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NO.2238(2015年11月09日号)

米国KAAPが積極投資
アルミ鍛造サスペンション
需要拡大で生産設備を増強

KAAPは、北米のアルミ鍛造サスペンション市場の需要拡大に対応して生産設備の増強を決めた。

  北米で自動車サスペンション用アルミ鍛造部品を主力に製造・販売している日本企業「コウベ・アルミナム・オートモーティブ・プロダクツ社、Kobe Aluminum Automotive Products LLC、略称KAAP」は、北米のアルミ鍛造サスペンション市場の需要拡大に対応して生産設備の増強を決めた。設備投資額は約56.6百万ドル(約68億 円)で、2017年から順次稼働開始を目指す。
 アルミ鍛造サスペンションは、軽量化を通じて自動車の燃費向上に役立つ製品である。KAAP社 は、その北米における製造販売拠点として2003年に神戸製鋼所60%、三井物産25%、豊田通商15%出資比率の合弁会社を設立され、2005年から操 業を開始した。今年5月には操業開始10周年を迎え、この間、自動車軽量化ニーズの高まりを背景としてアルミ鍛造サスペンション需要の拡大に応じた生産設 備の増強を進めてきた。現在では溶解鋳造2ライン、鍛造プレス6機の体制で操業しており、北米のアルミ鍛造サスペンション市場でトップシェアを占めてい る。
 北米は世界第2位の自動車市場であり、今後も自動車生産台数は増加を続け、2015年の約17.5百万台から2020年には約19.0百万 台に達するものと想定。加えて、2025年に向けた燃費規制(CAFE規制)の強化に対応するため、車体軽量化ニーズが加速しており、アルミ鍛造サスペン ションの需要も大きく伸びるだろうと予測されている。
 今回の設備投資では新しく溶解鋳造ライン1基、鍛造プレス2機,付帯設備を導入する計画で あり、この中には将来の更なる拡張も見据えて、工場建屋(約10,800u)の新設、隣接地120,000uの取得費用も含まれている。これにより同社の 溶解鋳造ラインは合計3系列、鍛造プレス8機、敷地面積250,000u、建屋面積33,300u、生産能力は月間75万本となる。従業員数は現在の 400人から更に100人増員される。
 KAAPの概要は下記の通り。
 ▽所在地=米国ケンタッキー州ボーリンググリーン市、設立2003年5月、代表者=桂 俊弘、 資本金=2,400万ドル。
 ▽CAF’E 規制=Corporate Average Fuel Economy (企業別平均燃費)の略。米国において、自動車製造企業ごとに算定する平均燃費が基準値を下回らないように義務付けられる。2012年8月の規制強化によ り、自動車メーカーは2025年までに乗用車と小型トラックの平均燃費を54.5mpg (マイル/ガロン)に引き上げることを義務付けられた。


LIXIL
連結228億円赤字なんのその
営業利益は過去最高 

 LIXIL(藤森義明社長)の上半期連結決算は最終損益が228億円の赤字となった。中国で水回り事業を手がける子会社「Joyou」の経営破綻に伴い、関係会社投資関連損失281億円を特別損失に計上したのが響いた。
 しかし、売上高は8,774億円で前年同期比10%増、営業利益は2.4倍の320億円と過去最高を記録した。主力のリフォーム事業が国内外で好調だったうえ、4月に子会社化した水栓金具メーカー「GROHE」を新規に連結したためである。
 下半期〜2016年3月の予想は売上高18,550億円、前期比11%増、営業620億円、同比20%増としており、初めての売上げ1兆円台乗せが期待されている。
 以下は、LIXIL グループの子会社の概要である。
 【各テクノロジー部門の業績】
 LIXIL Water Technology(LWT)はLIXIL、INAX、GROHE、American Standard のグローバルブランドを持ち、すべての地域で増収を達成した。地域別の増収率は、アメリカ地域が9%、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域が17%(当 会計年度からGROHE Dawn Watertechを含む)、アジア太平洋地域が9%(中国市場は7%)、日本が6%。日本では、リフォーム商材の売上が12%増と増収に貢献したほか、 システムバスルーム「SPAGE(スパージュ)」は引き続き売上が好調です。LWT の売上高は、前年同期比8%増の25 億3,800 万ドルに達した。事業利益は前年同期比31%増の2 億6,000 万ドルで、上期の事業利益率は10%となった。
 LIXIL Housing Technology(LHT)は、売上高こそ前年同期比3%減の2,924 億円となったが、事業利益は27%増の228 億円、事業利益率は8%で大幅増益となった。事業利益の拡大に大きく貢献した要因としては、製造コストの継続的な削減と高利益率商品の好調な売上が挙げら れる。さらに、省エネ住宅ポイント3の追い風を受け、ウィンドウシステム事業本部の売上が第1 四半期から好調が続いたほか、高性能ハイブリッド窓「サーモスX」が、2015 年グッドデザイン賞を受賞した。
 LIXIL Building Technology(LBT)はPermasteelisa、トステム、新日軽などのブランドを展開し、前年同期比9%増の11 億9,600 万ユーロを達成した。Permasteelisa グループの売上高は前年同期比10%増だったが、事業利益は同5%減。増収の中心となった北米地域と英国
では、高利益物件の進捗が序盤のため、利 益率の改善は今後となる。日本では、都市部での需要回復により上期は黒字回復したものの、LBT 全体の事業利益は、中国での大規模開発プロジェクトの休止・遅延に伴う上海美特の業績悪化の影響を受けた。LBT の上期の事業利益は前年同期比10%減の1,800 万ユーロだった。
 LIXIL Kitchen Technology(LKT)の売上高は、前年同期比1%減の539 億円となった。リフォームが好調なことから、日本での売上高は微増となったが、中国の地方都市の需要低迷により、LKT 全体の売上高は微減となった。事業利益は9 億円となり、昨年度の雪害の影響による赤字からの黒字回復となった。
 社長の藤森義明氏のコメントは以下の通り。
  「当社の戦略に基づき、海外事業は明らかLIXIL の成長の原動力となりつつある。国内では、リフォーム市場の環境変化に伴い住宅ストックの積極的活用への注目が高まっており、当社も引き続き、この成長分 野にリソースを集中させていく。すべてのテクノロジー部門での厳格な財務管理とコスト管理の向上が、好調な業績に貢献しており、上期の営業利益は当社の過 去最高を記録した」
 【その他の重要事項】
 Joyou の借入金への保証に関連した特別損失などにより親会社株主に帰属する四半期純損失は
229 億円となった。Joyou から49 億円を回収したことで、損失を一部相殺した。
  上期の業績に基づき、同社は2016 年3 月期通期の業績予想を修正した。建デポ事業の分社化に伴いJGAAP での予想売上高は、1 兆8,700 億円から修正し1 兆8,550 億円となるが、これは前期比11%の増収となる。営業利益は、520 億円から620 億円に上方修正し、前期比では20%増となる。
 1、IFRS の事業利益=売上高−売上原価−販売管理費。日本会計基準の営業利益に相当。同社は2016 年3 月期有価証券報告書より正式にIFRS を導入する予定のため、参考までに記載している。
 2、IFRS での管理会計に基づく。
 3、省エネ住宅ポイント:環境に配慮した新築住宅・リフォームを奨励する国土交通省の制度。


日本アルミ企業の海外進出状況

  世は挙げてのグローバル化時代。生産・販売拠点を海外に移すとか、新たなプロジェクトを外国で展開するとか、グローバル化の波はますます大きくなってい る。日本のアルミ企業とて例外ではない。本誌のアンケート調査では、主体的に世界に進出している会社と事業は現在、145社、408件であり、そのうち北 米市場にエントリーしているアルミ会社とそのプロジェクト件数は36社、49件に及ぶ。(4・5頁の表参照)


東海アルミ箔など吸収合併
東洋アルミニウム

 東洋アルミニウム(山本 博社長)は2016年4月1日付けで、同社の子会社である東海アルミ箔梶A東洋アルミ千葉葛yびトーヤルテクノフロンティア鰍フ3社を消滅会社とする吸収合併を行う。
  グループ間で重複している組織・機能を解消し、人員・設備を有効活用するとともに、成長戦略のための財務体質の強化、およびコーポレートガマナンス体制の 整備・改善を図るのが目的であり、東海アルミ箔と東洋アルミ千葉については東洋アルミニウムの100%子会社にしたうえで吸収する予定。また、東洋アルミ 千葉の日用品事業部門は別の子会社である東洋アルミエコー鰍ノ譲渡される。以下は、2015年3月31日現在での関係企業の概要である。
 ▽東洋アルミニウム梶¢蜊緕s中央区久太郎町3-6-8、山本 博社長、事業内容は「アルミ箔、アルミペースト、パウダーなどの製造販売」、資本金80億円、昭和6年4月設立、株主日本軽金属ホールディングス100%、売上高58,157百万円、従業員数1,019人。
 ▽東海アルミ箔梶♂。浜市西区北幸2-6-1、多田 仁社長、事業内容「アルミ箔の製造、加工など」、資本金780百万円、明治44年11月設立、株主「東洋アルミニウム95%、東海東洋アルミ販売5%」、売上高11,854百万円、従業員236人。
 ▽東洋アルミ千葉梶$逞t市稲毛区六方町260、麻生 敏社長、事業内容「アルミ箔の加工」、資本金920百万円、昭和36年10月設立、売上高7,091百万円、従業員数151人。
 ▽トーヤルテクノフロンティア梶$_奈川県茅ケ崎市矢畑1111-22、山本政史社長、事業内容「アンテナ回路のエッチング加工など」、資本金70百万円、平成17年10月設立,売上高451百万円、従業員数33人。


ベトナムでの一貫生産体制
昭和アルミニウム缶

 昭和電工(市川秀夫社長)の連結子会社である昭和アルミニウム缶(遠藤政宏社長、東京都品川区)は、ベトナムにおけるアルミ缶蓋製造工場の建設を終え11月から本格的に量産を開始した。
  昭和アルミニウム缶は、2014年5月にベトナムのアルミ製缶メーカーHanacans Joint Stock Company を子会社化し、昭和アルミニウム缶が持つ先進的な生産技術と高度な品質管理体制をHanacansに導入することで急成長するベトナム市場での販売量を拡 大してきた。
 従来、Hanacans社には缶蓋の生産ラインが無くて、この部材については外部調達していた。2014年10月から建設していた 缶蓋生産ラインが完成したことにより、新たな需要開拓ができるものと期待されている。ベトナムの缶ビール需要は、生活水準の向上を背景に年率10%の割合 で伸びており、その期待には実現性が濃い。同社は、このほど食品安全マネージメント・システムの国際規格であるFSSC22000を取得している。


LIXIL
「サニージュ」 新発売

 住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXILは、効率的な採風により、従来品と比較し洗濯物の乾燥スピードを約2倍に向上させるなど、より便利で快適な暮らしを実現する新テラス囲い「サニージュ」を2015年12月1日より全国で発売する。
 テラス囲いは、屋内と屋外をつなぐ空間として有効活用ができるマルチスペース。特に雨風、花粉、ほこりなど、外部環境を気にすることなく利用できることから、洗濯物や布団干し場としての利用が多くみられる。
 そこで今回、“洗濯物の乾燥”というテラス囲いに求められる機能性に徹底的にこだわり、当社のテラス囲い2商品をLIXILブランドに統合した新商品「サニージュ」を開発した。
  「サニージュ」では、効率的な採風ができる縦すべり出し窓を標準設定することで、洗濯物の乾燥を効果的に促す風をしっかり採り込み、従来品と比較し約2倍 のスピードで洗濯物を乾燥させることができる。さらにオプションとして、内装機能建材「エコカラットプラス」も用意しており、室内側に設置することで湿気 やいやなにおいを軽減し、さらに快適に使用できる。
 設置スタイルは、1階用(囲いタイプ/ハーフ囲いタイプ/オープンタイプ)だけでなく、2階バルコニー設置用(囲いタイプ)や、部分囲い仕様なども用意しており、取り付け場所・目的に応じて自由に選べる。
 さらに、住まいながら設置を行うケースが多いことから、施主の負担を軽減するため、構造をシンプル化することで部品や工程の削減を行い、商品の組立て時間を約4割短縮した。


三和シヤッター工業が出展
西日本防災・防犯危機管理展

  三和シヤッター工業鰍ヘ、11月19日(木)〜11月21日(土)に福岡県北九州市の西日本総合展示場で開催される「第1回 西日本防災・防犯危機管理展 SAFETEC 2015」に出展する。同社は、安全・安心・快適を提供することにより社会に貢献することを使命に事業活動を行っており、今回は、主に近年各地に大きな被 害をもたらしている集中豪雨などの都市型災害に効果を発揮する浸水対策商品の展示を行う。
◆出展商品 概要
 ・ 防水商品「ウォーターガード 防水シャッター」
 ・ 防水商品「ウォーターガード Sタイトドア」(写真)
 ・ 防水商品「ウォーターガード eシート」
◆第1回 西日本防災・防犯危機管理展 SAFETEC2015
 開催期間 :11月19日(木)〜11月21日(土)10:00〜17:00(※最終日は16:00まで)
  会 場 :西日本総合展示場 新館(福岡県北九州市小倉北区浅野3丁目8-1)
 【弊社展示ブース:W-11】 U R L :http://www.nikkanseibu-eve.com/safetec/


UACJ
ALUMINUM USAに出展

 UACJは、11月11日から12日まで米国ミシガン州デトロイト市のCobo Centerで行われるALUMINUM USAに出展する。
 ALUMINUM USAは同社が毎回出展しているドイツ、中国などで開催されるアルミニウム産業展の一環で、米国での開催は今年が初めてとなる。世界約20ヵ国から約100社、2,000人以上の来場が予想される。
  同社展示ブースでは、自動車向けに使用される高機能・高品質なアルミニウム板材、押出材、加工品などを紹介する。また、北中米の製造・販売グループ会社そ して今年8月から一貫生産体制が確立したタイのアルミニウム板圧延工場など、当社のグローバル拠点も紹介する。さらに、タイのアルミニウム板圧延工場にお けるアルミニウム板材の製造・加工工程を紹介するプロモーションビデオなど、さまざまなコンテンツも用意し、米国市場でのさらなる認知拡大を目指す。
  なお、同時開催されるN. America Automotive Lightweight Procurement Symposium 2015では、同社の講演も行う。「UACJ’s Global Strategy And Approach To The Automotive Aluminum Market」と題し、米国市場への取り組みと当社の高機能アルミニウム材について紹介する予定。
<講演の概要>
 日時: 11月11日(水) 11時00分から11時45分
 会場 :The Cobo Center in Detroit
 講演者: UACJ 技術開発研究 第六研究部長 新倉昭男
 テーマ: 「UACJ’s Global Strategy And Approach To The Automotive Aluminum Market」


昭和電工、均等・両立推進企業

 昭和電工鰍ヘ、厚生労働省より平成27年度均等・両立推進企業表彰 均等推進企業部門「東京労働局長奨励賞」を受賞し、11月4日、都内にて東京労働局主催の表彰式が行われた。
 この表彰は、女性労働者の能力発揮を促進するための積極的な取り組み(ポジティブ・アクション)を実施し、女性の能力発揮を推進している企業を表彰するもので、今回の受賞は同社におけるポジティブ・アクションの推進体制、取り組み内容が認められたもの。
 1.同社の推進体制
  当社では、2008年1月に本社人事室内に「女性活躍推進チーム」を設置、女性社員を対象としたキャリア開発などの取り組みを開始した。また、2013年 からは「ダイバーシティ推進事務局」を設置し、女性活躍推進をダイバーシティ推進の一環に位置付けて取り組みを継続している。
 2.同社の取り組み内容
 (1)新卒採用における女性の応募を促すため、女性求職者を対象とした「女子学生セミナー」を開催。
 (2)営業、製造現場など、女性比率の低い職務の職域を拡大、積極的な配置を実行。
 (3)女性管理職の登用に関し「2020年までに40名、5%」の数値目標を設定。
 (4)管理職候補の女性と役員による座談会、女性の責任感、意欲向上を目的とする研修会の開催。
 そのほか、同社では仕事と育児・介護との両立支援に関しても、多様な働き方を実現する環境整備を進めていく。働きながら安心して子どもを産み育てることができる労働環境の整備を促進するため、男性の育児参加を積極的に促進するなどの取り組みを行っている。
 



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