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NO.2247(2016年1月25日号)

神戸製鋼所
アルミ合金「7K55」の拡販
高強度と耐SCC性を両立

自 動二輪、鉄道車両分野への取組みを通じ、約半世紀にわたり7000系合金の開発力、生産技術を培ってきた。これを基に、化学成分と熱処理条件を最適化し、 適切な組織制御を行うことで、従来品に対して耐SCC性を維持しつつ、約30%高強度化した耐力400N/o2級合金7K55の開発。

 神戸製鋼所はこのほど、耐応力腐食割れ性(耐SCC性1)と耐力400N/o2級の高強度を両立させた7000系アルミ合金「7K55」を開発した。
7K55は既に日系自動車メーカーでバンパービーム2用押出材として採用が決まっており、今後、更なる採用拡大を目指す。
 自動車分野では、近年の環境規制の強化により車体の軽量化ニーズが高まっており、軽量化の有効な手段として、バンパービーム、骨格材などでアルミ押出材の需要が拡大している。
 バンパービームは、衝突時にエネルギーを吸収し、搭乗者を衝撃から守る役割を担っており、高い強度が求められる部位である。
  亜鉛やマグネシウムを添加することで強度を高めた7000系アルミ合金は、現在アルミ製バンパービームで主流となっている6000系アルミ合金と比較し て、より薄肉での設計を可能にする。今回開発した7K55をバンパーに適用すると、部品重量が6000系アルミ合金製比で約30%軽量化される。
 一方、7000系アルミ合金は、一般的に高強度になるほど耐SCC性が劣化する特性があり、高強度化と耐SCC性の両立が課題とされてきた。
 1) 耐SCC性:応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:SCC)に対する耐性。応力腐食割れは、引張応力と腐食雰囲気の存在下で発生する結晶粒界の脆性破壊のこと。応力腐食割れが発生する と、吸収可能なエネルギーが減少するため、衝突安全性の観点から問題となる。
 2)バンパービーム:衝突時に車体のダメージを低減するために、バンパーの内側に装着する補強材。


東洋アルミがパリコレにコラボ
顔料「クロマシャイン」を応用

  東洋アルミニウムが、見る角度で色が変わるユニークなメタリック顔料、「クロマシャイン」を開発した。この「クロマシャイン」を塗工した糸、「ゆうさい」 で織物を制作。ユミカツラがこれを用いて、2016年1月25日のパリコレで発表するドレスをデザイン・制作した。この世界初、業界初となるコラボドレス を、パリコレ本番前の1月14日に発表した。
 「クロマシャイン」は有機顔料による着色を一切行なわず、光の干渉を利用したユニークな顔料で、東 洋アルミニウムの高度なアルミ技術によって開発された。車体のメタリック塗料や印刷用インキ、海外有名ブランドのマニキュアやアイシャドーなどの化粧品 等、多方面で実用化されているが、衣料分野では初めての試み。
 このコラボドレスをデザイン・制作したユミカツラは2003年より毎年、パリ・ オートクチュールコレクションに参加。2005年にはパリ・カンボン通りのシャネル本店前にパリ店をオープンし、日本のファッション文化や“Made in Japan”にこだわった作品をデザインし、パリから世界に発信し続けている。
 発表会ではBerryz工房のメンバーで、「タレントの中 で1番の高身長・181p」として注目を集め、ファッションモデルやタレント、そして最近ではTBSテレビ「王様のブランチ」でリポーターとしても活躍中 の熊井友理奈さんが、パリコレ発表のコラボドレスで登場した。


中国の経済成長の鈍化
12月末現在の軽圧品市況

 全国軽金属商協会は12末日時点での軽圧品の市況投票を実施したところ、次の通りの結果となった。
 東京地区はアルミ大板・アルミ小板・52S板・56S丸棒・快削棒・63S形材の6品種すべてが据え置きとなった。同様に、大阪地区についてもE品種すべてが据え置きとなった。
  ロンドン金属取引所のアルミ地金価格については、アルミ最大消費国である中国の経済成長鈍化を受け2015年は18.6%下落しており、直近では米アルミ 大手アルコアがインディアナ州にある米国最大の製錬所の閉鎖を発表するなどの動きがあることから、引き続き注視が必要と思われる。
 次に平成27年11月のアルミニウム圧延品の生産・出荷動向は「板類」の出荷では、缶材は一部コーヒー缶のアルミ化による需要増によりプラスに転じた(+8.4%)。
  自動車については、軽自動車を除く国内乗用車生産台数は増加しており(10月の軽を除く乗用車生産台数:568千台、前年同月比:+5.6%)、3ヵ月連 続でプラス。アルミパネル材を採用している新型プリウスの販売好調もあり、二桁近いプラスとなった(+9.3%)。輸出は海外関連工場への素条輸出の減少 により、3ヵ月連続でマイナスとなった。(△0.6%)。全体としては<生産>プラスに転じ、<出荷>は3ヵ月ぶりにプラス(生産:+1.4%、出荷:+ 6.6%)。
 「押出類」の出荷では、建設向けは、建設全体としては17ヵ月連続でマイナス(△2.1%)。なお、10月の新設住宅着工戸数はマ イナスとなった(10月の着工戸数:77,153戸、前年同月比:△2.5%)。自動車は、軽自動車を除く国内乗用車生産台数の増加により、2ヵ月連続で プラス(+6.1%)。全体としては、<生産><出荷>共に14ヵ月連続マイナスとなった(生産:△1.5%、出荷:△1.8%)。この結果、板類+押出 類の「アルミニウム圧延品合計」は、<生産>9ヵ月ぶりにプラスとなり<出荷>も3ヵ月ぶりにプラスとなった(生産:+0.2%、出荷:+3.1%)。
  「はく」の出荷では、コンデンサー向けはコンデンサーメーカーの在庫調整が継続しマイナス。リチウムイオン電池向け(車載用他)が過半を占める「その他の 電気機器」の需要は堅調(△0.6%)。食料品は2ヵ月連続でプラスとなったが、これは前年の数字が低かったことによるもの。2013年11月、2012 年11月と比べると5%程マイナスで、需要弱含みは変わらず(+9.8%)。全体としては、<生産>は5ヵ月連続でマイナス、<出荷>は2ヵ月連続でプラ スとなった(生産:△0.4%、出荷:+2.6)。


バッテリー不要でコスト低減
機械式危害防止装置

 三和シヤッター工業は、防火・防煙シャッター機械式危害防止装置「メカセーフ」に管理用シャッターとして使用可能な電動式タイプを1月18日より追加発売した。
  防火シャッター用危害防止装置は、防火区画に設置される防火シャッターが火災時に熱や煙を感知して自動で閉鎖する際のはさまれ事故を防止するための装置で ある。シャッター閉鎖中に下端部の座板に人や障害物が接触すると、シャッターは一旦停止し、障害物がなくなってから再度閉鎖を始める。この装置は2005 年12月の建築基準法改正により設置が義務づけられている。
 同装置「メカセーフ」は、電気系統で制御する方法ではなく、座板に障害物が接触する とワイヤ巻取り装置のワイヤがロックされ、中継部、作動部を介して開閉機のブレーキが復帰し、シャッターを停止させる機械的な制御方法である。そのため、 停電時用のバッテリーが不要であり、ランニングコスト(バッテリー交換費用及びバッテリー充電にかかる待機電力)の低減を実現している 
 ◆商品名 機械式危害防止装置「メカセーフ」  ◆発売時期 2016年1月18日
 ◆ 特徴
 ランニングコストの低減
 停電時用バッテリーが不要なため、バッテリーの定期交換費用やバッテリー充電に必要な電気代がかからない。
 国土交通大臣認定品
 機械式危害防止装置「メカセーフ」は下記の国土交通大臣認定を取得している。
<防火区画の防火設備> CAT-0910
<遮煙性能を有する防火設備>CAS-0906(F6スラット)CAS-0908(G1スラット)
 ◆仕様
 対象のシャッター:電動式/手動式 防火・防煙シャッター
 設計範囲:〔防火〕W=1,400〜12,500o H=1,000〜 6,000o、※W>11,000oの範囲ではH≦5,000oとなる。
[防煙]W=1,400〜11,000o H=1,000〜 6,000o
 適用スラット:F6、G1、G1sus、A1、A1sus、A2、A2sus、※防煙シャッターの場合はF6、G1、G1susのみ
 ◆参考価格 1,821,900円(消費税、取付工事費、搬入費、諸経費は含まれず)
メカセーフ付き電動式防火防煙シャッター
W=5,000o、H=3,000o G形スラット
 ◆販売目標 初年度(1年間):約10億円(シャッター本体含む)


省エネ大賞を受賞
ハイブリッド換気システム

 部屋の空気質を向上させるハイブリッド換気システム「エアマイスター」が平成27年度省エネ大賞「省エネルギーセンター会長賞」を受賞。外気による室温変化を抑え、冷暖房の効率を高める点が評価される。
 LIXIL は、一般財団法人省エネルギーセンターが主催する「平成27年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)」(後援:経済産業省)において、熱交換換気シス テムに空気清浄機能を搭載したハイブリッド換気システム「エアマイスター」が省エネルギーセンター会長賞を受賞した。
 「省エネ大賞」は、省エネルギー意識の浸透、省エネルギー製品の普及促進等に寄与することを目的とし、国内の優れた省エネ活動事例や技術開発等による先進型省エネ製品等を表彰しているもの。
  今回「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した「エアマイスター」は、省エネ性能の高い熱交換換気システムに空気清浄機能を搭載したハイブリッド換気シス テムである。空気清浄機では除去できないCO2や空気の汚れを効率的に屋外に排出するほか、屋内に空気を取り込む際は2層構造のフィルターで花粉や PM2.5をブロックする。
 熱回収率は業界トップクラスの87%で、外気による室温変化を最小限に抑え、冷暖房の効率を高めるほか、室内外の温 度差が少ない季節や時間帯に自動で非熱交換運転に切り替わる「自動省エネ運転機能」の搭載により、冷暖房と換気の運転費用は年間で約48%削減と、電気代 節約に貢献する。今回の受賞にあたっては、こうした優れた省エネ性能が高い評価を受けた。


リアルな木目を再現
新柄「プレシャスウッド」

 LIXIL グループ傘下で、外装建材総合メーカーの旭トステム外装では、金属外装材「Danサイディング」スチール深絞りシリーズに、本物の木の素材感を追求し、表 面のツヤを抑えた仕上がりが特長の木目柄 「プレシャスウッド」(ガルバリウム鋼板)を追加し、2016年2月1日から全国で発売する。
 新柄 「プレシャスウッド」は、よりリアルな木目の表現を目指したタテヨコ兼用の金属外装材である。表面にいくつもの凹凸を設け不揃いにすることで、木の自然な 風合いを再現したほか、低光沢の新塗装「マット塗装」によりツヤを抑え、柄の素材感を引き立たせた。また、施工した際に継ぎ目が目立ちにくい「隠目地」に より、美しい壁面を演出する。カラーバリエーションは、躍動感ある木目柄が映える「ナチュラルホワイト」「ナチュラルブラウン」「チャコールブラック」の 3色をラインナップした。
 なお、同時発売商品として、金属外装材「Danサイディング」スチールスタンダードシリーズから新柄「デューネ」(4色)と「ティーレU」「スタッコ」の新色各2色、アルミスタンダードシリーズ「スタッコ」から新色2色を用意している。


砂型鋳造と鍛造マグネ部品
自動車部品加工展

 東京ビックサイトで開催の展示会「オートモーティブワールド」に出品された2種類のマグネシウム製自動車部品を紹介しよう。
 その1つは、所沢軽合金梶i埼玉県所沢市大字松郷154、電話04-2944-0415)が試作品として開発した砂型鋳造製の二輪車用大口径ホイールであり、材質AZ91。同社の優れた精密加工技術が活かされている。
 いまひとつは、ティエフオー梶i東京都北区赤羽2-16-4、電話03-6454-4651)が製作した鍛造製自動車部品。二輪車部品ブリッジや四輪車部品ロアアームなど軽量化と強度を両立させている。
 マグネシウム素材は実用の金属中で最も軽く、埋蔵量が豊富であり、比強度が高い、被削性が良好、溶接が可能、減衰能(吸振性)が高い、再生使用が可能─といった利点を備えており、分野によってはアルミの代替材として今後の動向は予断をゆるさない。


音響ブランドJFSoundsの第1弾
マグネ使用スピーカーケーブル

  細線ワイヤ製造メーカーのジャパンファインスチール梶i山口県山陽小野田市、尾崎則行社長、TEL:0836-83-4982)が、「JFSounds」 というブランドをスタート、商品化第1弾としてマグネシウムを使用したスピーカーケーブル「SIN-KAI MS227C」(2,900円/m)を発売する。
 主な特長は次のとおり。
・制振効果が高い純度99.95%のマグネシウムワイヤを導体の芯材として設置することで、導体部分に伝わる振動を直接吸収する。マグネ断面積比率約15%で高い減衰効果が期待でき、導電性能とのバランスも考慮。
・PC-Triple C導体の極太φ0.7o×6本撚構成を採用。
・伝送損失を低減する平行構造…プラスマイナス導体間に中空パイプでスパンを広げ、静電容量を低減、伝送損失を抑えた。
・絶縁体はポリエチレン、中間セパレータはポリエチレンパイプ、シースは軟質PVC。 


カーボン強化マグネ合金
輸送機器、家電向けに最適

 埼玉県比企郡滑川25-46に拠点を置く且O峰(電話0493-56-4567)は岡山県工業技術センターと共同で新しいカーボン強化マグネシウム合金UH-Mg Alloy AZ91D UH-(NE)をこのほど開発した。
  このUH合金は,チクソモールド法向けに開発されたもので、@伸びの向上(2〜3%)、A0.2%耐力の向上(160→180MPa)、Bレアアースを用 いない、Cリサイクル性に優れている、D鋳巣の減少、E成形品の化学成分偏析を抑制―といった特長を持っており、特に輸送機器及び家電関係の分野での利用 に適している。
 なお、同社は中国広東省東莞市に本拠地とするアルミ二ウムおよびマグネシウム成型品を生産している会社で、精密加工を得意とし、その技術には定評がある。従業員数は約350人。設立は2007年8月。


工作機械新製品2機種発売
航空機産業向けがメイン

 東芝機械(静岡県沼津市、飯村幸生社長)は、主に航空機産業向けの工作機械新製品2機種の販売を開始した。
@高速マシニングセンタ
 MF-2560シリーズ
 主な特長は次のとおり。
◆高速高効率加工による加工時間を従来機の半分に大幅短縮
 X,Y,Z各軸について大型工作機械の早送り速度を従来機2倍の50m/min。
 アルミワークの高速高効率加工と高速・高トルク・高加減速により加工時間を従来機比で50%の大幅短縮を実現。
◆高出力/高速主軸によるアルミワークの粗加工に威力を発揮
 主軸に120kWビルトインモータを採用。最高主軸回転速度33,000min-1で大型機でありながら高速加工が可能。アルミ加工能力は、8,000cc/min以上を実現。最適な工具と組み合わせることで、荒加工時間を大幅削減し、ユーザーの生産性向上に貢献する。
◆安全面に配慮した大型カバー搭載
 同機は高速加工のため、切り屑が発生するが、切り屑やクーラントの飛散防止ならびに工場作業者の安全性に配慮した大型カバーを搭載。現場を安全・清潔な環境に保つ。
A門形マシニングセンタ
 MCW-46150(5A)シリーズ
 主な特長は次のとおり。
◆15mの長尺ワークに対応
 ワークの最大積載質量:10ton/m2とワーク質量に左右されず、クロスレール前後移動をX軸とすることで、長大ストローク15m以上を実現。また、ワークを固定し、加工ヘッドが移動するため、X/Y/Z軸の移動物質量が変化せず、安定した加工能力を発揮する。
◆5軸ヘッド(max12,000min-1)の搭載で従来機比20%高速加工
  主軸に高出力ビルトインモータ【AC 64kW(30分定格)/53.4kW(連続定格)】を採用し、従来機比20%高速の最高主軸回転速度12,000min-1による高速加工に対応。ま た、B/C軸にはダイレクトドライブモータを採用し、3600deg/minの高速旋回を実現した5軸ヘッドを搭載。この5軸ヘッドの採用により、粗加工 から仕上げ加工まで連続して行なう事が可能となり、段取り時間の削減と加工。
 効率向上において他社同等製品比較で20%の加工時間の改善を実現。
◆最新鋭CNC装置TOSNUC-PX-100によるワークの加工品質向上
 5軸加工における工具先端の位置変化を自動制御する工具先端点制御機能(オプション)を搭載することで、加工面段差の加工仕上げ改善や仕上げ面の面質向上が行なえ、ワークの加工品質向上に貢献する。  



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