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NO.2021(2011年2月7日号)

テクノアソシエ/アーバンマテリアルズ
鉄・アルミ合金の「アルフェ」
量産本格化、自動車にも初採用へ


テクノアソシエ(大阪市西区)は鉄・アルミ合金の新素材「アルフェ(ALFe)」の量産・本格販売を開始した。軽量性・耐熱性に加え、優れた電磁特性と制振性が特徴。第一弾としてスポーツ用品向け供給がスタート、ターゲットとする自動車への採用もほぼ決定した。


 新素材「アルフェ」はアーバンマテリアルズ(兵庫県西宮市、大神田佳平社長)が開発したもので、特許を保有している。1月19日〜21日、東京ビッグサイトで開催された「クルマの軽量化技術展」に出品された。
 鉄に7.5〜8.5%のアルミを加えた合金。その他の合金成分はC、Si、Mn、P、S、Cr、Niなどが全部で0.8〜0.9%と、レアメタルは含まない。Alを8%を含むことで比重は7.0と、鉄の7.85よりも約10%軽い。また、表面の酸化皮膜(Al2O3)により900℃までの耐熱性(耐高温腐食性)を持ち、特にサルファ(硫黄)を含む雰囲気に強い効果を発揮するという。
 アルミ個有の特性に加え、合金素材に特殊な加工や熱処理を施すことで結晶構造を変え、電磁特性や制振性も高める。
 電磁特性は最大透磁率(μm)で5,500と普通鋼(S10C)が持つ1,380の約4倍、電磁ステンレス(Fe-18Cr)の4,000に匹敵する。
 引張強度は熱処理により変化するが、500MPa以上が可能で、伸びも20%以上、硬さはHv200〜300と鋼板と匹敵。制振性も鉄と同等の剛性を持ち振動を吸収、特に微振動で効果を発揮するという。
 加工性にも優れ、板、箔、棒材など鍛造やプレス成形などの既存のラインで成形が可能。箔は30μmまで薄肉化することができる。前頁・写真は展示会で出品した棒(径12.3と8.0o)、板(0.35と2.4o厚)、箔(40μm厚)、線(径0.80o)の各成形サンプル品。
両社はこれまでサンプル出荷を進めながら、用途開拓を進めてきた。第1弾として3〜4月に、同素材によるゴルフヘッドを国内メーカーが発売する。また、自動車メーカーと共同開発を進めており、詳細は明らかにしていないものの、2016年モデルへの採用がほぼ決定している。
 現在、合金素材の製造は電炉メーカーに委託。棒材の他、協力会社により板材などでの供給も可能となっている。これまで2d炉で生産していたが、受注本格化に対応、このほど50d溶解炉での量産体制を整えた。


10年の圧延品出荷205.7万d
18%増、4年ぶりのプラスに

 2010暦年のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板・押出合計では生産が205万7,485d、前年比18.5%増、出荷が205万7,714d、18.0%増となった。ともにプラスは4年ぶり。2年ぶりに200万d台を回復したが、過去最高の97年実績(生産254万5,114d、出荷254万9,824d)に比べ19%減の水準にとどまった。
 板類は生産が20.5%増、出荷が19.1%増。ともに3年ぶりのプラスだが、過去最高である96年の生産140万2,885d、出荷141万2,048dに比べ9%減の水準になった。
 缶材は0.5%減。天候不順で春先は大幅なマイナスとなったが、夏場以降の猛暑による需要拡大で微減にとどまった。自動車向けは42.8%増で、エコカー補助金による販売増で3年ぶりのプラスに転じた。輸出は中国、東南アジア向けの好調で44.7%増と、3年ぶりの伸長。
 押出類は生産が15.4%増、出荷が16.4%増。ともに4年ぶりのプラスだが、過去最高の96年実績(生産125万122d、出荷が124万7,413d)比では38%減。主力の建材が水準が低いものの、6.4%増と4年ぶりプラスとなった。自動車も44.7%増と3年ぶりの増加。
 箔は生産が25.5%増、出荷が22.6%増。ともに4年ぶりのプラスで、過去最高の2000年実績(生産15万3,237d、出荷15万3,597d)を約20%下回った。
 コンデンサはデジタル家電向けを中心に堅調に推移して3年ぶりのプラス。暦年としては07年の4万4,054dに次ぐ史上2番目の水準となった。食料品も6.8%増と6年ぶりに前年実績を上回った。


12月単月出荷、板類4.7%増
押出類12%増、箔2.8%増

 12月単月のアルミ圧延品統計では、板類は生産が10万1,730d(前年同月比3.0%増)、出荷が9万8,952d(4.7%増)となった。プラスは板類が13ヵ月連続、出荷が14ヵ月連続。缶材が3万269d1.0%増と、僅かながら5ヵ月連続のプラス。自動車も1万1,340d、0.8%増と3ヵ月ぶりに前年同月を上回った。輸出も1万7,936d、7.8%増と引き続き好調。約6割を占める缶材のほか、自動車向けなどが伸びた。
 押出類は生産が6万8,381d(11.3%増)、出荷が6万8,786d(12.0%増)。ともに13ヵ月連続で前年同月を上回った。建設が4万3,212d(17.0%増)。新設住宅着工の回復を受け、2ヵ月連続の2桁プラスとなった。自動車も1万689d(4.5%増)。エコカー補助金は終了したが、緊急経済対策の一環として昨年12月に導入された、トラック・バス・タクシーを対象とした補助金制度に伴うトラック・バスの需要増もあり14ヵ月連続で前年同月実績を上回った。
 箔は生産が9,919d(4.6%増)、出荷が9,614d(2.8%増)。プラスは生産が2ヵ月連続、出荷が14ヵ月連続。コンデンサーは3,382d(13.8%増)で、3ヵ月連続で2桁プラスとなった。


暦年ダイカスト生産94.9万d、24.4%増

 経済産業省の金属製品統計によると、2010年12月のアルミダイカスト生産速報は7万8,021d、前年同月比3.0%増となった。プラスは2ヵ月連続。前月の8万2,928dからは5.9%減だが、08年12月の5万6,409d比では38.3%増と回復した。
 この結果、2010暦年の生産速報値は94万9,443d、前年比24.4%増と、3年ぶりのプラスとなった。ただ、過去最高の2007年の111万7,622dに比べると85.0%の水準にとどまっている。


10年アルミ二次合金出荷、22%増
3年ぶりプラス、07年比は26%減

 日本アルミニウム合金協会がまとめた2010暦年のアルミ二次地金・同合金地金需給統計によると、生産は前年比22.6%増の81万6,762d、出荷は21.6%増の82万4,345dとなった。ともにプラスは3年ぶり。ただ、過去最高である2007年(生産111万6,676d、出荷112万493d)と比べると生産は73.5%、出荷は73.6%の水準にとどまった。
12月単月出荷、0.04%減
 12月単月では生産が6万5,078d(前年同月比0.4%減)、出荷が6万6,299d(同0.04%減)となった。マイナスは生産が3ヵ月連続、出荷は微減ながら2ヵ月ぶり。ピークであった07年12月(生産9万3,909d、出荷9万2,319d)比では生産が69.3%、出荷が71.3%の水準にとどまっている。  部門別出荷は、▽鋳物1万8,712d(前年同月比10.1%増)▽ダイカスト3万6,514d(2.1%減)▽板5,167d(11.9%増)▽押出1,562d(33.9%減)▽鉄鋼2,243d(23.9%減)▽合金地金メーカー向け2,095d(0.8%増)▽輸出6d(70.0%減)。


日軽金が中間持株会社を設立
グループ押出・加工事業を統括

 日本軽金属(石山喬社長)は1月28日、子会社7社が実施する共同株式移転により、アルミ押出・同加工事業を統括する中間持株会社「日軽金加工開発ホールディングス梶vを3月1日付で設立すると発表した。資本金は1億円で、日軽金100%子会社。本社は東京都品川区に置く。社長には日軽金の井上厚常務執行役員が就任する。
 同社グループのアルミ押出・同加工事業は日軽金アクト、日軽形材、理研軽金属工業、日軽建材工業、エヌティーシー、日軽新潟、日軽蒲原の7社で運営。これまで競争力向上に向けた一段の体質強化を図るために、各社横断的な連携を進めてきた。中間持株会社を設置して事業を一括管理することで意思決定の迅速化と経営資源の効率的配分を行い、グループ全体の企業価値アップにつなげる。


日軽金の4〜12月期連結業績
営業利益196億円・前年比10倍

 日本軽金属の11年3月期第3四半期(4〜12月期)連結業績は、売上高が前年同期比0.4%減ながら営業利益が10.8倍など大幅増益となった。
 通期予想は表記の通り、11月発表の売上高405億円、営業利益210億円、経常利益145億円、当期利益70億円から上方修正となった。これに伴い、期末配当予想を修正、1株当たり2円配当を実施する。復配は08年3月期以来。


高反射性アルミ塗装材の廉価版
古河スカイ、従来比3割コスト減

 古河スカイはこのほど、高反射性アルミ塗装材の廉価版「ファスコートクリスタルA」を開発したと発表した。
 「ファスコート」はアルミ素材の表面に各種機能性塗膜を付与した材料。軽量で耐熱性・熱伝導性・リサイクル性が高いというアルミ本来の特性に、各種機能性塗膜を組み合わせることでさまざまなニーズに対応する。コイルの状態で塗装するため、加工後に一つ一つ塗装する製品に比べ品質が安定しており、低コスト化も可能。
 シリーズには放射性・反射性・成形性・耐光ディスクキズ付け性・導電性をはじめとする各種機能を向上させる多彩な製品がラインナップ。「ファスコートクリスタル」は光反射性微粒子の種類・粒径・添加量や塗膜の厚さを適正に制御することで高い反射性を有する製品となっている。
 「ファスコートクリスタルA」は耐紫外線性、塗膜密着性、プレス加工性、熱伝導性、放熱性はそのままに、従来品に比べ光反射率を5%抑えて約30%のコストダウンを達成した。
 液晶モニタ用サイドリフレクター、CCFL(冷陰極蛍光ランプ)用反射板、内照式サインパネル反射板などの用途展開を見込んでいる。


住団連が住宅着工予測
10年度82.5万戸11年度85.7万戸

 住宅大手で構成する住宅生産団体連合会(会長・樋口武男大和ハウス工業会長)は1月末、10年度の新設住宅着工数見込みと11年度の予測を発表した。このデータは会員会社14社へのヒアリング結果をまとめたもので、両年度とも80万戸台と最悪期の09年度水準77万5,300戸からは増加するものの、08年度の103万9,200戸には遠く及ばない。
 10年度の見込みは82万5,000戸で、09年度比6.4%の増加。内訳は持家31万1,000戸(09年度28万7,000戸比8.4%増)、分譲住宅19万8,000戸(同16万3,600戸比21.0%増)、賃貸住宅30万7,000戸(同31万1,500戸比1.4%減)、その他9,000戸(同1万3,200戸比31.8%減)。景気対策として実施する住宅エコポイント制度や住宅用太陽光発電システムなどへの補助金制度が側面から着工増に寄与しているという。
 11年度の予測は総着工数が85万7,000戸で、10年度見込み比3.9%増。内訳は持家32万2,000戸(10年度見込み比3.5%増)、分譲住宅20万6,000戸(同4.0%増)、賃貸住宅31万8,000戸(同3.6%増)、その他1万1,000戸(同22.2%増)。住宅エコポイント制度の継続と対象品目の増加(節水型便器、高断熱浴槽)、住宅ローン減税の継続などで底堅い推移を予測する。ただ08年度水準とはまだ17.5%の開きがあり、年間着工100万戸時代は夢のまた夢といってよい。


アルミ表面技術研究所が開発
高耐電圧COAコートアルミ電線

軽金属製品協会のグループ会社である潟Aルミ表面技術研究所はこのほど、耐電圧(絶縁耐力)が2〜4kVと高い複合皮膜技術「COA(コーティング・オーガニック・アノダイジング)コート」と、同技術を利用したアルミマグネットワイヤーを開発した。
 アルミのワイヤ−ハーネスは既に実用化されているが、モーターの巻き線として使われるマグネットワイヤーは、まだアルミ化が進んでいない。COAコートは電気自動車の普及に伴って電気絶縁性の高いアルミ表面処理が求められていることに対応して開発されたもの。絶縁耐力は3〜8kVと、アルマイト皮膜電線の0.45〜0.65kVに比べて高めることができる。
 自動車メーカが要求する高絶縁耐力を実現するため、今後電気自動車のアルミ部品、特にモーターやその周辺部品への利用が期待されている。


軽金属製品協会の島会長が所信
ミッション3テーマ実現に全力

 軽金属製品協会の島勲会長(三協立山アルミ副社長=写真)は1月26日、東京・赤坂の同協会で恒例の年頭会見を行い、要旨次のように述べた。 「当協会は昨年一般社団法人化したが、それを機に当協会のミッションを定めた。@安全・安心で質の高い国民生活への寄与、A需要家・消費者・行政などとのコミュニケーション、B業界発展の基盤整備─の3点である。このミッション実現のために全力を傾注する」
 「具体的には@Aマークの定着など協会の品質基準・規格を活用した信頼向上のための活動、A消費者・需要家・関係流通・外部専門家との情報交流の促進、Bアルミ製品と表面処理の新規需要・新技術開発に関わる取り組みの強化─などだ。特に会員企業や当協会と密接な関係にある潟Aルミ製品センター、潟Aルミ表面技術研究所などと連携した新規需要・新技術の開発、試作などを強化したい。またアルミ製品センターと協力してアルミ製品アンテナショップを開設、運営する」


リョービの第3四半期連結決算
営業利益65.4億円、90億円改善

 リョービの2011年3月期第3四半期連結決算は前年同期比34.3%の増収になるとともに、各損益とも大幅黒字転換した。ダイカスト事業はエコカー購入補助金制度の効果や、中国などの新興国や北米市場が好調に推移、日米自動車メーカー向けを中心に受注が増加した。
 ダイカストの受注量は国内や北米を中心に予想を上回って増加。通期業績は10年10月発表の売上高1,540億円、営業利益75億円、経常利益69億円、当期利益44億円から上方修正となった。


10暦年のアルミサッシ出荷速報
0.1%減、住宅7%増・ビル8%減

 2010暦年のアルミ建材生産・出荷統計(室内建具を除く)によると、生産は26万4,425d、前年比2.5%増、出荷は31万4,605d、同1.3%増となった。
 このうち、サッシは生産が17万1,491d(0.3%増)、出荷が21万100d(0.1%減)。住宅用は生産が8.4%増、出荷が6.6%増と回復したものの、ビル用は生産が7.9%減、出荷が8.4%減と前年実績割れに終わった。


10年アルミ建材輸入、9.1万d
14%増、タイ6.5万d・21%増

 財務省貿易統計によると、2010暦年のアルミ建材(品目番号7610.1000の戸・窓・窓枠と同7610.90-000の構造物及びその部分品)輸入量(12月は速報値)は9万1,731dで、09年の8万481dに比べ14.0%増、輸入金額は492億1,400万円で、前年実績481億9,500万円比2.1%増となった。
 国別では首位は引き続きタイ。タイからの輸入量(7,610.10と7,610.90の合計)は6万4,537dで、前年の5万3,148dに比べ21.4%増となった。2位の中国は合計で1万8,835d、前年の2万166dからは6.6%減。戸・窓・窓枠輸入量は1万235d、23.2%減となったものの、その他構造物は8,600d、25.5%増と大きく伸びた。


アルミ屑・地金・合金地金輸入
10暦年は281.7万d、39.9%増

 2010暦年のアルミ屑・地金の輸入通関実績によると、アルミ屑:8,919d・前年比111.9%増、アルミ合金屑:6万7,998d・31.0%増、アルミ地金:171万9,370d:28.7%増、アルミ合金地金:102万502d・64.1%増となった。
 屑・地金・合金地金の合計では281万6,789dで、前年の201万3,968dに比べ39.9%増となった。
 国別では、アルミ合金地金の中国からの輸入量が37万8,877d、前年比135.8%増と拡大。シェアも37.1%とロシアを抜いて首位に躍り出た。


根本 茂さんを偲ぶ集い

 昨年11月24日に逝去された故根本 茂さんを追悼する「根本 茂さんを偲ぶ集い」が2月14日午後6時〜8時、学士会館(東京都千代田区神田錦町3-28)で行われる。発起人代表は住友軽金属工業名誉相談役・元社長の佐藤史郎氏。会費は1万円。問合せ先は日本マグネシウム協会(小原 久)、電話03-3538-0230。


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