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NO.2134(2013年5月27日号)

日軽金HDが13〜15年度中期計画
売上高4,400億円、利益率5.7%
地域・市場ごとに選別、収益最大化


日本軽金属HD(石山喬社長)は15日、13〜15年度の中期経営計画を発表した。数値目標は15年度売上高4,400億円、営業利益250円、営業利益率5.7%。アルミ専業として地域別・市場別に細かく対応、収益の最大化を図る。

  数値目標は別表の通りで、売上高12年度比18.3%増の4,400億円、営業利益同3.05倍の250億円、営業利益率同3.5ポイント増の5.7%と し、金属加工業のエクセレントカンパニーを目指す。配当は12年度期末1株3円を実施したが、極力早い時期に同5円に引上げる。
 こうした高収益 体質を構築するため、収益回復が喫緊の課題となっている電子機能材、アルミナ、板の3事業について以下の措置を講じる。@アルミナ=コスト低減とグループ 連携による高付加価値製品の開発と拡販、A板=日本・中国・タイの生産3拠点連携による競争力強化、B電子機能材=生産・販売体制の再構築とコスト低減。
  事業戦略は「地域別×分野別戦略による事業展開」を目指す。日本・中国・東南アジアなどにおける市場が多種多様な動きを見せていることを踏ま え、特定の市場分野にのみ経営資源を集中するのではなく、地域(国内・海外)と市場の組合せ(マトリクス)により、経営資源を投入するべきフィールドを選 別するなどきめ細かく対応し、地域ごと・市場分野ごとの収益の最大化を図る。地域・製品別の事業戦略と担当会社は上表の通り。
 新商品・新ビジネ スによる成長ドライバーの創出も重要課題。「一般の汎用品の量的拡大を望める時代ではない。付加価値を高めた新商品・新ビジネスの絶え間ない創出が不可 欠。顧客視点に立ったグループ内連携による開発活動を深化・幅広化させ、成長ドライバーを創出する」。具体的な取り組みは下表の通り。


リョービがメキシコを増強
2,500tマシン3基とライン1式

米の自動車増産に対応、14年6月稼働
 リョービはアルミダイカストのメキシコ子会社RDCMにおいて、5月に生産能力増強工事に着手した。2,500d大型マシン3基と溶解炉など1式を導入するもので、14年6月に稼働する。
 増設するのは2,500dマシン3基と溶解炉及び付帯設備、バリ取り機、品質検査機、仕上げラインなど一式。投資額は約20億円。13年5月に着工し、14年6月に竣工、稼働する。北米の自動車市場の拡大に伴いダイカスト部品の需要の増大に対応した。
 RDCM (トム・ジョンソン社長)は07年に設立、08年8月に稼働したリョービの米国自動車部品生産拠点。グアナフアト州イラプアト市に敷地面積約9万 6,600uの用地と建屋面積約2万1,600uの鉄骨平屋建て2棟の工場を保有する。13年3月期の売上高は約36億円、従業員は約320名。
  マシンの現有設備は型締め力3,500d機2基、2,500d機5基、900d機2基、800d機3基の計12基。今回、これに2,500d機3基が加わ り、計15基体制となる。生産品目は自動車部品のトランスミッションケース、コンバーターハウジング、その他を予定する。


アルミ合金協会創立40周年
山本会長「共通課題解決が大事」

 日本アルミニウム合金協会は15日、東京・両国の第一ホテル両国において、定時総会と創立40周年記念式典を開催した。それに先立って会長に就任した山本隆章大紀アルミ社長(次頁・写真)は記者会見を行い、要旨次のように述べた。
 「当業界はアルミ産業・自動車業界、リサイクル産業と密接な関係があり、極めて重要な産業と位置付けている。長い歴史の中で数量が減少したり、会員数が減ったりなど厳しい状況にあるが、日本になくてはならない産業として、業界の共通課題の解決に取組んできた」
  「一時期、電気自動車や特殊樹脂の出現で自動車向けが激減すると驚かされたこともあったが、杞憂に終わった。またアルミの一大需要地である中国も環境規制 などで海外スクラップの使用問題が浮上するなど、この業界は流動的なところも少なくない。二次合金団体は米国ではAAに、欧州はEAAに吸収され、独立運 営するのは日本だけだ。今後も会員と社会のニーズに沿って活動を持続していく」


鰹Z軽日軽エンジニアリング(SNE)
橋の歩道拡幅にアルミ床版工法
大型形材をFSW接合法でユニット化

 SNE (佐久間勇三社長)は東日本大震災で被災した石巻市の内海橋の歩道橋復旧に、同社が開発したアルミ床版歩道拡幅工法を施工した。同歩道は10年12月に完 成し、アルミ床版拡幅工法で道幅を1.2mから2.5mに拡張した。しかし、東日本大震災の津波で破壊され、使用できなくなったため、再度同工法で復旧工 事を急いでいた。
 完成したのは2本の歩道橋。1本は震災被害を受けた「石ノ森漫画館」の12年11月17日の再オープンに合せて完成した西内海 橋(長さ65m、幅員2.5m)。いま1本は13年3月23日の「石ノ森漫画館」のリニューアルオープンに合せた東内海橋(長さ81m、幅員2.5m)。 総延長は両橋併せ146mで、アルミ使用量は西内海橋9.3d、東内海橋11.6dの計20.9d。
 アルミ床版歩道拡幅工法は子供など通行者の 安全・安心を守るための橋梁の歩道拡幅工法。軽量のアルミ材料なので、既存橋に過大な重量負荷を与えることなく歩道を拡張できる。石巻市の工事では主要部 材の6000系アルミ合金大型形材をFSW(摩擦攪拌接合)によってユニット化し、短期間での復旧を可能にした。
 ユニット化によりアルミ床版のさらなる軽量化と高耐久性を実現。さらに現場組立てのプレハブ構造のため小型重機による架設が可能。それにより工事のための道路占有面積を縮小でき、既存橋からの施工ができるので工期短縮も可。
 アルミ床版の特徴は高耐食表面処理を施してあるので塩害の強い海浜地区でも使用が可。錆止めの塗装も必要ないメンテナンスフリーが大きな魅力で、美観性を長期に保ち、ライフサイクルコストの低減に貢献する。軽量なので地震時の慣性力の低減など耐震性の向上も図られる。


三和HDが13〜15年度中期計画
「動く建材」グローバルメジャー
営業利益230億円、利益率7.1%へ

  三和HD(高山俊隆社長=写真)は14日、13〜15年度における「三和グローバルビジョン2020、第一次3ヵ年計画」を発表した。同ビジョンは「『動 く建材』のグローバル・メジャーとして、世界中のお客様に安全・安心・快適な商品とサービスを提供する」をコンセプトとし、その第1弾。
 グロー バルビジョンの骨子は「グローバル経営を初期段階から深化させ、新たな飛躍の段階へ」。目指す姿は@日・米・欧における不動のトップブランド、Aサービス 分野のビジネスモデルの確立、Bアジアを中心に新興国でのシャッター・ドア事業を拡大し、トップブランドに育成、Cグローバル市場におけるグループシナ ジーの推進の4点。
 同社が事業展開する主要4大市場は@日本=不透明な要素が多いが、概ね底堅く成長を維持、A米国=住宅・非住宅とも回復するが、13年度は緩やかに推移、B欧州=経済成長は14年度以降だが、ドイツはプラス成長を維持、C中国=政府主導で安定的な成長が続く─と想定。
  その中で国内のコア事業はコア商品のシャッター・ドアの需要を確実に取り込み、多品種化を拡大していくことで不透明な市場環境への対応を強化する方針。米 国では住宅関連商品のシェア拡大、商業用ドアのさらなる基盤強化を図る。欧州は構造改革やコスト削減で体質強化を図る一方、新規市場・低シェア地域で拡販 を急ぐ。
 数値目標は別表の通りで、米国・欧州で大幅な増収増益を計画する。


古河スカイがタイ子会社増資
20.3億バーツ、建設投資に充当

  古河スカイは9日、タイのアマタシテイ工業団地でアルミ圧延工場を建設する子会社「フルカワスカイ・アルミナム・タイランド」に対し、20億3,000万 バーツを増資すると発表した。これにより同社の資本金は56億8,000万バーツ(約170億9,000万円)に増大した。
 同社は第1期のアルミ板冷延が14年1月から、第2期の熱間圧延から一貫体制が15年3月から稼働開始する予定で建設途上にある。建設は目下予定通りという。増資資金は建設費用に充当。


日軽金HDの12年度業績
実質大幅減収減益、箔は赤字に

今期営業利益145億円、利益率3.7%
  日本軽金属HDが15日発表した13年3月期決算は売上高3,719億円、営業利益82億円となった。12年10月に新発足したので前年度比較はないが、 実質7.7%の減収、40.1%の大幅減益となった。13年度は景気回復でアルミ製品の需要増が見込まれることから、売上高3,900億円で4.9%増、 営業利益145億円で76.8%増、営業利益率3.7%と顕著な回復を見込む。
 詳細は別表の通りで、売上高では箔・粉末が電解コンデンサ向けや 太陽電池バックシート及び太陽電池用機能性インキの低迷で15.5%減、板・押出が電機・電子関連、半導体製造装置用厚板の不調などで10.6%減など2 ケタ減。営業損益では箔・粉末が8億円の赤字と大きく悪化、合計で40.1%の減益となった。
 子会社の12年度の製品販売量と13年度販売計画 は@日軽エムシーアルミの二次合金が12年度23万7,300d(国内13万6800d、海外10万500d)、13年度計画24万1,600d(国内 13万6,500d、海外10万5,100d)で1.8%増、A日本軽金属板事業部のアルミ板が12年度7万3,800d、13年度計画7万5,700d で2.6%増、B日軽金アクトのアルミ押出が12年度3万5,500d、13年度計画3万8,300dで7.9%増の計画。


日軽金HDの主要5子会社業績
東洋アルミが前代未聞の赤字転落

日本フルハーフ1社が増収大幅増益
  日本軽金属HDは15日、傘下の主要子会社5社の12年度業績と13年度業績見通しを発表した。その中で特記されることは東洋アルミの12年度業績が 15.4%の大幅減収となり、営業・経常損益で赤字転落したこと。日本フルハーフを除く残り3社も実質減収減益と低調に終わった。
 詳細は次頁・ 表の通りで、東洋アルミは箔では電解コンデンサ用高純度箔が、電子機能材では太陽電池用バックシート・機能性インキが不振を極めた。食品用箔や容器用イン キ、化粧品用顔料は堅調だったという。収益悪化は太陽電池関連の供給過剰による販価下落、在庫処分などによる。


不二サッシ土屋社長が経営方針
13年度終点の中計目標はクリア

環境・LED照明・マグネ・海外生産を強化
  不二サッシの土屋英久社長(写真)は15日、記者会見し、13年度を最終年度とした中期経営3ヵ年計画の進捗状況や13年度の重点政策などを明らかにし た。売上高や営業利益率、有利子負債残高など中計目標は概ね達成するという。13年度の業績予想は別項の通りで、売上高1,003億円、営業利益21億 円、営業利益率3.1%の見込み。中計目標は売上高1,000億円、営業利益率3.0%以上で、このまま推移すれば目標達成は確実。
 また中計目 標は13年度末純資産98億円以上、有利子負債残高260億円以下としていたが、13年度計画は純資産110億円、有利子負債残高250億円の見込みで、 目標を前倒しでクリアする。目標に未達の予想はビルの売上高のうち新築率で、13年度計画は新築比率51.8%。目標はリフォームを強化することで 47.5%まで引き下げる計画だった。ただこれはビル新築受注が好調なことから、相対的に新築比率が高まったことによる。
 また大きな経営目標の一つである復配について「次期中計の検討課題」(土屋社長)という。
 13 年度の重要政策が環境事業、自社開発のLED面発光体事業、子会社の不二ライトメタルで展開するマグネ事業などの強化。ゴミ焼却場の飛灰処理設備を中心と する環境事業は、現有ゴミ焼却場の1/2が建て替え期を迎え、受注増を期待。LED事業はデスクライト「アルエア」、建築用装飾照明の多機能LEDモ ジュール「アルビームシステム」に続く品揃えを急ぐ。熊大と提携して推進するマグネ事業は既にサンプル供給を開始、年商5億円を目標に実用化を進める。
 一方、マレーシアとフィリピンに子会社を持つ海外事業は、両社の生産比率をさらに高める。また12年5月に提携したマレーシアのSKBシャッターズ・マニファクチャリングとの間で、現地及び東南アジア市場対応のビルサッシの開発を進め、海外売りの実績を積み上げていく。


大紀アルミの13年3月期
「原料高製品安」が進行、大幅減益

4月から顕著に回復、出荷は20%増
 大紀アルミニウム工業所が14日発表した13年3月期の連結・単体業績は別表の通りで、2.7%の増収ながら各利益は大幅に減少した。主要顧客の国内自動車各社の自動車生産が緩やかに回復したことから、合金地金の出荷量は5.9%増、売上高は2.7%増となった。
 一方、収益面ではアルミ地金市況の低位横這いに加え円安の為替変動により、「原料高製品安」が示現したため、大幅に悪化した。さらに新規に稼働したインドネシア子会社が立ち上がり費用として6億円の損失を計上、足を引っ張った。
 13 年度の連結・単体の業績予想は、大幅な改善を予定する。すなわち自動車生産の回復により合金地金需要が増加し、極端な「原料高製品安」の局面が解消され、 4月から正常に戻ってきたという。合金地金の出荷量は連結で23.2%増、単体で10.3%増を計画する。連結はインドネシア・フィリピン・マレーシアの 子会社の増産、単体は休止していた新城工場の操業再開による。


三和シヤッター13年3月期業績
営業利益60.1%増、利益率6.1%

13年度大幅増収増益、ドアと住宅が牽引
 三和HDは14日、13年3月期連結業績と子会社の三和シヤッター工業の単体業績を発表した。欧州を除いて日・米とも景気回復の途上にあり、建設・建築市場が活況を呈したことから、ともに大幅増収増益を記録した。
  三和HDの連結業績(4Pの「三和HDの第一次3ヵ年計画」の項を参照)は、大幅な増収増益を記録、売上高・利益とも予想を上回る好調となった。売上高は 7.1%の増収で、三和シヤッターが11.0%増と大きく伸び、米国ODCも7.9%増を記録。ただ経済停滞が続く欧州は7.5%の減収。
 営業利益は60.1%増で、国内が2.28倍と大幅増益を記録、ODCも26%の増益で、欧州のみが減益。
 三和シヤッター工業単体の業績は表の通りで、売上高は11.0%増、各利益は2倍以上の大幅増益となった。営業利益率は6.1%をマークした。
  増益要因は@軽量シャッターは爆弾低気圧の影響などで9.4%の増収、A重量シャッターもオフィスビル・倉庫などの建設投資が堅調に推移し、8.8%の増 収、Bビル・マンション用ドアは医療関連施設、マンション建設などにより17.3%の大幅増収となった。一方、前期に震災特需があったメンテ・サービス は、その反動で4.0%の減収。
 営業利益は87.2億円で2.115倍の大幅増。内訳は数量増で+32.9億円、原材料価格で+8.6億円、販売価格で+9億円、その他+3.4億円があり、コストアップ6.1億円があったものの、差し引き46億円が上乗せされた。


不二サッシの13年3月期業績
ビル建材好業績で微増収大幅増益

13年度は売上1千億円超、利益率3.1%
 不二サッシが15日発表した13年3月期業績は売上高が0.6%の微増だったが、営業利益33.8%増、経常利益43.9%増と収支が大幅に好転した。最終利益は繰延税金資産を12.25億円計上したため、31.198億円で2.821倍を記録。
  主力の建材事業の売上高は、市場が緩やかに回復傾向にある中、東日本大震災の復興需要もあってビル新築・リニューアル事業、住宅建材事業が増加し、 4.4%の増収。環境事業もメンテナンス工事に注力したことで3.7%の売上増。ただ形材外販は加工品・精密加工品が低迷、地金相場に連動し販売単価が下 落したため、11.1%の減収。
 営業利益は建材事業が71.5%の利益増となり、他の部門のマイナスをカバーした。特に収益優先の営業政策5.4億円、コスト低減4.2億円、売上増2.7億円があり、固定費増など5.4億円のマイナス要因をカバーした。
 13 年度は売上高が8.9%増の1,003億円で1千億円の大台に乗せる。営業利益は13.1%増の31億円で、営業利益率3.1%と中計目標をクリアする。 建材事業は受注残高や受注が好調に推移することに加え、リニューアル事業の強化などにより8.8%の増収を予定。形材外販は建材向け形販の増加などで 6.9%増を、環境事業はごみ焼却施設の更新需要を見込んで25.0%増を見込む。営業利益は各事業とも改善する。


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