前年同期は27.91億円の損失)、経常損失4.5億円(同35.11億円の損失)で変わらず。
 同社は当初、「公取委の排除措置命令については内容について精査した上で対応を検討するとしたため、課徴金納付命令に関する会計処理は不要」と判断していた。しかし会計監査人と協議した結果、財務健全性を保守的に勘案して課徴金相当額を特別損失として計上する。
 通期での当期純利益は1.50億円(前期は100.62億円の損失)で、前回予想を18億円下回る。売上高965億円(前期比3.3%増)、営業利益19.5億円(前期は31.41億円の損失)、経常利益20億円(同35.42億円の損失)は変わらず。


三菱樹脂「アルミ樹脂複合板」
欧州の次世代防火規格をクリア

 三菱樹脂はこのほど、2010年度から欧州連合加盟各国で順次採用予定の次世代防火規格「Euroclass A2」をクリアしたアルミ樹脂複合板「アルポリック/A2」を開発、9月から生産を開始すると発表した。
 「アルポリック」シリーズは、ポリエチレンなどの芯材の両面にアルミ板などを貼り合わせて一体化した三層構造の複合板。優れた平面性や加工・施工時の取り扱いの良さから、建材をはじめ産業資材や広告看板用途材料として世界100ヵ国近くで広く使用されている。特に、芯材に不燃の無機材料を加えた「アルポリック/fr」は国交大臣の不燃材料認定を取得、国内外を問わずビルの内外装材として優れた評価を得ている。
 「Euroclass」 は、欧州で最も厳しい防火規格とされているドイツ工業規格(DIN)並みの厳しい規格で、A2 はその中で複合板が認定を受けられる最高の等級。今後、欧州市場において建築物件の受注拡大には、このA2 等級の認定を受けた製品が強く求められている。
 このため、「アルポリック/fr」の芯材に改良を重ね防火性能を更に高めた「アルポリックR/A2」を開発し、「Euroclass A2 」の認定を取得した。
 同社は今後、国内外の設計事務所へ積極的に「アルポリック/A2」をPR 、欧州を中心とした海外の建築物件を受注し11年度に10億円の販売を目指す。


TOEXは伸縮門扉「アルシャインU」

 TOEXはこのほど、同社製伸縮門扉の主力シリーズ「アルシャイン」をリニューアルした「アルシャインU」を新発売した。
 錠金具は横型の鎌を採用した新構造により、施錠・解錠時の操作性を大幅に向上。さらに従来は外側だけであった回転止め金具を内側にも付けたことで、敷地の内側・外側の両方から操作できるようにした。カラーバリエーションも見直し、門扉やフェンス、カーポートなどとのカラーコーディネートの幅を広げた。6タイプの品揃えで、初年度15億円の販売を見込む。
 価格は写真の「アルシャインUHW型」(サイズ:H1250×W3168o)で20万130円。


プロユーザー向け「建デポプロ」
川越店がオープン、トステム

 トステムはこのほど、プロユーザー限定の会員制総合建材マート「建デポプロ」川越店(埼玉県川越市宮元町50-3)をオープンした。
 同社は「建デポプロ」をすべてのプロユーザーに、あらゆる建築資材を一ヵ所で提供できるワンストップショッピングの場として全国展開しており、今回の川越店は埼玉県内初の出店。
 敷地面積は2,857u、延床面積2,450u、売場面積2,102u。商品約3万点を揃え、年中無休営業(年始年末を除く)、営業時間は月〜土が6時30分から19時30分、日・祝日は9時から19時。


トステムがテレビCM第5弾
防音・断熱内窓「インプラス」

 トステムは、「住宅エコポイント」対象製品として販売が好調な、防音・断熱内窓「インプラス」のさらなる普及・拡大のプロモーションとして、俳優の堤真一を起用したCMシリーズ第5弾となる「夏の遮熱」篇を7月1日から8月31日まで、主要テレビ局で放映する。
 同CMは第47回「ギャラクシー賞」のCM部門で入賞するなど高い評価を受けている。今回の「夏の遮熱」篇では、部屋の一室で夏の強い日差しに汗ばむ夫(堤真一)が、暑さゆえか、不機嫌そうな妻を見て「最近の俺に問題はないはずだ」と思いながらも、ちらりと温度のない冷ややかな視線を送る妻に気づき、「一体俺の何が物足りないって言うんだ?!)」と自問自答するストーリー。夏の暑さにも効果的な「インプラス」の訴求を図っている。


軽圧品流通市況、東京快削棒5円高

 全国軽金属商協会・市場調査委員会(萬世興業・横山順司委員長)によると、6月末の軽圧品流通市況は東京地区で快削棒が前月比5円/s高となったものの、その他5品種は変わらずとなった。大阪・中部超地区では全6品種が据置きとなった。4〜6月期の国内NSP地金価格が250円、1〜3月期比30円上昇した中で、快削棒は15円の値上りにとどまっていた。
 7〜9月期の地金価格は10円高の260円だが、海外相場は6月から一進一退の動きが続いており、7月に入ってもその傾向は変わっていない。


09暦年アフター市場ホイール
658万個・5.9%減、輸入品92%

 アフター市場向けアルミホイールの業界団体であるジャパンライトアロイホイールアソシエイション(JAWA)によると、09暦年における国内のアルミホイール販売量は658万3,226個、前年比5.9%減となった。マイナスは2年ぶり。
 アフターマーケットは消費不況や新車の販売不振の影響を受けて低迷してる。その中で冬季のスノーホイールが堅調に推移。昨年から市場に投入されたエコホイールもHV車やエコカー減税対象車の伸びに伴い、好調であった。 
 なお、09暦年の輸入品は608万2,261個、前年比1.8%減となった。販売量全体に占める比率は92.4%で、08年の88.6%から3.8ポイントアップした。


三和シヤッター工業が審判請求
公取委からの排除措置命令など

 三和シヤッター工業は6月25日、臨時取締役会を開催、6月9日に公表した、「全国における価格カルテル関係事件」に絡んで公正取引委員会から排除措置命令を受けたことに対して、審判請求手続きと課徴金納付命令に対して審判請求手続きと、排除措置命令の執行停止の申し立てを行う手続きをとることを決議した。
 同社は、「他の事業者と共同して特定シャッターの販売価格を引き上げる旨合意したとして、不当な取引制限に該当するとされているが、当社としては、そのような違反を行っていないと考える」としている。
 なお、三和ホールディングスと三和シヤッターは近畿地区における受注調整関係事件についても6月9日、公取委から排除措置命令と課徴金納付命令を受けているが、これについても「課徴金の算定根拠などについて詳細な内容を検討中」とした。


トステムの住宅施工例コンペ
「トータルハウジング大賞」決定

 トステムはこのほど、住宅施工例コンテスト「第20回トータルハウジング大賞(TH)大賞)」を開催し、全国の工務店から応募された合計1,059点の中から入賞作品を決定した。
 このコンテストは、地域工務店の支援組織である「TH友の会」会員工務店を対象に毎年実施している住宅施工例コンテスト。新築部門とリフォーム部門の2部門で構成する。今回は「環境に配慮した住宅であること」を特別テーマとし、「より快適な住空間の創造」の提案が行われているかどうかが選考基準となった。
 選考の結果、新築部門(応募作品797点)では「TH大賞」の「M邸」(施工:東京都江東区・米村工務店)、リフォーム部門(同262点)では「リフォーム大賞」のK邸(施工:新潟県南魚沼市・越後ハウジング)1点をはじめ、それぞれ合計31点が優秀作品として表彰された。
 TH大賞は「デザインと環境的配慮が融和し、ダイナミックでエネルギーが感じられる作品」、リフォーム大賞は「築100年超の民家を温熱環境に配慮して再生」との審査評を受けた。


三井住友建設のアルミ合金製屋根
径120m浮き屋根式タンクに適用可

 三井住友建設はこのほど、アルミニウム合金製屋根「ウルトラドーム」について、危険物保安技術協会から、これまでの直径60mを超える直径120mまでの性能評価を取得したと発表した。
 これにより、浮き屋根式タンク用屋根構造物として、構造耐力、放爆構造、通気性能および消火設備などの性能評価が適正と認められたことから、国内に現存するすべての危険物貯蔵の浮き屋根式タンク用屋根構造物として利用することが可能になった。
 同社は1999年に日本で初めてのアルミ合金製屋根として上水道タンクの「ウルトラドーム」(米ウルトラフロート社の登録商標)を建設して以来、これまでに43基のアルミ合金製屋根の施工実績がある。
 浮き屋根式のオープントップタンクでは、大量の雨水の浸入や、強風・積雪などによる浮き屋根の破損や揺動などの不具合が生じることが懸念されている。同社はこうした問題を解決する手段として、危険物貯蔵の浮き屋根式タンクにウルトラドームの提案を設置してきた。
 ウルトラドームは、アルミ製の三角形の骨組を組み合わせて構成された球型立体フレーム状の空間トラスをアルミパネルで被覆した構造。耐候性に優れ防食処置が不要なほか、組立がすべてボルト接合のため短期間での施工が可能。軽量なため浮き屋根上でも組立てることができ、既存タンクの躯体や基礎への負担も軽減する。
 今回、日本で最大クラスである直径100m級の石油タンクへの適用を可能にするため、直径120mまでの性能評価を取得した。


図・表・写真は本誌でご覧ください。