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NO.2063(2011年12月12日号)

アーレスティが新ダイカスト技術
強度1.5倍・耐力1.7倍の「L法」
ディーゼルエンジン用シリンダブロックに最適

アーレスティは引け巣の発生を防止する「層流充填法」や初期凝固層の生成を抑制する独自技術により、内部品質が健全で高強度なシリンダブロックを鋳造可能にする「L法」を実用化、本格的な受注活動を開始した。

 アーレスティ(高橋新社長)は引け巣などの品質不良が発生しにくく、強度など機械的性質に優れたダイカスト製品の製造が可能な独自技術「L法」を開発した。ディーゼルエンジン用高強度シリンダブロックの製造に適用可能としており、東京ビッグサイトで開催中の「東京モーターショー2011」で展示発表した。
 従来の普通ダイカスト成形法は射出スリーブの温度が溶湯に比べて低いため、溶湯注湯に初期凝固層が発生しやすい。また溶湯を高速射出することで、製品に空気の巻き込み巣が残ることがある。PF法ではT6処理による高度強化が可能であるが、製品サイズに制約がある。このため、欠陥による強度低下や信頼性低下を招き、高い強度特性を必要とする製品への適用が不可能であった。
 アーレスティは金型キャビティ内や溶湯を金型に送る通路であるスリープ壁面に、断熱効果のある粉体を塗布し断熱層を生成。その結果、注湯から充填完了まで初期凝固層の生成を抑制する方法を採用した。さらに、湯口の断面積を大きくして、射出速度を遅くすることで溶湯をゆっくりと充填させてガスの巻き込みを防止。凝固時に高い圧力をかけることで引け巣を抑制する独自の「層流充填法(Laminar Flow Filling method)」を開発した。湯口の断面積を大きくすることで、射出速度を遅くするため、汎用ダイカストマシンでも鋳造可能であり、2,000d超クラスの大型マシンにも適用可能という。
 鋳造欠陥である初期凝固層や引け巣の発生を抑制することで、内部品質が安定、T6処理により高強度を持たすことができる。
 「L法」による試作品の機械的性質の試験結果では引張強度は従来品の約1.5倍、0.2%耐力が約1.7倍、硬度が約1.6倍と大幅に向上することが確認された。
 高強度を持たせることで、シリンダブロックなどではボア(シリンダーの内面)間の縮小や、シリンダ内面の強度を高めるために鋳込むライナーの薄肉化やライナーレスにより軽量化につなげることができる。また、内部品質が健全なことから、ボア表面に溶射やメッキなどの加工を施すことも可能にした。
 「L法」の基本技術は20〜30年前に開発したもので、一部製品の量産実績がある。ここにきて、軽量かつ、より高強度・高品質の製品に対するニーズに応える最適な製法として進化させ、提案していく。同社ではディーゼルエンジンなど燃費改善のための高出力に対応できる高強度シリンダブロックや、大型高強度部品への適用が可能としており、今後、積極的な受注活動を展開する。


10月の圧延品稼働率、80.8%
板類78.1%、押出類84.8%

 日本アルミニウム協会によると、10月のアルミ圧延品稼働率は80.8%となった。昨年10月の86.8%に比べると6ポイントの低下した。
 内訳では板類の稼働率は78.1%で、1年前の90.5%からは12.4ポイントの大幅低下。生産能力が12万6,120d、5.0%増となったものの、生産量は9万8,472d、9.4%減と大きく減少した。
 一方、押出類の稼働率は84.8%。昨年10月の81.6%比3.2ポイントの上昇。生産能力は8万4,702d、1.0%増となったが、生産量は7万1,808d、5.0%増と好調であった。


積水、文化、三菱化が共同開発
「次世代型住宅用オーニング」

 積水ハウス、文化シヤッター、三菱化学の3社は11日まで一般公開中の「東京モーターショー2011」の積水ハウスブースにおいて、シート材に「フィルム型太陽電池」を使った「次世代型住宅用オーニング」を「ソーラーエクステリア」として出展した。
 積水ハウスは太陽電池・燃料電池・蓄電池の3電池を組み合わせた「グリーンファーストハイブリッド」による「究極のエナジーフリー」の実現と、EV(電気自動車)を加えた先進のスマートハウスを提案。自然エネルギーを活用することで日射調整しながら発電を行う「ソーラーエクステリア」も展示した。
 「次世代型住宅用オーニング」は三菱化学の「フィルム型太陽電池」をシート材として採用し、積水ハウスと文化シヤッターグループのテンパルが共同開発。同オーニングは、本来の「日よけ」機能によって省エネ・節電効果を発揮するだけでなく、フィルム型太陽電池によって発電したエネルギーを有効に活用する「創エネ」機能を併せ持たせた。柔軟なシート特性を活かして変形・巻き込みが可能なほか、日射の方向に合わせてオーニングの向きを変えることで、より効率的な発電をすることができる。


10月サッシ出荷速報、2.2%増
住宅用0.3%減、ビル用5.7%増

 10月のアルミ建材生産・出荷速報によると、生産(アルミ製室内建具を除く)は2万5,840d、前年同月比6.6%増、出荷は2万9,893d、3.8%増となった。
 この内、アルミサッシの生産が1万7,011d、7.0%増、出荷が2万8d、2.2%増となった。内訳では住宅用は生産が9,016d、4.0%増、出荷が0.3%減、ビル用は生産が7,995d、10.7%増、出荷が8,512d、5.7%増を記録した。


10月アルミダイカスト生産速報
9万178d・10%増、3年ぶり水準

 経済産業省の非鉄金属・金属製品統計速報によると、10月のアルミダイカスト生産量は9万178d、前年同月比10.1%増となった。プラスは3ヵ月連続。9月の8万5,776d比では5.1%増であった。9万d台乗せは2008年10月の9万1,173d以来、3年ぶり。
 アルミダイカスト生産が増えているのは自動車生産が回復傾向にあるため。国内四輪車生産は8月が70万4,069台(前年同月比1.8%増)と11ヵ月ぶりにプラスに転じた後、9月88万3,593台(4.5%減)、10月9万4,247台(20.3%増)と推移している。


10月二次地金・合金出荷、5%増

 日本アルミニウム合金協会がまとめた10月のアルミ二次地金・同合金地金需給統計によると、生産は7万3,351d、前年同月比8.0%増、出荷は7万2,872d、5.0%増となった。プラスは生産が2ヵ月連続、出荷が3ヵ月連続。
 部門別出荷では鋳物向けは8.2%増となったものの、ダイカスト向けは2.6%増にとどまっている。これについてダイカスト協会では「輸入地金、特に中国からの増加が影響したと思われる」としている。


古河スカイとニッケイ加工
中国にAlヒートシンクの加工会社
材料から製品までの一貫体制構築

 古河スカイは5日、1日付で子会社のニッケイ加工(大阪府大阪市、前田憲夫社長、古河スカイ89.7%出資)と共同で、中国江蘇省無錫市錫山経済技術開発区にアルミ加工製品の製造・販売会社を設立したと発表した。中国で需要拡大が見込まれる大型かつ精密な各種重電制御機器用インバーターおよび鉄道車両向け熱交換器用アルミ加工製品であるヒートシンクの現地生産ニーズとアジア全域を対象とした自動車向け熱交関連部品の生産対応が狙い。
 古河スカイの材料を含む熱製品開発力、アルミ加工品販売体制と、ニッケイ加工が持つブレージング・溶接・機械加工などのアルミ加工技術を融合することで急速に拡大する市場に高品質のアルミ製品を提供する。
 新会社は「古河斯凱(無錫)材加工有限公司」で、所在地は無錫市錫山経済開発区芙蓉一路18号(芙蓉科技工業園)三番工場建物。資本金は3億円で、出資比率は古河スカイ66.7%、ニッケイ加工33.3%。進出先の経済開発区内の賃貸建屋を利用することで短期間での立ち上げを目指し、12年4月に製造・販売を開始する予定。
 必要な材料の一部は、板圧延品を古河スカイが25%出資する乳源東陽光製箔有限公司(広東省、郭京平董事長)、押出製品を100%出資の古河(天津)精密業有限公司(天津市、多賀谷昭史董事長)で生産。販売は100%子会社の古河斯凱(上海)業有限公司(上海市、鶴堀憲二董事長)を活用することも視野に入れ、中国国内での材料製造から加工までのサプライチェーンを構築する。
 設立2年後の13年には黒字化、フルアップ時点では売上高16億円、営業利益2億円程度を計画している。 


11年度HP充実度ランキング調査
3,603社中総合16位、業種別1位

 古河スカイはこのほど、日興アイ・アールが実施した「2011年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査」において、総合ランキング16位、業種別ランキング1位に選ばれたと発表した。昨年の総合ランキング684位、業種別ランキング8位から大幅にランクアップした。
 この調査は「分かりやすさ」「使いやすさ」「情報の多さ」の3つの視点で設定した135の客観的評価項目に基づき、全上場企業3,603社のホームページについて行った。
 情報開示の充実度調査と、起業の情報開示に対する意識醸成の促進が目的で、03年度の開始以来今年度で9回目。


YKK APが工法を大幅に拡大
簡単・短時間施工の窓リフォーム

 YKK APはこのほど、窓リフォーム展開強化の一環として、家一棟の外窓を短時間で交換するための工法を拡大した。
 壁工法が不要で、約2時間から半日での簡単施工で交換できる「スマートカバー工法」の対応窓種に、樹脂窓「APW330」・アルミ樹脂複合窓「APW310」を追加、断熱性能に優れた樹脂窓がリフォームにも対応可能とした。価格はAPW330引違い窓(幅1,652×高さ1,121o)で17万4,510円また、新工法「カット&カバー工法」と「壁カット工法用モール」を発売した。
 「カット&カバー工法」は既存の窓枠の不要な部分をカットしたうえで、カバー工法で施工。約半日から1日の簡単施工で、引違い窓用では下枠段差を低くできる。対応窓はアルミ樹脂複合窓の「エピソード」シリーズと樹脂アングル下枠形材断熱窓「エイビアJ」シリーズ。
 「壁カット工法用モール」は外壁工事による窓交換で、壁カット部を覆うアルミ製専用モール。左官・塗装工事が不要のため、約1日で施工することが可能。対応する窓は「APW310」、「エピソード」シリーズ、「エイビアJ」シリーズ。
3種類の窓リフォーム用の工法により、家一棟のさまざまな外窓交換に対応できる幅広いメニューを整える。スマートカバー工法を含む外窓交換全体で15億円の売上を見込む。


東京モーターショーに出展
日本フルハーフと日本トレクス

 トラック架装メーカーの日本フルハーフと日本トレクスは11日まで一般公開中の「東京モーターショー2011」に出展した。
【日本フルハーフ】
 「次世代アルミトレーラ」と「ISO 20・40・45ftマルチコンテナシャシ」を参考出品。    「次世代アルミトレーラ」はトレーラトップメーカーである同社の車両設計技術と日本軽金属のアルミ加工技術でアルミを最大限に採用。主な特長は、メインフレーム2本とアルミフロアを溶接して一体化することで、メインフレームにボデーを積む一般的な構造に比べ、横根太、サブフロアが不要になるなどシンプルな構造を実現した。フロントフレームをはじめ、細部の構造材に至るまでほとんどアルミ化することで、大幅な軽量化を達成、同社の2軸20d積載ウィングトレーラと比較して約2d多く積載可能にし、改正省エネ法にも対応する。また、床材をアピトン(木材)からアルミにしたことでフロアを丸洗いでき、臭いも付かず利便性・耐久性を高めた。
 「ISO 20・40・45ftマルチコンテナシャシ」はホイールベースが自在に伸縮可能で、20ft、40ft、45ft積載の1台3役をこなす。どのコンテナ積載時でもリヤ積み降ろしが可能なほか、世界標準のフルロード(30.48d)に対応する。
【日本トレクス】
 「アルミブロックバントレーラ」と「20フィートコンテナセミトレーラ」を出展。「アルミブロックバントレーラ」は車体をアルミブロックで作ることで高い耐久性と軽量化を実現。また内外装一体構造となり木材レスのため荷台の腐食を軽減し、リサイクルにも貢献する。
 床面の搬送装置(CARGO-FLOOR)の採用により、粉粒体からパレットまで幅広く荷物を運搬することが可能で、天井の低い屋内でも楽々荷役作業を行うことができる。従来のコルゲートトレーラと比べて、リベットを使わないためフラットな外観となり、美観性も向上した。


三井住友建設がアルミ製ドーム
鋼製浮き屋根式タンクに初設置

 三井住友建設はこのほど、既存の浮き屋根式タンク側壁頂部に「ウルトラドーム」を設置する雨水侵入対策工事を完成させたと発表した。ウルトラドームはアルミ合金製の三角形状の骨組を組み合わせた立体フレームと、同フレームを被覆するアルミ合金製パネルで構成された半球形構造物。これまで上水道タンクでは数多くの実績があるが、浮き屋根式タンクへの適用はわが国で初めてである。
 同社は1999年にわが国で初めてのアルミ合金製の屋根として、上水道タンクでウルトラドームを建設。これまでに43基のアルミ合金製屋根建設の実績がある。
 一方、浮き屋根式の鋼製オープントップタンクは、雨水の浸入や、強風・積雪などによる浮き屋根の破損や揺動などが課題となっている。このため、同社は浮き屋根式タンクへのウルトラドーム設置を提案。10年5月に危険物保安技術協会から直径120mまでの浮き屋根式タンク用屋根構造物の性能評価も取得した。
 今回、エム・シー・ターミナル川崎事業所の浮き屋根式危険物貯蔵タンクにウルトラドーム化工事を実施。設置したウルトラドームは直径約30m、総重量は14.2dで、投影面積あたりの重量は20kg/uと非常に軽い構造となっている。このため、既存タンクの本体や基礎の補強などの改造が不要なほか、タンクとの接合は既存側壁の天端に直接行うため、タンク側壁天端部改造なども行わずに済んだ。
 ウルトラドームの主な特徴は▽軽量なため浮き屋根上でも組立が可能であり、既存タンクの躯体や基礎への負担も軽減▽部材がアルミ合金製のため、耐候性に優れ防食処置が不要▽組立がすべてボルト接合であるため、施工が容易で短期間で施工可能、など。既存の浮き屋根式タンクの本体をほとんど改造することなく設置することが可能とという。


アーレスティが発表
製品不具合で補償費用発生も

 アーレスティは5日、同社製品の不具合により納入先に対する補償費用が発生することが見込まれると発表した。グループ会社が製造して納入したダイカスト部品を組み付けた製品を顧客が販売する前に当該部品に不具合があることが発覚。その結果、部品単体および部品を組み付けた製品の点検及び交換などが行われることになったもの。 製品不具合に伴う点検および交換や対策費用について同社が求償を受けることが見込まれ、その場合は補償費用が特別損失として発生する見通しだが、現時点で費用の額や業績への影響は不明としている。


合肥アーレスティが開業式開催

 アーレスティ(高橋新社長)は11月25日、子会社の合肥阿雷斯提汽車配件有限公司(合肥アーレスティ、中国安徽省合肥市経済技術開発区、松下秀之代表、資本金3,690万米j)が開業式を開催したと発表した。同子会社はダイカスト製品の鋳造および機械加工工場として2010年8月に設立し、11年7月より稼働を開始していた。このほど量産に向けた体制整備が終了したことで、合肥市人民政府および取引先を招いて式典を催した。
 同子会社は2011 年度生産能力としてダイカストマシン5台(現在3台稼働)と機械加工3ライン(同1ライン)を予定している。


軽金属製品協会が研究発表会
陽極酸化皮膜遠赤外線放射特性

 (一社)軽金属製品協会試験研究センターとアルミ表面技術研究所は2012年1月26日午後1〜5時、アープセンタービル会議室(東京都港区赤坂2-13-13)において研究発表会「陽極酸化皮膜の遠赤外線放射特性について」を開催する。
 主な内容は▽挨拶・研究の動機(軽金属製品協会菊池哲)▽遠赤外線と陽極酸化皮膜(アルミ表面技術研究所前嶋正受)▽陽極酸化皮膜の遠赤外線放射特性(同遠藤哲)▽遠赤外線特性を利用した用途例及び期待される用途開発(軽金属製品協会土屋正一)。参加費は軽金属製品協会会員1万5,000円、一般3万円。申し込み・問合わせは電話0297-78-2511/FAX2278。


LIXILが「エコプロダクツ2011」出展

 LIXILは12月15〜17日に東京ビッグサイトで開催される「エコプロダクツ2011」に出展すると発表した。
 「LINK TO THE EARTH」をテーマに、同社が取り組んでいる「暮らしと地球の調和を目指した、これからの住まいや暮らしの姿、自然を活かした技術やライフスタイルの提案」「製品のライフサイクル全般にわたるエネルギー削減、CO2排出量削減活動」「地球の自然や生物の多様性を守っていくために、水資源や森林の保全・回復につながる社会貢献活動」の根幹にある理念やこれらを実現していくための技術について、映像や実物、パネル展示を交えて紹介する。


LIXIL、伊のCWメーカー買収完了
15年度ビル関連売上、3千億円へ

 LIXILは6日、約5億7,500万ユーロで、大手カーテンウォール(CW)メーカーのペルマスティリーザ(Permasteelisa、イタリア)の全株式を取得し、同社の100%子会社としたと発表した。CEOにははは引き続きニコーラ・グレコ氏が就任し、LIXILのCW事業全体を担当する。
 ペルマスティリーザは現在、ヨーロッパ、アジア、北米、中東を含めた27ヵ国においてグローバルに事業を展開。建築構造物の構想提案から据付までフルレンジのサービスを顧客に提供し、特にハイエンドのCW市場では各国において、確固たる地位を築いている。
 LIXILの傘下に入ることで、アジア、欧米に続いて全世界の市場を視野に入れた事業展開を図る。また、中・高層ビルから超高層ビルまでの規模に応じて、普及品からハイエンドまでの全グレードの商材・サービスを提供。LIXILが持つサッシやトイレ、室内建材などとペルマスティリーザのCWとのシナジーを図ることでビル関連事業を拡大。2015年度にはCWを含めた事業全体で3,000億円の売上を目指す。


図・表・写真は本誌でご覧ください。