このサイトは、本誌の定期購読契約者のみが利用できるメンバー専用ページです。

NO.2044(2011年7月25日号)

アルミホイール生産………本誌アンケート調査
国内生産量 17.5%増、3 年ぶり伸長
新興国中心に海外展開が一段と加速

本誌はこのほど、国内主要メーカーを対象に、アルミホイールの生産状況を調査した。08年秋のリーマンショック後の不況は脱したものの、東日本大震災の影響による不透明感が残る中、アジアなど新興国を中心に新たな拠点の設置、増強の動きが一段と加速しつつある。

 日本アルミニウム協会・車輪委員会(アルミホイールメーカー13社加盟)の自主統計によると、10年度国内アルミホイール生産量は1,131万597個、前年度比17.5%増となった。プラスは3年ぶり。一方、国内メーカーによる海外現地子会社及び協力工場からの輸入量は 528万1,455万個、8.1%増と拡大。総供給1,659万2,052個に占める輸入品の比率は 31.8%で、09 年度の 33.7%からは低下した。各社の国内、海外それぞれの生産能力・生産量は次頁・表の通り。
 主要メーカーの動向では、宇部興産はアルミホイール事業から撤退、3月末で100%子会社の宇部興産ホイールを解散した。年産能力が240万個あったが、得意とする大口径ホイールの需要が大幅に減少。新興国メーカーの参入による価格競争激化で事業継続を断念した。今後既受注品の生産を一定期間継続した後、会社の清算手続きを行う予定。その他、国内最大手のエンケイグループは国内外とも、生産能力、生産量は昨年と変わらない。光生アルミニューム工業、トピー工業、ワシマイヤーも変更なしとなっている。一方、中央精機は生産能力は年間 200 万個で変わらないものの、月産量は昨年 6 月回答の 17 万個に比べ 1 万個減少。TAN-EI-SHA は生産能力は横ばいなものの、月産量は四輪用が 2,000個、トラック・バス用が 700 個それぞれ 1 年前に比べて増加した。基本的に各社とも国内の拠点については増強計画はなく、現状を維持する。
 他方、各社とも海外展開が加速している。光生アルミはインドにコウセイミンダアルミナムを設立。12年夏から月2万個規模で生産を立ち上げる。また、旭テックは国内におけるアルミホイール販売量月間 20 万個はすべて輸入品。その中で、中国における生産拠点であるホイールホース・アサヒ・アルミニウムの資本金をこれまでの 5,000 万人民元から 7,600 万人民元に増資するとともに、出資比率を 30%から 49%に引き上げた。同時に、新工場を建設、13 年に生産能力を現行の年 150 万個 (うち、日本向け輸出が 6〜7割)から300万個に引き上げる。日立金属も 2015 年度に国内外600 万個超の生産体制を目指す中で米国拠点の増強や、新興国への進出を検討中である。


5月Alダイカスト生産、4.99万d
30%減、自動車用は37.6%減に

 経済産業省の金属製品統計によると、5月のアルミダイカスト生産量は4万9,958d、前年同月比30.0%減となった。マイナスは5ヵ月連続。4月の5万4,771d比では8.8%の落ち込みとなった(次頁・表)。
 用途別では、主力の自動車向けが4万1,442d、同37.6%減。震災の影響で4月の31.2%に比べ落ち込み幅が拡大した。


アーレスティの12年3月期連結
8.6%増収、38.9%の営業減益

 アーレスティは20日、2012年3月期業績及び配当予想を発表した。東日本大震災の影響により合理的な算定が困難であったことから未定としていたが、今後の生産の見通しに一定の見極めが可能となったため、予想を公表した。
 それによると、連結上期決算は売上高が475億円、前年同期比3.3%減、収益面では営業損益、経常損益ともに5億円の損失、最終損益も4億円の損失になる。
 また上期の個別業績は売上高335億円(前年同期比10.6%減)、営業損失5億円(前年同期は5億800万円の利益)、経常損失4億5,000万円(同4億7,400万円の利益)、純損失4億5,000万円(同4億6,500万円の利益)。
 通期連結では売上高が前期比8.6%の増収となるものの、営業利益、経常利益はそれぞれ38.9%、38.2%の減益となる。個別決算では売上高743億円(前期比0.4%減)、営業利益5,000万円(94.3%減)、経常利益1億5,000万円(86.2%減)、当期純利益1億5,000万円(26.1%減)を予想。配当は第2四半期末6円、期末6円の年間12円。
 上期は東日本大震災からの回復が進みつつあるものの、売上高は前年同期を下回ると予想。収益面では、海外における事業拡大・新規拠点の立ち上げに伴う先行投資などの影響により減益を余儀なくされる。下期は前年同期比増収増益を予想。ただ通期では増収が見込まれるものの、収益面では上期悪化の影響により減益となる見込み。
 なお、通期連結業績のセグメント別予想は表の通り(為替レートの前提は80円/米j、12.5円/元)。ダイカスト事業アジアは売上高は34.6%増の157億円となるものの、営業損益は1億5,000万円の損失と、前期の7億円2,000万円から8億7,000万円の減益となる。


YKK APの「埼玉窓工場」が操業開始
初荷式に100名、投資額110億円
4つ星窓のAPWを年30万窓

 YKK APは20日、埼玉県久喜市の菖蒲南部産業団地に建設を進めてきた「埼玉窓工場」の第1期工事が完了したことから、初荷式を開催した。塩川修埼玉県副知事、田中暄二久喜市長など来賓を含め、約100名が出席した。
 式典に先立って吉田忠裕代表取締役会長CEOが挨拶に立ち、「首都圏向けの窓専用工場を作るに当たってこだわったのは生産ラインだけでなく、どのようにして受注して、窓の完成品を首都圏のお客様の工事現場にお届けするか、すべて一貫したものにすること。当地は圏央道(首都圏中央連絡自動車道)のインターチェンジに近く、トラックに窓を積んで、圏央道を通って、首都圏の邸別にお届けすることができると考えた。当社でも初めて、日本でも初の窓工場であり、本日初荷式を開催できることを非常に喜んでいる」
「東日本大震災もあって、省エネが改めて重要なテーマになっているが、断熱性能の高い窓とすることでかなりのエネルギーをセーブすることができ、今こそ窓が非常に重要な役割を果たす。日本のスタンダードとなるべき高性能の窓を専用工場で作ってお客様の元に届けることができるようになる記念すべき日である」と述べた。
 堀秀充社社長も交流会の冒頭で挨拶、「当工場では省エネ性能表示で最高ランクの4つ星となる高性能を窓を生産する。4つ星の高断熱窓の出荷は首都圏でも全体の1%強だが、その窓を作ることで省エネ社会に貢献したいと思っている」
APWを年30万窓、100億円
 埼玉窓工場は敷地面積8万6,716uで、建屋は第1期工事として延床面積3万2,995uのRC造2階建。窓生産ライン、複層ガラス生産ラインなどを導入し、アルミ樹脂複合窓のAPW310と樹脂窓の同330の高品質・高性能窓を年間30万窓生産する。投資額は土地取得費を含めて約110億円。従業員数は約120名でスタートするが、2012年には約250名に引き上げる。埼玉窓工場の完成に伴い、窓事業全体の売上高を11年度の50億円から12年度には100億円とする。
 工場では「APW-Sys(専用発注システム)」によるビルダーからの発注→受注生産管理→窓一貫生産(材料供給、切断加工、ガラス接着、部品付け、組立仕上げ、検査、出荷)→邸別など現場へのダイレクト配送など、一連のロジスティクスを構築した。
 また、工場建設に当たっては「窓による環境配慮」を重点テーマとした。即ち、トップライトからの自然採光、外気冷房、クールチューブ、自然通気など自然エネルギーを導入した。さらに、建物は外壁(金属断熱サンドイッチパネル)、屋根(外断熱複合シート)、窓(断熱複合窓、Low-E複層ガラス)など断熱化を図った。
 「樹脂窓を302個組み合わせてファサードを作った。日本の『公園の父』といわれた造園家の本多静六博士の記念公園が隣接しており、『緑の中の工場』というコンセプトで敷地緑化など自然環境の有効利用に取り組む」(吉田会長)
 同工場は玄関ドアなど他工場で作ったものを含めて家1棟分を荷揃えして配送するなど「配送センターの役割も果たす」(堀社長)


5月のアルミ建材出荷、4.2%増
サッシ住宅3.0%・ビル2.8%増

 5月のアルミ建材生産・出荷統計によると、生産量が2万2,651d、前年同月比6.8%増、出荷が2万6,650d、4.2%増。出荷金額は2.3%増で、d当たり単価は142.7万円と、1年前の143.2万円に比べ0.3%下落した。
 このうち、サッシは生産が1万3,181d、7.6%増、出荷が1万5,992d、2.9%増となった。内訳では住宅用の生産が8.8%増、出荷が3.0%増。単価は140.0万円で、前年同月の139.7万円比横ばい。ビル用は生産が5.8%増、出荷が2.8%増。単価は161.7万円で、1年前の162.5万円からは0.5%下落した。
 

昭和電工
LIB用3部材の生産能力を増強
負極材、Alラミネートフィルム等

 昭和電工は19日、リチウムイオン二次電池(LIB)向け部材の人造黒鉛負極材「SCMG」、正負極添加剤「カーボンナノチューブVGCF」、電池包材用アルミラミネートフィルムの各生産設備の能力を増強すると発表した。
 SCMGは、大町事業所(長野県大町市)の粉砕工程など各工程のボトルネック解消により、生産能力を現在の年産1,000dから今年中に2,000dに倍増、2012年上期には3,000dとする。VGCFは川崎事業所(神奈川県川崎市)の生産ラインを1系列増設し、年産能力を今年末までに現在の100dから200dに倍増する。また、電池包材用Alラミネートフィルムは昭和電工パッケージングの彦根工場(滋賀県)のドライラミネーターを増設、2011年末までに年産能力を現在の1.5倍に引き上げる。これら3部材の能力増投資額は総額30億円強。
 同社によると、2013年以降は自動車や蓄電用途向けの大型LIB市場が本格的に立ち上がり、需要が急速に伸びることが予想されている。このため大型LIBの高容量化、長寿命化に寄与する部材であるSCMGおよびVGCFの能力増強を決定した。
 Alラミネートフィルムはアルミと樹脂の複合材で、昭和電工パッケージング が食品容器向けラミネートフィルムの製造で培った成形ノウハウを活かした部材。電池用包材には電解液漏れや外気・水分の侵入を防ぐ機能が求められるが、同社のAlラミネートフィルムは金属缶と同レベルの高い水分バリア性を有している。その一方、成形の自由度が高く、軽量であり、放熱性にも優れることから、電池の小型化が要求されるモバイル用途で50%のシェアを占めている。今後は省スペースや高放熱性などの特長を生かし、環境対応車に搭載される大型LIBへの展開も加速する。
 昭和電工ではLIB向けでは、今回増強する3部材の他、カーボン下地アルミ箔SDXの4部材を商業生産しており、現在の売上高は100億円弱。2015年には300億円以上に引き上げる。
 その他、タブリード、電解液、バインダーなどの開発も進めている。その中で、タブリードは特殊なアルミ表面処理により優れた耐電解液性、Alラミネートフィルムとの高密着性・高水密性などを実現した。今年下期にサンプル出荷を初めて、来年上期中にも量産設備を建設、商業生産を開始する。


LIXIL、北海道札幌事業所開設
近隣の生産・物流3拠点を集約

 LIXILは9月1日付で「LIXIL札幌事業所」を開設すると発表した。北海道内にある生産・物流拠点を集約し、資産の有効活用をはかるとともに、道内各エリアへの共同配送や、本州からの調達便の共同化など、統合によるシナジー効果を追求する。
 集約対象となるのは江別工場(江別市、旧INAX)、住設・建材商品の地域配送拠点である札幌CFDセンター(石狩市、同)、LIXIL物流北海道物流センター外部倉庫(岩見沢市、旧トステム)の3拠点。2009年3月に閉鎖した旧トステムの北広島工場(北広島市)の建屋を再活用し、「LIXIL札幌事業所」として再稼動する。
 「LIXIL札幌事業所」は敷地面積1万6,889坪、建築面積7,992坪。社員数約50名で、主な事業はユニットバスの生産・出荷・配送、金属建材・住宅設備機器の配送など。


5月の車向けアルミ出荷、32%減

 日本アルミニウム協会及び経済産業省によると、5月の自動車(二輪車を含む)向けアルミ製品出荷量は7万8,446d、前年同月比31.9%減となった。マイナスは3ヵ月連続、7万d台は09年4月の7万2,889d以来。
 製品別では圧延品、鋳造品、ダイカスト、鍛造品のすべてが前年同月を下回った。ただ二輪車向けは唯一17.9%増となった。


軽金属溶接協会が開催
「アルミブレージングセミナー」

 軽金属溶接協会は9月22日(木)9時55分〜16時50分、きゅりあん(品川区立総合区民会館)においてアルミニウムグレージングセミナー「環境・エネルギー対応で進化するろう付技術」を開催する。内容は次の通り。▽アルミニウムろう付概論(日本軽金属小笠原明徳)▽アルミニウムろう付の基礎科学(大阪大学竹本正)▽各種ろう付工法の概論と実際(神戸製鋼所鶴野招弘)▽ろう付用材料の基礎と実際(三菱アルミニウム江戸正和)▽ろう付性の評価方法と活用法(古河スカイ柳川裕)▽最近の高耐食性高強度ブレージングシート(住友軽金属工業久富裕二)▽アルミニウムろうの疲労・クリープ試験共同研究成果(神戸製鋼所瀧川淳)▽環境・エネルギー対応で進化するアルミニウム製パワー半導体用冷却器(昭和電工納康弘)▽環境・エネルギーに配慮した最新自動車用熱交換器(デンソー手島聖英)▽最新ろう付用フラックスについて(日本ソルベイ豊福賢宗)▽最新真空ろう付加熱プロセスと設備(アルバック加藤雄嗣。
 会費は主催・後援団体会員1万5,000円、一般1万8,000円(テキスト代含む)。ただしテキスト(「アルミニウムブレージングハンドブック」平成15年3月25日改訂版)不要の場合は主催・後援団体会員1万円、一般1万3,000円。申し込みは同会ホームページ(http://www.jlwa.or.jp/)の申込書を利用。問い合わせは電話03-3863-5545、E-mail:jlwa@nifty.comで。


不二ライトメタルが導入
KUMADAIマグネ合金の実用化研究
試作品製造・量産実証の一貫設備

 不二ライトメタル(熊本県玉名郡長洲町、前畑政富社長)は15日、同社と熊本大学が共同提案した「KUMADAIマグネシウム合金の試作品製造・量産実証の設備・施設整備」の事業が経済産業省のイノベーション拠点立地支援事業「先端技術実証・評価設備整備等事業」に採択されたと発表した。事業期間は12年6月までの予定。総投資額は約8.8億円で、うち約5.9億円の補助を受ける。
 提案事業は不二ライトメタルと熊本大学がKUMADAIマグネ合金の製造基盤技術を活用し、同社工場内に量産化設備の立ち上げ、量産化の実証及び同合金を活用したアプリケーション開発のための試作品製造を行うもの。今回、溶解鋳造から切削、切断、鍛造など加工まで一貫した実証試作ラインを整備する。
 KUMADAIマグネ合金は、熊本大学の河村能人教授が2001年に開発した革新的な超軽量材料。室温耐力が512MPa、250℃耐力が300MPaと、マグネ合金の室温強度と高温強度で世界記録を樹立しており、既存のマグネ合金(室温耐力180MPa)はもとより、航空機に使われるAl合金である超々ジュラルミンの505MPaを凌駕し、重さも3分の2。自動車をはじめとする輸送機器や産業機械など幅広い分野での利用が期待されている。
 不二ライトメタルはJST(科学技術振興機構)から採択を受け、地域結集型研究開発プログラム「次世代耐熱マグネ合金の基盤技術開発」(事業期間:2006年12月〜2011年11月)を進めており、▽高品質の直径177o大型鋳造ビレット▽直径55oの高強度大型丸棒材・パイプ▽幅100oを超える厚板材製造技術を開発済み。今回の実証試作ラインの整備は同合金の事業化に向けた大きなステップとしている。
 今回導入する主な設備・施設は、▽工場新設:溶解・鋳造・鍛造工場(500u)▽施設改修:表面処理施設(250u)、成形加工・接合施設(250u)▽溶解鋳造設備:800s溶解炉、600s保持炉、半連続鋳造装置▽鍛造加工設備:1000d鍛造機▽接合加工設備:ハイブリッド摩擦攪拌接合装置▽表面処理:陽極酸化・化成処理ライン、メッキ処理ライン。
 これらにより、実証・評価の対象となる技術は、▽溶解・精製技術:中規模溶解炉(400s)において、介在物量の少ない清浄な溶湯を作成する技術▽半連続鋳造技術:電磁攪拌技術を用いて均一に組織制御された高品質の中型ビレットを作成する技術▽押出加工技術:高強度高耐熱性を有する中型押出材の丸棒、パイプ、厚板を作成する技術▽鍛造加工技術:機械的特性の異方性を改善した高強度の鍛造加工材を製造する技術▽摩擦攪拌接合技術:母材強度の80%を超える接合強度を可能にする技術▽表面処理技術:耐食性が得られる化成処理・陽極酸化処理技術ならびに密着性の良いメッキ処理技術。


図・表・写真は本誌でご覧ください。