このサイトは、本誌の定期購読契約者のみが利用できるメンバー専用ページです。
 |
NO.2037(2011年6月6日号)
|
SUSの石田保夫社長が所信
アルミに魅せられて創業20周年
12年には画期的なアルミ住宅
アルミ製FA装置国内最大手のSUS(石田保夫社長=写真)は今年、創業 20 周年を迎えた。かつてアルミ業界人が何度もチャレンジしても夢を果たせなかったアルミ住宅にも新発想の切り口から果敢に挑戦し、来年には画期的な新型住宅を世に問う。以下、石田社長談。
11年2月期売上116億円
経常利益率7.1%
─会社概要を伺います。最新の会社案内では、 資本金は3.9234億円で、社員は石田社長以下482名となっています。
石田 変わりはありませんが、それはSUS単独であって、別会社になっているタイほか海外拠点には800名以上が働いています。
─年商規模を見ると年々売上高を伸ばし、08年度には117.78 億円まで急増しています。そして09年度は 75.60 億円に激減しています。
石田 リーマンショックの影響です。
─11年2月期の業績は?
石田 SUSの単独の売上高は116.66億円で、ほぼリーマンショック前に戻りました。連結売上高は 126.95 億円で、過去最高になりました。
─売上高の内訳を伺います。
石田 中心事業のFA装置が90%以上を占めています。 内外別では国内 70%、海外30%です。
─収益は?
石田 売上高経常利益率は 7.1%でした。不良資産処分など特損を計上したので、利益率は例年より低くなりました。
7月にはベトナムに進出
─海外展開も積極的ですね。いま何カ国に?
石田 生産拠点は目下タイのみですが、営業拠点としてはタイのほか、シンガポール、 台湾、中国、マレーシアに現地法人を立ち上げています。また、韓国とインドには販売のための代理店を設けています。
─これからの海外計画は?
石田 今年7月にはベトナム・ハノイ郊外にある工業団地内にSUSの営業所を開設します。
─SUSの各事業は常にアルミ素材の新たな展開が基本になっています。会社案内の冒頭にも 「アルミを進化させる SUS」とあります。石田さんの目から見たアルミの魅力をもう一度お聞かせください。
石田 SUSの基幹事業であるFA装置はアルミ素材と自動化技術をベースに、製造現場の構成要素を標準化することで、より高性能な製造設備を短納期かつ安価に提供することで成り立っています。その基本的なスタンスはecoms事業でも変わりません。即ち、軽量で錆びることなく、しかも安全でリサイクルが可能というアルミの金属としての特性と、アルミ押出という製法の自由度の高さが他の金属にはない特徴であり、そのアルミ素材の持つ無限の可能性が大きな魅力です。
アルミは長寿命住宅に最適素材
─SUSはecoms事業展開としてアルミ住宅にも取り組んでいます。この事業はアルミ業界の先人たちが何度も挑戦しては失敗し、未だに実現していません。
石田 確かに困難なテーマへの挑戦ですが、 当時とは住宅へのニーズが変化しており、アルミハウスの出番が到来しつつあると肌で感じています。即ち、いま官民一体となって推進している長期優良住宅、100年住宅、200年住宅は経年劣化の見られる鉄骨や木材では難しく、新素材が求められています。その点、アルミは特に優れています。そのプロファイルの性能は高く、デザイン性も優れていると感じています。 同時に地球環境保全に寄与する循環型社会の構築が求められていますが、 完全リサイクルが可能なアルミは住宅の最適素材と位置付けてよいと思います。私どもはアルミハウスには未来があると強く確信しており、 そのトップランナーになるべく懸命に努力しています。
─具体的な目標は?
石田 とはいえアルミ材料に問題がないわけではありません。例えば熱伝導の問題。現在、 これらの課題を1つずつ地道に解決しており、 来年には画期的なアルミハウスを皆さんに披露できる計画です。 (「アルトピア」7月号で詳報)
4月のAlダイカスト生産速報、35%減
経済産業省の金属製品統計速報値によると、4月のアルミダイカスト生産量は5万1,248d・前年同月比35.4%減に。マイナスは4ヵ月連続。震災の影響で減少幅は3月の26.9%から拡大した。
4月の2次地金出荷、4.75万d
震災影響で34.3%の大幅落込み
日本アルミニウム合金協会が発表した4月のアルミ二次地金・同合金地金需給統計によると、生産は4万7,950d、前年同月比34.0%減、出荷は4万7,458d、34.3%減となった。
マイナスは2ヵ月連続だが、東日本大震災の影響をまともに受け、3月(生産11.7%減、出荷13.9%減)に比べ、下げ幅は大きく拡大。前月比では生産が26.6%減、出荷が26.9%減となった。
アルミ協会の吉原新会長が所信
「供給体制をしっかりと整備」
日本アルミニウム協会は5月25日、都内のホテルで第31回通常総会と理事会を開催、新会長に吉原正照古河スカイ社長、副会長に白石俊一昭和電工常務執行役員アルミニウム事業部門長と今須聖雄東洋アルミニウム社長を選任した。
吉原新会長は総会終了後に開催された懇親会の冒頭であいさつに立ち、要旨、次のように述べた。
「今年はリーマンショックの後遺症も癒えて、景気も回復軌道に乗るのではと期待していたが、東日本大震災により困難な状況に直面している。現時点ではアルミの需要がこの先どうなるのか、極めて不透明で、8月、9月頃までの需要動向を見た上で平成23年度の見通しを発表したい。ただ、足元では自動車業界が急回復を示すなど明るい局面も出てきている」
「こうした時には長い目で見ることも必要。震災の影響は甚大だが、アルミという素材の有用性は震災によっても決して揺らぐものではなく、むしろ復興に役立つ素材として供給体制をしっかり整備することが必要である」
「この先一年、石山前会長の路線を引き継ぎながらアルミの需要を1dでも増やすべく努めるとともに、会員各位にお役に立てる協会活動を推進していきたい」
「そのためには、協会の事業計画に沿って、人材育成や『ロードマップ』の実現、広報活動の充実・強化といった協会の中心的な事業を着実に実行していくことが肝要。加えて、労働安全、環境対策、統計、規格提案、国際連携などの基盤事業の充実・強化を図っていきたい」
YKK前期建材、営業益39億円
97億円改善、構造改革効果寄与
YKKの2011年3月期連結決算は、会計期間の変更(10年3月期は国内12ヵ月、海外15ヵ月の合算)により売上高は5,448億円、2.1%減となった。しかし収益構造の改善に向けた諸施策の効果により営業利益は324億円・74.9%増、経常利益309億円・86.9%増となった。最終損益は東日本大震災関連の特別損失として20億円、防火設備の大臣認定不適合に関する問題の特別損失として39億円をそれぞれ計上した。
セグメント別では、建材事業の売上高(セグメント間の内部取引を含む)は3,084.06億円、2.1%増、営業利益は前期比97.13億円増の39.91億円。10年度の国内新設住宅着工数が81.9万戸・6%増となるなど事業環境が回復に転じたことが寄与した。収益面では海外で安定的に利益を確保できる体制が整い、全社黒字化を達成。国内では販売ボリュームの増加による固定費の回収や生産性向上が寄与した。
さらに、中期事業方針「第2次国内建材事業構造改革」において掲げたエリア別供給体制の構築を図った「製造供給拠点の再編」や、「営業業務の構造改革」、「ロジスティクス改革」などの取り組みを前倒ししたことによる製造コストや販売管理費の削減効果が増益要因となった。
また、国内建材事業の業績(国内建材グループ内取引を消去した国内連結ベース)は売上高が2,764億円(前期比4.3%増)、営業利益25億円(前期比95億円の改善)、経常利益22億円(同85億円の改善)となった。
なお、今年度予想については現時点では合理的な見通しの算定が不可能として公表を見送った。
リョービ、タイにAl部品営業拠点
13年度売上10億円、将来自社工場
リョービは5月に、タイのバンコクにアルミダイカスト部品の仕入れ・販売を行う営業子会社を設立した。現地ダイカストメーカーに技術を供与、製品を日系自動車メーカーに供給する。
新会社は「リョービ・ダイキャスティング・タイ(RDT)」。資本金は1,850万バーツ(約5,000万円)でリョービの全額出資。伊藤邦侑リョービ執行役員ダイカスト営業統括担当部長が社長に就任した。10月から営業を開始する。
ASEAN諸国のダイカスト市場を開拓、2014年3月期に約10億円の売上高を見込む。将来は自前の工場建設も検討する。
リョービの11年3月期連結営業益
92.1億円改善、今期は減益予想
リョービの2011年3月期連結決算は次頁・表の通り、前期比28.4%の増収、営業損益は92億1,000万円の改善となった。
ダイカスト事業は前年度比37.2%の増収、営業利益は72億9,100万円で、81億600万円の大幅な改善となった。国内のエコカー補助金制度の効果や、中国などの新興国や北米の自動車市場が堅調に推移したことで、日米自動車メーカー向けに受注量が増加した。
今期は0.5%の減収、営業利益、経常利益はそれぞれ37.2%、40.9%の減益を見込む。ダイカスト事業は1.6%の減収、営業利益は減益の予想。堅調な中国や北米市場からの受注量は増加するものの、国内自動車メーカー向けは震災による減産の影響で受注量は減少を予想している。
九州三井ア、営業益7.25億円
3.7倍、半導体装置関連が好調
九州三井アルミニウム工業の2011年3月期業績は、売上高138.10億円(前期比65.6%増)、経常利益6.79億円(3.7倍)、当期純利益2.99億円(7.9倍)と大幅増収増益になった。
部門別では素材事業が110.63億円・65.8%増。主力の高純度アルミが電子部品向け需要の増加で数量・金額とも前期を大きく上回った。ビレット・スラブも受注が増加した。半導体機器事業も27.47憶円・64.8%増と大幅に伸張。上期を中心にデジタル家電、携帯電話向け需要が増加した。
収益面ではとくに半導体装置関連の高付加価値製品が大きく伸びたことが寄与した。
今期は売上高110億円(11年3月期比20.3%減)、経常利益4.1億円(39.6%減)、当期純利益2.4憶円(19.7%減)を見込む。東日本大震災による影響が懸念される中で、夏場の電力抑制策やエネルギーコスト上昇や、需要動向の不透明感も踏まえ、素材、半導体機器事業ともに減収減益を想定した。
三和HDの3月期営業益、45.6億円
19%減、三和シの営業停止響く
三和ホールディングスの11年3月期連結決算は前期比2.3%の増収となったものの、営業利益、経常利益はそれぞれ18.9%、16.5%の減益となった。当期純損益は公取委への課徴金支払い28.2億円や災害損失3億円を特別損失に計上したことで24億円の損失となった。
国内は三和シヤッターの営業停止による11億円の減益が大きく影響。米国(ODC)はウェインダルトン統合シナジーが寄与して大幅増益となった。一方、欧州(ノボフェルム)はコスト削減を進めたものの、非住宅用ドアの回復が遅れ、減益に。
三和グループの営業利益は56億円から46億円へ10億円の減益。増減要因別ではコストダウン63億円の一方、原材料価格1.5億円、数量影響37億円、販売価格19億円、のれん15億円、その他0.5億円の計73億円のマイナス要因が響いた。
今期は5.5%増収。営業利益は119.2%・54億円の増益予想。マイナス要因として原材料価格24億円、その他22億円があるが、コストダウン46億円、数量影響29億円、販売価格10億円、のれん15億円の計100億円の増益要因で吸収する。
文化シの連結営業益、7.75億円
3期ぶり黒字、コスト削減39億円
文化シヤッターの2011年3月期連結決算は前期比4.2%の増収になるとともに、販売費及び一般管理費などの企業コスト削減の結果、営業利益は39億1,600万円改善。経常利益も持分法による投資利益を営業外収益として計上したことで46億7,000万円の増益となった。当期純利益も116億1,100万円増加。公取委への課徴金納付20億2,500万円を特損として計上した一方で、固定資産売却益27億4,400万円、名古屋工場の生産移管に伴う移転補償金16億2,000万円を特別利益として計上したことが寄与した。
営業損益39億1,600万円改善の要因別内訳は、マイナス要因が販価値下がり8億5,000万円、材料価格値上がり7,200万円の計9億2,200万円。一方、プラス要因としてコスト削減39億3,500万円、サービス事業5億2,900万円、販売数量増1億6,200万円、不二サッシとのシナジー効果1億800万円、リフォーム事業1億400万円の計48億3,800万円が寄与した。
なお、11年3月期における不二サッシとのシナジー効果は売上高32億8,700万円(10年3月期14億4,400万円)、営業利益2億5,300万円(1億4,500万円)。今期は30%増を目標とする。
文化シヤッターが「エコセーフ」発売
文化シヤッターは26日、防火シャッター用の障害物感知システムとして、機械式危害防止装置「エコセーフ」を新発売した。自動降下中の防火シャッターの制御をこれまでの電気制御式から、同社独自の機械制御式にしたことで、電源供給や非常用バッテリーの搭載を不要にした。
電源供給が不要のため、従来タイプのような待機電力の消費もなく、省電力・省エネルギーを実現。また、電源供給のための配管配線工事も必要なく、バッテリーの交換も行わずに済むため、メンテナンス性も向上、管理費の低減につながる。
軽圧品流通市況、東京5品種10円高
全国軽金属商協会・市場調査委員会(横山順司委員長)が発表した4月末の軽圧品流品市況調査によると、東京地区は63S形材を除いた5品種、大阪・中部地区は全品種が10円高となった。
軽圧品市況が上昇したのは4〜6月のNSP地金価格が250円で、1〜3月比10円高となっていることの反映。
三協立山アルミとオリックス提携
リースでマンション共用部分改修
三協立山アルミはこのほどオリックスと提携し、マンションの管理組合向けに、マンション共用部分であるサッシ、ドア、手すりなどの改修設備をリース方式で提供する事業を開始した。
分譲マンションなど集合住宅では管理組合が共用部分など長期修繕計画を策定し、住民から修繕費を積み立てている。しかし、築30年を超えるマンションの管理組合の約3割は修繕積立金が不足。また、サッシや玄関ドア、手すりなどの交換は、外壁塗装や屋上の防水処理などの修繕工事に比べて対応が後回しがちになり、修繕費不足から改修工事を見合わせるケースが多い。このため、リース機能を活用、設備改修時費用負担を軽減するプランを管理組合向けに提案する。
三協立山アルミは長期修繕計画策定と必要な設備の提案を行う。オリックスは金額が500万〜1億円、期間が36ヵ月〜120ヵ月以内でリース契約を締結。リース契約終了後には設備の所有権は無償で管理組合に移転される。
日軽金グループ、海外展開加速
12年度売上比率、30%に上方修正
日本軽金属は2012年度におけるグループ海外売上高比率を30%に引き上げる。昨年5月に策定した2010〜12年度の「グループ新中期経営計画」では海外売上高比率を09年度の16%(新日軽を除く)から12年度には20%とする目標を掲げていた。しかし中国、東南アジアを中心とする事業展開が加速、10年度実績で19%に達したことから、最終年度目標を30%に上方修正した。
日軽金グループ各社が10〜11年で増強を実施または決定した拠点、及び現中計で展開した拠点(決定を含む)は下図の通り。今後、現在の中計で展開を検討している案件は▽日本フルハーフの中国におけるトレーラー生産▽日軽金アクトの中国及びタイにおける形材加工▽東洋アルミの中国・韶関における箔合弁─などがある。
住軽金関係会社の役員異動
【住軽エンジニアリング】(6月29日)社長(顧問)梅田典孝▽退任、日本アルミ顧問就任(社長)吉田務【住軽商事】(24日)退任、顧問就任(専務取締役)西岡稔▽専務取締役(常務取締役)前川明▽取締役、大阪第一営業部長高橋泰生▽退任、顧問就任(常任監査役)檜垣忍▽常任監査役(取締役・泉メタル社長)松尾安弘【泉メタル】(27日)社長(常務取締役)田中正俊▽常務取締役(取締役)秋泉節夫【アルミセンター】(23日)社長・住軽商事専務取締役(取締役・住軽商事常務取締役)前川明▽退任、顧問就任(社長)中村浩毅▽取締役(顧問)佐藤裕次▽退任、顧問就任(取締役)今井幸一
4月アルミサッシ出荷、2.5%減
4月のアルミ建材生産・出荷速報によると、サッシは生産が前年同月比1.1%減、出荷が2.5%減となった。
内訳では住宅用の生産0.1%減、出荷が4.9%減、ビル用の生産が2.3%減、出荷が1.5%増。
日軽金関係会社の役員異動
【日本フルハーフ】(6月24日)社長(日本軽金属常務執行役員)上野晃嗣、29日付で日軽金取締役▽取締役(管理部長)▽取締役(管理部長)橋本誠▽同(品質保証部長)加藤裕二▽顧問(社長)比企能信▽同(取締役)石崎正季【日軽産業】(28日)取締役(日本軽金属資材・物流部管理・設備グループリーダー)竹村英昭【日軽パネルシステム】(21日)社長(日軽形材社長)冨浪義文▽顧問(社長)室伏好郎【日軽エムシーアルミ】(28日)常務取締役(執行役員)油谷大作▽同(執行役員)鈴木茂【日軽物流】(23日)社長(取締役)高木美彰▽顧問(社長)樋田久樹▽退任(専務)橋本正仁▽退任、日軽ニュービジネス社長に就任(常務)山下享【日軽金アクト】(23日)常務(取締役)安達章【日軽形材】(23日)社長(常務取締役)水河弘海▽取締役、原田和夫▽退任(社長)冨浪義文【理研軽金属工業】(23日)常務取締役(取締役)前田富夫▽取締役(営業部長)望月哲也▽同(管理部長)中山裕文▽退任、顧問(専務取締役)小池良【エヌ・エル・エム・エカル】(21日)退任(常務取締役)渡辺正明【日軽メタル】(28日)社長(取締役)丸山富夫)▽常務取締役(取締役)小林謙治▽顧問(社長)児島一夫【アルミニウム線材】(17日)社長(日本軽金属総合企画部システム担当部長)岡村克也▽顧問(社長)内田寛【日軽北海道】(17日)社長(日軽ニュービジネス社長)三宅純明▽顧問(社長)青木勝代志【日軽情報システム】(6月24日)常務取締役(取締役)青木裕一【不二貿易】(6月24日)常務取締役(取締役)瀧澤淳
図・表・写真は本誌でご覧ください。
|