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NO.2193(2014年9月15日号)

3年度アルミ関連企業200社売上高ランキング
増収が7割の140社、利益倍増
際立つ建材の好転、素材関連は遅延

本誌及び「アルトピア」は13年度におけるアルミ関連企業売上高ランキング200社を調査した。13年度は景気浮揚感や年度末に生じた駆け込み需要などにより、140社が増収。特に建材関連の業績好転が目立ち、地金・板・ダイカストなど素材系はやや遅延した。

  この調査はカロス出版鰍ェ年1回実施する恒例のもので、アルミ産業界の実態を示すものとして注目を集める。ただ「構造改革」の名のもとに実施される業界再 編や持株会社によるグループ内事業再編が相次いだため、アルミ関連企業の絶対数が大幅に減少、200社のピックアップが困難になりつつあるのが現実。13 年度は住軽金・古河スカイの大型合併による涯ACJの誕生とその傘下企業のグループ内再編が実施された。
 13年度の特徴は安倍政権による積極 的な経済運営により公共投資増や民間建築投資増など景気回復感が見られたことと、年度末に消費税増税前の駆け込み需要が生じて自動車販売や新設住宅着工が 増加したことなど。これらによりアルミ総需要は399.2万dと過去5年で最高となり、アルミ関連企業の業績改善を押し上げた。
 すなわち売上高 総計は4兆9,591億円(一部重複)となり、12年度4兆661億円比22.0%増と大きく伸びた。また124社が回答した経常利益総計は2,369億 円となり、12年度121社の1,219億円比94.4%増と大幅な増益となった。売上高経常利益率は4.8%と高く、12年度の3.0%から1.8p アップと顕著に改善した。200社の中で増収となったのは7割に当る140社で、横這いが1社、減収が39社、比較不能が4社。10%以上の増収が33% の66社で、リーマンショック後ずっと続いたアルミ関連企業の業績低迷にようやく歯止めが掛かり、上向きに転じた。
 13年度は特に建築投資増を 受けてYKK APや三和シヤッター工業など建材大手が過去最高の業績をマーク。それに関連してアルミ押出各社の業績好転も目立つ。一方、二次合金や圧延・ダイカストな ど素材関連は業績改善が下期からとなり、やや遅れた。消費税増税後の住宅着工減や個人消費の冷え込みなどがアルミ関連企業にどう影響す
るか、14年度に注目。


涯ACJ製箔の国保社長が指針
「国際市場で確固たる存在価値」
UFM含め5現主義でシナジー効果創出

  去る6月に就任したUACJ製箔の国保俊二社長(写真)は9月5日、軽金属記者クラブと会見し、経営の基本方針や重点課題など当面の指針を明らかにした。 同社は古河スカイ・住友軽金属の経営統合により涯ACJが誕生したのに伴い、去る1月に両社系列の製箔2社の日本製箔・住軽アルミ箔が合併して誕生した 新会社。
 両社併せたアルミ箔生産は13年度2万7,300d(日本製箔1万2,192d、住軽アルミ箔1万5,108d)で12年度比8.2% 増となり、国内業界シェア26.6%で単独企業としては東洋アルミの22.5%を抜いてトップに立つ(「軽金属ダイジェスト」No.2191号を参照)。 基本方針と実質初年度となる14年度方針は以下の通り。
 【基本方針】『グローバルマーケットで確固たる存在価値を持つ総合箔メーカーを目指す』
 ・早期の融合を図り、技術開発力・生産技術力・現場力・営業力のシナジー効果を創出し、恒久的黒字体質を構築する。
 ・品質、納期対応力を強化し、お客様満足度の最大化を推進する。
 ・マレーシア工場(略称UFM、13年12月31日付でドイツ・Hydro アルミから全株式を取得したマレーシア・ジョホール州のUACJ Foil Malaysia.Sdn.Bhd)の即時戦力化を図る。
 ・災害ゼロ職場を目指す。
  【重点課題】@法令順守行動の徹底、A社員及び関係会社従業員のより安心・安全・快適な職場環境づくり、B徹底した省エネ・省資源の推進による環境負荷の 低減、C考える人づくりによる全部門の人間力・現場力の向上、Dシナジー効果によるコスト・経費の圧縮、E全体最適に基づく生産拠点及び物流・業務委託の 再構築、
 FUFMの戦力化(国内一般箔化の推進など)、G生産技術の向上と技術開発力の強化、H5ゲン主義(原理・原則・現場・現物・現認)に 基づく発生源対策による品質レベル及び歩留まりの向上、I納期順守体制の確立、J情報システム活用による業務の効率化追求と経営戦略の推進


年商400億円・経常利益率5%

  「顧客の認証が必要なため、当面生産・販売体制は従来通りとする。しかし、3工場(伊勢崎・野木・滋賀)にはその保有設備などからそれぞれ得手・不得手が あるので、それを活かして今後最適化を図る。例えば伊勢崎はコーター・ドライを活かしてPTP用・LIB用・コンデンサ用など量産品種を、野木はその補完 と一般箔を、滋賀は加工箔などに集約していく。箔圧延機の稼働台数は伊勢崎3基・野木3基・滋賀1基(1基休止)・UFM3基の計10基で、生産能力は月 約4,000d」
 「UFMは2,000〜1,500o幅の箔圧延機3基、冷間圧延機1基を保有、月産能力は1,000d。圧延機は10年前に導入したアッヘンバッハ社製で、UACJ製箔では最新機。タイのアルミ板一貫工場と連携し、同社を基点にグローバル化を急ぐ」
 「アルミ箔需要は消費税増税前の駆け込みで4月まではある程度の水準を維持した。しかし5月のGW明け以降食品・建材の落ち込みが著しい。今後EV・HEV向け需要増が予想されるLIB用集電体・外装材などを伸ばしていく」
 「シナジー効果・統合効果の数値や当社の業績推移などは親会社から年内に公表されよう。個人的には年商400億円程度を、経常利益率約5%を確保したいと考えている」


「明るく元気に前向きに」

  【経歴と信条】1974年に早稲田大学理工学部機械工学科から住軽金に入社。三重県四日市市の出身で、近場の大手として住軽金を選択。住軽金は当時アルミ 製錬要員を大量募集中で、無試験入社だったという。名古屋製造所勤務を経て02年に住軽アルミ箔に転じ、12年6月に社長就任。
 信条は職場でも家庭でも「明るく元気に前向きに」。ひと回り若い奥方と小学6年の長男が自慢の種で、土・日は長男が修行中の剣道道場に同行するのが何よりも楽しみ。▽1950年7月5日生まれ、64歳。


TDY3社社長が共同会見
TDY「リモデルクラブ」20周年で
16年度に名古屋にもコラボSR開設

 TOTO の喜多村円社長、大建工業の億田正則社長、YKK APの堀秀充社長のTDY3社社長は9月4日、東京・新宿で共同会見し、3社で運営する住宅リフォームの全国組織「リモデルクラブ」の現状と今後の展開を 明らかにした。TOTOが同クラブを立ち上げて20周年を迎えた。以下3社社長の話の要旨。
 【TOTOの喜多村社長】住宅需要は日本経済の高度 成長期、バブル崩壊を経て新築需要から増改築市場へと大きく変化した。そのため新築需要に依存する経営体質から増改築市場への転換を図り、1993年に TOTO「リモデル宣言」を行い、翌1994年にパートナーが加盟する「リモデルクラブ」を立ち上げた。1998年には全国104ヵ所にショールーム (SR)を開設し、地域密着型のサービスを展開し始めた。
 しかし水回りの単一企業では限界があるので、木質建材の大建工業、窓・ドアのYKK APが加わり、器具の提案から最適な空間提案を目的に「TDYアライアンス」の締結を行った。ちょうど20年を経過するが、都内のマンションでは中古契約 が新築契約を上回るなど「リモデル」需要は今後一段と加速する見通しにある。
 【大建工業の億田社長】「リモデルクラブ店会」は現在104店で、 地域密着・情報の共有・相互補完しながら顧客満足度の向上に努める。TDYの提携とコラボSRの展開で、顧客に対してワンストップでの提案が可能になっ た。2010年に「グリーンリモデル診断」を開始し、質の高い住宅リフォームを推進する体制を整えた。
 【YKK APの堀社長】「リモデルクラブ店会」の営業拠点としてTDYコラボSRは東京・大阪・広島・福岡に開設済みで、16年には名古屋にもオープンする。その ほかTD SRが札幌と高松に、TY SRが今年9月18日に横浜にオープンする。商品開発では加速する高齢化社会に対応し、「備えるリモデル」を提案、そのための商品作りも3社共同で取り組 む。
 TDY3社は2年に1回、リモデルフェアを開催するが、15年度は4月15〜16日・東京ビッグサイト、5月15〜16日・ポートメッセなごや、6月5〜6日・インテックス大阪、7月3〜4日・マリンメッセ福岡の4会場で開催する。


貝IXILが「特例輸入者」に
輸入申告時の納税審査を省略

 LIXIL はこのほど、AEO(Authorized Economic Operator)制度の一つである特例輸入申告制度に基づいた「特例輸入者」の承認を東京税関から取得したと発表した。これにより輸入申告時の納税のた めの審査・検査が基本的に省略されるほか、貨物の引き取り後に納税申告を行うことが可能となり、輸入取引業務が迅速かつ円滑に運営できるようになった。
 LIXIL グループは住生活産業におけるグローバルリーダーを目指して国際化を推進中で、同承認取得もその一環。子会社のGROHE GroupとTostem ThaiがEUとタイで同承認を取得、ASB(American Standard Brands)も米国のAEO版であるC-TPATに参加済みで、物流面でのグローバル化を推進する。


「第53回アルミ技術研修会」
日本Al協会と全国軽商協会が共催

 日本アルミ協会と全国軽金属商協会は11月中に東京・名古屋・大阪の3会場において「第53回アルミニウム技術研修会」を開催する。講師と演題は3会場共通で以下の4氏。
 @ 「中国・タイのアルミ産業の現状と今後」、褐y金属通信ある社代表上島孝一氏、A「次世代の自動車を支える材料技術への期待」、竃{田技術研究所四輪 R&Dセンター上席研究員東雄一氏、B「ヒートポンプ室外機用マイクロチャネル熱交換器向けアルミ材料の開発」、涯ACJ技術開発研究所名古屋センター 第五部主査渡邊貴道氏、C「中性子吸収材MAXUSの開発」、日軽金アクトMAXUS BUリーダー山崎俊明氏。会場と開催日は以下の通り。
・東京、11月5日、「きゅりあん」、300名
・名古屋、11月11日、名古屋銀行協会、120名
・大阪、11月12日、OMMビル、100名
 参加費は一会場につき1人2,100円。締め切りは10月10日で、定員になり次第終了。



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