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NO.2019(2011年1月24日号)
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住宅着工減・業界再編で天窓の商流が激変
パナソニック電工は5月で事業撤退
三協立山は日本ベルックスにOEM
パナソニック電工はこのほど住宅用天窓について5月末で生産停止を決めた。三協立山アルミは天窓のOEM調達先を従来の新日軽から日本ベルックスに転換した。ともに新設住宅着工減、業界再編の影響によるもので、天窓以外の住宅建材でも商流の激変は避けられそうにない。
天窓は戸建て住宅の屋根部に装着するFIX型あるいは開閉型窓。エネルギーを必要とせず自然採光・自然換気ができる究極の環境対応商品といわれる。基本構造は室外側がアルミ形材、室内側が天然木(一部樹脂枠)の断熱複合構造。室内側に網入りガラスを採用、万一のガラス破損でも室内にガラスが散乱しない安全設計。夏場の直射日光を遮るスクリーンを付設する。開閉タイプには電動型と手動型がある。
年間需要は13万6,700窓(09年度実績、カロス出版「建材情報」No.351号)。デンマークの断熱天窓専業のベルックスの日本法人日本ベルックスが断然強くシェア34.0%で首位に立ち、次いでトステム27.1%、YKK AP17.9%、パナソニック電工8.8%、新日軽7.3%、三協立山アルミ4.4%と続く。
北米・北欧などは殆んどの住宅に天窓が設置されているものの、日本の場合、究極の環境対応商品ながら住宅コストとの兼ね合いもあって天窓装着率は低迷が続く。同時に金融危機後の新設住宅着工が09年度77万5,300戸・25.4%減と大きく落ち込んだことから天窓需要も激減。天窓の設置しにくいキューブ型住宅の増加も需要減退の一因といわれる。このため「断熱てんまどU型」を年間1万2,000窓程度販売してきたパナソニック電工は、天窓事業の将来展望が描けないとして今年5月末で生産を中止、この業界からの撤退を決めた。同社は選択と集中の一環から既にアルミ住宅エクステリアからも撤退済み。
一方、三協立山アルミは天窓について、従来新日軽にOEM生産を委託、独自ブランド「スターフルV」の商品名で年間約6,000窓を販売してきた。しかし、新日軽が10年4月に住生活グループ入りしたことから、調達先を日本ベルックス社に変更、商品名も「天窓スターフルV」に一新した。不二サッシも新日軽からOEM調達してきたので、今年4月以降委託生産先の変更を余儀なくされる。
また、今年4月に貝IXILを設立し、トステム、新日軽、TOEX、INAXを経営統合する住生活グループは、天窓について4月以降トステムの「スカイシアター」に一本化する見込み。この結果、新日軽のロングセラーの断熱天窓「トップライト5型」・一般天窓「トップライト1型」は市場から姿を消すことになる。
新設住宅着工は09年度を底に回復基調にあるが、少子高齢化社会の到来などから08年度の103万9,200戸への回帰は夢のまた夢といわれる。その結果、住宅建材の多くが需要減、市場競争の激化による価格低迷の二重苦下にあり、シェアの下位メーカーは極めて厳しい経営環境が続く。このため生き残りを賭けた商流の変更や商品別事業再編が今後続出するものと予想される。
11月ダイカスト生産、2.9%増
2ヵ月ぶりプラス、08年比10%増
経済産業省の金属製品統計によると、10年11月のアルミダイカスト生産量は8万2,928d、前年同月比2.9%増となった。10月は1年ぶりのマイナスを記録したが、再度プラスに転じた。08年11月の7万5,124dに比べると10.4%増の水準。
分野別では、主力の自動車向けが1.5%増となったほか、一般機械、電気機械など軒並み前年同月実績を上回った。とくに二輪車向けは25.7%の大幅増を記録した。
日軽金の中国・上海市の営業拠点
活動開始、2011年売上高10億円
日本軽金属は19日、10年11月に全額出資で設立した中国上海市の現地法人「日軽(上海)国際貿易有限公司」(資本金3,500万円、岡本泰憲董事長、星直之総経理)が営業活動を開始したと発表した。同社は中国におけるグループのビジネス展開をサポートするために07年11月に駐在員事務所「上海代表所」を開設するとともに、10年度を初年度とする中期経営計画では「中国、東南アジアを中心とする海外ビジネス展開加速」を基本方針の一つとして積極的に取り組んでいる。
上海代表所は日本人スタッフ2名、中国人スタッフ2名により、主に、中国市場におけるビジネス展開のための情報収集を行ってきた。今回、中国における営業力強化のため、拠点となる現地法人が不可欠と判断、日軽(上海)国際貿易有限公司を設立した。
新会社の従業員数は6名(うち日本人3名)。上海代表所の要員を引き継ぐとともに、グループの中で商事機能を担う日軽産業からのスタッフを増強した。今後、中国において事業展開している自動車部品関連、電子材料関連ユーザーを中心とするグループ製品の拡販やサービスの拡充、あるいは中国製品の日本への輸出など、活発な営業活動を展開。2011年に10億円、2015年に20億円の売上高を見込む。
甲斐ダイカスト協会会長が所信
「日本製品のものづくりに貢献」
日本ダイカスト協会は17日、東京・丸の内の東京會舘において、平成23年「新年賀詞交歓会」を開催、業界関係者ら約200人が出席した。冒頭、甲斐宏会長(=エーケーダイカスト工業所社長)があいさつに立ち、要旨、次の通り述べた。
「ダイカスト業界はリーマン・ショック後の最悪期を乗り越えたものの、円高で事業環境は非常に厳しい。自動車、電機業界も中国や新興国を除くと大変な状況にある」
「当協会は公益法人制度改革により2011年度から一般社団法人として新たなスタートを切る。また、2006年に策定した『ダイカスト産業ビジョン』の『追補版』の作成を現在進めており、3月にも発表できる予定である。会員企業と連携して業界を盛り上げていきたい」
「中国など日本の製品に対する需要は極めて旺盛。『メード・イン・ジャパン』のモノ作り力をしっかりと確立していけば、従来の家電製品などに加え、自動車など、FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)などが実現する中で日本の製品に対する需要はさらに高まると期待され、ダイカスト業界も大きく貢献することができよう」
三和HD、米自動ドア子会社が買収
販売・メンテナンスの大手企業
三和ホールディングスは18日、100%出資の米子会社であるオーバーヘッドドアコーポレーション(ODC、テキサス州)が14日付で、自動ドアの販売・施工・メンテナンスサービスのオートマチックドアエンタープライズ社(ADE、ペンシルベニア州、資本金2万5,000米j)およびそのグループ会社5社が所有する事業を取得したと発表した。事業取得にあたり、12月17日、ODC全額出資会社を設立した。
設立した子会社はドアサービスコーポレーションで、資本金は1,000米j。本店はデラウェア州。ODCでは中核事業の一つとして、「Horton(ホートン)」ブランドで製造した自動ドアを全米、および英国、中南米その他地域で販売施工している。今回、同社の自動ドアの販売ディストリビューター最大手の一社であるADEグループの全事業資産を取得することにより、自動ドア事業における本格的な施工およびメンテナンスサービス事業へ進出する。
ADEグループは設立が1979年。売上高は09年連結で1,762.7万米j。ペンシルベニア州、ニュージャージー州で地域に密着したシェアNo.1の確固たる事業基盤を持ち、迅速で質の高いサービスにより医療機関などの幅広い顧客から高い評価を受けている。ODCはその優れたメンテナンスサービス提供システムを順次他のエリアに展開することで、メンテナンス事業をHorton自動ドア部門の収益の柱として強化。事業領域の拡大と収益力強化によって現在全米第2位のシェアであるODCの自動ドア事業の競争力の飛躍的な向上を図る。
三協立山アルミが台湾・タイへ進出
現地企業に出資・合弁会社設立も
東南アでの事業拡大、5年後売上70億円
三協・立山ホールディングス(川村人志会長=写真)は12日、グループ建材事業会社の三協立山アルミ(藤木正和社長)が成長著しいアジア市場での建材事業拡大に向け、台湾およびタイの現地会社と業務提携および合弁会社を設立することで基本合意に達したと発表した。いずれも建材分野から始め、非建材分野にも提携を広げていく考え。
台湾は10%出資、販社で5年後売上40億円
台湾では1月12日、大同業股有限公司(資本金:3億1,200万台湾j=約8億3,700万円、張漢忠董事長)と基本的な合意をした。大同業は台湾市場で押出を中心とした建材事業を展開。有力サッシメーカーとして、アルミ押出形材の生産量は年間6,000dと台湾トップの地位にある。さらに、アルミサッシ、ドア、カーテンウォール及びアルミ押出形材などの製造・販売事業を、台湾全土をカバーする販売網により展開している。
現在、台湾市場では高層マンションなどの需要が拡大中。それらに使用する高品質な建材の要求が高まってきていることなどから、今回、三協立山アルミから大同業に対し、高品質のビル用サッシの技術を提供する。
対象製品は日本国内での採用実績も多く、高水密・高耐風圧でデザイン性にも優れたビル用サッシ「 MTG-70」をベースとし、台湾でのライセンス生産を予定している。
これらライセンス生産と台湾市場での販売をより円滑に進めるため、今年4月 1日をめどに、三協立山アルミが大同業に10%資本参加するほか、両社共同出資による販売会社を設立する。大同業への出資比率は将来的に33〜34%に引き上げる考え。
新会社は「三協大同業股有限公司」。資本金は4,000万台湾j(約1億円)で、両社50%ずつの出資比率とする。代表者は大同業より派遣する。当初社員数は約16名(うち、三協立山アルミ社員3名)を予定。
三協立山アルミの開発能力・設計・施工を含めた販売ノウハウと、大同業が持つ台湾における建材ノウハウおよびアルミ押出形材の製造能力と台湾販売ネットワークのシナジーにより、台湾市場での製造・販売体制を構築。コスト・品質・納期面で優位性を確立することで台湾・アジアにおける建材事業を拡大する。5年後の2016年度に15億台湾j(約40億円)の売上を目指す。
タイ合弁は5年後に30億円目標
タイでの提携先はムアントン・アルミニウム・インダストリー・カンパニー・リミテッド(資本金4億バーツ=約11億2,000万円、Tanace Kuvinichkul社長)で、10年12月22日、業務提携について基本的な合意に達した。ムアントン・アルミ社はタイ市場でアルミ押出を中心とした建材および工業・電気用部品事業を展開。ビレット、アルミ押出形材、着色陽極酸化システムの大手製造業者であり、工業用および輸送用加工製品も含めて、粉体塗装およびフッ素塗装システムにより幅広い表面処理材料を提供している。年間の生産数量は1万8,000d。
日本向け非建材の供給も検討
両社は共同で合弁会社を立ち上げるほか、ムアントン・アルミ社への資本出資も行うことで合意しており、今後詳細を詰めていく。新会社は東南アジアにおける商品開発・販売体制を構築、タイおよび東南アジア市場での三協立山アルミブランド商品の販売促進や市場シェアの拡大を図る。そのために必要な製品開発・技術や製造方法に関して三協立山アルミが支援する。5年後に東南アジアを含めて約30億円の売上を見込んでいる。また、「コストが合えば非建材のマテリアル向けに材料を日本に持ってくることも考えられる」
台湾で実績を上げて、中国へ進出
川村人志三協・立山HD会長は「同業他社に比べて海外進出が遅れているのは事実だが、国内での成長戦略の道筋をしっかりと付けてから海外展開を図るというのが基本的な考えであった。また拙速に出て行って良かったかという問題もある。これからはリスクをしっかりと見ながら展開していく」とした。
また、中国進出は「自社単独で、あるいは中国企業との合弁での進出はリスクが大きい。『急がば回れ』ということで、まず台湾で実績を付けてから大同業と一緒に中国に進出する。合弁会社を上場させて、その資金を中国進出に伴う設備投資などに充てる計画もある」という。
11月の自動車向けアルミ出荷
13.4万d・4%増、08年比14%増
2010年11月の自動車(二輪車を含む)向けアルミ製品出荷量は13万4,125d、前年同月比3.7%増となった。小幅ながら13ヵ月連続でのプラス。08年11月の11万8,026dに比べると13.6%増の水準にまで回復した。
内訳では圧延品が2万4,006d、0.3%増と微増にとどまり、乗用車向けは0.2%のマイナス。一方、ダイカストは7万5,097d(2.3%増)、鋳造品が3万2,423d(9.5%増)、鍛造品2,599d(9.6%増)と前年同月実績を上回った。
YKK AP無火気で安全な新技術
RC造サッシ施工で非溶接工法
YKK APはこのほど、鉄筋コンクリート構造建築物(RC造)のサッシ施工時に、溶接を用いずに無火気で躯体に固定する「非溶接工法」を開発した。従来の一般的な工法であるアーク溶接の問題点を全面的に改善した業界初の新工法。
サッシの固定には粘性のある高強度樹脂剤の硬化による接合方式を利用(特許出願中)。RC躯体に先打ちする打込みアンカーとサッシ枠側部品との間に粘性のある高強度樹脂剤を注入し、硬化によって固定する。常温の場合、5分程度で硬化するため施工性に優れている。また従来必要であった埋め込みアンカーや鉄筋材、電源が不要となるため、建築工事会社の負担を軽減。
電力の使用や溶接時に発生する有害物質もないほか、近隣建物への火花飛散の心配がなく、施工済み資材(ガラス・断熱材など)の燃焼被害を防止。感電の心配がないことから雨天時でも施工可能で、工程管理も容易に行える。
対応商品はアルミサッシ70見込 RC枠(一部商品を除く)。11年度に商品本体に取付工事費用を含め20億円の受注を目指す。
三協・立山HD上期連結営業益
32.1億円、前年同期比7.8%増
三協・立山ホールディングスの2011年5月期上期の連結決算は表の通り、前年同期比3.0%の増収、営業利益7.8%増、経常利益1.2%増となった。純利益は、減損損失3億7,200万円を含め9億7,700万円の特別損失計上で、減益となった。
今期から「建材事業」「マテリアル事業」「商業施設事業」の3つを報告セグメントとした。上期では、建材事業(前年同期はビル建材+住宅建材)は売上高970億3,100万円で、前年同期の972億900万円比減収となったが、改装・リフォーム、環境などの重点分野への経営資源の集中および構造改革の推進で営業利益は16億9,900万円となた。マテリアル事業は需要環境の改善に加え、高付加価値品の拡販により粗利益率を改善、売上高183億2,300万円、営業利益10億8,800万円に。商業施設事業は改装需要の取り込みを図るとともに、中国・上海での製造・調達および販売の強化やVEによる調達コストの削減により売上高133億2,200万円、営業利益6億100万円となった。
文化シヤッター、固定資産売却
特別利益27.3億円で最終黒字化
文化シヤッターは13日、固定資産を譲渡、譲渡益を2011年3月期決算で特別利益として計上すると発表した。経営資源の有効活用により財務体質を改善する。
売却するのは、現在賃貸物件となっている板橋区志村3丁目の土地(5,898.17u)と建物など(延床面積1万6,918.35u)。譲渡先はフロンティア不動産投資法人。帳簿価額16億3,000万円に対して譲渡価額は44億3,000万円で、経費を差し引いた譲渡益は27億3,000万円となる。
これに伴い、今期連結決算での純損益は当初発表の8億5,000万円の損失から18億8,000万円の利益に上方修正された。その他予想の売上高940億円(前期比0.7%増)、営業利益9億円(前期は31億4,100万円の損失)、経常利益12億円(同35億4,200万円の損失)は変らない。
12月末の軽圧品流通市況
3市場・6品目、変わらず
全国軽金属商協会・市場調査委員会(横山順司委員長)によると、2010年12月末の軽圧品流通市況は東京、大阪、中部の3地区とも全6品種が前月末比変らずであった。
2010年10〜12月期のNSP地金価格は230円/sと7〜9月期の260円比30円安となったが、2011年1〜3月期は10円アップの240円。
アルミ地金の海外相場は、他非鉄金属同様、強含みで推移している。ただ、為替の動向にも左右され、先行きは不透明としている。
「建デポプロ」がネット通販開始
トステムはこのほど、プロ向け建材マート「建デポプロ」のインターネット版である「建デポプロ・オンラインショップ」を本格オープンした。URLはhttp://www.kendepot-pro.com/shop/。
取扱商品は500カテゴリ、約2万点。すでに展開中の店舗「建デポプロ」と連動させることで、オンラインで発注した商品を近くの店舗で受け取ることが可能。購入金額の一定比率をポイントとして加算、次回の実店舗での購入時にも利用できる。さらに、売れ筋情報やプロユーザーに役立つ情報も掲載。さまざまなニーズに応える専用コールセンターも設置している。
10年カラーアルミ出荷、2.3万d
33%増、非建材2万d強・41%増
日本アルミニウム協会がまとめた2010暦年のカラーアルミ出荷統計によると、総出荷量は2万3,052d、前年比32.6%増となった。プラスとなるのは4年ぶり。
内訳では建設資材が3,028d、5.4%減と10年連続で前年実績を下回った。主力の壁向けが1,597d、7.0%増とプラスに転じたものの、屋根向けは横ばい、ドア向けは43.4%の大幅落ち込みとなった。
一方、非建設資材は2万24d、41.2%増に。2年ぶりのプラスだが、過去最高である06年の2万3,175dに比べ86.4%の水準。主力の電気・機械機器向けが1万1,016dが56.1%増と急回復、輸送機器向けも7,800d、24.9%増となった。
11月のアルミ建材出荷、13%増
サッシは住宅19%増、ビル10%増
2010年11月のアルミ建材生産・出荷統計によると、総生産量は2万7,586d、前年同月比14.3%増、総出荷量は3万2,798d、同13.3%増となった。出荷金額は465億7,600万円、12.0%増。dあたり平均出荷単価は142.0万円で、前年同月の143.6万円に比べ1.1%下落した。
このうちサッシは生産が14.5%増、出荷が14.8%増。出荷金額は299億4,400万円、11.6%増となった。
内訳では住宅用サッシは生産が18.0%増、出荷が18.5%増。出荷金額は165億100万円、14.8%増。平均単価は138.6万円で、1年前の143万円からは3.1%ダウンした。ビル用サッシも生産が10.7%増、出荷が10.0%増と2ケタのプラスを記録。出荷金額は134億4,400万円で、8.0%増。平均単価は160.6万円で、09年11月の163.6万円からは1.8%下落した。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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