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NO.2018(2011年1月17日号)

東洋アルミが全株式取得へ
昭和アルミパウダー株、公取が事前承認
高級塗料用Alペースト市場シェア55%


公正取引委員会はこのほど、東洋アルミニウム(今須聖雄社長=写真)から事前相談があった昭和アルミパウダーの全株式取得に関して審査を行った結果、独占禁止法に違反する恐れはない旨の回答を行った。これにより、かねて計画の完全子会社化が実現する運びとなった。


 東洋アルミは09年11月、「アルミニウムペーストの製造・販売会社である昭和アルミPの株式を全株取得する」意向を表明するとともに、公取委に対して事前相談を申し出ていた。公取委は第1次審査及び第2次審査で検討、昨年12月末に「企業結合計画の当事会社からの提出資料などを前提とすれば、東洋アルミによる株式取得は独占禁止法の規定に違反する恐れはない」とし、買収を認可した。この審査結果を踏まえて、両社は株式取得の詳細や時期について今後具体的な交渉を行うものと見られる。
自動車や家電製品、その他メタリック塗装の原料となる「高輝度品アルミペースト」の国内市場規模は約2,000dで、東洋アルミがシェア約50%でトップ、昭和アルミPは約5%で同4位。株式取得により同55%となる。また、主に防錆効果を得るなど機能性が求められる機械部品、構造物、船体などの塗料に用いられている「一般品アルミペースト」の市場規模は約3,000d。東洋アルミは市場シェア60%でトップを占め、昭和アルミPのシェアは第3位で約15%。株式取得によりシェアは75%に高まる。
 東洋アルミは社内ではペーストの原料となるパウダーの生産拠点として日野製造所をもつほか、新庄製造所(奈良県葛城市)でペーストを生産する。同社はペースト用パウダーは全量自社消費、一方昭和アルミPは原料のパウダーを外部から購入している。
 企業統合により昭和アルミPが原料アルミパウダーを東洋アルミから調達するほか、隣接する両会社の工場からの出荷を共同化。これにより、コストの低減をなど、事業の強化を図る。
 昭和アルミPは1966年に昭和電工と昭和アルミ(当時)の折半合弁企業として設立。本社・工場は奈良県御所市に置く。その後、昭和アルミを吸収合併した昭和電工はアルミ事業の選択と集中を基本とした構造改革の一環として2006年5月、資本金2億円・発行済み株式の85.1%を伊藤忠グループへ譲渡している。
 今回の買収劇はアルミ事業のさらなる構造改革を進める昭和電工が累損を抱える昭和アルミPの株式の売却を意図し、大株主の伊藤忠商事グループも市場競争力の低下の著しい同事業からの撤退を決めたようだ。一方、東洋アルミはこれにより国内において圧倒的なシェアを確保して事業基盤を強化するととともに、今後の主戦場と目される欧米及び中国をはじめとするBRICsなど世界市場での競争力強化に経営資源を集中する方針で、両社の思惑が一致した。
 因みに、東洋アルミはパウダー・ペースト事業において米国にトーヤルアメリカ社とフランスにトーヤルヨーロッパ社を設立済み。また、中国にはペーストの生産拠点である肇慶東洋業有限公司(広東省肇慶市)で進出を果たしている。


11月の圧延品出荷、11.4%増
板類10.0%増、押出類13.5%増

 日本アルミニウム協会が発表した2010年11月のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板類と押出類の合計では生産が18万2,472d(前年同月比10.2%増)、出荷が18万3,613d(11.4%増)となった。ともにプラスは12ヵ月連続。
 板類は生産が11万782d(9.3%増)、出荷が11万991d(10.0%増)となった。プラスは生産が12ヵ月連続、出荷が13ヵ月連続。
 缶材が3万2,889d、5.6%増。輸出も2万2,619d、33.5%増と大きく伸びた。中国、東南アジア向けが好調で、11月としては過去最高。一方、自動車は1万2,505d、2.2%減となった。マイナスは2ヵ月連続だが、落ち込み幅は小さい。
 押出類は生産が7万1,690d(11.7%増)、出荷が7万2,622d(13.5%増)。ともに12ヵ月連続のプラス。建設向け出荷は4万4,642d、18.1%増と、水準は依然低いが、大幅な伸びとなった。自動車向けは1万1,501d、3.1%増。増加率は1桁となったものの、13ヵ月連続でプラスを記録した。
箔出荷は1万426d、5.1%増
 箔は生産が1万593d(7.0%増)、出荷が1万426d(5.1%増)となった。プラスは生産が2ヵ月ぶり、出荷が13ヵ月連続。コンデンサーは3,663d、24.3%増。デジタル家電向けを中心に堅調で、11月としては過去3番目を記録した。


石山アルミ協会会長が所信
「勤勉と創意工夫で新たな展望」

 日本アルミニウム協会、日本アルミニウム合金協会、軽金属製品協会、全国軽金属商協会の軽金属4団体は5日、東京・芝公園の東京プリンスホテルに関係者約600名を招き、合同賀詞交歓会を開催した。冒頭、主催者を代表して石山喬アルミ協会会長(日本軽金属社長=写真)があいさつに立ち、概略次の通り年頭の決意を述べた。
 「アルミ業界を含め、わが国の産業界は色々な分野の需要構造が目に見えて変り、認識を新たにして次の一手を打たなければ厳しいグローバル競争に勝ち残れない。特に、わが国の人口減少、老人国への変貌は企業経営者にとっても由々しき問題だが、ここで萎縮していては新たな展望は開けない。勤勉さと創意工夫に満ちた国民性という日本人としての基本を見失わない限り、まだまだ世界のマーケットで競争していけると確信している」
 「協会としては旺盛な需要を抱える中国をはじめとする新興諸国の動向にも注目しながら、内需拡大という観点から技術戦略ロードマップを見直した。また、今年度は独自の事業として中核人材育成講座を立ち上げた。これらは長期的な展望のもとに行っており、将来必ずや実を結ぼう。関係諸官庁ならびに学会、会員企業と連携を保ちながら現在直面している困難な状況を克服していきたい」


古河スカイのタイ・コイルセンター
開所式、13年売上目標約17億円

 古河スカイ(吉原正照社長)はこのほど、10年2月に100%出資で設立したコイルセンター「フルカワスカイ・アルミナム(タイランド)社」(タイ・アユタヤ県ロジャーナ工業団地内 、長南邦年社長)が開所式を行ったと発表した。
 同子会社は資本金1億6,000万バーツ(約4億8,000万円)で、今後大きな伸びが予想される東南アジア地域での自動車熱交換器用アルミ製品の加工・販売が主な目的。古河スカイ国内工場、および中国の板圧延合弁会社からの素条をスリッター加工することからはじめ、顧客ニーズに合わせて機能を拡大していく。また、インドネシアの押出合弁会社の押出製品と併せた販売も強化する。2013年には月産約300d、年間売上高約5億5,000万バーツ(約17億円)を目指す。


11月アルミ二次地金・合金出荷
1.5%増、2ヵ月ぶりプラスに

 日本アルミニウム合金協会がまとめた2010年11月のアルミ二次地金・同合金地金需給統計によると、生産は7万185d、前年同月比0.1%減、出荷は7万676d、同1.5%増となった。生産のマイナスは2ヵ月連続、出荷は2ヵ月ぶりにプラスとなった。
 08年11月の実績(生産7万6,610d、出荷7万7,650d)に比べると、生産は91.6%、出荷は91.0%の水準。リーマンショックの影響が出始めるのは08年11月以降のため、生産・出荷の減少幅は縮小した。


11月Alダイカスト、8.3万d・2.6%増

 経済産業省の金属製品統計によると、11月のアルミダイカスト生産速報は8万2,879d、前年同月比2.6%増となった。10月は0.6%減と1年ぶりのマイナスとなったが、再度プラスに転じた。


11月のアルミサッシ出荷、14.8%増

 2010年11月のアルミ建材生産出荷速報によると、アルミサッシは生産量が1万6,532d、前年同月比14.5%増、出荷は2万272d、14.8%増となった。住宅用は生産が18.0%増、出荷が18.5%増。ビル用も生産が10.7%増、出荷が9.9%増とプラスに転じた。


SUS、佐賀の九州事業所に新設
Alフレームの加工・組立工場

 SUS(静岡市、石田保夫社長)は11日、九州事業所(佐賀県烏栖市弥生が丘)隣接地に建設していたアルミ加工・工場が完成したと発表した。
 新工場は敷地面積8,983u、建築面積4,621u、延床面積5,571u(鉄骨造・2階建て)。総投資額は約6億5,000万円。
 九州事業所はアルミ製フレームの切断・加工、製品組立を行う拠点として04年6月に開設。主に九州、中国、四国地域の半導体製造装置・FPD装置メーカー、自動車メーカー向けに製品を供給している。従業員数は10年末現在で126名。
 今回の工場建設は売上規模拡大にともなう設備の拡張。これまで3ヵ所に分かれていた既存設備を新工場に移管して一元管理を行うことで生産能力を高めるとともに、さらなる品質向上を図る。生産効率を従来比1.3倍に向上。さらに、将来的には生産量の50%増を目指す。
 設備の移管で空いた既存工場棟には同社最大となるショールームを開設、九州地域における営業活動を強化する。


アーレスティの人事異動

(1月16日)Ahresty India Private Limited社長 (製造本部長)取締役常務執行役員林禎一▽製造本部長(Ahresty Wilmington Corporation社長)執行役員野中賢一▽執行役員Ahresty Wilmington Corporation社長(Ahresty Wilmington Corporation取締役)Justin Rummer


三菱商事ユニメタルズがアルミ相場予想
2011年は150.8万d供給過剰
金融マネー流入で高値圏推移

三菱商事ユニメタルズは6日、「2011年における世界のアルミ新地金需給バランス見通しと相場予想」を発表した。

11年世界需要6.7%増、供給5.7%増
2011年も2010年に引き続き、アジアを中心に需要は安定的に増加傾向にある。2011年の世界需要は4,324.5万dで、10年見込み比270.3万d・6.7%増。そのうちアジアの需要が2,515.9万dから2,713.1万dに197万d・7.8%増と牽引する。
 一方、供給は4,475.3万dと、10年見込み比240.9万d・5.7%増の予想。需給バランスは150.8万dの供給過剰と小幅の縮小にとどまる。
 その中で、中国は全世界のアルミ需要の4割強を占め、特に、住宅、自動車、建材などの内需が堅調で輸出の不振をカバー。国内自動車販売台数は月間150万台を超え、米国を抜いて世界第1位の生産・消費国となった。供給面では非効率的な製錬所の閉鎖や電力供給制限など、中央および地方政府の政策による供給減リスクがある。ただ、供給能力自体は2,000万d以上と十分に担保されているため、需要増による需給ひっ迫は想定しがたいとしている。一方、政府当局によるインフレ抑制の一環として、金融引き締めによる需要減の下振れリスクは依然残るとしている。5%減でも全世界の需給に約100万dのインパクトを与えるので、中国動向にも注意が必要としている。
LEM先物、2000〜2800j
 2011年のLME3ヵ月先物相場は安値2,000j〜高値2,800jのレンジ、中心値2,400jを予想。金融マネーの下支えにより底堅く推移するものの、上昇と下降は一方向となりやすく、変動の大きい展開になると予想。相場を左右するキーポイントは@金融面:米国の量的緩和による金融マネーの商品市場への流入A実態経済面:中国の需給動向、LME倉庫ディールの行方。
 2011年の相場は需給要因よりも金融要因の影響が大きく、米国のさらなる量的緩和(QE2)により高値圏で推移すると見られる。
 LME在庫は09年に400万dを超えたレベルまで増加しているが、供給過剰となった地金がワラントファイナンス取引を通じてLME倉庫に保管されることで現物には過剰感は生じなかった。2011年にはワラントファイナンスディールのロックが解除されて放出され、供給過剰となる可能性があるとしている。


11年度経産省非鉄金属課など関連予算

 11年度政府予算案で、経済産業省・非鉄金属課及びファインセラミックス・ナノテクノロジー・材料戦略室関連予算は10年度当初予算額の52.1億円に比べ約10倍の572.3億円となった。
 柱となるのは、レアアースを含むレアメタル関連の547.46億円で、10年度予算比の約44倍。


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