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NO.2103(2012年10月8日号)
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アルミ関連企業の海外拠点数
首位は中国124、2位はタイ63
ASEAN諸国で145・構成比42%
本誌はこのほど、アルミ関連企業(一部、マグネ関連)の海外進出状況を調査した。9月末時点での進出企業数(計画も含む)は123社。過去に行った調査では1995年が54社、2002年が99社で、この10年間に海外への進出に一段と拍車がかかった。
海外進出を果たしているアルミ関連企業123社の国別内訳は8頁・表の通り。これらの企業が設けた生産工場など、海外拠点数は合計で349ヵ所。国別内訳(次頁・表)を見ると、中国が124ヵ所(構成比35.5%)と圧倒的に多く、以下タイ63ヵ所(18.1%)、米国35ヵ所(10.0%)、インドネシア22ヵ所(6.3%)、ベトナム22ヵ所(同)、マレーシア20ヵ所(5.7%)、フィリピン13ヵ所(3.7%)と続く。その中で、製造・物流拠点としてアジア経済の「ハブ」となり、20年後には人口7億人の大消費市場になると期待されているASEAN諸国では145ヵ所に進出、全体の41.5%を占めている。
業種別拠点数ではダイカストが91ヵ所、構成比26.0%と最も多い。自動車メーカーの現地生産化拡大に伴い、鋳物(20ヵ所・5.7%)、二次合金(32ヵ所・9.2%)、アルミホイール(26ヵ所・7.4%)、鍛造(25ヵ所・7.2%)など関連部材の海外生産拠点が増加している。表面処理は14ヵ所に拠点を設けているが、ベトナムが4ヵ所とトップ。また、37ヵ所に拠点がある押出に比べて、海外展開が出遅れていた板圧延分野では日軽金100%子会社のニッケイ・サイアム・アルミはこの10月に冷間圧延機を増設、年産能力を2倍強の3.8万dに引き上げたほか、神戸製鋼は中国・内モンゴル自治区に自動車材・缶材などのアルミ板材の生産会社を13年1月に設立、15年に生産を開始する予定。古河スカイはタイで年産18万dのアルミ板一貫工場の建設を進めているほか、合併予定の住軽金とともに米缶材メーカーTAAを買収するなど、中国、アジアなど新興国を始めとするグローバル市場での展開が加速。建材各社も中国の8ヵ所を筆頭に、ベトナム2ヵ所、タイ、インドネシア各1ヵ所など18ヵ所に進出、海外需要の取り込みに注力しつつある。
なお、「アルミ関連企業の海外進出状況」の詳細は、弊社月刊誌『アルトピア』9月号特集の「アルミニウム情報ファイル2012」に掲載されている。
8月の圧延品出荷、3.8%減
板類4.0%減、押出類3.4%減
日本アルミニウム協会が発表した8月のアルミ圧延品生産・出荷統計によると、板類は生産が8万2,444d(前年同月比7.2%減)、出荷が8万7,027d(4.0%減)となった。マイナスは生産が4ヵ月連続、出荷が15ヵ月連続。
出荷では缶材が3万3,058d・1.2%減で、5ヵ月連続の前年同月を下回った。8月のビール系飲料の出荷量は5年ぶりにプラスとなったものの、スチール缶の需要減に伴う蓋材の減少が響いた。 自動車向けも1万869d・2.3%減。8月の新車販売台数は前年同月比12.4%増となったが、流通段階の在庫調整により8ヵ月ぶりのマイナスとなった。輸出も1万1,279d・13.6%減で、東南アジア向けを中心に3ヵ月連続で落ち込んだ。
押出類は生産が6万1,576d(2.6%減)、出荷が6万1,811d(3.4%減)となった。マイナスは生産が11ヵ月ぶり、出荷が13ヵ月ぶり。
建設向けは3万8,728d・2.8%減。7月の着工戸数が9.6%減となり、25ヵ月ぶりのマイナスを記録した。自動車向けも1万90d・4.4%減と、13ヵ月ぶりのマイナス。
板類と押出類の合計では生産が14万4,020d(5.3%減)、出荷が14万8,838d(3.8%減)。
箔出荷23.8%減、コンデンサー49.6%減
箔は生産が7,230d(27.0%減)、出荷が7,274d(23.8%減)。マイナスは生産が12ヵ月連続、出荷が11ヵ月連続。コンデンサー向けは1,640d・49.6%減。薄型テレビ、パソコンなど家電製品の販売減(8月の薄型テレビ出荷台数は68.5%減)、海外での現地調達増加などにより11ヵ月連続でのマイナス。食料品も2,237d・12.2%減。インスタント・レトルト食品の包装資材メーカーの在庫調整などにより12ヵ月連続で前年実績を下回った。
8月二次地金・合金出荷、6.1万d
前年比1.4%減、ダイ向け2.6%減
日本アルミニウム合金協会が発表した8月のアルミ二次合金・同合金地金需給統計によると、生産は5万9,938d・前年同月比1.5%増、出荷は6万713d・1.4%減となった。生産のプラスは6ヵ月連続、出荷のマイナスは6ヵ月ぶり。また生産の5万d台は11年8月の5万9,030d以来1年ぶりだが、前月比では14.9%減と落ち込んだ。2年前の10年8月(生産5万9,524d、出荷6万1,031d)比では生産は100.7%、出荷は99.5%とほぼ同水準にとどまった。
部門別では鋳物、ダイカスト、板向けは前年同月を下回ったものの、押出、鉄鋼、合金地金メーカー向けはプラスを記録した。
東京アルミ線材13年9月末解散
昭電ほか、電線4社が各17%出資
昭和電工は2日、同社関連会社の東京アルミ線材(東京都港区芝大門1-13-9、島津敬社長)が13年9月30日付けで解散する方針を決定したと発表した。
同社は1965年4月の設立。資本金は2億5,000万円で、出資比率は昭和電工、フジクラ、日立電線、昭和電線ケーブルシステム、古河電工5社が各17%、東京電力13%、関電工2%。
アルミ電線用荒引線の生産・販売を行ってきたが、アルミ電線の需要低迷が今後も長期にわたって継続すると予想されることから、解散を決議した。13年12月末で清算を完了する。
なお、昭電の持分法適用の関連会社だが、清算に伴う同社業績に与える影響は軽微としている。
8月Alサッシ出荷速報、8.1%減
経済産業省の窯業・建材統計速報によると、8月のアルミサッシ生産は1万4,898d、前年同月比7.7%減、出荷は1万8,114d、8.1%減となった。
内訳は住宅用の生産が7,588d・12.8%減、出荷が1万324d・10.6%減。ビル用は生産が1.7%減、出荷が4.7%減となった。
神鋼アルミ・銅の通期連結経常利益
10億下振れ、IT・半導体向け低迷
神戸製鋼所は9月27日、2013年3月期連結業績予想を下方修正した。
アルミ・銅事業部門の上期は売上高1,400億円(前年同期1,553億円)、経常利益10億円(70億円)で前回予想から変わらないが、下期売上高は予想の1,300億円(前年同期実績1,346億円)を下回り、経常利益は予想の40億円(9億円の欠損)から10億円少ない30億円となる。通期では前期60億円比33.3%減の40億円の予想。IT・半導体向け需要低迷の長期化などによりアルミ圧延品の販売数量が想定を下回ることが主因。
昭和電工がマレーシアに工場新設
アルミ連続鋳造棒「ショウティック」
昭和電工は9月28日、アルミニウム鋳鍛造事業(ショウティック事業)でアルミ鋳造工場をマレーシア・ジョホール州に新設すると発表した。今年から工場建設に向けた準備作業に入り、2014年秋に量産を開始する予定。
新設する会社は「ショウティック・マレーシアSdn.Bhd」。資本金は12億円の予定で、昭和電工が100%出資する。3万5,000uの敷地にアルミ連続鋳造棒および切断材の工場を建設する。従業員は当初約70人を予定。生産は月800dで立ち上げる。投資額は20億円強。
同社は独自に開発した連続鋳造法により微細かつ均一な組織構造を持つアルミ連続鋳造棒「ショウティック」と、それを素材とした強度・耐磨耗性・低熱膨張率などの優れた特性を有するアルミ鍛造品をショウティック事業として展開。アルミ鍛造品は自動車空調用コンプレッサーやエンジンピストン、サスペンションの部品として使用されているほか、アルミ鋳造棒は鍛造品の素材として販売している。
現在、喜多方事業所(福島県喜多方市)において鋳造から鍛造までの一貫生産を行っており、生産能力は素材と鍛造品を合わせて月2,500d。さらに、ポルトガルおよびシンガポールで鍛造品を生産している。
自動車市場は新興国を中心に今後も伸長、16年にはASEAN、インド、中国での生産が世界の約3割を占めると予想されている。同社の主要ユーザーもこれらの地域で生産能力を増強することが見込まれるため、マーレシアに新たに鋳造拠点を設けることにした。
古河スカイのタイ・アルミ板工場
第二期投資、15年3月に年産18万d
古河スカイは9月27日、タイのラヨン県アマタシティ工業団地内に建設中のアルミ板圧延工場の第二期投資を決定したと発表した。
第一期投資では上工程を停止する日光工場から冷間圧延機2基を移設して冷延以降のラインを建設、生産能力は年間6万dで14年1月から営業運転を開始する。投資額は約130億円。第二期投資では溶解・鋳造設備、熱間圧延機、冷間圧延機、仕上げ設備などを増設、上工程から下工程までの一貫生産ラインを構築する。
主要設備である熱間圧延ラインは2013年2月の着工、15年3月の稼働開始を予定しており、生産能力は年間18万d。第一期と合わせた投資総額は500億円強となる見込み。工場建設資金は自己資金を中心に、必要に応じて金融機関などから調達する。
なお、アルミ板圧延事業を運営するタイの100%子会社であるフルカワ・スカイ・アルミナム・タイランドは投資金額の一部について古河スカイ出資で24億4,000万バーツ(約64.5億円)の増資を行う。
日本貿易保険が3億jの貸付保険
ベトナムのアルミナ精製プラント
日本貿易保険は1日、ベトナム最大の国営石炭鉱産物公社であるビナコミン社(Vinacomin)の「ボーキサイト採鉱・アルミナ精製プロジュクト」向け融資について海外事業資金貸付保険の引受を行うと発表した。同融資はシティバンク、みずほコーポレート銀行、三井住友信託銀行、三菱東京UFJ銀行が供与するもの。保険価額は3億米jで、保険責任期間は13年。
ビナコミン社のプロジェクトはベトナムのラムドン省にボーキサイトからのアルミナ精製プラントを建設するもの。生産されるアルミナは年産約60万〜65万dで、そのうち16万〜18万dを丸紅が購入権を有する基本契約を締結している。
トステムタイ、洪水被害で保険金一部受領
LIXILグループは9月27日、連結子会社であるトステムタイが昨年10月のタイの洪水による損害に対する保険金の一部である35億バーツ(約90億円)を受領したと発表した。同保険金額は2013年3月期上期連結決算で特別利益として計上する。連結業績予想については業況などを勘案して利益の見極めを行い、確定した段階で発表する。
なお、タイ洪水被害による損害額は12年3月期計上分で211億8,900万円、13年3月期第1四半期計上分で12億6,000万円。これに対する最終的な保険金額はまだ確定していないという。
阪和興業が株式97%取得で合意
製鋼用Al脱酸材の正起金属加工
阪和興業はこのほど、製鋼用アルミ脱酸材製造・販売の正起金属加工(大阪市西淀川区、杉田裕彦社長)に資本参加したと発表した。10月1日付けで株式の15%、2014年9月30日付けで82%の合計97%を取得する。正起金属加工の社名は変更せず、従業員を引き継ぎ、現本社を継続して拠点とする。また、14年9月30日までは杉田裕彦氏が社長を務めるが、阪和興業の佐藤厚志氏(前非鉄金属第一部長)が取締役に就任する。
同社は昭和25年12月の設立。使用済みアルミ缶のCAN TO TO事業、製鋼用アルミ脱酸材の製造など、アルミの再生溶解事業に携わり、11年9月期売上高は63億円。杉田社長は今年で65歳の誕生日を迎えたが、「後継者問題」から取引関係にある阪和興業に株式を譲渡し、全面的に経営を移管することにした。
軽金属学会7賞の受賞者決定
小山田記念賞は三菱アルミ他
軽金属学会は9月27日開催の第11回理事会で、「軽金属学会7賞」の受賞者を決定した。「小山田記念賞」には三菱アルミニウム・ユニバーサル製缶の「ノンクロム下地Super-Ecoatを用いたアルミニウムボトル缶キャップの実用化」が選ばれた。その他、「軽金属論文賞」「軽金属論文新人賞」「高橋記念賞」「軽金属躍進賞」「軽金属奨励賞」「軽金属未来女性賞」の各賞を次の通り選んだ。
【第47回小山田記念賞】「ノンクロム下地Super-Ecoatを用いたアルミニウムボトル缶キャップの実用化」(三菱アルミニウム・山口恵太郎・山本正博/ユニバーサル製缶・井田宗孝・花房泰浩・武藤英泰:電解により無孔質の5〜150nm厚さの薄膜をアルミニウム表面に生長させるプロセスで、皮膜成分の耐環境性はもとより、その製造時排水処理上の問題がないのが特長である。加えて、適確な活性層の形成付与により、塗膜の密着性や耐食性は従来プロセスを上回る非常に優れた特性を有する独創的技術である。同プロセスをベースに塗装したアルミボトル缶キャップは塗膜安定性に加え、キャップ内の2層シートタイプのライナーの構成及び構造ゆえ密着性・開栓性など優れた特長を有し、05年の上市以降、11年には販売が約4億5,000万缶にまで拡大している。今後は飲料缶分野のみならず我々の生活空間及び電子電気関係などすべての分野に適用が期待される。
【平成24年度軽金属論文賞】「7N01アルミニウム合金の時効特性に及ぼす化学成分の影響」(住友軽金属工業・箕田正・吉田英雄)▽Al-Mg-Si系合金の再結晶集合組織形成に及ぼす冷間圧延率の影響」(古河スカイ・竹田博貴・日比野旭/新日本製鐵・高田健)▽「異方性降伏関数を用いたアルミ合金板の液圧バルジ成形シミュレーションと実験検証」(東京農工大学・彌永大作・桑原利彦/住友軽金属工業・上間直幸・浅野峰生)。
【平成24年度軽金属論文新人賞】「半溶融および半凝固状態のAl-Mg系合金の力学特性の比較」(早稲田大学大学院生・現いすゞ自動車・座間淳志)▽「異方性降伏関数を用いたアルミ合金板の液圧バルジ成形シミュレーションと実験検証」(東京農工大学大学院・彌永大作)
【第35回高橋記念賞】古河スカイ・神山達也▽住友軽金属工業・竹添義久▽広島アルミニウム工業・藤井裕喜▽昭和電工堺アルミ・和田修治。
【第11回軽金属躍進賞】豊田中央研究所・倉本繁▽神戸製鋼・服部伸郎▽大阪大学・堀川敬太郎。【第30回軽金属奨励賞】「アルミニウム中の水素の挙動に関する基礎的研究、およびAl-Si合金ろうの流動挙動に関する研究」(神戸製鋼所・泉孝裕)▽「アルミニウム合金の腐食挙動解析および防食設計」(古河スカイ・大谷良行)▽「アルミニウム合金の固液共存域における変形挙動の解析」(住友軽金属工業・坂口信人)。
【第4回軽金属女性未来賞】兵庫県立大学・三浦永理。
三協マテ、産業用への対応強化
「太陽光発電推進グループ」新設
三協立山・三協マテリアル社(山下清胤社長)は9月21日付で営業統括部に「太陽光発電推進グループ」を新設した。今年7月からの電力全量買取制度スタートで産業用太陽光発電の需要が増加しているため、顧客対応を専任で行うセクションを設置して同分野への販売を強化する。
同社は今年5月、本社敷地内に「太陽光発電システム」を設置、従来のスチール材と比較し「軽量化」「耐食性」などのアルミ製架台の優れた点を活かし同分野に本格参入することを表明。ヘリポートデッキなどに採用されている高強度アルミ合金(A6N01-T6)など、多種多様なアルミ合金素材を保有し、合金特性や加工技術、強度などをユーザーの要望に合わせて提案営業してきた。今後、技術提案を含め、太陽光発電架台や周辺設備の販売により一層注力する。
「LIXIL資料館」がオープン
「統合各社の歴史を未来へ活かす」
LIXIL(藤森義明社長)は1日、オフィス拠点として再構築した「LIXIL WINGビル」(東京都江東区)のリニューアルに伴い、同ビル内に「LIXIL資料館」(晝間幸雄館長)を開設した。
同社はトステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が11年4月に統合して誕生。「資料館」は統合各社ならびにグループ各社の「それぞれの歴史を重んじ、見つめ直すことにより、未来への歩みに活かしたい」という思いを込め、社員の相互理解・情報共有や、コミュニケーションの場として活用するとともに、対外的にも同社を深く理解する場として運営する。
資料館の施設面積は約1,400u。館内は「インフォメーション」、「ミュージアム」(約510u)、「ライブラリー」(約500u)の3つのゾーンで構成。「インフォメーション」では、LIXILの紹介映像やグループ各社のパンフレットを見ることができる他、国内外の主要拠点も紹介。「ミュージアム」では日本の住まいの変遷を紹介した大年表と、統合5社およびグループ会社の川島織物セルコン、Permasteelisaの歴史・文化などを紹介しているほか、LIXILグループに関連するさまざまなテーマの企画展を行うコーナーも設けた。「ライブラリー」はグループ各社で保管していた書籍、雑誌やグループ出版物および最新住宅関連書籍を閲覧することができる。グループの商材が採用されているプロジェクト物件の写真も展示している。
開館時間は10〜17時で、土日、祝日および会社休日は休館。入場は無料だが、電話(03-3638-6276)による事前予約が必要。
10月1日、日本軽金属HD発足
グループ経営戦略立案を担当
日本軽金属は1日、株式移転により「日本軽金属ホールディングス梶vを設立した。資本金は390億8,500万円、本社は東京都品川区東品川で、社長は石山喬日本軽金属社長(写真)が務める。
日軽金HDは傘下に日本軽金属、東洋アルミニウム、日本フルハーフ、日軽金加工開発ホールディングの事業会社4社を持つ。今後、日軽金グループ全体の統括会社として経営戦略立案機能を担い、効果的な経営資源の配分を行うことで、高度化・多様化するアルミとアルミ関連素材に関するニーズに応えていく。
図・表・写真は本誌でご覧ください。
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