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NO.2067(2012年1月16日号)
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三協・立山HDの川村・藤木両首脳が所信
今期から収益改善施策が寄与
創・省エネの環境配慮型商品拡充
三協立山ホールディングスの川村人志会長(写真・上)と藤木正和社長(同・下)は10日、東京事務所で記者会見に臨み、12年5月期の業績見通しと今後の事業運営方針などについて、概要次の通り述べた。
12年5月期、4期ぶり復配
川村「12年5月期決算は昨年12月に上期決算を上方修正したのに続き、本日公表の通期の予想も期初予想を上回り、復配を発表することができた。昨年は国内の大震災をはじめ、国外でも不安定要素があったが、社員の頑張りも含めて、これまで取り組んできた構造改革計画の進展などで何とか良い結果を出せた。利益水準からすれば『もう少し多く』という声もあるだろうが、配当は継続するということが大事。先行きまだ不透明な点があることを考慮して2円配当とした。満足とまでいかないものの、会社の回復が軌道に乗ってきたと確信している。今後とも安定した収益を上げるとともに、財務内容もしっかりと確立するように経営に取り組んでいく」
藤木「3年前に大きな赤字を出して純資産を毀損したため、純資産を積み増すことを第一義的な経営課題と考えてきた。本来ならもっと配当すべきという意見もあるかもしれないが、純資産を増やして配当するというのが株主に対する責任と考えている」
収益改善に陥没価格是正も大きく寄与
藤木「上期決算は5%の増収にも関わらず、利益が大幅に伸びたのは、3年前に大幅な赤字を出した後、社内の合理化など収益改善に向けて様々な施策に取り組んできた効果が一番大きい。二つ目は陥没的な安売りを解消したことである」
川村「サッシ業界の相変わらず厳しい価格競争が続いている中で、『値戻し・値上げ』が難しいのであれば、受注量が減っても『陥没価格』での受注は止めろと指示してきた。営業担当者としてはつらいことだが、約1年ほど前から実施しており、その効果がこの上期から徐々に出てきた。受注ベースでの利益はビル、住宅、エクステリアの各部門とも増えている」
藤木「上期における建材部門の売上ではビル用建材が21%を占め、残りは住宅用建材とエクステリア商品。ビル用建材の売上高は11年5月期で底入れしたものの、収益面では今期はまだ黒字回復には至っていない。ただ受注量は前年比15%強増え、利益率もかなり上がってきているので、来期には黒字転換できると考えている」
ビル改装のSTER事業、目標通り推移
藤木「ビル改装・リフォームの『STER事業』の売上高は前期の138億円に対し、今期は150億円弱を見込んでいる。力を入れている民間系マンションの改修は伸びているものの、公共住宅系の改修が減少している」
川村「戸建住宅の改装・リフォームは『一新助家』、マンションの改修は『STER事業』と分けて取り組んでいることで効果が出ている。所有区分法の改正などマンションの全面改修が容易になるような法的整備が始まろうとしており、『STER事業』はその準備段階として目標通りの数字で推移している」
環境配慮型商品を拡充
川村「環境配慮型商品は売上の中で9割近くを占めているが、スマートハウス・スマートビル等、創エネ・省エネ関連エネルギー分野の中に新しいビジネスチャンスが出てくると考えており、『長期VISION-2020』で拡充を目指している」
藤木「昨年10月、パナソニックと『内貼断熱パネル・窓システム』と『通風・換気窓システム』の省エネ型建材を共同で開発することで合意した。現在双方の技術開発メンバーによるワーキンググループで商品のスペックはほぼ固まり、性能の検証などで詰めている段階。年内のできるだけ早い時期に市場に投入する予定である」
海外展開
川村「海外展開では台湾市場での事業展開に向け、現地の合弁製造会社で一部製品の生産・加工ができるようになった。今後、三協立山がバックアップしながら現地生産・販売体制の構築を進め、同拠点が定着した後、次の海外展開を検討していく」
三協・立山HD上期連結営業益
52.9億円、前年同期比64.5%増
三協・立山HDの12年5月期上期の連結決算は次頁・表のとおり、前年同期比5%の増収、営業利益64.5%増、経常利益96.4%増、純利益は209.4%増と大幅な伸びになった。売上高は期初計画比69億円、営業利益は同23億円上積みとなった。
経常利益は45億円と前年同期比22億円の増加。要因別内訳では資材・地金価格10億円、その他4億円の計14億円の減益要因があったものの、収益改善17億円、売上増17億円、営業外利益2億円の計36億円の増益要因が寄与した。
建材事業は4.3%の増収、営業利益は41.1%の増益となった。建材系生産子会社の合併による生産効率向上など、コスト・受注改善策を進めたことが寄与した。マテリアル事業は0.7%の増収にとどまったものの、営業利益は21.3%の増益。急激な円高の影響で輸入押出形材へのシフトが進むなど汎用品を中心に価格競争が激化したが、高付加価値品へのシフトやコストダウンを進めたことが寄与した。商業施設事業では15.7%の増収、営業利益は99.5%の大幅増益となった。震災復興需要や夏季の電力供給制限に伴う店舗看板LED化などの節電需要への対応や海外調達比率を高めたことによるコストダウンが寄与した。
通期営業益84億円・6%増、2円復配
通期予想は売上高が期初計画比70億円の上方修正となる。下期は期初計画通りに推移すると予想、上期の計画比増収分が上乗せとなる。営業利益は期初予想を24億円上回る。生産・調達コストダウンなど改善施策を引き続き実施する。これに伴い、当初未定としていた12年5月期末の配当は1株当たり2円配当を実施する。復配は4期ぶり。
アルコニックスが4月に設立
越に非鉄金属製品販売現地法人
アルコニックスは2011年12月27日、12年4月1日付けでベトナム・ハノイ市内に100%子会社の「アルコニックス・ベトナム(ALCONIX VIETNAM CO.LTD.)」を設立すると発表した。資本金は100万j。ベトナム国内におけるアルミ、銅、ニッケル、及びレアメタルなど非鉄金属製品の販売ならびに輸出・輸入取引を行う。
同社は中期経営計画において営業強化策の一環として海外ネットワークの強化・推進を掲げている。経済成長が著しいベトナムに現地法人を設立することで、日系企業を中心に非鉄金属製品の販売などの販売を行い、さらなる業容拡大を目指す。なお、ベトナム現地法人の設立により、同社グループの海外拠点は9法人・13拠点となる。
吉原アルミ協会会長が所信
「中長期の需要拡大で取組み」
日本アルミニウム協会、日本アルミニウム合金協会、軽金属製品協会、全国軽金属商協会の軽金属4団体は5日、東京・芝公園の東京プリンスホテルに関係者約570名を招き、合同賀詞交歓会を開催した。冒頭、主催者を代表して吉原正照アルミ協会会長(古河スカイ社長=次頁・写真)があいさつに立ち、概略次の通り年頭の決意を述べた。
「国内のアルミ総需要は2010暦年の約390万dに対し、11年は380万d程度にとどまったと危惧しているが、大きく落ち込んだ09年の325万dに比べればまだましな数字と受け止めるべき」
「一方、昨年出席した中国アルミフォーラムではやや明るい兆しも感じた。12年の世界のアルミ新地金需要は11年比7%増の4,800万dと見込まれ、その45%を占める中国の需要は2,170万dで9%増となる。第1回のフォーラムが開催された02年の中国のアルミ需要は425万dだったので、12年には5倍に増える。3,000万dが限界という説もあるが、しばらくは拡大基調が続こう」
「日本のアルミ需要は02年の395万dから06年に過去最高の450万dを記録したものの、現在の400万dに届かない水準にあり、基本的に横ばい、ないしは若干の右肩下がり基調で推移してきたことになる」
「アルミ協会は中・長期的なアルミの需要拡大を目指して、09年に『アルミニウム技術戦略ロードマップ』を策定。技術的な課題を実現することによって35年にはアルミの総需要を650万dに高める計画を立てている。幸いなことに科学技術振興機構による産学共創プログラムを活用して、業界のニーズにマッチした新しいアルミ合金の開発が行われている。さらに、もう一つの重要な柱である『アルミニウムリサイクル技術革新』についても、パイロットプラント建設が完了して良好な結果が出ている」
「協会は『アルミ産業中核人材育成講座』や『研究助成事業』などを通じて、将来を担う人材育成にも力を入れており、アルミ産業全体の底上げにつながると確信している。引き続き関係諸官庁や関係団体と連携しながらさまざまな課題に取り組んでいく考えである」
住生活G、セコムと包括的業務提携
LIXILニッタン127億円で譲渡
住生活グループは10日、セコムとの間で包括的業務提携を締結するとともに、連結子会社のLIXILニッタン(東京都渋谷区、板倉秀樹社長、資本金23億200万円)の発行済普通株式1,432万8,000株を100%セコムに譲渡する契約を締結したと発表した。株式譲渡は4月1日付けで実施し、譲渡金額は127億円。
住生活Gはセコムと提携することで、同社が保有する住設建材の商品・ブランド、多岐に渡る販売網やサービス体制と、セコムGの保有するセキュリティサービスのノウハウ、独自の研究・開発力、国内最多の緊急発進拠点からなるネットワークを融合することによるシナジー効果を狙う。
一方、LIXILニッタンはセコムの連結子会社である能美防災と共同で活動することで、セコムの防災事業の強化とLIXILニッタンの事業成長に有益であると判断した。
なお、業務提携のその他の内容については今後、両社で協議・検討し、具体化していく。
LIXILと中国のハイアールグループ
システムキッチンの生産合弁会社設立
LIXILは5日、ハイアールグループ(海爾集団、中国山東省青島、張瑞敏会長兼CEO)との生産合弁会社である「驪住海爾住建設施(リクシルハイアール・ハウジング・プロダクツ)(青島)有限公司」を11年12月31日付で設立したと発表した。同7月に合意して準備を進めてきたが、中国当局から認可が降りたもの。
新会社は資本金約25億4,200万円で、LIXILが51%出資した。今夏の稼働予定で、敷地面積3万8,789u、延床面積2万3,500uの工場を建設。これまでLIXILが培ってきた品質管理・生産技術・商品開発力を活かし、海爾集団が持つ販売ルートとLIXIL(中国)投資有限公司の販売ルート向けにシステムキッチンを生産する。月産能力は7,000セット。さらに、内装用ドアや収納などの塗装木製品や人工大理石、玄関ドア、住宅用サッシなど、順次生産品目を拡大する。
また、6月に営業を開始した海驪建築装飾設計(上海)有限公司との協力と、海爾集団の中国国内の物流拠点も活用、商品開発・製造・内装設計・販売・物流・施工の一貫した事業基盤を中国で構築する。
アルミニウム鍛造技術会が開催
筑波宇宙センター見学と技術講座
アルミニウム鍛造技術会は1月25日11〜17時、「23年度第2回見学会」と「第55回技術講座」を開催する。場所は筑波宇宙センター・産業技術総合研究所筑波東事業所。現地集合は10時40分。内容は▽筑波宇宙センター見学▽「産総研の産学連携活動、ものづくり支援ツールの紹介」(イノベーションコーディネータ尾崎浩一)▽講演:@多様な形状創生を目指す粉末からのチタン成形(清水透)A水環境下でのアルミニウムの摩擦摩耗特性」(日比裕子)Bグローバル生産時代における国内外の鍛造事情(篠崎吉太郎)▽産総研東事業所見学:@ロボットスピニング加工(荒井裕彦)Aマグネシウム成形性向上の試み(松崎邦男) 参加費は会員1万円、一般1万5,000円。申込みは「アルミニウム鍛造技術会第2回見学会・第55回技術講座申込み」と題記のうえ、@氏名A勤務先(名称、部課名)B連絡先(〒、住所、電話、FAX、E-mail)を書いて、E-mail:sa-rose@tcat.ne.jp、またはFAX 048-754-1948でアルミニウム鍛造技術会事務局まで。締め切りは1月16日(月)。
11月圧延品稼働率、81.2%
板類76.9%、押出類87.7%
日本アルミニウム協会によると、2011年11月のアルミ圧延品稼働率は81.2%となった。前年11月の89.3%に比べると8.1ポイントの低下。
内訳では板類の稼働率は76.9%で、1年前の92.2%からは15.3ポイントの大幅ダウン。生産能力が12万6,120d、5.0%増となった半面、生産量は9万7,019d、12.4%の2ケタ減であった。
一方、押出類の稼働率は87.7%。一昨年11月の85.2%比2.5ポイント上昇した。生産能力は8万4,702d、0.7%増となったものの、生産量が7万4,248d、3.6%増と伸びた。
11月Alサッシ出荷速報、1.7%増
住宅用0.2%増、ビル用4.0%増
2011年11月のアルミ建材生産・出荷速報(アルミ製室内建具を除く)によると、生産は2万7,691d、前年同月比7.7%増、出荷は3万2,070d、4.4%増となった。
このうち、サッシは生産が1万7,954d(6.8%増)、出荷が2万875(1.7%増)。内訳では住宅用の生産が9,499d(4.7%増)、出荷が1万2,043d(0.2%増)、ビル用の生産が8,455d(9.2%増)、出荷が8,832d(4.0%増)となった。
12年度経産省非鉄金属課関連等
当初政府予算額は47.5億円に
政府は11年12月26日、2012年度予算案を策定した。経済産業省製造産業局非鉄金属課、ファインセラミックス・ナノテクノロジー・材料戦略室の予算案は当初予算47.5億円と11年度第3次補正85.0億円(レアアース・レアメタル使用量削減・利用部品代替事業)および国内立地補助事業2,950億円の内数(高度部素材産業の国内立地支援)となった。ちなみに、11年度予算額は572.3億円(当初予算32.3億円+10年度補正540億円)であった。
12年度予算案の主要分野別内訳は以下の通り。このうち新規事業はレアアース・レアメタル関連の次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発20億円とナノテク材料関連の低炭素社会を実現する超軽量・高強度革新的融合材料プロジェクト3億円、ファインセラミックス関連の低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト4億円の27億円。
【レアアース・レアメタル関連】:113.25億円(11年度予算額547.46億円)@レアアース・レアメタル使用量削減・利用部品代替支援事業:85億円(11年度補正、補助)A次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発(12年度〜16年度委託、20億円・新規)B希少金属代替材料開発プロジェクト(07〜15年度、委託・補助)、希少金属(レアアース等)の代替材料・使用量削減技術開発・11年度補正8.2億円(127.42億円)
C国内ニッケル研究会分担金(04年度〜、分担金)0.05億円(0.05億円)。
【高度部素材関連・国内立地補助事業関連】:2,950億円の内数(11年度補正、補助)
【超電導・電力材料関連】:高温超電導ケーブル実証プロジェクト(07〜12年度、補助):3.2億円(11年度予算額3.2億円)
【ナノテクノロジー材料関連】:11.18億円(同16.74億円)@低炭素社会を実現する超軽量・高強度革新的融合材料プロジェクト(12〜16年度、委託・補助):技術振興課とりまとめ28.34億円のうち非鉄課分3億円(新規)。炭素由来の革新的機能物質(グラフェンなど)の大量合成技術、および既存材料との融合技術開発を通して、超軽量・高強度な新機能材料を開発する。Aイノベーション実用化助成事業/ナノテクノロジー関連(00年度〜、委託・補助):技術振興課とりまとめ28.34億円のうち非鉄課分8.18億円(同13.73億円)
【ファインセラミックス関連】:4.84億円(4.90億円)
@低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト(12〜16年度、委託)研究開発課とりまとめ19.40億円のうち非鉄課分4.00億円(新規)。
A革新的省エネセラミックス製造技術開発(09〜13年度、委託・補助):0.84億円(同3.10億円)。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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