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NO.2226(2015年7月6日号)

14年度ビル改装需要、5年振りに減少へ
893億円・7%減、一般ビルが低迷
増税反動減が顕著、今期成長軌道に

ビル内外装リフォーム関連企業で構成する建築改装協会がこのほどまとめた14年度のビル改装需要は893億円で7%減となり、5年ぶりにマイナス成長となった。消費税増税の反動減で居住ビル・一般ビルが低迷。15年度は成長軌道に戻るという。

政府施策が後押し、下期から回復
  同協会(会長・永木公三YKK AP執行役員リノベーション事業部長、写真)はビル改装関連14社で構成する任意業界団体。ビル内外改装を総合的に行う正会員4社(三協立山・不二サッ シ・貝IXIL・YKK AP)と、特定部位の改修を行う専門会員10社(井上商事・菊川工業・三和アルミ工業・三和シヤッター工業・ナカテクノメタル・日本フネン・文化シヤッ ター・モリテックインターナショナル・ユニテ・エスティメンテナンス)で構成する。会員はビル内外装改修関連のビル建材大手から中小まで網羅しているた め、自主統計ながらその精度とカバー率は極めて高く、公的な統計の少ないこの分野では第1級の資料として定評がある。
 14年度業況と15年度の 見通しについて永木会長は「14年度は消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減の影響を受け、ビル新築・改装・リフォームとも厳しかった。その結果会員各社 の末端売上高は893億円で7%減と低迷した。特に構成比37%を占める居住ビルが7%減、同24%の一般ビルが17%減と落ち込んだ」と解説。
  「15年度は経産省の<既築住宅における高性能建材導入促進事業>・国交省の<省エネ住宅ポイント制>・<長期優良住宅化リフォーム推進事業>の低炭素社 会・ゼロエネルギー化など既築住宅・ビル分野への政策がスタートしており、市場への後押し材料として期待する。ビル改装需要は14年度一服したが、15年 度下期からは再度成長軌道に乗ろう」とコメント。
窓改修11%減、ドア改修3%増
 14年度のビル改装の総出荷高は893.53億円で 7%の減少。リーマンショック以降ビル新築着工を上回る伸びが続いたが、14年度は後退した。同協会は年商規模1,000億円を指標とし、13年度は近似 値まで到達したが、14年度はやや後戻りした。15年度以降巻き返す。
 ビル改装は部位ごとに窓・ドア・外装・手摺り・面格子・フロント・内装・ 補修の8アイテムがある。アイテム別売上高の詳細は表Aの通り。最大のアイテムは構成比57%を占める窓改修で、14年度は511.74億円・11%減と 2ケタマイナスとなった。かつては鋼製窓からアルミ製窓への取替えがメインだったが、省エネ・省電力など環境意識の高まりから既存のアルミ単板ガラス窓か ら、高断熱・高防音・高防犯に優れる高機能複層ガラス窓への取替えが主流となっている。窓改修は13年度に19.6%増と激増しており、14年度はその反 動減もあったようだ。
 窓に続く構成比19%のドア改修は169.68億円で3%の増加。居住ビルではカバー工法など玄関ドア改修は減少したが、 プレスドアから高断熱のフラッシュドアへ交換する扉本体の取替えは21%増と堅調。また非住宅で店舗やガレージの軽量ドアの改修は低迷したが、ビル用や工 場などで多用される重量ドアは35%増と大きく伸びた。この分野では認定技術士による防耐火ドア・シャッターの点検制度が開始されることから、それに先行 して改修が意欲的に進む。
 窓・ドアに続くのがビル・店舗などのフロント改修の134.57億円で3%の減少。この分野は手動ドアから自動ドア へ、老朽自動ドアから高機能自動ドアへの取替えが主流で、ナブコシステム・寺岡オートドアなど自動ドア大手が主導しており、建築改装協会のカバー率はやや 低い。以下手摺り改修の27.21億円で7%減、外装改修の21.32億円で17%増が続く。
病院改修が15%増と堅調
 14年度のビル 改装を学校、マンションなど居住ビル、オフィス、商業ビルなど一般ビル、病院、官公庁舎の用途別に見たのが表B。一番落ち込んだのが民間建設投資意欲に よって凹凸の大きい一般ビルで、217.38億円、17%減と低迷した。また構成比37%と最大の居住ビルも329.74億円で7%減と落ち込んだ。比較 的に堅調だったのが学校の229.38億円でほぼ横這いをキープ。この分野は躯体の耐震改修などと共に窓改修も並行して行われたようだ。
 一方、大きく伸びたのが病院改修の58.68億円で15%増。この分野では病院の既設建物や中低層ビルを高齢者施設や高齢者集合住宅に再利用するケースなどが結構多く、今後もその改修需要が見込まれている。
  また14年度のビル改装需要を10地区別(北海道・東北・北関東・関東・北信越・関西・中部・中国・四国・九州)に見ると、東北1地区を除き残り9地区が 前年度マイナス。構成比41%とボリュームゾーンの関東は366.33億円で10%減、同15%の関西は135.67億円で4%減、同8%の九州は 75.79億円で9%減、同7%の中部は62.02億円で2%減と各地区とも低迷した。そのなか東北は62.69億円で9%増と伸長した。
 東北地区は大震災から4年を経過してようやく復興投資が本格化する状況にあるが、それに併せて改修需要も伸びたようだ。
  同協会はメーカーと施主が直接契約する直接契約比率も調査する。それによると14年度の直接契約比率は9%となり、13年度11%から2p低下した。直接 契約比率は08〜09年度3%、10年度4%、11年度7%、12年度8%、13年度11%と伸びてきたが、14年度は9%と1ケタ台に逆戻りした。これ は直接契約比率の高い居住ビルが13年度26%から22%に低下したことによる。
 直接契約は改修工事契約を施主が直接メーカーと契約するもので、途中に設計事務所やゼネコンが介在しないので粗利益率が高いといわれる。このため同協会は課題の一つとして直接契約比率の引上げを掲げている。


日軽金HD岡本社長が就任挨拶
「チーム日軽金」で顧客対応

 日本軽金属ホールディングスは6月24日開催の株主総会とその後の取締役会で岡本一郎取締役(写真)の社長就任を承認した。岡本社長は同日、日軽金HD傘下のグループ会社の社員1万3,300名に対し、以下の通りメッセージを発信した。
  「まず安全の話から。安全で一番大事なのは働く人の心構え。現地・現物・現実の三現主義に即し、安全な職場を共に築こう。次に日軽金グループの歴史を紐解 く。周知の通りアルミ製錬専業だったが、約40年前のオイルショックで国内精錬が崩壊し、その後アルミ総合一貫メーカーを目指して<富士山型経営>に転 換。そして多岐にわたる事業領域の連携を意図した<横串活動>を取り入れ、大変身した。私はこの路線は大正解だったと確信し、それを力強く継承するのが我 々の使命と心得る。アルミ総合企業として素材の強さをベースに従来の素材メーカーの枠を超えた異次元の素材メーカーに進んでいきたい」
 「<顧客 に選ばれる企業集団>を目指し、以下の5項目を推進する。1つ目は<チーム日軽金>として事業部門と横串のマトリクス組織によるグループ運営の強化であ る。<チーム日軽金>とはそれぞれ個性の強い事業部門が集まり、侃々諤々の議論を戦わせながらマーケット・お客様に最適で一本筋の通った製品・ビジネスの 答えを出して提供する体制のことだ。2つ目が<創って・作って・売る>、つまり開発・生産・営業が密接に連動してビジネスを展開し、そのサイクルを小さく 早く回したい。3つ目が真の国際企業になること。中国・東南アジアを中心に海外展開するが、今後数年かけてこれら拠点の充実と収益基盤の強化を図りたい」
 「4つ目が商品開発・ビジネス開発への資源投入である。10〜30年先の将来を見据え、今種まきをすることが大切だ。5つ目が企業の社会的責任で、当然社会への還元、貢献を果たしていく」


UACJ GのAl軽量バンパー
「マツダロードスター」に採用

32%軽量化、Fバンパーで初の押出材
 涯ACJは6月24日、同社グループが共同開発したアルミ製バンパーアセンブリーが、新型「マツダロードスター」に採用されたと発表した。それにより従来品比約32%の軽量化を実現、自動車業界の最大課題である軽量化による燃費効率向上に貢献する。
 新開発のアルミ製軽量バンパーはマツダと共同で研究・試作を重ねて開発。開発コンセプトは最高水準の強度・優れたデザイン性・最軽量化。高強度アルミ押出形材と高精度製造加工技術を開発する一方、マツダは同素材と製造技術を最大限に活かした車両設計技術を開発。
 UACJグループは同製品専用の製造設備も新規導入したという。さらに各部位ごとに材料・工法の最適化を図ることで約32%の大幅な軽量化を実現した。
 新型「マツダロードスター」はバンパーアセンブリーの他、6000系高成形アルミシート材がフェンダー向け部材として採用。従来からアルミ化されているボンネット・トランク及びパワープラントフレーム材などを含めUACJの多彩なアルミ自動車材が搭載されているという。


アイジー工業の14年度業績
外装材出荷減で大幅減収減益

資材・物流コスト増も影響、非住宅は堅調
  金属サイディング最大手アイジー工業の14年度業績は売上高140.58億円で13.1%減、営業利益9.68億円で58.1%減、経常利益9.80億円 で58.1%減、当期純利益6.55億円で43.6%減の大幅減収減益となった。ただ本業の儲けを示す売上高営業利益率は6.9%と高率を維持する。同社 の場合12〜13年度が営業利益率10%超の好業績だったことも落ち込み幅を拡大した。配当は1株当たり1万3,000円をキープする。
 減収の 最大要因は消費税増税による新設住宅着工の大幅減による金属サイディング出荷の低迷。すなわち14年度の新設住宅着工は88万戸で10.8%減、民間非住 宅着工床面積は4,501万uで5.6%減。期中に多種多様な新製品を市場投入したが、出荷量の減退は免れなかった。
 一方、ルーフは住宅リフォーム向けが底堅く推移し、ほぼ前期並み売上高を確保。また非住宅向けサンドイッチパネルは高デザインの断熱ヴァンドの発売、表面材について全て遮熱性フッ素樹脂塗装鋼板の標準搭載などが設計事務所・ゼネコンから高評価され、増収だったという。
 15年度は消費者マインドの持ち直しによる新設住宅着工増、非住宅では引き続き堅調な物流施設関連投資、企業業績の改善による建設投資意欲の改善などが見込まれ、増収増益を予定する。


三協アルミ社、10月に「アルジオ」を市場投入
Al樹脂複合ハイスペックサッシ
ボリュームゾーンが的、流通加工品

 三協立山 三協アルミ社(蒲原彰三社長)は6月22日、新アルミ樹脂複合ハイスペックサッシ「アルジオ(ALGEO)」を開発、10月から全国発売すると発表した。将来的には現有主力の「マディオ(MADiO)」を置き換えるという。
  同社の市場調査によると住宅用サッシの素材別構成は13年度が樹脂4%・アルミ樹脂複合33%・アルミ複層ガラス52%、アルミ単板ガラス11%。それが 断熱性能の高まりから2016年度には樹脂7%、アルミ樹脂複合40%、アルミ複層ガラス45%、アルミ単板ガラス8%に変化。さらに2020年度には樹 脂13%、アルミ樹脂複合50%、アルミ複層ガラス32%、アルミ単板ガラス5%に大きく変わる。新商品はそのボリュームゾーンをターゲットとした。
  特徴は@断熱性能H-5、耐風圧性S-4、水密性能W-5に既存品からワンランクアップ、多発する台風・豪雨にも安心・安全、A特に断熱性能を向上し、ク リプトンガス入りトリプルガラスで従来品比約40%、アルゴンガス入り複層ガラスで約10%高めた、B外障子外れ止め自動ロック機構を標準搭載、安心・安 全な施工─など。この他掃除が簡単なフラット下枠の採用、操作しやすいどこでも引手、多彩な網戸・指挟み防止部品・開口制限ストッパーなど付帯機能も充実 した。
 窓種は引違い窓・面格子付引違い窓・シャッター付引違い窓・上げ下げ窓・面格子付上げ下げ窓・FIX窓・縦すべり出し窓・すべり出し窓・ 勝手口ドア・テラスドア─の全10種で家一棟分を品揃え。カラーは外観色が新色アースブラウンを含め全5色、内観色が全5色。販売価格は標準引違いサッシ で「MADiO」比5〜7%アップ。
 新商品は流通で組み立てるノックダウン方式をメインとし、一部完成品出荷も予定する。品質を担保するため流通店の教育・研修を強化する。


UACJ「アルミ・チャイナ」出展
世界30ヵ国550社、日本から5社

  涯ACJは6月25日、7月8〜10日に中国・上海国際博覧センターで開催される「ALUMINUM CHINA 2015」に出展すると発表した。アジア最大規模のアルミ産業展で、14年は世界500社、日本から8社が参加し、入場者は1万6,434名を数えた。今 回は世界30ヵ国約550社、日本から5社が出展予定で、1万7,000名の入場を見込む。
 UACJは@自動車用アルミ材、A液晶・半導体製造 装置用及びLNGタンク材用アルミ厚板、BIT筐体用アルミ材の3製品分野を中心に高機能・高品質アルミ製品を公開する。さらに中国・韓国に進出した同社 グループ会社及び今年8月から一貫生産体制を確立するタイのアルミ板圧延工場など、グローバル拠点も紹介する。
 その他UACJグループのプレゼンテーション、名古屋製造所、福井製造所、タイ圧延工場などアルミ板材の製造・加工工程のプロモーションビデオなど各種のコンテンツを用意。経営課題の一つである海外事業強化について、認知度の向上と拡大を図る。


「SUSエンジリューション」
FA現場の自動化・省力化提案

初年度3億円、成長力推進の原点に
 FA 向けアルミ製機器及び機械装置の設計開発・製造・販売のSUS(静岡市、石田保夫社長=写真)はこのほど、新会社「SUSエンジリューション」を設立し た。FAの製造現場における自動化・省力化設備(システム製品)の設計・製造・販売を行うもので、6月1日から始動した。SUSの100%出資で、初年度 売上高3億円を目指す。
 「エンジリューション」はエンジニアリング(技術力)とソリューション(顧客の問題解決への提案力)を掛け合わせた新概 念。従来同社はFA事業において幅広い機器に採用が可能な汎用性の高いアルミ製標準化パーツを開発し、顧客の求める自動化・効率化に最適なユニットを提 案、事業を拡大してきた。「エンジリューション」はそれをさらに一歩進め、産業用ロボット及びその関連機器の開発・製造・販売まで行い、顧客への提案力を 強化する。
 新会社は資本金1,000万円、石田社長が社長を兼務する。本社は静岡市のSUS本社と同一。「2020年までの中期目標達成のための重要な推進力」として位置付ける。


4月のAl建材・St建材統計速報
Al建材出荷6.2%減と低調続く

「豪雪特需」解消のEX14.3%減
 日本サッシ協会がこのほど発表した統計速報によると、4月のアルミ建材生産は2万3,841dで前年同月比16.7%減、出荷は2万9,330dで6.2%減となった。出荷量は依然マイナスが続くが、減少幅は次第に小幅になりつつある。
 品目別出荷の詳細は次頁・表の通りで、住宅サッシは6.4%減と低調だが、ビルサッシが6.1%増となり、全体では0.9%減と微減に留まった。前年4月にカーポートの建替え・補修など「豪雪特需」のあったエクステリアは14.3%減。


4月のAl二次地金・合金統計
生産9.3%減、出荷8.9%減と低調

自動車生産減で3〜4月連続大幅減
  日本アルミ合金協会がこのほど発表した4月のアルミ二次地金・合金の地区別・品種別生産出荷、部門別出荷統計によると、生産は6万1,769dで前年同月 比9.3%減、出荷は6万2,468dで8.9%減と大きく落ち込んだ。3月も生産10.4%減、出荷5.7%減となっており、2ヵ月連続の大幅益マイナ スで先行きに暗雲が漂う。
 主要6部門全てがマイナス。なかでも構成比64%を占めるダイカストは11.4%減と2ケタマイナス。同27%の鋳物も4.3%減。これら両部門は自動車向けが80%超のため、乗用車の国内生産の不振が厳しく影響した。


14年度のアルミ合金製車両生産
689両7%増、累計2万1,300両

アルミ化率55.5%、新幹線車両が全体の51%
 日本アルミ協会・アルミ車両委員会はこのほど14年度におけるアルミ合金製車両の生産実績をまとめた。それによると鉄道車両は689両で13年度比7%増となった。これにより1962年からの累計生産台数は2万1,300両となった。
  この他東京モノレール12両、新交通システム・ゆりかもめの42両がある。東京モノレールは1957年からの累計生産数582両、新交通システムは 1980年からの累計生産数317両となった。鉄道車両・モノレール・新交通システムを併せた14年度のアルミ合金車両総生産は743両で前年度比9%増 となった。またそれら3種類を併せた累計生産数は2万2,199両となった。
 詳細は別表の通りで、14年度アルミ車両総生産743両のうち、 JR北海道・JR東日本・JR東海・JR西日本向け新幹線車両は380両となり、51%と過半数を占めた。これには新たに延伸された北陸新幹線用E7系 /W7系264両と、16年開業予定の北海道新幹線用H5系20両が含まれている。
 なお(一社)日本鉄道車輛工業会が先に発表した14年度の車 両(電車及び客車)の生産合計は1,338両で前年度比6.4%の減少。そのうちアルミ車両はモノレール・新交通システムを含め743両で、アルミ化率は 55.5%となり、13年度の47.7%から7.8p上昇し、アルミ製が過半数を超えた。

 【昭和電工】6月26日、フェノール樹脂事業を樹脂建材大手のアイカ工業に譲渡すると発表した。選択と集中の一環で、受け皿となるアイカSDKフェノール鰍フ株式85%をアイカ工業に譲渡、昭和電工は15%の出資に留める。



図・表・写真は本誌でご覧ください。