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NO.2099(2012年9月10日号)
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11年度のアルミ箔7社別生産
東洋ア・東海ア箔シェア31.5%
住軽箔・日箔・サンが生産2ケタ減
11年度のアルミ製箔7社の生産実績がまとまった。日本アルミニウム協会統計によると総生産量は11万1,795d、前年度8.2%減とコンデンサ用の大幅落ち込みで2年ぶりのマイナスとなった。各社別生産では東洋アルミが首位を堅持、シェアを1.2ポイント伸ばした。
このデータはアルミ製箔7社を対象とした本誌のアンケート調査で明らかになった(一部推定)。各社別生産実績は次頁・表の通り。
日本アルミ協会統計では11年度のアルミ箔出荷量は10万9,830d、前年度比9.0%減と2年ぶりのマイナスとなった。構成比31%のコンデンサ向けが3万4,156d、20.7%減と3年ぶりに前年度実績を下回った。薄型テレビなど家電製品の販売減、コンデンサメーカーの在庫調整が影響した。食料品も3万1,340d、3.0%減と2年ぶりのマイナスを記録。インスタントおよびレトルト食品メーカーの在庫調整および輸入品増加などが響いた。
各社別の生産では引き続きトップは日本軽金属100%子会社の東洋アルミニウムで、生産量は2万5,733d、前年度比3.1%のマイナス。シェアは23.0%と1.2ポイント伸ばした。業界第3位の電解コンデンサ用箔は下期以降、需要先の在庫調整の影響を受け前年度を大幅に下回った。一方、月産500d規模のLIB(リチウムイオン電池)の外装用プレーン箔が大きく伸びたほか、医薬品の包材向けも好調に推移した。また、東洋アルミ100%子会社の東海アルミ箔の生産量は9,499dと、前年度並みを確保。シェアは8.5%と、0.7ポイントアップした。東洋アルミとは「棲み分け」による効率的な生産体制を構築しており、両社合計の生産量は3万5,232dと、前年度の3万6,044dに比べ2.3%減少。シェアは31.5%と10年度の29.6%から0.9ポイント増やした。
第2位は昭和電工。生産量は1万9,000d、前年度比9.5%のマイナス。国内トップのコンデンサ用高純度箔は中国市場向け輸出の落ち込みも響いたが、シェアは17.0%と0.2ポイントの低下にとどめた。高純度箔将来を見据えた国内拠点の増強と中国での新工場建設は計画通り進捗しており、生産能力は現在の月産2,000dから13年に3,000dに引き上げられる。
第3位は住軽アルミ箔。生産量は1万7,670d、11.7%の2ケタのマイナスとなった。シェアも0.6ポイント低下の15.8%に。国内2位のコンデンサ用は厳しい状況が続いているものの、LIB用はスリッターの2号機増設を行うなど、好調が続いている。
第4位は三菱アルミニウムで、シェアは14.2%と0.4ポイントアップ。構成比23%のコンデンサ用は減少したものの、28%を占める食品向け軟包装材が小幅の落ち込みにとどまった。
第5位は古河スカイ100%子会社の日本製箔。LIB用正極材で強みを持つが、生産量は1万3,558d、13.0%減。シェアは昨年に比べ0.7ポイント低い12.1%となった。ただ13年10月に予定されている古河スカイと住友軽金属の合併が実現すれば、グループシェアは29%と2位に躍り出る。
また、サン・アルミニウム工業の生産量は1万516d、14.4%減と7社中最大の落ち込み。シェアも9.4%と0.7%ポイント低下した。しかし今年10月1日付で東洋アルミの100%子会社となることで、東洋アルミグループのシェアは40%超と断トツの1位で、来年度以降の業界勢力図は様変わりとなる。
7月二次地金・合金出荷、7.0万d
前年比5.2%増、ダイ向け2.7%増
日本アルミニウム合金協会が発表した7月のアルミ二次地金・同合金地金需給統計によると、生産が7万432d、前年同月比4.1%増、出荷が7万322d、5.2%増となった。いずれもプラスは5ヵ月連続。生産・出荷の7万d台は、2011年10月(生産7万3,351d、出荷7万2,872d)以来9ヵ月ぶりのこと。また、2年前の2010年7月(生産7万356d、出荷7万884d)と比較すると、生産が100.1%、出荷が99.2%とほぼ同水準に回復した。
部門別出荷では鋳物、ダイカスト向けはそれぞれ6.3%、2.7%増加。押出、鉄鋼向けも22.0%、41.4%の大幅な伸び率となった。一方、板向けは2.2%のマイナスとなった。
7月の圧延品稼働率、82.8%
板類84.8%、押出類79.8%
日本アルミニウム協会によると、7月のアルミニウム圧延品生産稼働率は82.8%となり、前年同月の82.5%に比べ0.3ポイント上昇した。
内訳では、板類の稼働率は84.8%で、1年前の85.2%からは0.4ポイントダウン。生産能力が12万4,920d、前年同月比1.0%減となったものの、生産量も10万5,960d、1.4%落ち込んだ。一方、押出類の稼働率は79.8%。昨年7月の78.4%比1.5ポイントアップした。生産能力は8万7,677d、3.8%増となったが、生産量はこれを上回る5.7%増の7万3dと好調であった。
東洋ア、サン・アルミ子会社化
新社名は「東洋アルミ千葉」に
東洋アルミニウム(山本博社長)は8月31日、神戸製鋼所との間で、同社子会社のサン・アルミニウム工業(千葉市稲毛区)の発行済み全株式を10月1日付けで東洋アルミグループが譲り受ける株式譲渡契約を締結したと発表した。
サン・アルミ子会社化は3月1日に発表していたもので、@グローバル競争に耐えうるコスト競争力の強化、A生産設備の効率的な活用による生産性の向上、B生産のリスク分散による安定供給対応力の向上を目的としている。
なお、株式譲渡に伴い、サン・アルミニウム工業は商号「東洋アルミ千葉株式会社」に変更。さらに、東洋アルミ常務執行役員の田中浩氏が代表取締役社長に就任する。
【田中浩(たなか・ひろし)氏の略歴】1953年7月29日生。76年4月東洋アルミにム入社、2005年4月人事部長(現任)、07年6月理事、08年6月上席執行役員、12年6月常務執行役員。
【サン・アルミニウム工業の概要】設立:61年10月16日▽資本金:5億6,000万円、神戸製鋼所95.3%、アルコニックス4.7%出資(2012年3月末)▽売上高:76億7,400万円(同)▽従業員数:175名(同)。
7月Alサッシ出荷速報、0.1%増
住宅用4.6%減、ビル用7.3%増
日本サッシ協会がまとめた経済産業省の7月の窯業・建材統計によると、アルミサッシの生産は1万5,803d、前年同月比1.3%減、出荷は1万9,509d、0.1%増となった。
内訳では、住宅用は生産が7,987d、11.1%減、出荷が1万1,236d、4.6%減、ビル用は生産が7,816d、11.2%増、出荷が8,273d、7.3%増と明暗が分かれた。
日本軽金属HD、10月1日設立・新規上場
日本軽金属は3日、10月1日に設立予定の純粋持株会社「日本軽金属ホールディングス(HD)株式会社」が東京証券取引所および大阪証券取引所の市場一部への新規上場が承認されたと発表した。
日本軽金属HDの設立に伴い、同社の完全子会社となる日本軽金属株式は9月26日付で上場廃止となり、10月1日付で日本軽金属HDは東京・大阪両市場に上場する。証券コードは5703、銘柄略称は日軽金HD、売買単位は100株。
LIXILの希望退職者募集
当初見込み倍の1,884名が応募
LIXILグループは4日、7月9日に公表した子会社LIXILの希望退職者募集の結果を発表した。8月20日から8月31日までの期間で900名程度を目標に募集したが、現時点で倍の1,884名の応募があった。
同社は今回の希望退職者募集について、「当初の募集人員を大きく上回る結果となったが、子会社24社を含む応募人員数であり、正社員総数に対しては約8%の割合のため、営業・生産活動への大きな影響はない」としたうえで、「現行業務を見直して生産性を高め、強い企業体質、スリムでパワフルな組織の実現を目指す」と述べた。
文化シヤが「止めピタ」新発売
シャッタータイプの簡易型止水
文化シヤッターは3日、簡易型止水シート「止めピタ」を新発売した。ゲリラ豪雨など集中豪雨による建物への浸水被害を防ぐため、建物の開口部に設けられたシャッターに設置する。販売は首都圏及び九州・福岡地区からスタートし、順次全国に拡大していく。
従来の土のうは1つの重量が約25sと重く、設置に手間と時間がかかるほか、止水性能が低く、保管にも場所をとっていた。それに対して、「止めピタ」は@5分で簡単かつスピード設置可能、A重さは最小5s、最大20s、間口サイズが2.5mで約10sと軽量、B収納がコンパクトで持ち運びが容易、C止水性能は漏水量が200リットル/h・u以下と、土のう使用時に比べて約10倍以上の止水性能を発揮する。
価格は(開口幅3m、止水高さ0.5m)で「軽量シャッター」に設置する場合は23万1,000円、重量シャッターに設置する場合は22万7,000円。初年度1億円の販売を見込む。
サッシ協、シャ・ドア協など開催
スチールドア契約適正化研修会
日本サッシ協会、日本シヤッター・ドア協会及びカーテンウォール・防火開口部協会の3団体は契約適正化活動の一環として、「平成24年度スチールドア契約適正化全国研修会」を全国11会場で開講する。
研修会の内容は@法令に関する事項A積算事例集に基づく積算研修Bロックの知識C工事見積条件の明確化についてD契約適正化の推進。
受講対象は3団体の会員及び、非会員のスチールドアメーカーを含め営業・積算・設計・製造管理・施工管理担当や、関連する流通関係の従事者。
開催場所/月・日は@札幌/10月19日A仙台/16日B東京/15日Cさいたま/25日D金沢/19日E名古屋/19日F大阪/24日G広島/24日H高松/25日I福岡/24日J沖縄/19日。参加申し込みは各協会の事務局に。
特殊技研金属が開発、10月発売
太陽追尾式PV一体型アルミ採光装置
発電量2倍PV+蓄電器、市価の1/2
オーダー型アルミ製トップライト最大手でベンチャーの特殊技研金属(千葉県旭市鎌敷、山佳由紀社長)はこのほど、本社第二工場に記者団を招き、10月から本格販売する太陽自動追尾式の太陽電池・蓄電池一体型アルミ製トップライトとPV一体型の蓄電器システムを披露した。ともに国内初の製品という。部材から部品まで自社生産できるので極めて低価格で提供できるのが大きな特徴。以下各製品の概要と要旨。
アルミ製トップライトは「Tokteck Sun(トクテックサン)シリーズ」と名付けた3機種がある。「SUN-Xサンクロス」は森ビル系のラフォーレエンジニアリングと共同開発したもので、太陽自動追尾装置付き採光設備と太陽電池・蓄電器・LED照明・自動換気システムを一体化したアルミ製トップライト。1セットで採光・発電・蓄電・換気・照明が可能な「究極の24時間ECO」を実現した。すなわちトップライトの四角錘の頂上部に設置した太陽追尾式採光装置から、ミラーダクトユニットを通して部屋内に効率よく自然光を取り込む。同時に底部1辺が3mの四角錘型アルミ製トップライトのガラス部に太陽電池を装着、発電を行うとともに室内の蓄電器に蓄電し、換気装置や夜間にはLED照明の電源として活用する。
「SUN-Aエース」は太陽自動追尾システムを組み込んだトップライトで、日の出から日の入りまで常に室内に安定した光を取り込む自然光採光装置。特徴は30分耐火試験仕様のため屋根に直に設置できることで、この種の製品で屋根直付け型は国内初。
「SUN-Tテラス」は「SUN-A」と同形で曲面ミラーによる採光装置。30分耐火仕様でないため屋外設置式となっている。この種の製品はトップライト数社が保有するが、価格的に割安という。
一方、蓄電器システムは太陽自動追尾式のためソーラーパネルが常に太陽と最適角度で向き合う「SB-3000ソーラー追尾式蓄電器」1機種と、商用電源から充電する一般的な「B-2000蓄電器」「B-4000蓄電器」2機種がある。ともに種類は鉛蓄電器で独立電源として使用する。太陽追尾型はメガソーラーでは採用例があるものの、小型の家庭用・業務用では国内初めてという。
「ソーラー追尾式」は日の出から日没まで太陽の方位・高度を自動追尾して太陽電池パネルが太陽に対して最適角度に向く、太陽電池・蓄電器一体型独立電源システム。固定型に対し発電量は2倍に達する高効率がセールスポイント。太陽電池パネルや蓄電器は増設でき、容量増がほぼ2倍まで可能。
「B-2000蓄電器」と「B-4000蓄電器」は商用電源から充電する独立型電源。特徴は同業他社製品の約1/2という廉価な上代価格設定。ちなみに上代価格は「B-2000」が1セット59.5万円容量単価kWh当り換算20万6,597円、「B-4000」が同97.2万円、同16万8,750円。
こうした低価格を実現できたのは、自社に最新鋭の金属加工工場を保有し、部品・部材・組立・加工を自社生産できること、太陽電池パネルなど調達品は高品質の海外品を割安に輸入手当てすることなどによるという。発売に先駆けて県庁や市町村など自治体、関連企業などにパンフレットを配布したところ、問合せが殺到しているという。特に東日本大震災の被災地が関心が高い。主要製品は9月19〜21日、東京ビッグサイトで開催する「電気自動車開発技術展2012、EVEXスマートプロダクツ展」で一般公開する。
住軽金の組織改正と人事異動
(9月1日)【組織改正】2013年10月1日に予定している古河スカイとの経営統合の準備を一元的に進めるための専任部署として管理本部に事業企画部を新設【人事異動】<管理本部>同本部長付兼事業企画部、併せて住軽テクノ事務従事、高添聡▽事業企画部長兼企画管理部担当部長、小林康之▽同担当部長兼経理部担当部長・総務部CSR推進室、川島輝夫▽企画管理部長兼事業企画部長、今泉明人▽経理部長兼内部統制推進部・事業企画部、坂上淳▽総務部長兼事業企画部、中村雅人▽システム部長兼内部統制推進部・事業企画部、湯澤茂樹▽人事部長兼事業企画部、鎌田俊一<営業本部>商務部長兼管理本部長付・管理本部事業企画部、種岡瑞穂<生産本部>技術部長兼管理本部事業企画部、神鳥基哉
LIXILショールーム高松がオープン
LIXILは8月31日、「LIXILショールーム高松」(香川県高松市今里町11-1)をオープンした。
展示面積は約1,000uと住設メーカーでは香川県内最大級。主な展示商品はキッチン10台、バスルーム8台、トイレ12台、洗面化粧台10台、窓27セット、玄関ドア26本、室内ドア42本、ガーデンルーム3セット、門扉35本、カーポート4台、他、タイル、外壁材など。家づくりのイメージを膨らませやすいよう実際に住んでいるような感覚で商品を確認できる空間展示を充実。
さらに、長い日照時間を持つ県の特性に合わせて、ソーラーパネルを使った最新の住まいづくりの提案も行っている。また同社ショールームとして四国エリアで初めて、屋上に設置したソーラーパネルで発電した電力を利用、建物全体の省エネ化を狙った。年間2万1,600組(月間1,800組)の来場者を見込んでいる。
上期のアルミホイール国内生産
601万個・37%増、輸入350万個
日本アルミニウム協会・車輪委員会がまとめたメーカー13社の自主統計によると、2012暦年上期のアルミホイールの国内生産量は600万7,063個で、東日本大震災の影響を受けた前年同期に比べて36.5%増となった。また、輸入(国内海外現地子会社及び協力工場からの輸入分)は349万6,493個、77.5%増で、供給量合計は950万3,356個(49.2%増)となった。輸入品比率は36.8%で、昨年上期の30.9%に比べ5.9ポイントアップした。種類別では乗用車用が37.9%増となった反面、二輪車用は19.3%のマイナス。
販売は972万1,249個(54.2%増)となったが、二輪車用は23.8%減と不調であった。
古河スカイと住軽金が合併
年産123万d超、世界No.3に
国内需要減、海外の競争激化に対応
古河スカイ(岡田満社長)と住友軽金属工業(山内重コ社長)は8月29日、10月1日付で経営統合することで基本合意に達したと発表した。統合形式は古河スカイを存続会社とする合併とし、合併比率は古河スカイ1、住友軽金属0.346。住軽金1株に古河スカイ0.346株を割り当てる。13年4月に合併契約を締結、公正取引委員会など国内外の関係当局の承認、許認可の取得及び両社の株主総会の承認などを経て統合を実現する。商号は両社協議のうえ、社名を決定、本店所在地も新たに決定する。合併会社の経営体制では代表取締役会長に住軽金の山内氏、代表取締役社長に古河スカイの岡田氏がそれぞれ就任するとともに、一定期間両氏が共同CEOを務める。
両社首脳は同日記者会見し、経営統合の目的はは「世界的な競争力を持つアルミニウムメジャー会社になること」と強調。経営統合に踏み切る背景には国内におけるアルミ圧延品需要の減少と、東アジア地域における競争の激化という厳しい経営環境があると述べた。
国内では人口減少・高齢化などで最終需要が減少しているほか、ユーザーの海外への生産シフトにより生産財需要も縮小。一方、今後の成長市場とされる東アジアでは海外アルミ圧延メジャーの攻勢に加え、韓国、中国など大規模な生産能力を持つ新興圧延メーカーが台頭、さらなる設備増強も計画されている。
こうした厳しい経営環境に対応し、さらなる成長への足掛かりを得るために、「経営資源の効率的活用とスケールメリット確保によるコスト構造の改善が必要だが、1社単独では困難」(山内社長)。さらに、経営統合により、海外のアルミメジャーや、東アジアでの新興アルミ圧延会社との熾烈な競争に対抗可能な事業基盤の大幅強化やシナジー効果を創出することが可能になるとした。 両社は合併後、総力を結集して、グローバル市場でも戦えるコスト競争力、技術力・開発力・品質対応力の相乗効果による顧客ニーズへの対応力を強化。最高品質の製品をグローバルに供給出来る体制を構築する。
世界のアルミ板年産能力ではトップのアルコアが300万d、第2位のノベリスが250万dと断トツに大きい。これに対して古河スカイは41.2万dで第8位、住軽金が33.8万dで第12位。統合後はこの75万dに加え、昨年両社で買収した米TAAの32万d、古河スカイがタイで建設中の新工場の11.5万dなどの海外拠点を加えると123.1万dと、第3位に一気に浮上。「グローバルな供給体制を構築してスケールメリットを追求して世界的な競争力を持つアルミメジャー会社になることが可能」(岡田社長)。
両社は缶材、包装材料、箔地など共通した製品群の他、住軽金はコンデンサ用箔、エアコン用フィンなどが特意。さらに、古河スカイはLNGのタンク材や半導体製造装置用厚板材に強いなど、補完可能なさまざまな技術を持ち、事業領域の拡大による多様な顧客ニーズに対応。「グルーバル市場に対して最高品質の製品や、ボリュームゾーンに対して適切な品質・適切なコストで供給できるような分厚いネットワークを作っていく」(岡田社長)。
なお、11年度の国内アルミ板生産量は117.8万dで、古河スカイ、住軽金のシェアはそれぞれ31%、27%と、1位、2位を占め、両社統合後は58%を超える。板に押出の81.2万dを加えた圧延品全体でのシェアは古河スカイが20%、住軽金18%で、合併後は38%超となる。
以下、記者会見における主な質疑応答。
─両社の大株主である新日鉄、住金は10月に統合を控えているが、今回の合併に影響したか。
山内「影響はまったくなく、別の話である」
─合併合意に至る経緯は。
山内「具体的な検討を開始したのは昨年の10月だが、米TAAの共同買収の話を進めていたなかで、『このままでは難しくなりますよ』という将来への危機感を共有していることが分かった」
岡田「ここ数年間、国内での構造改革に加え、古河スカイとして単独で海外展開を進めてきたが、海外で出てみて初めて、現状の厳しさを強く感じ、危機意識を持つようになった。もともとアルミ産業というのはたくさんの会社があり、単独での事業展開は難しいという認識は両社とも持っていた。北米のTAAの話が出て、さまざまな状況を考えることでき、信頼関係なども含めて住軽金と話を進めていきたいと考えるようになった」
─危機感の具体的な中身は。
山内「国内需要が減少、とくにユーザーが海外に随分と生産を移しつつある。一方で、日本は素材だけでなく、完成品の輸入も増加するとともに、海外の日系ユーザーは従来日本から輸入していたのを現地調達に切り替えるなどの動きが加速。このままでは生き残るのさえ危ういと感じた」
─100万d超という数字の意味は。
山内「100万dにこだわっているわけではないが、日本企業の生産量はいかにも小さく、ひしめき過ぎている現状がある。合併・統合することで『最適生産地』の選択肢が増え、スケールメリットとともにコスト構造を変えることができる」
岡田「新会社は量を追うだけではないが、100万dプレーヤーになることでいろいろな面でメリットが出てくる」
─独禁当局への申請は。圧延品では40%近い国内シェアになるが…。
岡田「国内シェアが問題になる分野もあるが、とくに東アジアにおいて日本のシェアは非常に低くて、100万dを超えても世界でのシェアはせいぜい5%。そういった事実を踏まえて関係当局は合併承認の申請を受理していただきたい」
山内「シェアは、どういう地域、どういう製品単位でとらえるかでいろいろな見方が出来るが、当然ながら公取委などの見方に合わせていく」
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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