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NO.2245(2016年1月11日号)

UACJ
三次品事業部門を再編
ニッケイ加工など吸収合併

株式会社UACJ(岡田満社長)は、このほどの取締役会において系列加工品事業会社の再編を行うことを決めた。

  同社は、平成26年7月に国内並びに海外協働体制強化、新規営業サポートと顧客開拓、重複業務・費用の削減など加工品事業の推進役として「株式会社 YACJ金属加工」を設立し、統合効果の発揮、収益最大化の実現を目指しており、こんどの再編によって、更に国内および北中米での加工品事業での一体的な 経営の効率化を得ることができると見ている。
 再編の内容は次の通り。
@同社を吸収合併存続会社とし、加工品事業統括 会社である「UACJ金属加工」を消滅会社と する吸収合併を行う。
A国内事業会社である「株式会社ナルコ岩井」を 存続会社とし、「株式会社ニッケイ加工」、「株 式会社ナルコ恵那」を消滅会社とする吸収合併
 を行い、この合併後の商号は「株式会社UACJ
 金属加工」とする。
B北米事業会社である「IWAI METAL (AMERI
 CA) CO., LTD.」を存続会社とし、「Penn Tec
 Q Inc.」を消滅会社とする吸収合併を行い、合
 併後の商号は「UACJ Metal Components No
 rth America Inc.」とする。
 今回の吸収合併における存続会社の概要は以下の通りである。
  株式会社UACJ=〈事業内容〉アルミニウム・銅など非鉄金属及びその合金の圧延製品・鋳物製品・鍛造製品並びに加工製品の製造、販売。〈資本金〉 45,000百万円、〈大株主〉古河電気工業28.14%、新日鐵住金8.75% 〈従業員数〉2,696人、総資産677,952百万円、売上高572,541百万円
 株式会社UACJ金属加工=〈事業内容〉アルミニウム加工 品の製造、販売、〈資本金〉80百万円、〈従業員数〉414人、〈製造拠点〉滋賀、成田、大阪、広島、仙台、恵那、深谷、〈コメント〉存続会社のナルコ岩 井はこの合併を機に商号を「株式会社UACJ金属加工」に変更。


軽金属トップの年頭所感

【一般社団法人日本アルミニウム合金協会・北山悟会長】
  わが国がTPP交渉に参加して2年余り、精力的に交渉がなされ、昨年10月に合意を見たことは、当業界にとっても歓迎すべきことであり、関係者のご尽力に 心から敬意を表するところです。TPPは21世紀型の画期的な経済連携協定とされ、世界のGDPの約40%をカバーし、これまでにない高いレベルの自由化 を実現するとともに、非関税分野(投資、競争政策、知的財産等)や新しい分野(環境、労働等)についても共通ルールを定めた協定となっています。我が業界 と関係の深い自動車業界などとともに、成長著しいアジア太平洋地域に高度なバリュー・チェーンを構築するための制度インフラとして、TPP が活用出来るものと期待しているところです。こうしたなか、当業界における懸念材料としては、中国経済の変調に伴う非鉄価格の大幅な下落、アルミ合金製品 の輸入の増加、更にはアルミスクラップ資源の海外への流出などであり、また今後については、アメリカの金融政策の変更が見込まれる中、中国を始めとするア ジア新興国等の景気が下振れし、我が国の経済に影響が及ぶリスクについても十分留意していく必要があると考えています。

【涯ACJ・岡田満社長CEO】
 重点施策は自動車を中心とした輸送分野、エネルギー分野などの成長製品の拡大とアジアを中心とした
1.成長地域の事業強化
2.各事業の最適生産体制の構築および技術融合の推進
3.先端基礎研究の強化と豊富な蓄積技術の活用による新技術・新製品の開発
の3点ですが、おおむね着実に展開・推進ができていると思います。
  グローバル展開としては、UACJ (Thailand) Co., Ltd.において、昨年8月に一貫生産が始まりました。11月にはグランドオープニングセレモニーを開催し、多くの取引先様に東南アジアで初めての本格的 アルミニウム圧延一貫製造ラインの完成を披露することができました。これを機に、立ち上げモードから量産拡販モードに切り替えなければなりません。見事に ギアチェンジができたと言えるようにがんばりましょう。北米ではTri-Arrows Aluminum Inc.による、ローガン工場への鋳造能力を含むアルミニウム圧延板能力の増強投資を決定しました。また、Constellium社との自動車パネル用ア ルミニウム材共同事業も2016年度第1四半期の生産開始へ向けて、順調に準備が進んでいます。
 国内構造改革は、板製造所のベストな品種構成を目指す品種移管を進めており、今年度中に予定どおりおよそ70%完了する予定です。
 新製品・新技術もまだ上市した例は少ないものの、技術開発研究所を中心に多くの芽が出はじめています。

【三和シヤッター工業梶E長野敏文社長】
  現在、「三和グローバルビジョン2020」の第一次3ヵ年計画において「さらなる飛躍の実現に向け、常に進化し続ける成長基盤を確立する3ヵ年」を経営方 針に掲げ、基本戦略である多品種化の完全定着を目指し、成長商品と位置づけた間仕切・環境建材等の商品群を業界トップレベルの基幹商品に成長させるため、 マーケット、商品、用途に応じて品揃えする“細分化戦略”を展開しています。特に、台風や集中豪雨などによる浸水被害を防ぐ防水商品「ウォーターガード」 では防水シャッター、Wタイトドア・Sタイトドアやシート式防水板などラインアップの拡充を図り、お客様の多様なニーズに応える「商品づくり」に注力して まいりました。

【一般社団法人軽金属製品協会・ 二瓶亮会長】
 業界を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況ではあ りますが、そのような環境の中、会員会社の総意を反映させて活動していくことを当協会のミッションとしていきます。会員満足度調査の結果をもとに、会員会 社の皆様のお役に立つことができる協会になるよう努めて参ります。
 今年の干支は「丙申(ひのえさる)」です。“丙(ひのえ)”とは樹木の成長に 例えると、自由に伸びることができず曲がりくねった状態から形が明らかになってくることを意味しているそうです。当協会においては行政への働きかけの効果 が形となって表れ、会員会社がその恩恵を受けられるようにし、会員会社においては各企業の努力の結果が形となって表れる、そういう年にしたいと考えていま す。

【三協立山梶E山下清胤社長】
 具体的な取り組みとして、「改装・リフォーム事業の強化」では、三協アルミが主体 となり、リフォーム専用商品の市場投入や建物別の総合提案をはじめ、エクステリアリフォーム需要の創出に向け、後付可能なガーデンルーム等の独立型商品の 市場浸透に注力してまいります。加えて、10年ぶりに刷新した住宅用基幹商品のアルミ樹脂複合サッシ「アルジオ」の販売拡大に取り組みます。
  「非建材事業の強化」では、三協マテリアルにおいては、輸送分野、産業機械分野を中心とした省エネ、軽量化ニーズへの対応を進めるとともに、環境商品の積 極的な市場投入や加工品比率の向上に注力してまいります。タテヤマアドバンスにおいては、コンビニエンスストアやドラッグストアなど国内小売業の新規・改 装需要の獲得に向けた総合提案力の強化に加え、ショップサービスの充実にも努めてまいります。
 「海外展開」においては、昨年当社の傘下に加わったSTEP-G社やタイメタルアルミ社等のグループ会社との連携強化に取り組むことで、シナジー創出に注力してまいります。

【一般社団法人日本アルミニウム協会・金子明会長】
  国内では、長らく続いたデフレによる閉塞感から漸く解放されつつあるなか、昨年には、経済成長の推進力として新たな「3本の矢」が発表されました。また、 昨年末には、TPPの大筋合意に続き、新年度の税制改正で法人実効税率20%台達成の方針決定がなされるど、貿易や投資活動の活性化に向けた諸施策も着々 と打ち出されました。今後、これら政策努力が結実し、日本経済が確たる成長軌道に乗る事に、大いに期待しつつも、不透明な世界情勢からは一刻も目が離せな い状況が続くと考えています。
 人材育成も重要な課題です。我々がどんなに立派な将来戦略を描いても、それを実行する人材がなければ実現しませ ん。技術の継承・発展を担う人材の育成を目的とした「中核人材育成講座」や、学生を対象としたサマースクールなどを引続き実施することによって、個々の企 業での採用や人材育成活動を、業界団体として補完・支援していきます。
 また、安全はすべてに優先する最重要課題です。さきほど触れましたIoTにつきましては、業界各社に共通する非競争領域での重要課題ということで、何らかの活用が可能ではないかとの観点で検討を進めてまいります。

【三菱アルミニウム梶E半沢正利社長】
  当社グループにおいては、昨年12月にインドのMA EXTRUSION INDIA PVT., LTD.が開所式を執り行い、政府関係者やお客様にも多数出席ただきました。また、2年前に初めて現地を見たときにはほとんど原野で道すらなかったところ に立派な工場が建ったのを目にし、感無量でした。
 加えて、同11月には米国THERMALEX, INC.が設立30周年を迎えました。最初は押出プレス1基でスタートした同社が、いまや5基を有するまでに成長し、改めて海外展開が順調に進み、海外子会社の寄与が本格化しつつあるのを実感しているところです。
 今年も、今基本方針である「国内事業の強靭化」と「熱交材中心海外展開推進」に引き続注力し、事業展開を着実に進めていきます。

【昭和電工梶E市川秀夫社長】
  本年は、新たな中期経営計画「Project 2020+」をスタートさせます。収益性と安定性を高いレベルで維持できる「個性派事業」の充実が最大の課題であり、新たな事業を付け加えると同時に、既 存の事業群を強く安定した個性派事業に変えていくことを目指していきます。
 成長加速事業に位置づけた電子材料用高純度ガス、アルミ缶、機能性化 学品の3つの事業は、アジア・ASEANなど海外市場の成長を先取りした施策を講じ、事業規模と収益の拡大を実現します。優位確立事業に位置付けたリチウ ムイオン電池材料とパワー半導体SiCは、将来の大きな市場成長に向け、競争優位性の高いビジネスモデルを早期に確立させます。
 ハードディス ク、黒鉛電極、石油化学などの基盤化事業については、安定した利益・キャッシュフロー創出実現に向けて市場変化に対する抵抗力の向上が課題です。それぞれ の事業に課せられたミッションと採るべき施策は明確です。それらの施策を休まず緩めず実行し、一日も早く当社グループの目指す姿を実現しましょう。

【叶_戸製鋼所・川崎博也社長】
 2016年度はどうあるべきか〜新中期経営計画のもと、『安定的に稼ぐ力』の向上を目指して〜
 2016 年度は、「KOBELCO VISION“G”」の最終目標年度である2020年度までの5ヶ年を対象とした、新しい中期経営計画のスタートの年であり、素材系事業、機械系事業、電 力供給事業を3本柱とした経営の確立」により、『安定的に稼ぐ力』を飛躍的に向上させることを大きな目標として定めます。
 但し、新中期経営計画の最初の2年間は、2016年度には加古川製鉄所の高炉改修による一過性の減益が見込まれ、2017年度も消費税増税の反動による需要停滞が想定されるなど、当社グループにとって厳しい見通しが既に示されていることを覚悟しなければなりません。
  しかし、将来の成長分野の捕捉や、コスト競争力の強化、安定収益基盤の確立を目的に、我々は着実に対策を講じています。新中期経営計画期間の後半には、電 力プロジェクトの立ち上げも控えており、戦略的投資案件をスケジュール通り確実に進めていくことで、強靭な安定収益体質を有する企業へと発展することがで きると確信しております。
 素材系事業では、鋼材事業の上工程集約プロジェクトが佳境へと差し掛かり、加古川製鉄所の高炉改修にも着手します。また、鞍山鋼鉄とのハイテンJVや、天津でのアルミパネル材工場については、垂直立ち上げに向け万全を期さなければなりません。
  次に機械系事業では、グローバル展開を旗印に、油圧ショベルの北米拠点の立ち上げや、圧縮機事業強化に向けた工事を確実に推し進め、水素ステーション関連 メニューについても、更にR&Dを強化し商品の差別化を図るなど、来るべき国内外の需要増加の捕捉に備えなければなりません。
 電力供給事業では、本年から着工を予定する真岡発電プロジェクト、環境アセスメントの取得に取り組む神戸発電プロジェクトの両輪を確実かつ着実に遂行していくことで、第3の事業の柱たる地位を盤石なものとしていかなければなりません。

【日本軽金属ホールディングス梶E岡本一郎社長】
  2015年のアルミ業界は大幅な円安、地金価格の変動、エネルギー価格の下落など、世界経済の動向に大きく揺さぶられてきました。かつて私たちの大株主と して人的交流・技術交流が盛んだったアルキャンも、昨年その名前が世の中から消えていきました。30年ほど前、世界のアルミメジャーといえば6社の名が挙 がりましたが、その中で今残っているのはアルコアだけです。そのアルコアも本年、上工程と下工程で分社します。中国企業を含め、世界のアルミ会社の専業 化・大規模化の波は留まる所を知りません。
 このような時代の流れの中で、日本軽金属グループは着実に収益を改善してきました。2015年度は現 中期経営計画の最終年度にあたります。2012年度69億円だった経常利益を3年後の今年220億円に伸ばすという計画に対し、それを達成する射程圏内に 私たちは今、立つことができているのです。過去15年、リーマンショックや東日本大震災等で停滞を余儀なくされたこともありますが、その都度立ち直り力強 く業績回復を果たしてきました。特に利益率の面では昨年・今年は過去15年間の最高記録を連続して更新する勢いです。
 私たちは、私たちが行って きた「アルミにこだわり、アルミを超えていく」「アルミとアルミ関連素材の用途開発を永遠に続ける」という構造転換が決して間違っていなかったことに自信 を持っていいと思います。同時に「創って・作って・売る」という商売の基本サイクルの浸透や「個別原価管理」の徹底により、経営数値がより身近になり、働 く人一人ひとりが「会社経営」という視点でものを考え、実際に動ける人財になりつつあることが、この改善の牽引役として大きな役割を果たしていることも紛 れもない事実です。
 さらに私たちは、世界のアルミメジャーの動きとは一線を画し、チーム日軽金として異次元の素材メーカーへと羽ばたいていきた いと思います。そのためにも本年は、現中期経営計画をしっかりやりきること、来年度からの成長戦略を具体的に次期中期経営計画で描ききること、次期中期経 営計画の初年度として確実なスタートを切っていくこと、が私たちに課せられた使命です。

【東洋アルミニウム梶E山本博社長】
  ドラッガー曰く「利益は将来存続のためのコスト」であり、会社は存続のため成長を継続しなければなりません。企業の基本的機能はマーケティングとイノベー ションです。全社挙げての大胆なイノベーション(革新的価値創造)しか生き残る道はありません。成長戦略構築に向けて、@マーケティング力の更なる向上、 A全社挙げてのイノベーション推進、B海外市場への積極的参入、C新製品の開発スピードアップを推進しましょう。
 今年は構造改革を完遂するため 四字熟語は「剛毅果断」(ごうきかだん)を選びました。剛毅は意志がしっかりして物事に屈しないこと、果断は思い切って行うことです。当社創立100周年 に向けての盤石な基盤づくりを達成するためにも「構造改革」を断行し全員の努力で元気な成長集団を目指しましょう。

【文化シヤッター梶E茂木哲哉社長】
 このような環境にある中、BXグループは、「エコ」と「防災」をキーワードに防災・減災のソリューションを提供し、お客様に貢献できるものづくりに注力してまいりました。
  特に「防災」において注力している「止水事業」におきましては、ゲリラ豪雨による建物への浸水という不安を抱えるお客様に対して、国土交通省が推し進める "浸水防止対策"の方針に沿った製品バリエーションの拡充と、全国各地で開催された防災・減災をテーマとした展示会への出展を通じて、止水商品を積極的に PRしてまいりました。
 そして今年は、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた国立競技場建設の本格着工や、周辺施設のリニューアルなど明るい材料がある一方で、円安による原材料価格やエネルギーコストへの対応など、依然として内需全体を冷え込ませる懸念材料も残っています。

【貝IXILグループ・藤森義明取締役代表執行役社長兼CEO】
  2015年、LIXILグループは、持続的に成長を続ける「真のグローバル企業」になるために、さらなる変革に向けて大きく舵を切り、「LIXIL Water Technology」「LIXIL Housing Technology」「LIXIL Building Technology」「LIXIL Kitchen Technology」の4つのテクノロジー事業と、LIXILにとって最大の市場である日本の販売とサービスを担う「LIXILジャパンカンパニー (LJC)」に再編した新しい事業モデルを立ち上げました。
 そしてそのスタートに合わせ、9月には、この新事業モデルをベースにした新中期経営 戦略「Redefining the Future」を発表し、新たなビジョンを掲げました。それは「2020年までに世界で最も企業価値が高く、革新的で、信頼されるリビングテクノロジー企 業となる」というものです。
 テクノロジー事業においては、各事業を世界的な視点で一体運営していくことで、シナジーの最大化を図るとともに、イ ノベーションとテクノロジーへの重点的な投資を行い、グローバル化を加速し、世界の住生活産業を牽引していきます。LJCにおいては、4つのテクノロジー 事業のすべての製品を総合力をいかし販売する点が強みであり、事業横断的なシナジー創出を牽引していきます。さらに日本国内では、「流通・小売り事業」と 「住宅・サービス事業」という独自の事業も行っています。すべての製品とサービスを提供できる世界唯一の市場として、販売とマーケティングを統合した手法 で質の高い製品やサービスを提供する「トータルソリューション」を展開していきます。2016年は、この新事業モデルを確立し、軌道に乗せるとともに、変 革へ向けた成長ドライブを加速していきます。

【不二サッシ梶E土屋英久社長】
 当社グループは2020年の創立90周年をめざした中期ビジョンを念頭に、更には長期ビジョン「100周年への礎」を築くため、2011年から2020年までの目標を第1次・第2次・第3次経営計画と設定し、プロセス管理を徹底運用しています。
 2015年7月には、重要課題であった優先株30億円分を取得消却し、これまで手控えていた設備改善に着手しました。営業活動として重要大型顧客の開拓等を推進し、商品開発面では新基幹商品の開発が具現化しています。
 2016 年は、当社グループにとって「躍進」をメインメッセージに掲げスタートした第2次中期経営計画の最終年度になります。「CHALLENGE for CHANGE」をスローガンに、引き続き「事業構造改革」への拘りは継続しつつ、市場・商品技術・生産技術・人材育成といったあらゆる面で積極的に挑戦 し、次期中期計画「創造」に向けて持続的発展の基礎作りを達成すべく注力してまいります。

【一般社団法人日本マグネシウム協会・加藤数良会長】
  我が国のマグネシウム産業ですが、国内大手の企業収益が改善し賃金も上昇傾向となっているようですが、円安効果を背景とした製品輸出や国内消費、製造業の 設備投資などがまだまだ伸び悩んでおり、主要な需要部門である自動車産業やノートパソコン・携帯電話・高級一眼レフカメラなどの携帯電子機器産業におきま して、顕著な回復が遅れているように見られます。このため、2015年の国内マグネシウムの総需要量は前年比横這いの約4万トンになるものと考えておりま す。純マグネシウムの需要においては、アルミ合金添加やチタン還元部門で安定した推移が期待されるものの、ノジュラー鋳鉄、粉末といった部門や鉄鋼脱硫部 門が厳しい状況で推移することから、全体としては若干減になると見られます。ただ、これまで回復が遅れていたマグネシウム合金の需要が、ダイカスト、鋳 物、射出成形、圧延、押出、その他合金の各部門で前年に比べ順調に推移するものと見られています。今後の伸長が期待される合金需要ですが、圧延材について は、これまでのノートパソコン筐体やスマートフォーンなどでの採用に加え、マグネシウムを電極板に用いた一次電池の実用化が進み、押出材ではマグネシウム の生分解性を活かした生体材料についての研究開発が活発化することとなりました。
 この間、当会では国内における積極的なマグネシウムの需要開発 を図るため、昨年に引き続き輸送機器分野における各種部品のマグネ化を目指し、未来開拓研究プロジェクト「革新的新構造材料等研究開発」において調査事業 を実施し、更には「高機能JIS等整備事業」においてマグネシウム材料の燃焼性評価方法の標準化を図ると共に、「自動車マグネシウム適用拡大委員会」、 「マグネシウム合金高速車両構体実用化技術委員会」などの活動を進めております。また、安全なマグネシウム切削加工作業や切りくず処理の普及を図るための マニュアルの作成や、海外におけるマグネシウムに関する研究開発状況の調査、安全作業を徹底するための講演会などを積極的に実施してまいりました。また、 昨年新たに広島など中国地域で設立されました「マグネシウム利用研究会」の様に全国各地域で実施されておりますマグネシウム事業化のための研究会などにつ いて、微力ではありますがご支援ご協力をさせていただきました。

【一般社団法人日本サッシ協会・堀秀充理事長】
 平成 28年度の事業環境ですが、平成26年度末で平成11年省エネルギー基準が廃止され、昨年4月からは平成25年省エネルギー基準に一本化されるとともに、 住宅性能表示制度も改正されました。さらに一昨年11月には建材トップランナー制度にサッシ、ガラスが追加されたこともあり、より高性能、高断熱な製品の 普及促進がサッシおよびガラス業界に求められることになりました。
 中長期的には 中長期的には平成32年度の東京オリンピック・パラリンピックの開催や国土強靭策が実施されます。また平成32年度までには省エネルギー基準が順次義務化 されます。具体的には、具体的には、2,000u以上の大規模建築物が平成29年4月より義務化となり、その後300uから2,000u未満の中規模建築 物、300u未満の小規模建築物(一戸建住宅等)が段階的に義務化される予定です。
 また中古住宅流通・リフォームにつきましては、住宅リフォー ム事業者団体登録制度や先進的なリフォーム事業者表彰制度など様々な支援策により、今後ますますリフォームの取組みが強化されるなど市場は変化してまいり ます。一方、東日本大震災の復興に対しまては更なる取組みも必要です。
 今後、平成29年4月には消費税率の10%への改正が予定されており、再 度の駆け込み需要、反動減の発生が懸念されますが、当協会におきましては政令改正へ対応し、行政施策を活用しながら窓・サッシの省エネルギー化をすすめる とともに、防犯対策・安全対策を強化し、またサッシ取扱い事業所様への支援、契約適正化の推進、社会保険への加入推進、施工技能者の育成などに努めてまい りますので、皆様のご理解とますますのご支援を賜りますようお願いたします。 



図・表・写真は本誌でご覧ください。