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NO.2167(2014年2月3日号)

「クルマ軽量化技術展」が盛会裡に閉幕
Al・Mg関連企業が最新技術披露
日軽金・所沢・田島・戸畑等約15社

1月中旬、東京ビッグサイトで「第4回クルマの軽量化技術展」が開催され、アルミ・マグネ関連企業が多数出展した。軽量化素材は炭素繊維など競合材も開発が進むが、主役は依然アルミとマグネ。各社最新技術と製品を熱心に売り込んでいた。

  展示会の総称は「オートモーティブワールド2014」で、参加企業は前回比50社増の410社。「クルマの軽量化技術展」(参加企業85社)のほか、「第 6回カーエレクトロニクス技術展」(同165社)、「第5回EV・HEV駆動システム技術展」(同130社)、「第2回コネクティッド・カーEXPO」 (同30社)を併設。日本の各産業は今高成長の自動車産業への関心が高く、各ブースは熱気にあふれていた。注目されたのがMg系企業の意欲的な出展。熊本 県は「KUMADAI Mg合金」製品を県主導でPRしていた。以下各企業の出展ブース。
※「樹脂ヘッダー多穴管型冷却器」
 【日本軽金 属グループ】軽量化ゾーンと離れた熱対策ゾーンに出展。最先端押出技術の「高アスペクト押出ヒートシンク」、「低コスト切削フィンヒートシンク」、「高熱 伝導合金ダイカストヒートシンク」、FSW固相接合技術とノコロック法を駆使した「ウォータージャケット(水冷)」など先端技術を披露。注目は参考出展の アルミ・樹脂接合技術を採用した「樹脂ヘッダー仕様多穴管型冷却器」(前頁・写真)で、樹脂採用の冷却装置は国内初と想定。
※薄型&精密Mgダイカスト品
 【且O峰(SANPO)】埼玉・滑川の本社工場のほか、タイ、中国上海・東莞に生産拠点を置くMg・Al精密ダイカストメーカー。金型設計・成形・仕上げ・加工の一貫設備を持つ。展示品は「軽量化の鍵を握るMg成形品」で、特にMg薄肉製品と精密部品を公開した。
※軽さと安さ両立の「Embrella」
  【叶[井製作所】13年度の地球温暖化防止活動の技術開発・製品化部門で環境大臣賞を受賞した特許製品の「Embrella」を全面に展示。アルミ薄板に 写真のようなエンボスプレス加工を施すことで高剛性を確保、30%の薄板化・軽量化が可能。すでにバッテリーカバー・床板遮熱板・ドスト遮熱板として実用 化済み。今後凹凸を利用した複層構造素材、異種金属接合素材の開発を急ぐ。
※精度2/100oの超精密鋳造品
 【所沢軽合金】独自開発の 超精密アルミ鋳造品2種を前面に展示。海外顧客用に米人通訳も待機する。@均一な厚肉超高密度を実現した「ティーキャスト」。鍛造品並みの結晶粒度を実現 し、高密度・高品位の素性を有するので高性能エンジンパーツや各種骨格材などに最適。A機械加工レスで精度2/100oを実現した「ダイレクトキャス ト」。少量生産・試作品製作などに最適。
※得意の1千s超の大型鋳物
 【鞄c島軽金属】ブースの最前線には自動車パネルの成形治具部品と して開発した1,000s超大型のアルミ鋳物が2点。国内では初めての製品とし、大型鋳物では業界トップクラスの技術と設備を保有する同社の特長を活かし た製品。このほかSiCセラミックス/アルミ複合材(MMC)鋳物など最先端鋳物技術も紹介する。
※「KUMADAI Mg合金」をPR
  【熊本県企業誘致連絡協議会】岡山県・島根県など県単位の出展も数件あり、熊本県もその一つ。メインは熊大の河村能人教授が開発した耐熱・不燃Mg合金製 品で、その売り込みに県が先頭に立つ。展示品は同合金を使用したオートレース用バイクのマフラーで、バイクとマフラーの実物を展示。一般のマフラーは 1,200gだが、同Mg合金製は860gで、約30%の軽量を実現した。同ブースでは小規模のMgセミナーも実施していた。
※新開発の鋳造用難燃・耐熱Mg合金
  【褐I本鐵工所】中高温環境下での軽量化材料として鋳造用難燃・耐熱Mg合金を自社開発、同合金とその製品を展示するが、撮影禁止で非公開。新合金の特徴 は@200℃までにおける優れた耐熱性、A約1,000℃前後の発火温度、Bレアメタルフリー、C諸性能と経済性のバランスが良好─など。難燃性はCa元 素の添加によるもので、耐熱性は金属間化合物の結晶粒界すべりと粒内転位活動に対するピン止め効果によるという。
※耐熱・難燃性Mg製ピストン
  【褐ヒ畑製作所】アルミ製より30%軽量化が可能な次世代軽金属耐熱・難燃性Mg合金製の押出ビレット、鋳造品・ダイカスト品を展示。解説書によると自動 車エンジン用ピストンについて、サポイン事業成果として50時間全負荷試験を完遂、汎用エンジン用ピストンについて、評価をほぼ終了とあるので、実用化も 近いと見られる。


日本Al合金協会が賀詞交歓会

※山本会長「素材業界も利益享受を」
 (一社)日本アルミニウム合金協会は1月21日、東京・虎ノ門の霞ヵ関ビルに関係者を招いて賀詞交歓会を開催した。山本隆章会長(大紀アルミニウム工業所社長)は概ね以下の通り挨拶した。
 「アベノミクス効果で株価上昇、円安が継続し、経済環境はそこそこ安定している。特に当業界と関係の深い自動車業界は空前の利益を享受している。本来なら喜ぶべきだろうが、その素材を供給する我々もその利益の一部を享受できているか、逆に色々な問題も派生している」
  「すなわち円安は我々の国際競争力を強化する反面、素材業界に共通する問題として燃料費の高止まりを招いてコストが上昇する。また我々の収益を左右する輸 入スクラップの価格も高騰する。昨年秋口から二次合金の需要が大きく増えたため、二次合金各社は在庫を取り崩して対応したり、一部需要家は供給不足を懸念 して輸入先物を手当てする企業もあるようだ」
 「この業界は長年修羅場をくぐってきた企業が生き残っているわけで、こうした事象も自然と調整されると思う。我々の顧客のダイカストメーカーも参加されているが、是非日本発の新しいダイカスト品を開発して頂きたい」


軽金属製品協会が年頭会見

※山田会長「原燃料高騰を価格転嫁へ」
 (一社)軽金属製品協会の山田浩司会長(三協立山常務取締役)、二瓶亮副会長(貝IXIL専務執行役員)、倉智春吉副会長(鞄本電気化学工業所社長)は1月22日、東京・赤坂の同協会で恒例の年頭会見を行い、業界の現状と主要政策について、要旨次のように述べた。
  【山田会長】「日銀の月例景気動向では全国的に緩やかな回復となっているなど、景気は上向いている。実際、消費税増税前の駆け込み需要もあって13年 9〜11月の新設住宅着工数は年率換算で100万戸を超え、建材業界は需給が逼迫して市況も上昇する。しかしアルミ業界全般にアベノミクス効果が顕現する までには至っておらず、業界ごとに跛行性がある。建材業界にしても4月以降の増税後の反動、現場職人不足、人件費高騰など先行き楽観は許せない。実際、表 面処理業界のように円高による原燃料費の高騰に苦しんでいる業界もあるので、その価格転嫁をどうすべきか、業界全体で検討する必要がある」
 【二瓶副会長】「消費税増税後の反動減が懸念されるが、ローン減税など政府の対策もあるので、その影響は限定的と考える」
 【倉智副会長】「表面処理業界にとって円安は物量の増加はあるものの、逆に電気代・石油代・輸入資材・輸送費の高騰となって反映、副作用の方が大きい。それを製品販価に転嫁できれば問題ないが、現実は極めて厳しい。アルミ業界全体で考えるべき問題ではないか」


日本ダイカスト協会が賀詞交歓会

※高橋会長「年100万d・横這い」
 (一社)日本ダイカスト協会は1月22日、東京・丸の内の東京會舘において賀詞交歓会を開催した。参加者は会員187名、来賓37名の計224名。高橋新会長(アーレスティ社長)は要旨次のように挨拶した。
  「世の中はアベノミクス効果に沸いているようだが、実はダイカストの13暦年の出荷は約100万d、12年のほぼ横這いの見込みで、需要の本格回復の実感 は未だ感じられない。14年は100万dをちょっと超えるかなと期待する。円安により技術的に難しい製品は日本で作った方が有利として国内回帰する業種も あり、14年は少し明るい年になるかなと思う」
 「一方、円安はエネルギーやアルミ地金の価格上昇となってコストを圧迫する。製品販価は地金の LME市況スライド制が多いが、そのタイムラグが厳しい。当業界は需要の80%超を自動車業界に依存するが、その自動車業界は円安で最高益をマークするも のの、値上げについてはビタ一文罷りならんと仰しゃる。また中長期的に見ると国内は少子高齢化が進んで自動車需要も減少し、パワートレイン向けダイカスト 需要に大きな期待は難しく、先行き楽観は許されない」
 「閑話休題、いままで部下に厳しく接してきたが、今年はそれを少し反省したい。某自動車の 某首脳から聞いた話だが、然るキャバクラでは決して美人ではない娘さんがNo.1を続けているという。その理由は何かと聞いたら、客の話を聞いて<なるほ どね>、<すごいですね>、<教えて>という順にどんどん話に乗せ、膨らませていくことが大事という。私もなるほどと思い、これから社員を褒めて話に乗せ て、仕事に前向きに取組ませたい」


日本シヤ・ドア協会が賀詞交歓会

※岩部会長「リーマン以来の高水準」
 (一社)日本シヤッター・ドア協会は1月23日、東京・半蔵門のグランドアーク半蔵門で賀詞交歓会を開催した。岩部金吾会長(文化シャッター会長)と親交のある太田昭宏国土交通大臣も駆け付け、エールを贈った。岩部会長の話は以下の通り。
  「株高・円安による景気回復は当業界にも好影響を及ぼし、13年度のシャッター出荷は重量で100万u超、軽量で230万u超となり、リーマンショック以 来最高となる見通し。それが企業にも反映して13年度決算は好業績となる見込みだ。足元も受注が旺盛で、現場は施工が間に合わないほど嬉しい悲鳴を上げて いる」
 「今年は防火シャッター・ドアの保守・点検制度の法制化、ゲリラ豪雨などに対する止水対策事業が中心になるが、人の絆・相互扶助・相互繁栄の旗印の下、全力を尽くす」
※太田国交大臣「実感のある年に」
  「この1年間、閣僚として日本の経済回復に取組んできたが、かなり成果があったと思う。今年はその成果を現場が、企業が、地方が実感できる年にしたい。ま た私が管轄する防災や建物の安全は大きな課題で、未来の安全・安心のための施策を検討していく。今年を代表するフレーズとして<実感>と<未来>を掲げた い。明日から通常国会が始まるが、皆さんのために全力を尽くしたい」


涯ACJが米国で共同事業
自動車パネル材で蘭社と合弁
投資総額1.5億j、当初年10万d

 UACJ (岡田満社長CEO=写真)は1月23日、欧州のConstollium社(オランダ・アムステルダム、Picrrec Varcillc CEO)と米国において、自動車パネル用アルミ材の供給に関する共同事業について、検討を開始したと発表した。14年半ばに正式契約を締結する見通し。自 動車用アルミパネル材については13年9月に神戸製鋼が独資で中国・天津(年産能力10万d)への進出を決めており、グローバル展開が急速に進む。
  両社は対等の精神のもと、製造・販売の合弁会社の設立を計画。出資比率はConstollium社51%、UACJ側49%。総額1.5億jを投じて年間 生産能力10万dのアルミパネル工場を建設する。主要設備は仕上げ連続熱処理及び表面処理ライン。合弁会社はUACJが米国に保有するアルミ板の連結子会 社であるTri-Arrows Aluminum社(略称TAA、ケンタッキー州ルイビル、Patrick Franc社長)とも連携する。
 米 国でのCAFE規制は、自動車各社に将来高い水準で自動車燃費基準の達成を要求しており、アルミ材料の採用による自動車軽量化の動きが活発化する。既に自 動車Big3は主要車種へのアルミ材料の本格採用を進めており、米国における自動車パネル用アルミ材は12年の10万d弱から、20年には10倍以上の 100万dの大きな需要が予想されるという。
 UACJは自動車パネル用アルミ材を戦略商品として位置付け、今まで国内自動車各社と築いてきた強い信頼関係と経験をもとに、今後グローバルに事業展開し、軽量化への貢献と顧客満足度の向上に努める考え。
 Constollium 社は旧社名がAlcan Engineered Products社。航空宇宙用・自動車用・包装用など幅広い分野において高機能・高付加価値アルミ製品を展開する世界的なリーディングカンパニー。12 年の売上高は36億€(1€140円換算で5,040億円)。TAAはUACJを主力に住友商事、伊藤忠商事、伊藤忠メタルズが出資するアルミ板製販会 社。飲料用缶材が中心で、年産量は32万5,000d超。合弁会社がTAAと連携するのは自動車パネル用の素板をTAAで製造し、合弁会社がそれを用いて パネル材に加工する。


貝IXILが買収完了
独GROHE社を2,935百万€で

 LIXILは1月 22日、21日付でドイツに本拠を置くGROHE Group社の発行済株式の87.5%を、鞄本政策投資銀行と共同で取得し、GROHE社と同社の上場子会社であるJoyou AGを関連会社にしたと発表した。買収金額は負債の引継ぎを含め約2,935百万€(1€140円換算で約4,109億円)。
 13年9月26日 付で両社間で基本合意していたもの。GROHE Groupはバスルームやキッチンなどで使用する水栓金具・シャワーヘッドなどの欧州最大手企業。Joyou AGは同社の中国子会社。直近12年12月期の業績は売上高1,405百万€(約1,967億円、11年12月期1,296百万€・約1,814億円)、 EBITDA272百万€(約381億円、同255百万€・約357億円)、営業利益218百万€(約305億円、同214百万€・約300億円)。営業 利益率15.5%(16.5%)の超優良企業。
 LIXILと日本政策投資銀行は各50%出資して特別目的会社・SPCを設立、SPCが投資ファンドからGROHE Grope社の株式を買い取った。LIXILは近い将来SPCから株式の譲渡を受け、連結子会社化する計画。
 LIXIL グループは17年度に国内2兆円、海外1兆円、計3兆円のグローバル企業を目指す壮大な事業計画を推進する。海外1兆円を目指し、11年にはハイエンド CWのイタリア・Permasteelisa社を、13年には衛生陶器のアメリカ・American Standard Brands社を買収、今回のGROHE Group社の買収はその一環。


「LIXPO2014」が華かに開幕
全国主要都市4会場に1.5万社
総展示152種、うち新製品80種

 LIXILは1月21〜22日、東京都千代田区の東京国際フォーラムにおいて、『リクシルの"暮らしを育てる"展示会「LIXPO東京2014」』を開催した。建材・住設流通、コンストラクターなどプロユーザーを対象とした展示会で、13年に続いて2回目。
 1 月の東京会場を皮切りに5月までに全国主要都市4会場で開催する。入場者数は東京の約4,000社を筆頭に4会場で前回比50%増の1万5,000社を予 定する。展示製品総数は152機種で、このうち80機種が新製品。新製品を並べていた従来の展示法とは異なり、様々な生活シーンに合わせて各種製品を配置 し、参加者が実生活で実際に使用したり、体感できるように工夫した。
 日本において暮らしに関わる社会問題・課題は@資源・エネルギー、A少子高 齢化、B耐震・耐久、C子育て・教育の4項目という。これらの課題に対してLIXILは@家事・子育てサポート(たのしく)、Aユニバーサルデザインリ フォーム(やさしく)、Bパッシブファースト(かしこく)、Cサービス付き高齢者向け住宅(いつまでも)、Dトレンドコーディネート(おしゃれに)、E防 火戸シリーズ(つよく)、Fショップリフォーム(かんたん)、Gマンションリフォーム(あたらしく)、Hビル環境複合化技術(つなげる)─の9つのテーマ 展示を行い、豊富な製品やサービスを提案する。東京以外の会場と日程は以下の通り。
 【中部会場】3月5(水)〜6日(木)、ポートメッセ名古屋(名古屋市)
 【関西会場】3月12(水)〜13日(木)、インテックス大阪(大阪市)
 【東北会場】5月14(水)〜15日(木)、夢メッセみやぎ(仙台市)


新製品提供で流通に活力
LIXILジャパンの白井社長談

 貝IXIL取締役副社長執行役員で、LIXILジャパンカンパニーの白井春雄社長(写真)は、1月21日、「LIXPO東京2014」の開幕に先立って会見し、要旨以下の通り述べた。
  「開催テーマは13年と同様に“暮らしを育てる”とした。現実の社会の課題とされる資源・エネルギー、少子高齢化、子育て・教育、耐震・耐久の4項目につ いて、LIXILがどのような製品を持ち、課題解決に如何に役立つかを知ってもらうために全国4会場で開催する。またLIXILは13年4月に開発・生産 のプロダクツカンパニー、国内販売のジャパンカンパニー、国際展開のグローバルカンパニーを発足したが、この展示会は国内担当の2社が総力を挙げて取組 む」
 「この展示会はメーカーのLIXILと流通パートナー、コンストラクターなどプロユーザーを対象としたもので、共存共栄を目的とする。今年 は4月に消費税増税が予定され、4月以降駆け込み需要の反動減が懸念される。その直前に展示会を開催し、プロユーザーに新製品を紹介できたわけで、その活 性化という点でも良いタイミングだ」


東芝機械がタイに竣工
射出成形機・DC機生産拠点

中国・インド・タイの3拠点体制
 東芝機械は1月20日、タイのラヨーン県に射出成形機・アルミダイカストマシンの現地生産拠点として第1工場を完成し、13年12月11日に完成式を行ったと発表した。
 東南アジア市場における設備投資需要に迅速に対応する。生産能力は年間で射出成形機1,000台、ダイカストマシン240台。
 操業当初は月産で射出成形機20台、ダイカストマシン5台とし、4月から本格的な製造をスタートする。


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