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NO.2036(2011年5月30日号)
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豊田通商子会社のTST
国内3拠点で年産能力9万d
技術支援の海外9拠点は35万d
豊田通商傘下のアルミ溶湯国内3社が統合した豊通スメルティングテクノロジーが事業を開始した。このほど、名古屋の豊田通商本社で及川和男社長にインタビューし、アルミ溶湯事業の現況と今後の運営方針などを聞いた。
既報の通り、豊通スメルティングテクノロジー(TST 、愛知県田原市緑が浜、及川和男社長=写真)が4月1日に設立された。新会社は豊田通商傘下のアルミ二次合金溶湯供給会社の九州スメルティングテクノロジー(福岡県京都郡苅田町)、T-ST(愛知県田原市)、北海道スメルティングテクノロジー(北海道苫小牧市)の国内3社を統合した。資本金は1億円で、出資比率は豊田通商99.8%、スズムラ0.2%。統合の狙いは「溶湯事業の全体最適化など経営判断をスピード感を持って行えるようにすること。人・技術の面や、材料調達などでこれまで不十分であったシナジー効果を発揮させていく」(及川社長)。
4〜5月の生産は震災前の5割弱の水準
生産能力は3社合わせて年間9万dで、内訳は▽九州事業所:5万d▽北海道事業所:1万d▽本社工場:3万d。このうち本社工場にはインゴット供給分1万d弱が含まれている。
直近の生産状況については「震災前は年間ベースで6万〜6.5dの生産実績があったが、震災後はかなり大きく落ち込んだ」「溶湯が中心のため在庫が持てず、需要家である自動車メーカーの生産が停止すれば当社の生産も直ちに止まってしまう。このため、他のアルミ二次合金メーカーに比べるとマイナス幅は大きい」(及川社長)。
「4月の生産量は震災前の水準に比べると50%弱、5月も同じぐらいか、若干下回る水準となりそうだ」。ただ、6月以降は「はっきりとした数字は予測できないものの、現在の環境下では増えていく状況にあることは間違いない」という。
海外拠点、国内に先行して回復
豊田通商グループでは海外4ヵ国・9拠点に子会社を設置。経営全体・事業運営は豊田通商の非鉄金属第一部が行う。新会社TST設立ととともに、豊田通商にいた技術スタッフが同社に移って「生産技術部」を新設した。これにより国内3拠点の生産技術に加え、溶湯事業における「マザーカンパニー」として海外の工場運営、技術支援を担当する。TSTの従業員は約100名だが、その他海外拠点に約10名が駐在している。
海外生産拠点の年産能力は約35万d。内訳は▽米国:15万d=第1MOST(ミズーリ州):8万d/第2MOST(テネシー州):4万d/KST(ケンタッキー州):3万d▽POLST(ポーランド):3万d▽IST(インドネシア):7万d▽中国:10万d=CAST(長春):1万d/GAST(広州):3万d/G-FAST(同):3万d/T-ST(天津):3万d。インドネシアを除いてインゴット供給も行っており、構成比は10〜15%。
「震災前には生産能力に対して80%程度の稼働率であったが、5月は震災前に比べると50%近い水準に落ち込みそう」。ただ、日本国内よりも回復が早く、6月頭からは、ほぼ震災前の水準に戻ってくるのではと観測してる。
国内は全体最適化を推進、海外は工場新設も
今後、国内では今のところ新たな工場を設ける予定はない。「国内のマーケットについてはそれほど強気で見られる状況ではなく、全体最適化・スピード経営で守りをしっかりと固めて生き残っていく」(及川社長)。
一方、「海外は目下、具体的な計画はないものの、需要家の既存工場の増強や、工場の新設などここ数年のうちにいくつかの案件が出てきそうな可能性もあり、積極的に対応して事業展開を図っていく」(同)。
4月の圧延品出荷、7.6%減
板類10.4%減、押出類2.4%減
4月のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板類は生産が10万4,058d(前年同月比8.5%減)、出荷が10万2,160d(10.4%減)となった。マイナスは生産が2ヵ月連続、出荷が4ヵ月連続。東日本大震災の影響を大きく受けた。
分野別出荷では自動車が8,386d・28.0%減の大幅落ち込み。缶材は3万7,454d・3.8%減と2ヵ月連続のマイナスとなった。輸出も国内向けを優先したため、1万4,220d・21.5%減と、3ヵ月連続で前年実績を下回った。
押出類は生産が6万2,110d(1.5%減)、出荷が6万1,645d(2.4%減)。ともに17ヵ月ぶりのマイナスとなった。自動車が7,556d、30.1%減と2ヵ月連続での落ち込み。一方、建設は3万8,381d、7.7%増に。水準は依然として低いものの、9ヵ月連続でプラスとなった。
板類と押出類の合計では生産が16万6,168d(6.0%減)、出荷が16万3,805d(7.6%減)。ともに2ヵ月連続でのマイナスとなった。
箔出荷は8.3%減
箔は生産が1万235d(2.9%減)、出荷が9,713d(8.3%減)となった。ともにマイナスは2ヵ月連続。コンデンサー向けは3,248d、16.5%減と、震災の影響によるコンデンサー生産の落ち込みにより2ヵ月連続のマイナス。一方、食料品は2,850d、1.9%増と2ヵ月ぶりのプラス。震災の復興支援に伴うインスタントやレトルト食品の需要増が寄与した。
10年度アルミ総需要391.4万d
9.6%増、輸送向け10.9%増
日本アルミニウム協会がまとめた10年度のアルミ製品総需要は391万4,784d、前年度比9.6%増となった。プラスは4年ぶり。内需が367万1,263d、9.8%増、輸出も24万3,521d、7.6%増と好調に推移した。ただ400万d割れは3年連続。過去最高であった06年度の445万6,743dに比べると88%の水準にとどまった。
製品別では電線と地金輸出を除いて前年度実績を上回った。需要別では食料品、電力、化学向けがマイナスとなったものの、主力の輸送向けは10.9%の2ケタ増に。建設向けも6.2%増とプラスを確保した。
10年度アルミサッシ出荷、9.8%増
住宅用8.6%増、ビル用11.6%増
経済産業省の建材統計月報に基づいて日本サッシ協会がまとめた2010年度のアルミ建材生産・出荷実績(確報、室内建具を除く)は表の通りとなった。
アルミサッシは生産が17万7,562d・5.1%増、出荷が21万7,307d・9.8%増。内訳では住宅用は生産が10.6%増、出荷が8.6%増、ビル用は生産が0.8%減、出荷が11.6%増となった。
3月単月のサッシ出荷、1.6%減
3月単月のアルミサッシ生産量は1万4,531d(前年同月比2.4%減)、出荷量は1万7,503d(1.6%減)となった。内訳では住宅用の生産が7,494d(2.1%減)、出荷が9,954d(0.3%減)、ビル用の生産が7,037d(1.7%減)、出荷が7,549d(3.2%減)。
合金協会鈴木良彦新会長が所信
「課題多いが、活発な議論で克服」
日本アルミニウム合金協会は5月18日、第37回通常総会を開催し、新会長に鈴木良彦サミット昭和アルミ社長を選任した。総会後の懇親会で鈴木会長はあいさつに立ち、要旨、次のように述べた。
「私はアルミ二次合金業界に来てまだ2年ぐらいで経験が少ない。リーマンショック後の大荒れの時機を乗り越えてようやく少し良くなってきたかなと思っていたら東日本大震災が起こった。幸いなことには人的被害はなく、生産面でも大きなダメージを受けなかったが、受注は大幅に減少、市況もここ数日急落している。環境は厳しく、先行きは不透明な状況だが、皆がいろいろ活発に議論しあいながら業界全体を盛り上げていきたいと思う」
「協会の事業活動は昨年度同様、3本の柱を中心に行っていく。第一にアルミ合金に関する各種統計・調査事業、第二が欧州規制やダイオキシンなど環境管理に対する技術研究、第三が各種政策情報の普及・啓発事業である。さらに、震災の影響による電力カットや放射線によるスクラップ汚染問題など、これまで我々が経験したことのない課題に直面しており、こうした試練を克服すべく取り組んでいきたい。また、今年度中に一般社団法人への移行を予定しており、申請などの手続きを着実に進めていくつもりである」
「我々の業界はアルミのリサイクルの重要な歯車であり、省エネ・循環型社会の実現に大きく貢献している事業の一つである。課題の多い年度であるが、社会の信頼を勝ち取るように、頑張っていきたい」
東大生技研とLIXILが共同で
スマートハウスの実証実験開始
東京大学生産技術研究所とLIXIL、LIXIL住宅研究所アイフルホームカンパニーは5月20日、持続的社会実現のために、実験住宅(通称「COMMAハウス(コマハウス)」を東京大学駒場Uキャンパス内に建設すると発表した。住宅における快適性の実現と省エネルギー技術、創エネルギー技術、分散エネルギーマネジメント技術の有効性について、共同で実証実験を行う。
「COMMA」はComfort Management Houseの略。
今回の実験住宅「COMMAハウス」は、2020年のスマートハウスを想定し、気密・断熱・耐震性能に優れた構造体に、風・光・熱をコントロールする開口部商品を組み合わせもたもの。太陽光発電・太陽熱利用機器・省電力照明(LED・有機EL)や、センサーやITにより住宅のエネルギー管理を行うHOME(ホーム・エナジー・マネジメント・システム)を備えている。
実験住宅は断熱性能を変えることができるため、様々な条件のもとで住宅としての快適性や各種省エネ設備の最適運転特性、建築的な手法による省エネ効果などを測定。住宅における分散エネルギーマネジメントの実証試験を進める。実験期間は2011年8月〜2016年3月。同実証実験を通じ、2020年のスマートハウスに向けた提案・商材の提供を目指す。
住軽金が増資で127.7億円調達
米缶材会社買収に124億円充当
住友軽金属工業は19日、公募増資と第三者割当で最大127億6,700万円の資金調達をすると発表した。同社は4月4日、古河スカイ、住友商事、伊藤忠商事、伊藤忠メタルズと共同でBPカンパニー・ノースアメリカの100%子会社であるアルミ板圧延品製造販売会社「アーコ・アルミニウム」の全株式取得で合意済み。今回の調達資金は同買収資金に充当する。
公募による新株式発行(一般公募)は普通株式1億3,000万株で、主幹事はSMBC日興証券。払込金額(発行価格)は5月31日から6月3日のいずれかの日に決定する。申込期間は6月6日〜7日、払込期日は6月7日〜8日。需要状況を勘案して1,950万株を上限にオーバーアロットメントによる売出しも実施する。
また第三者割当はSMBC日興証券を割当先に1億9,500万株の普通株式を発行する。申込期日は7月5日〜11日、払込期日は7月6日〜12日のいずれかの日。
今回の公募増資及び第三者割当による手取概算額の上限は127億6,700万円で、そのうち124億2,000万円を持株会社への40%出資分に充当する。
株式の取得金額は6億8,000万j。そのうち半分はアーコの将来的なキャッシュフローを担保に融資する「LBOローン(ノンリースローン)」により調達、残りを5社がそれぞれ出資比率に応じて負担する。
コロナ工業
企業再生支援機構が支援決定
伊藤忠プラも49%出資、営業支援
企業再生支援機構は20日、コロナ工業(東京都港区、山口裕社長、資本金1億円)に対する支援を決定したと発表した。主要金融機関の商工組合中央金庫と事業スポンサーである伊藤忠プラスチック(CIPS)の連名により再生支援が申し込まれていた。
今後8月初旬をメドに、吸収分割方式により新生コロナ工業を設立したうえで、支援機構およびCIPSからの出資や信用補完、経営人材の派遣などの支援を受け、事業の抜本的改善を図る。支援機構は新会社に51%出資するととともに、経営人材の派遣、債権買取りを行う。CIPSは49%出資するとともに営業人材の派遣や営業・販売支援を行う。
コロナ工業は1957年設立。アルマイト処理のほか、エッチングを始めとする各種表面処理とプレス、板金、機械切削及び印刷、塗装など多種類の製造工程を組み合わせることで高品質のアルミ製装飾製品を提供。自動車の内外装飾品、携帯電話・デジタルカメラ部品、インテリア・家具部材などを受注し、09年3月期の売上高は約52億円に達していた。しかし、大手メーカーの海外への生産シフトの動きが加速したのに伴い、09年には埼玉工場の操業を停止。
さらに08年〜09年にかけて横浜事業所において特定ユーザーからのデジタルカメラ部品などの受注量が急増、工場増設やベトナム新工場の建設に着手するなど大規模な設備投資を実施した。しかし、リーマンショックの影響により経営環境が厳しくなる中で、同ユーザー向けのデジタルカメラ部品製造で不良品が大量に発生。売上高の約50%を依存していた同ユーザーからの受注を失うことになり、業績は10年3月期に売上高27億600万円、経常損失5億4,300万円、当期純損失10億700万円と一気に悪化。過大となった設備投資によって増加した有利子負債45億7,465万円に伴う負担も重く、元利金の約定弁済も困難となったため、支援機構の支援の下、事業再建に取り組むことにしたもの。
支援機構によれば、「コロナ工業はアルミ表面処理加工で成形から染色加工まで一貫して行うことができる国内有数の企業で、世界的にも高い技術力を有する企業として認知度・ブランドを持つ。とくに、表面処理加工技術を応用したアルミと樹脂を直接接合(一体成形)する新技術『アルプラス』の特許を持ち、高強度、高精度、使用材料の低減など今後、成長が見込まれるスマートフォン、タブレット端末や自動車部材、医療機器等への応用も期待されている」など、「有用な経営資源を有する事業者である」と判断、再生支援を決めた。
事業再生計画では支援機構は8億9,250万円を出資する一方、経営人材を派遣。金融機関に対しては借入総額のうち約23億円の債権放棄を依頼する。さらに、商工中金が3億円を上限に実施する融資のうち、1億5,000万円を上限とする債務保証を行う。
CIPSは既存融資の株式化(DES)を含め8億5,700万円を出資、営業統括の常勤取締役を含め2名の役員を派遣するほか、営業支援・経営管理支援として2名の人員を派遣する。
また、CIPS内に専門部署「コロナ室」を設置、20名の人員を配置してアルプラス製品の拡販を目指す。また、CIPSの海外拠点に加え、伊藤忠商事の海外拠点網を活用、海外(特に中国・東南アジア)に進出した韓国・台湾・欧米系の家電、精密機器、自動車メーカーなどのへの販売活動を行う。
10年度のアルミダイカスト生産
92.6万d・9%増、07年度比82%
2010年度のアルミダイカスト生産実績は92万5,508d、前年度比9.3%増となった。
プラスは3年ぶり。ただ過去最高であった07年度の113万4,863dに比べると81.6%の水準にとどまった。
3月単月では26.9%減
3月単月では6万2,285d、前年同月比26.9%%減と、3ヵ月連続でマイナスを記録。とくに自動車向けは5万2,442d、29.0%減で、東日本大震災の影響を受けて大きく落ち込んだ。
川本隆一サッシ協会会長が所信
「省エネ窓で新ビジネスモデル」
日本サッシ協会とカーテンウォール・防火開口部協会は23日、明治記念館で通常総会を開催した。役員人事ではサッシ協会の新理事長には川本隆一氏LIXIL取締役副社長執行役員金属・建材カンパニー社長(写真)が就任、カ防協会長は杉本正和LIXIL副社長執行役員が留任した。川本新理事長は合同懇親会の冒頭、あいさつに立ち、要旨、次の通り述べた。
「2010年度の新設住宅着工数は81万9,000戸、前年度比5.6%増と穏やかな回復基調にあったが、東日本大震災の影響で今年度は下方修正の動きが見られ、当面は大変厳しい状況が続こう」
「しかし我々の業界は住宅版エコポイント制度などの政策的な後押しに加え、さらに震災後のエネルギー危機を契機として、政府と経済団体が連携して国を挙げた節電・省エネ運動を展開している。このため、ストック住宅など窓の断熱窓化率を高めて、CO2低減・電力危機対策に取り組んでいく必要がある。4月からは『窓等の断熱性能表示制度改正法』が施行され、生活者自身が断熱性能の高い窓を選択できるようになった。環境に対する世界的な関心の高まりは我々住宅産業にとっては成長の好機と考えており、省エネ窓の普及促進を展開していく」
「今年度も住宅を取り巻く市場環境はこれまでになく、非常に厳しい。今こそ業界全体が同じ目標に向かって一枚岩となって力を発揮。難局を乗り越えていくことで、業界の発展につながる新たなビジネスモデルを作り上げていきたい」
甲斐ダイカスト協会会長が所信
「国難に前向きに立ち向かう」
日本ダイカスト協会(会長=甲斐宏エーケーダイカスト工業所社長、写真・上)は19日、名古屋マリオットアソシアホテルで通常総会を開催、懇親会と併せて約85名が参加した。
総会の冒頭、甲斐会長があいさつに立ち、要旨、次の通り述べた。
「昨年来、我々の業界が大きく変わろうとしている。一つは、3月初めに『ダイカスト産業ビジョン(追補版)』を策定した。08年秋のリーマンショック後の経営環境に対応するために、今後の『強化4項目』の抽出と『地球環境環境問題への対応』を新たに追加したもので、今後このビジョンに基づいた協会事業を推進する。さらに、一般社団法人への移行も進める考えで、来年4月には実現しよう」
「東日本大震災により当協会の会員の中では13社が大きな被害を受けた。また、我々がお世話になっている自動車業界は大きな痛手を受けており、大変なご苦労をされていると思う。しかし皆さんと協力、この国難に前向きに立ち向かっていく決意である」
なお、総会では一部役員の改選を行い、新専務理事に江口信彦氏(写真・下)が就任した。江口氏は1972年通産省入省、06年7月経済産業省産業技術環境局産業基盤標準化推進室長、08年6月経済産業省退職、日本規格協会を経て11年4月日本ダイカスト協会顧問となった。さらに、常任理事に須田祥治フルチュウ社長と小谷田雅行三井金属鉱業執行役員ダイカスト事業部長が選任された。
4論文に小野田賞
平成22年度の小野田賞は以下の論文が受賞、神尾彰彦選考委員長による経過報告の後、表彰状を授与された。▽ダイカスト金型へのディンプル加工による鋳造不良削減プロセス(新東工業・堀部喜学)▽高性能水性原液ミスト型離型剤の開発(日華化学・末吉政智)▽低メタル圧ダイカストの検討(宇部興産機械・佐々木寛人)▽破断凝固片の挙動推測と対策(東芝機械・林勇人)。
アーレスティのダイカスト売上高
12年度1千億円強、海外比率4割に
アーレスティは2013年3月期にダイカスト事業の売上高を1,000億円強、海外比率を約40%に引き上げる。さらに15年3月期には国内外率をほぼ半々とする。成長が著しい中国、インド、メキシコの新興国需要を取り込む方針。23日、東京・丸の内で開催されたアナリスト向け決算説明会で高橋新社長(写真)が明らかにした。
11年3月期のダイカスト事業売上高は933億円(前期比30%増)で、内訳は海外が277億円(71%増)、国内が656億円(18%増)で、海外売上比率は前年度の23%から30%に上昇。営業利益は36.8億円(6.1倍)で、「国内と海外の利益がほぼ肩を並べ、収益力は海外拠点の方が高い」。中国は売上高が116億円と前期比2倍強に拡大、利益も順調に増加した。
11年3月期には震災影響で18億1,600万円の売上減、6億4,500万円の営業減益となったが、「影響は一時的。その後はこれまでと同様、国内需要は漸減する一方、積極的な投資を行っている海外の売上高は拡大を続ける」(高橋社長)。
13年3月期はダイカスト事業売上高は1,000億円強を予想。国内売上比率高は約6割、海外売上比率高は約4割になると予想。加工を除いた製品重量では半分強が海外で占める見込み。これにアルミニウム事業と建材の完成品事業を加えた総売上高は1,100億円になると予測している。さらに、15年3月期には国内、海外の比率がほぼ半々になるとした。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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